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{{改名提案|チョウジ|date=2019年6月}}
{{otheruses|植物|単位|ネイル (単位)}}
{{生物分類表
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|種=チョウジノキ ''S. aramaticum''
|学名=''Syzygium aromaticum'' ([[カール・フォン・リンネ|L.]]) Merrill & Perry
|シノニム=<ref name="GRIN">{{GRIN | name = ''Syzygium aromaticum'' (L.) Merr. & L. M. Perry | id = 50069 | accessdate = June 9, 2011}}</ref>
|シノニム=
* ''Caryophyllus aromaticus'' <small>L.</small>
*''Eugenia aromatica'' <small>(L.) Baill.</small>
*''Eugenia caryophyllata'' <small>Thunb.</small>
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}}<!-- このテンプレートは、PJ:BIOでの議論に基づき、Bot(User:Point136)により移行されました。 -->
[[File:Cloves.JPG|thumb|干したクローブは釘や丁の字に似た形をしている]]
'''クローブ'''({{lang-en|Clove}})また'''チョウジ'''('''丁子'''、'''丁字''')は、[[フトモモ科]]の植物樹木'''チョウジノキ'''(''Syzygium aromaticum''、[[シノニム|syn.]] ''Eugenia aromatica'')の開花前香りよい[[]][[を乾燥させた]]である。原産地は[[インドネシア]]の[[モルッカ群島]]であり{{sfn|ツァラ|2014|pp=13-16}}、[[香辛料]]として一般的に使われるほか、[[生薬]]としても使われる。漢に従って'''丁香'''(ちょうこう)とも呼ばれる
 
原産地は[[インドネシア]]の[[モルッカ群島]]{{sfn|ツァラ|2014|pp=13-16}}。日本では漢名に従って'''丁子、丁字'''(ちょうじ)、'''丁香'''(ちょうこう)とも呼ばれる。
 
== 名称 ==
クローブの花蕾は[[釘]]に似た形をしているため、[[中国]]では「[[釘]]」と同義の「丁」の字を使って「丁香」、「丁子」の名があてられ、[[フランス語]]では釘を意味する ''Clou'' と呼ばれ、[[英語]]の ''Clove'' もこれを語源とする。
 
非常に強い香気を持っているので、'''百里香'''という別名もある。
 
==栽培==
チョウジノキは中高木であり常緑樹である。種子から発芽し20年ほどで10メートルほどの高さに成長する。作物としてのクローブは7-8年目頃から収穫が可能である。
 
熱帯多雨の地域が原産であり、温室で十分に管理すれば栽培は可能であるが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られる。7月から9月と1月から2月つぼみを付け、年2回収穫を行う。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業やぐらをたて手摘みしていた。これが商品の価格の高さにも反映している。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接クローブの木にのぼり枝ごと切り落とし作業する<ref>{{Cite web | url = http://www.tz.emb-japan.go.jp/arekore18_j.html | work = 在タンザニア日本国大使館 | title = ザンジバルのクローブ生産 | accessdate = 2012-08-18}}</ref>。
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==利用==
[[Image:ClovesDried.jpg|left|thumb|乾燥したチョウジ]]
[[File:The flowers of clove tree in Pemba island.JPG|thumb|チョウジノキの花]]
[[File:NCI_clove_ham.jpg|thumb|クローブを挿した[[ハム]]]]
 
チョウジは[[アジア料理の一覧|アジア]]、[[アフリカ料理|アフリカ]]、および{{仮リンク|レバント料理|en|Levantine cuisine|label=近東}}・{{仮リンク|中東料理|en|Middle Eastern cuisine|label=中東}}諸国の料理において、肉や[[カレー]]、[[マリネ]]、その他リンゴ、ナシ、あるいは[[ルバーブ]]といった果物、に風味を付けるために使われる。チョウジは熱い飲料に芳香や風味を与えるために、しばしばレモンや砂糖といったその他の食材と組み合わせて使われることもある。チョウジは{{仮リンク|パンプキンパイスパイス|en|Pumpkin pie spice}}や[[スペキュラース]]用スパイスといった{{仮リンク|混合香辛料|en|Spice mix}}の共通要素である。
 
香辛料として肉料理によく使われるが、他の香辛料とブレンドして[[カレー]]などに使用することが多い。また、[[カルダモン]]、[[桂皮]]、[[ショウガ]]などと合わせて[[チャイ]]の香り付けに使われる。肉塊にそのまま刺し、ローストして臭みを消す料理法にも用いられる。
 
[[メキシコ料理]]において、チョウジは「''clavo de olor''(香りのクローブ)」として最もよく知られており、しばしば[[クミン]]や[[シナモン]]と共に使われる<ref>Dorenburg, Andrew and Page, Karen. ''The New American Chef: Cooking with the Best Flavors and Techniques from Around the World'', John Wiley and Sons Inc., 2003</ref>。また、[[ペルー料理]]においても、{{仮リンク|カラプルクラ|en|Carapulcra}}や[[アロス・コン・レチェ]]のような幅広い料理において使われる。
[[生薬]]としての花蕾を丁子(ちょうじ)または丁香(ちょうこう)ということもあり、芳香健胃剤である(日本薬局方にも収録されている)。漢方では[[女神散]]、[[柿蒂湯]]などに使われる。
 
チョウジの風味の主要な要素は[[オイゲノール]]によって与えられており<ref name="eugenol">{{cite journal |journal=Molecules |year=2012 |volume=17 |issue=6|pages=6953–81| doi=10.3390/molecules17066953|pmid=22728369|pmc=6268661|title=Eugenol--from the remote Maluku Islands to the international market place: a review of a remarkable and versatile molecule|author=Kamatou, G. P. |author2=Vermaak, I. |author3=Viljoen, A. M.}}</ref>、必要なこの香辛料の量は通常は少ない。シナモンや[[オールスパイス]]、[[バニラ]]、[[赤ワイン]]、および[[バジル]]、その他[[タマネギ]]、[[ピール (食材)|柑橘の皮]]、[[トウシキミ|八角]]、[[コショウ]]の実とよく合う。
 
=== 料理以外での利用 ===
この香辛料(チョウジ油)はインドネシアの[[クレテック]]([[インドネシア語]]では「rokok kretek([[クレテック|ロコッ・クレテッ]])」)と呼ばれる巻きタバコに使われる<ref name="GRIN"/>。タバコブランドとしては「[[ガラム]]」が一般的に知られている。クローブタバコはヨーロッパ、アジア、およびアメリカ合衆国の至るところで吸われてきた。2009年から、クローブタバコは米国において葉巻に分類されなければならない<ref>{{cite web |url=http://www.fda.gov/TobaccoProducts/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/FlavoredTobacco/default.htm |title=Flavored Tobacco |publisher=FDA |accessdate=September 7, 2012}}</ref>。
 
中世ヨーロッパでチョウジ[[ペスト]]などから身を守るのオレンジと組み合わせて{{仮リンク|おい玉|en| Pomander}}(ポマンダーという香りのお守り下げために使うことが有効だと考えられていたできる。これオレンジなどの果物をベースに、クローブを一面に刺して乾燥させて作ったものが[[ポプリ#ポプリの仲間|フルーツポマンダー]]である。<ref>中野智美、[http://allabout.co.jp/gm/gc/56584/ 幸運をよぶ香りのお守りフルーツポマンダー]、[[All About]]、2016年5月3日閲覧。</ref>。中世ヨーロッパでは[[ペスト]]などから身を守るのにお守りとしてポマンダーを下げることが有効だと考えられていた。ヴィクトリア朝時代のイングランドにおいて贈り物として贈られた時、こういったにおに玉は心温まる感情を示した。
 
[[含香]]として、[[密教]]で灌頂や勤行前の口内のお清めに乾燥した丁子を刻んだものを口に含み噛んで使用する。ただし花の部分は使わない。
 
特徴的な香気成分は[[オイゲノール]] (Eugenol)。クローブの精油には殺菌・防腐作用がある。また弱い麻酔・鎮痛作用もあり、歯痛の鎮痛剤として使われる。[[ゴキブリ]]がこの香りを嫌うのでゴキブリ除けとしても使用されることがある。また、クローブチョウジの精油(丁子油)は[[日本刀]]のさび止めにも用いられた。江戸幕府は享保11年(1726)に幕府医の桂川甫筑([[桂川甫周]]の始祖)に丁字油の製造を命じた<ref>[https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=3880&query=&class=&d=all&page=2 中北薬品(株)『中北薬品二百五十年史』(1977.11)]渋沢社史データベース</ref>。
 
[[File:Orange pomander.jpg|thumb|upright|におい玉としてオレンジに使われるチョウジ]]
[[インドネシア]]や[[インド]]では丁子油で香りを付けた[[タバコ]]もあり、[[インドネシア語]]では「rokok kretek([[クレテック|ロコッ・クレテッ]])」と称する。タバコブランドとしては「[[ガラム]]」が一般的に知られている。
[[File:Seasonal clove buds drying on Pemba1.jpg|thumb|日光で乾燥中のチョウジ]]
 
===医薬としての潜在的な利用と副作用===
中世ヨーロッパでは[[ペスト]]などから身を守るのにポマンダーという香りのお守りを下げることが有効だと考えられていた。これをオレンジなどの果物をベースに、クローブを一面に刺して乾燥させて作ったものが[[ポプリ#ポプリの仲間|フルーツポマンダー]]である。<ref>中野智美、[http://allabout.co.jp/gm/gc/56584/ 幸運をよぶ香りのお守りフルーツポマンダー]、[[All About]]、2016年5月3日閲覧。</ref>
[[伝統医学]]において長年使われているものの、オイゲノールを含むチョウジ油が{{仮リンク|歯痛|en| Toothache}}またはその他の種類の痛みに有効であるとする証拠はほとんど存在せず<ref name="drugs">{{cite web |title=Clove |url=https://www.drugs.com/mtm/clove.html |publisher=Drugs.com |accessdate=9 November 2018 |date=5 March 2018}}</ref><ref name="nih">{{cite web |url=https://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/natural/251.html|title=Clove|publisher=MedlinePlus, U.S. National Library of Medicine and National Institutes of Health |date=2014 |accessdate=August 18, 2014}}</ref>、1報の総説が[[ドライソケット]]に対して[[鎮痛剤]]として[[酸化亜鉛]]と組み合わせたオイゲノールの有効性を報告している<ref>{{cite journal |pmc=4598935 |year=2015 |author1=Taberner-Vallverdú |first1=M. |title=Efficacy of different methods used for dry socket management: A systematic review |journal=Medicina Oral Patología Oral y Cirugia Bucal |volume=20 |issue=5 |pages=e633–e639 |last2=Nazir |first2=M. |last3=Sanchez-Garces |first3=M. Á. |last4=Gay-Escoda |first4=C. |doi=10.4317/medoral.20589 |pmid=26116842}}</ref>。熱軽減に対してや、[[蚊]]忌避剤として、そして[[早漏]]を防ぐためのその有効性を決定する研究は決定的でない<ref name=drugs/><ref name=nih/>。チョウジまたはチョウジ油によって[[血糖値]]が低下するかどうかについては立証されないままである<ref name=nih/>。いかなる医療のためのチョウジの使用も[[アメリカ食品医薬品局]](FDA)によって認可されておらず、{{仮リンク|肝障害|en|Liver disease}}、[[凝固・線溶系|血液凝固]]、および[[免疫系]]疾患、または[[食物アレルギー]]を持つ人が経口摂取すると[[副作用]]が引き起こされる可能性がある<ref name=drugs/>。
 
=== 伝統医学 ===
チョウジはインドの[[アーユルヴェーダ]]、[[中国医学]]、そして西洋の[[本草学|ハーバリズム]]と[[歯学]]において使われており、歯科において{{仮リンク|チョウジ油|en|Oil of cloves|label=精油}}は{{仮リンク|歯科救急|en|Dental emergency}}と様々なその他の疾患に対して{{仮リンク|痛み止め|en| Anodyne}}として使われている<ref>Balch, Phyllis and Balch, James. ''Prescription for Nutritional Healing'', 3rd ed., Avery Publishing, 2000, p. 94</ref>。精油は[[アロマテラピー]]において使われている<ref name=drugs/>。
 
[[生薬]]としての花蕾を丁子または丁香といい、芳香健胃剤である([[日本薬局方]]に収録されている<ref>{{cite web|title=第十七改正日本薬局方 – 医薬品各条 – 生薬等|url=http://jpdb.nihs.go.jp/jp17/|publisher=国立医薬品食品衛生研究所|author=厚生労働省|date=2016-09-02|pages=1854|accessdate=2019-06-17}}</ref>)。漢方では[[女神散]]、[[柿蒂湯]]などに使われる。
 
==歴史==
[[紀元前]]3世紀、[[漢王朝]]の皇帝に謁見するものは口臭を消すためにチョウジを口に含んで噛む必要があった<ref>{{Cite book |chapter=1: Cultural State Formation in Eastern Indonesia |first=Leonard Y. |last=Andaya |title=Southeast Asia in the early modern era: trade, power, and belief |editor-first=Anthony |editor-last=Reid |publisher=Cornell University Press |year=1993 |isbn=978-0-8014-8093-5}}</ref>。チョウジは1世紀までにローマ世界へと到達し、[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|大プリニウス]]によって記述された<ref name="Lape">{{cite journal |last1=Lape |first1=Peter V. |title=Political dynamics and religious change in the late pre-colonial Banda Islands, Eastern Indonesia |journal=World Archaeology |date=5 November 2010 |volume=32 |issue=1 |pages=138–155 |doi=10.1080/004382400409934|citeseerx=10.1.1.500.4009 }}</ref>。
インドや中国では紀元前から殺菌・消毒剤に使われていた。[[シリア]]では紀元前1721年内外の陶器の壺の中からクローブが発見されている<ref>{{cite book | author=Turner, Jack | title=Spice: The History of a Temptation | publisher=Vintage Books | year=2004 | isbn=0-375-70705-0 | pages=xv}}</ref> 。古代中国では臣下が皇帝の前に出るときにはクローブを口に含んだという記録がある。[[ヨーロッパ]]には中国商人が[[絹]]などと共に[[セイロン島]]経由でもたらし、6-7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになる。古くは原産地でクローブの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。[[大航海時代]]になると[[コショウ]]、[[ナツメグ]]とともにスパイス[[貿易]]の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がクローブの原産地をようやく「発見」したのは[[1511年]]の[[ポルトガル]]人デ・アブレウ([[w:António de Abreu|António de Abreu]])とセラウン([[w:Francisco Serrão|Francisco Serrão]])の[[バンダ諸島]]発見以降である([[ブルネイの歴史]])。1770年にフランスが[[モーリシャス]]と[[レユニオン]]での栽培に成功し、そこからアフリカ東岸の[[ザンジバル]]と[[ペンバ島]]に伝わり今日の大農園化へ導いた。
 
明らかに時代が確定した最初のチョウジの発見は、文献試料よりもかなり時代を下ったものでありのものである。2例が[[スリランカ]]の貿易港で発見され、これらはおおよそ西暦900–1100年に遡る<ref name="Kingwell-Banham">{{cite web |last1=Kingwell-Banham |first1=Eleanor |title=World's oldest clove? Here's what our find in Sri Lanka says about the early spice trade |url=http://theconversation.com/worlds-oldest-clove-heres-what-our-find-in-sri-lanka-says-about-the-early-spice-trade-109686 |website=The Conversation |language=en | accessdate = 2019-07-05 }}</ref>。[[シリア]]において紀元前1700年頃に遡ると以前報告された発見は、チョウジであるとはもはや考えられていない<ref name="Lape"/><ref name="Kingwell-Banham"/>。
日本にもかなり古く、5–6世紀には紹介されていた。[[正倉院]]の宝物のなかにも当時輸入された丁子がある。
 
チョウジは、[[中世]]の間、もうかる{{仮リンク|インド洋海域交易|en|Indian Ocean trade}}において、インドから大陸およびアフリカへの貿易を行う[[オマーン]]人の船乗りと商人によって取り引きされた{{citation needed|date=April 2019}}。
 
インドや中国では紀元前から殺菌・消毒剤に使われていた。[[シリア]]では紀元前1721年内外の陶器の壺の中からクローブが発見されている<ref>{{cite book | author=Turner, Jack | title=Spice: The History of a Temptation | publisher=Vintage Books | year=2004 | isbn=0-375-70705-0 | pages=xv}}</ref> 。古代中国では臣下が皇帝の前に出るときにはクローブを口に含んだという記録がある。[[ヨーロッパ]]には中国商人が[[絹]]などと共に[[セイロン島]]経由でもたらし、6-7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになる。古くは原産地でクローブの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。[[大航海時代]]になると[[コショウ]]、[[ナツメグ]]とともにスパイス[[貿易]]の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がクローブの原産地をようやく「発見」したのは[[1511年]]の[[ポルトガル]]人デ・アブレウ([[w:António de Abreu|António de Abreu]])とセラウン([[w:Francisco Serrão|Francisco Serrão]])の[[バンダ諸島]]発見以降である([[ブルネイの歴史]])。1770年にフランスが[[モーリシャス]]と[[レユニオン]]での栽培に成功し、そこからアフリカ東岸の[[ザンジバル]]と[[ペンバ島]]に伝わり今日の大農園化へ導いた。
 
近代まで、チョウジはモルッカ群島(歴史的に[[香料諸島]]と呼ばれていた)のいくつかの島でのみ生育していた。これらの島には{{仮リンク|バカン諸島|en|Bacan Islands|label=バカン島}}、{{仮リンク|マキアン島|en| Makian}}、{{仮リンク|モティ島|en|Moti Island}}、[[テルナテ]]、{{仮リンク|ティドレ|en| Tidore}}が含まれる<ref name="Turner">{{Cite book |author=Turner, Jack |title=Spice: The History of a Temptation |publisher=Vintage Books |year=2004 |isbn=978-0-375-70705-6 |pages=xxvii–xxviii}}</ref>。実際、専門家が世界最古と考えている「Afo」と名付けられたチョウジノキの樹木はテルナテにある。この木の樹齢は350年から450年である<ref name="BBC">{{cite news |url=https://www.bbc.co.uk/news/magazine-18551857 |title=The world's oldest clove tree |publisher=BBC News Magazine |date=23 June 2012 |author=Worrall, Simon |accessdate=June 24, 2012}}</ref>。旅行者は、この木から1700年に[[ピエール・ポワブル]]という名前のフランス人によって盗まれた種子が、[[フランス領フランス島 (モーリシャス)|フランス島]]([[モーリシャス]])、次に[[ザンジバル]](かつては世界最大のチョウジの生産地だった)へと運ばれた、と伝えられる<ref name="BBC" />。
 
チョウジがモルッカ群島外で育てられるまで、石油のように輸出に強制的な制限がかけられ取り引きされた<ref name="BBC" />。[[オランダ東インド会社]]が17世紀に[[香辛料貿易]]の統制を強化すると、[[ナツメグ]]で行ったようにチョウジについても[[独占]]を手にしようとした。しかしながら、「小さな[[バンダ諸島]]に限定されていたナツメグや[[ナツメグ|メイス]]とは異なり、チョウジの木はモルッカ群島全体にわたって生育しており、チョウジ交易には東インド会社の限定された警察権の能力を超えていた<ref>Krondl, Michael. ''The Taste of Conquest: The Rise and Fall of the Three Great Cities of Spice''. New York: Ballantine Books, 2007.</ref>」。
 
日本にもかなり古く、5–6世紀には紹介されていた。[[正倉院]]の宝物のなかにも当時輸入された丁子があった
 
== 化学成分 ==
[[File:Eugenol acsv.svg|thumb|right|[[オイゲノール]]はチョウジの特徴的な芳香の大部分を担っている。]]
 
[[オイゲノール]]はチョウジから抽出された[[精油]]の72–90%を占め、チョウジの芳香に最もつかさどる[[化合物]]である<ref name="eugenol"/>。100%の抽出は125 °Cの加圧水中80分で起こる<ref>{{cite journal|doi=10.1002/(SICI)1099-1026(199911/12)14:6<399::AID-FFJ851>3.0.CO;2-A |title=Extraction of clove using pressurized hot water |journal=Flavour and Fragrance Journal |volume=14 |issue=6 |date=7 February 2000 |author1=Rovio, S. |author2=Hartonen, K. |author3=Holm, Y. |author4=Hiltunen, R. |author5=Riekkola, M.‐L.}}</ref>。超音波およびマイクロ波抽出法によってより低いエネルギーコストでより迅速な抽出が可能である<ref>{{cite journal|author1=Khalil, A.A. |author2=ur Rahman, U. |author3= Khan, M.R. |author4=Sahar, A. |author5=Mehmood, T. |author6=Khan, M. |title=Essential oil eugenol: sources, extraction techniques and nutraceutical perspectives |url=https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2017/ra/c7ra04803c |journal=RSC Advances |date=2017 |volume=7 |issue=52 |pages=32669-32681 |doi=10.1039/C7RA04803C}}</ref>。
 
チョウジ油のその他の重要な精油成分には、アセチルオイゲノール、β-[[カリオフィレン]]、[[バニリン]]、{{仮リンク|マスリン酸|en|Maslinic acid|label=クラテゴリン酸}}、{{仮リンク|ビコルニン|en| Bicornin}}といった[[タンニン]]<ref name="eugenol"/><ref>{{cite journal |author1=Li-Ming Bao, Eerdunbayaer |author2=Nozaki, Akiko |author3=Takahashi, Eizo |author4=Okamoto, Keinosuke |author5=Ito, Hideyuki |author6=Hatano, Tsutomu |title=Hydrolysable Tannins Isolated from Syzygium aromaticum: Structure of a New C-Glucosidic Ellagitannin and Spectral Features of Tannins with a Tergalloyl Group. |journal=Heterocycles |year=2012 |volume=85 |issue=2 |pages=365–381 |doi=10.3987/COM-11-12392}}</ref> [[タンニン酸|ガロタンニン酸]]、[[サリチル酸メチル]](痛み止め)、[[フラボノイド]]の[[オイゲニン]]、[[ケンフェロール]]、[[ラムネチン]]、および[[オイゲニチン]]、{{仮リンク|オレアノリン酸|en|Oleanolic acid}}、{{仮リンク|スチグマステロール|en| Stigmasterol}}、[[カンペステロール]]といったトリ[[テルペノイド]]、いくつかの[[セスキテルペン]]が含まれる<ref>''Chinese Herbal Medicine: Materia Medica'', Third Edition by Dan Bensky, Steven Clavey, Erich Stoger, and Andrew Gamble. 2004</ref> 。
 
オイゲノールは比較的少量で毒性がある。例えば、5–10 mLの用量は2歳児の致死的量であると報告されている<ref>{{cite journal |last1=Hartnoll |first1=G. |last2=Moore |first2=D. |last3=Douek |first3=D. |year=1993 |title=Near fatal ingestion of oil of cloves |journal=Archives of Disease in Childhood |volume=69 |issue=3 |pages=392–393 |doi=10.1136/adc.69.3.392 |pmid=8215554 |pmc=1029532}}</ref>。
 
== ギャラリー ==
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== 脚注 ==
{{Reflist|2}}
==関連項目==
*[[丁子屋]] - 丁子に由来する[[屋号]]
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |last=ツァラ |first = フレッド |translator = 竹田円 |title = スパイスの歴史 |date = 2014 |publisher = 原書房 |isbn = |ref = harv }}
 
{{Commonscat|Syzygium aromaticum}}
{{Wikispecies|Syzygium aromaticum}}
* {{Cite book |和書 |last=ツァラ |first = フレッド |translator = 竹田円 |title = スパイスの歴史 |date = 2014 |publisher = 原書房 |isbn = |ref = harv }}
 
{{Herbs & spices|state=collapsed}}