「ケッペンの気候区分」の版間の差分

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気候型について、気候学の専門書により典拠情報源を提示しつつ加筆修正。樹林気候→樹木気候, 説明はB気候から→E気候から 詳細はノートページへ
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== 気候型の判定法 ==
気候型を区分するには各月毎の平均気温と降水量のデータがあればよい{{Sfn|山本・田中・太田|1973|p=227}}。気温を[[折れ線グラフ|折れ線]]、降水量を[[棒グラフ]]で示した[[雨温図]]や、縦軸に気温、横軸に降水量をとった座標上に各月のデータをプロットした[[ハイサーグラフ]]から読み取るのが便利である。
 
=== 気候帯 ===
==== 樹林気候と無樹林気候 ====
{| class="wikitable" style="float:right"
|rowspan="5" style="background-color:#66FF66"|樹気候||[[寒帯]](E)||rowspan="5"|無樹気候
|-
|style="background-color:#66FF66"|[[亜寒帯]](D)
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|}
 
5つの気候帯があり、低緯度から順に([[赤道]]から[[極地]]に向け)A - Eと符号が付けられている。<!--ここから出典あり-->なお、樹木が存在する地域の気候(A・C・D気候)は樹木気候、樹木が存在しない地域の気候(B気候・E気候)を無樹木気候という{{Sfn|柏木|2008|pp=22-23}}
 
==== 寒帯(E)の判定 ====
乾燥帯(B)と寒帯(E)は樹木が生育できず、無樹林気候にまとめられる。ただし、無樹林気候と判別される基準はそれぞれで異なる。それらを除いた熱帯(A)・温帯(C)・亜寒帯(D)は、森林が生育する樹林気候(湿潤気候)にまとめられる。
無樹木気候のうち、寒冷が原因である地域に相当し、最暖月平均気温が10 [[セルシウス度|℃]]未満の場合に寒帯となる{{Sfn|仁科|2015|p=78}}。降水量は考慮しない。
 
==== 乾燥帯(B)の判定 ====
無樹木気候のうち、乾燥が原因である地域に相当する{{Sfn|仁科|2015|p=78}}。[[寒帯]]ではない地域において{{Sfn|山本・田中・太田|1973|p=229}}、年平均降水量が乾燥限界に達しているかどうかで判定する{{Sfn|柏木|2008|p=23}}。乾燥限界は年降水量・年平均気温・降水型で決定される{{Sfn|仁科|2015|p=78}}。
まず、最暖月の平均気温が10[[セルシウス度|℃]]以上であること([[寒帯]]では無いこと)。次に、乾燥帯であるかどうかを判定する。
* 年中多雨の場合: <math>r = 20 (t + 7)</math>
 
* 冬に乾燥の場合: <math>r = 20 (t + 14)</math>
判定には、一般的な樹木が生育するのに必要な最低限の降水量があるかどうかを見る必要がある。この基準を'''乾燥限界'''といい、以下の計算式から求められる。計算式の違いは季節ごとの水分の蒸発量を考慮したもので、夏季は水分がすぐ蒸発するため乾燥限界を大きくして調整をはかっている。
* 夏に乾燥の場合: <math>r = 20 t</math>
 
判定にただし、<math>r</math>乾燥限界値 [mm]一般的な樹木が生育す<math>t</math>は年平均気温 [℃]であのに必要な最低限の。年降水量があるかどうかを見る必要がある。この基準を'''乾燥限界'''に達しない場合は乾燥帯いい、以下の計算式から求められ{{Sfn|柏木|2008|p=23}}。計算式の違いは季節ごとの水分の蒸発量を考慮したもので、夏季は水分がすぐ蒸発するため乾燥限界を大きくして調整をはかっている。
判定式 <math>r=20(t+x)</math>で得られる乾燥限界を年平均降水量が下回っていれば、乾燥帯である。
 
記号の意味は以下のとおり。
* <math>r</math> - 乾燥限界 / [[ミリメートル|mm]]
* <math>t</math> - 年間平均気温 / [[セルシウス度|℃]]
* <math>x</math> - 以下の降水パターンの条件により決まる項
{| class="wikitable"
|style="white-space:nowrap"|<math>x=14</math>||w(冬季乾燥/夏雨)||最多雨月が夏にあり、10×最少雨月降水量<最多雨月降水量
|-
|<math>x=0</math>||s(夏季乾燥/冬雨)||最多雨月が冬にあり、3×最少雨月降水量<最多雨月降水量かつ最少雨月降水量が30mm未満
|-
|<math>x=7</math>||style="white-space:nowrap"|f(年中湿潤/年平均降雨)||wでもsでもない
|}
 
==== 寒帯(E)の判定 ====
最暖月平均気温が10℃未満(樹木が育たない)なら寒帯となる。降水量は考慮しない。
 
==== 樹林気候(A/C/D)の区別 ====
乾燥帯でも寒帯でもない、つまり年平均降水量が乾燥限界を上回り最暖月平均気温が10℃以上ならば樹林気候(湿潤気候)である。
 
==== 樹気候(A/C/D)の区別 ====
最寒月・最暖月平均気温を基準にして以下のように区分する。
樹林気候については、主に温度の違いをもとに[[熱帯]](A)、[[温帯]](C)、[[亜寒帯]](D)に分類する{{Sfn|柏木|2008|p=23}}。
* '''A'''([[熱帯]]) - 最寒月が18℃以上([[ヤシ]]が生育できる)
* '''CA'''([[温]]) - 最寒月平均気温-3℃以上18℃未満かつ最暖月が10℃18 ℃以上{{Sfn|仁科|2015|p=78}}冬季の積雪は[[根雪ヤシ]]にならないが、ヤシが生育するほどもないきる
* '''DC'''([[亜寒]]) - 最寒月平均気温が-3℃ 以上18 ℃未満かつ最暖月平均気温が10℃以上{{Sfn|仁科|2015|p=78}}(冬季の積雪は[[根雪]]にならないが、樹木はヤシが生育できほどでもない
* '''D'''(亜寒帯) - 最寒月平均気温が-3 ℃未満、最暖月平均気温が10 ℃以上{{Sfn|仁科|2015|p=78}}(冬季の積雪は根雪になるが、樹木は生育できる)
 
==== 高山気候(H) ====
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=== 気候区 ===
気候帯はそれぞれいくつかの気候区にさらに分類される。気候区の判定基準は樹気候、寒帯、乾燥帯のそれぞれで異なるが樹気候の3つの気候帯ではまったく同じではないもののよく似ている。
==== 樹気候(A/C/D)の気候区 ====
A、C、Dの気候区は以下のようになるがA(熱帯)とC(温帯)・D(亜寒帯)では基準値が異なる。
 
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* {{Cite book|和書|author=[[山本正三]]・田中真吾・太田勇|year=1973|title=世界の自然環境|publisher=大明堂|ref={{SfnRef|山本・田中・太田|1973}}}}
* {{Cite book|和書|author=水越允治・山下脩二|year=1985|title=気候学入門|publisher=古今書院|isbn=4-7722-1088-1|ref={{SfnRef|水越・山下|1985}}}}
* {{Vite book|和書|author=柏木良明|year=2008|chapter=世界の気候区分|pages=22-31|editor=高橋日出男・[[小泉武栄]]|title=自然地理学概論|publisher=朝倉書店|isbn=978-4-254-16817-4|ref={{SfnRef|柏木|2008}}}}
* {{Cite book|和書|author=日下博幸|year=2013|title=学んでみると気候学はおもしろい|publisher=ベレ出版|isbn=978-4-86064-362-1|ref={{SfnRef|日下|2013}}}}
* {{Cite journal|和書|author=葛西光希・木村圭司|year=2013|title=1kmメッシュデータによる北海道の気候変動解析 ~ケッペンの気候区分を用いて~|url=https://doi.org/10.7886/hgs.88.37|format=PDF|journal=地理学論集|volume=88|issue=2|publisher=北海道地理学会|doi=10.7886/hgs.88.37|naid=130004991300|pages=37-48|ref={{SfnRef|葛西・木村|2013}}}}