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'''光市母子殺害事件'''(ひかりしぼしさつがいじけん)
当時18歳0か月の少年F(現姓O)により、主婦(当時23歳)が[[殺人|殺害]]後[[屍姦]]され、その娘である乳児(生後11カ月)も殺害された上、財布が[[窃盗|盗まれた]][[少年犯罪]]である。Fは[[殺人罪 (日本)|殺人]]・[[強姦罪#強姦致死傷罪|強姦致死]]・[[窃盗罪|窃盗]]の各容疑の罪状で、[[刑事訴訟法|刑事裁判]]で裁かれた。一・二審で、Fは[[日本における死刑|死刑]][[求刑]]に対し、[[無期懲役]][[判決 (日本法)|判決]]を受けるも、[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]で破棄差し戻しされ、差し戻し控訴審で言い渡された死刑判決が[[確定判決|確定]]し、現在[[再審]]請求中である。
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以下、[[検察官|検察]]側主張、及びこれまでの判決が認定してきた内容に基づく事件の概要である。
1999年(平成11年)4月14日午後2時半頃、少年F(当時18歳、現姓O)が、
その後、Fは女性を[[屍姦]]し
Fは
=== 弁護側主張 ===
[[上告|上告審]]よりFの主任[[弁護人]]となった[[安田好弘]]弁護士は
[[広島高等裁判所]]での差し戻し審では、「母恋しさ、寂しさからくる抱き付き行為が発展した[[傷害罪#傷害致死罪|傷害致死]]事件。凶悪性は強くない」として死刑の回避を求める方針を明らかにした。
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== 被害者側の動き ==
被害女性の夫であり、被害女児の父である会社員男性・'''本村 洋'''(もとむら ひろし、[[1976年]][[3月19日]] - )
また、裁判の経過中、本村は[[日本における死刑|死刑]]判決を望む旨を強く表明し続けてきた。例えば[[2001年]](平成13年)[[12月26日]]に行われた意見陳述の際にFに対し「被告人Fが犯した罪は万死に値します。いかなる裁判が下されようとも、このことだけは忘れないで欲しい」と述べている。また一審判決後には「司法に絶望した、加害者を社会に早く出してもらいたい、そうすれば私が殺す」と発言していたが、二審判決に際しては「裁判官も、私たち遺族の気持ちを分かった上で判決を出された。判決には不満だが裁判官には不満はない」と発言し、犯罪被害者の権利確立のために、執筆、講演を通じて活動をしている。
== 裁判の経過 ==
* [[1999年]]([[平成]]11年)6月 - [[山口家庭裁判所]]が、Fを[[山口地方検察庁]]の[[検察官]]に送致することを決定した。6月11日、山口地検はFを[[山口地方裁判所]]<ref group="注釈">本来、光市は山口地方裁判所徳山支部(当時、現・周南支部)(徳山市、現:[[周南市]])の管轄であるが、本事件のように少年事件は取り扱っていないため、山口地方裁判所本庁([[山口市]])が代行した</ref>に[[起訴]]した<ref name=kyoudou120220>{{Cite web|url=http://www.47news.jp/47topics/e/225807.php|title=光市母子殺害事件の経過|work=47NEWS|publisher=[[共同通信]]|date=2012-02-20|accessdate=2014-01-21|archivedate=2012-02-20|archiveurl=http://web.archive.org/web/20120220194634/http://www.47news.jp/47topics/e/225807.php}}</ref>。
** [[12月22日]] - 山口地検は死刑を[[求刑]]した<ref name=kyoudou120220 />。
* [[2000年]](平成12年)[[3月22日]] - 山口地裁は[[無期懲役]]の[[判決 (日本法)|判決]]を下した<ref name=kyoudou120220 />。
* [[2002年]](平成14年)[[3月14日]] - [[広島高等裁判所|広島高裁]]は、検察の[[控訴]]を[[棄却]]した<ref>[http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/DB35ABFE0BC4594249256BB200385F3D.pdf 平成14年03月14日 広島高等裁判所]</ref><ref name=kyoudou120220 />。
** 山口地裁および広島高裁の判決は、いずれも
* [[2005年]] (平成17年)[[12月6日]] - [[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]第三[[小法廷]]は上告審[[口頭弁論]]公判の期日を翌年[[3月14日]]に指定した<ref name=kyoudou120220 />。
** 通常、死刑判決に対する上告審を除いて最高裁で口頭弁論が行われる場合は控訴審の判決が覆る場合が多く、[[世論]]の注目を集めた。
* [[2006年]] (平成18年)3月14日 - 最高裁の弁論で、上告審から主任[[弁護人]]となった
* [[6月20日]] - 最高裁は広島高裁の判決を破棄し、審理を広島高裁へ差し戻した<ref>[http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060620163659.pdf 平成18年06月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 広島高等裁判所 ]</ref>。最高裁は判決の中で、一審及び1回目の控訴審において酌量すべき事情として述べられた、殺害についての計画性のなさや、[[被告人]]Fの反省の情などにつき、消極的な判断をしている。
* 差し戻し審の第1回[[公判]]は、[[2007年]](平成19年)[[5月24日]]に開かれた。
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** 一審の山口地裁以来7年7か月ぶりに行われた被告人質問において、Fは殺意、強姦目的を否定した。
** [[7月24日]]から3日連続の公判が行われた。弁護側が申請した精神鑑定人は被告の犯行当時の精神が未成熟だったと証言した。
** [[9月18日]]から3日連続の公判が行われた。Fは一・二審から一転して殺意を否定したことについて「([[捜査]]段階から)認めていたわけではなく、主張が受け入れてもらえなかっただけ」とした。
** [[10月18日]]に検察側の最終弁論が行われ、改めて死刑を求刑した。
** [[12月4日]]に弁護側の最終弁論が行われ、殺意や乱暴目的はなかったとして[[傷害罪#傷害致死罪|傷害致死罪]]の適用を求めた。この日の公判で結審した。
* [[2008年]](平成20年)[[4月22日]] - 差し戻し控訴審の判決公判が行われ、広島高裁([[楢崎康英]]裁判長)は弁護側主張を全面的に退け死刑回避理由にはあたらないとして死刑判決を言い渡した<ref>[http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080613101103.pdf 平成20年04月22日 広島高等裁判所 破棄自判 山口地方裁判所]</ref>。弁護側は判決を不服として即日[[上告]]した。
* [[2012年]](平成24年)1月23日 - [[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]第一[[小法廷]]([[金築誠志]]裁判長)にて、第二次上告審[[口頭弁論]]公判が開廷。検察側は死刑適用(被告人側の上告棄却)、弁護側は死刑判決の破棄をそれぞれ求め、結審した<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2302C_T20C12A1CR8000/ |title=光市母子殺害事件、最高裁で上告審弁論 |newspeper=日本経済新聞|publisher=日本経済新聞社|date=2012-01-23|accessdate=2018-02-22|archivedate=2018-02-22|archiveurl=http://web.archive.org/web/20180222154335/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2302C_T20C12A1CR8000/}}</ref>。
* 2012年(平成24年)2月20日 - 最高裁判所第一小法廷(金築誠志裁判長)で判決公判。同小法廷は、差し戻し控訴審判決を支持し、Fの上告を棄却する判決を言い渡した<ref>{{Cite web|url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120220/trl12022015050005-n1.htm|title=光市母子殺害事件、元少年の死刑確定へ 最高裁が上告棄却|work=MSN産経ニュース|publisher=産業経済新聞社|date=2012-02-20|accessdate=2012-02-20|archivedate=2012-02-21|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120221075653/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120220/trl12022015050005-n1.htm}}</ref>。これにより
{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2002E_Q2A220C1000000/ |title=光市母子殺害、元少年の死刑確定へ 最高裁が上告棄却 |newspeper=日本経済新聞|publisher=日本経済新聞社|date=2012-02-20|accessdate=2018-02-22|archivedate=2018-02-22|archiveurl=http://web.archive.org/web/20180222154358/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2002E_Q2A220C1000000/}}</ref>。犯行当時少年の死刑が確定するのは[[大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件]](1994年発生、2011年判決確定)以来であり、平成の少年事件では[[市川一家4人殺人事件]](1992年発生、2001年判決確定、2017年執行)と連続リンチ殺人事件以来3件目、計5人目となる(これら2件はどちらも罪状に[[強盗致死傷罪|強盗殺人]]が含まる死者4人の事件なのに対し、単純殺人事件及び死者2人での犯行当時少年の死刑確定は平成の事件では初)。これを受け、[[毎日新聞]]を除く全国メディアは[[実名報道]]に切り替えた([[#実名報道]]の節を参照)。
* 2012年(平成24年)3月16日 - 被告人F・弁護団側は、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)に対し、判決訂正の申し立てを行っていたが、3月14日付けで申し立てを棄却する決定がなされた。これにより、Fの死刑が正式に確定した<ref>{{Cite news|url=https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1603Z_W2A310C1CC1000/ |title=光市母子殺害、元少年の死刑確定 最高裁、訂正申し立て棄却 |newspeper=日本経済新聞|publisher=日本経済新聞社|date=2012-03-16|accessdate=2018-02-22|archivedate=2018-02-22|archiveurl=http://web.archive.org/web/20180222154410/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1603Z_W2A310C1CC1000/}}</ref>。
119行目:
=== 確定判決を受けてのコメント ===
判決後の記者会見で
Fの弁護団は「判断を誤っており、極めて不当だ。強姦目的も殺意もないことは、客観的[[証拠]]や[[鑑定]]から明らかにされたのに、裁判所は無視した。被告は[[虐待]]で成長が阻害されており、実質的には18歳未満で、死刑は[[日本国憲法|憲法]]や[[少年法]]に反する」との声明を発表した<ref>日本経済新聞 2012年2月20日</ref>。
138行目:
[[毎日新聞]]は「母子の尊い命が奪われた非道極まりない事件ですが、少年法の理念を尊重し匿名で報道するという原則を変更すべきでないと判断」<ref>{{Cite web|url=http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120221k0000m040048000c.html|title=光市母子殺害:元少年の死刑確定へ…当時「18歳30日」|work=毎日jp|publisher=[[毎日新聞]]|date=2012-02-20|accessdate=2012-02-21|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120221185525/http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120221k0000m040048000c.html|archivedate=2012年2月21日|deadlinkdate=2017年9月}}</ref>、[[中日新聞]]・[[東京新聞]]は「死刑が確定しても[[再審]]や[[恩赦]]の制度があり、元少年の[[更生]]の可能性が直ちに消えるわけではない」<ref>{{Cite news|title=光市母子殺害の元少年、死刑確定へ|newspaper=中日新聞|date=2012-02-20|url=http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012022090203115.html}}{{リンク切れ|date=2014年1月}}</ref><ref>東京新聞 2012年2月21日朝刊1面</ref>とし、匿名報道を継続した{{refnest|group="注釈"|なお、[[市川一家4人殺人事件]]で刑が執行された後は以上3紙は刑の執行によって社会復帰の可能性が完全になくなったことに加え国家が刑罰よって人命を奪う対象を明らかにするべきであることから実名報道に切り替えた<ref name =mainichi171219>{{Cite web|url=https://mainichi.jp/articles/20171219/k00/00e/040/212000c|title=法務省:元少年ら2人の死刑執行 永山則夫元死刑囚以来|publisher=[[毎日新聞]]|date=2017-12-19|accessdate=2018-09-04|archivedate=2018-09-04|archiveurl=http://web.archive.org/web/20171219132436/https://mainichi.jp/articles/20171219/k00/00e/040/212000c|deadlinkdate=2018年9月}}</ref><ref name =chunichi171219>{{Cite web|url=http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017121902000228.html|title=2人の死刑執行、元少年も 永山元死刑囚以来20年ぶり|publisher=[[中日新聞]]|date=2017-12-19|accessdate=2018-09-04|archivedate=2018-09-04|archiveurl=http://web.archive.org/web/20171219131032/http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017121902000228.html|deadlinkdate=2018年9月}}</ref><ref name =tokyo171219>{{Cite web|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017121902000219.html|title=犯行時19歳の死刑執行 92年の市川一家4人殺害|publisher=[[東京新聞]]|date=2017-12-19|accessdate=2018-09-04|archivedate=2018-09-04|archiveurl=http://web.archive.org/web/20171219131408/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017121902000219.html|deadlinkdate=2018年9月}}</ref>}}。
[[日本弁護士連合会]](日弁連、会長:[[宇都宮健児]])は
== 社会への影響 ==
144行目:
{{独自研究|section=1|date=2019年4月}}
{{Main|光市母子殺害事件弁護団懲戒請求事件}}
[[弁護士]]・[[橋下徹]](後に[[大阪府知事一覧|大阪府知事]]及び[[大阪市長]]を歴任)が
この懲戒請求呼びかけについて[[江川紹子]]からは「請求の内容によっては、懲戒請求をされた弁護士の側から訴えられる可能性もある。実際、懲戒請求をした側が敗訴し、50万円の慰謝料を支払うよう求める判決が出ているケース<ref group="注釈">江川の指摘した判決は最高裁第三小法廷平成19年4月24日判決{{独自研究範囲|と思われる|date=2019年4月}}</ref>もある。橋下は、そういう負担やリスクを説明せず、ただ「誰でも簡単に」できると、気楽なノリでしゃべっている」<ref>{{Cite web |url=http://www.egawashoko.com/c006/000235.html |title=刑事弁護を考える~光市母子殺害事件をめぐって |accessdate=2019-04-08 |author=[[江川紹子]] |date=2007-09-09 |website=Egawa Shoko Journal |work=社会のこといろいろ}}</ref>と批判されている。
152行目:
2007年の弁護士に対する懲戒請求件数は、前年1367件の約7倍に当たる9585件となり、うち84%に当たる8095件が弁護団に対するものだった<ref>山口・光事件弁護団への懲戒請求が8095件/日弁連(読売新聞 東京朝刊 2008年2月21日34頁)</ref>。
しかし、いずれの弁護士会も
=== 死刑囚Fの実名入り本出版 ===
[[2009年]](平成21年)10月、『F君を殺して何になる― 光市母子殺害事件の陥穽 ― 』(Fは当時、上告中だった際の旧姓) ISBN 978-4-9035-3803-7 が出版。これに対し、Fの弁護団側は、同年[[10月5日]]に出版差し止めの[[仮処分]]を[[広島地方裁判所|広島地裁]]に申し立てているが「本は公益を図る目的であり、実名記載に同意していた」という理由で却下された。
この本の著者
F側は地裁の判決を不服として控訴していたが、広島高等裁判所は2013年5月30日に「出版による権利侵害は認められない」として地裁判決を取り消す判決を出した。顔写真掲載については「加害者に対する社会的関心は高く、少年法61条を考慮しても報道の自由として許される」と判断。手紙についても「Fは取材に積極的に協力しており、掲載を承諾していたと判断できる」とした。
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== マスメディア ==
[[放送倫理・番組向上機構]](BPO)は
[[阿武野勝彦
== 脚注 ==
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