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|ユニットコスト= 281万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]](MH-60S)
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'''SH-60B シーホーク'''({{Lang-en|SH-60B Seahawk}}{{Efn2|“Seahawk”はトウゾクカモメの意味。}})は、[[シコルスキー・エアクラフト]]社が製造し、[[アメリカ海軍]]で使用されている[[対潜哨戒機#哨戒ヘリコプター|哨戒ヘリコプター]]。まず[[艦載ヘリコプター]]([[LAPMSLAMPS]])として開発されたのち、[[航空母艦]]用の[[艦上機]]や[[救難機]]なども派生した。
 
== 概要 ==
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== 統合多用途艦載ヘリコプター(MH-60R)60R ストライクホーク) ==
[[画像:MH-60R Seahawk and Hellfire.jpg|thumb|250px|[[ヘルファイア (ミサイル)|AGM-114対艦/対戦車ミサイル]]を発射するMH-60R LAMPS Mk III]]
'''MH-60R シーホーク'''は、当初 SH-60R ストライクホークと呼ばれており、[[LAMPS]] Mk III Block IIで使用される[[ヘリコプター]]として開発された。SH-60Rは、LAMPSヘリコプターとCV-HELOを統合する機体であり、その多目的性を強調するため、2001年5月25日、機体の正式名は'''MH-60R'''に変更された{{Sfn|Wertheim|2013|pp=838-839}}。
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== アメリカ国外での運用 ==
=== 海上自衛隊 ===
[[画像:SH-60J landing March 2007.jpg|thumb|250px|[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]]への着艦を試みるSH-60J哨戒ヘリコプター]]
{{main|SH-60J (航空機)|SH-60K (航空機)}}
[[海上自衛隊]]は、[[三菱-シコルスキー S-61#HSS-2B|HSS-2B]]の後継としてSH-60を採用した。当初はSH-60Bの機体にHSS-2Bのシステムを組み合わせるだけの予定だったが、結局、[[技術研究本部]]が新規開発したシステムが搭載されることになり{{Sfn|助川|2012}}、1991年6月28日に部隊使用承認を受けた{{Sfn|森|2012}}。
[[シコルスキー S-61#三菱のライセンス生産|HSS-2B]]の後継として、SH-60Bを国内向けに'''SH-60J'''として開発。{{要出典|範囲=搭載[[電子機器]]を輸入できなかったため、|date=2019年11月}}[[防衛省|防衛庁]][[技術研究本部]]が開発した。[[1987年]](昭和62年)[[8月31日]]に日本で初飛行を行い、[[三菱重工業]]が[[ライセンス生産]]。[[1991年]]([[平成]]3年)[[8月]]から部隊に配備された。これらは、基本的にはSH-60B [[LAMPS]]ヘリをベースとしてはいるが、[[ソノブイ]]25本とともにHQS-103[[ディッピングソナー]](AQS-13Fに匹敵)を搭載しており、より対潜に特化した強力な戦闘能力を備えている。
 
機体は[[三菱重工業]]が[[ライセンス生産]]しており、シコルスキー社では'''S-70B-3'''と呼称される{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}。戦術情報処理表示装置(HCDS)やHPS-104レーダー、HLR-108逆探装置などは国産化されており、また[[ソノブイ]]とHQS-103ディッピングソナーを兼ね備えて、SH-60Bが担当する広域対潜戦と、SH-60Fが担当する近接対潜戦とを1機種で対応する機種といえる{{Sfn|松田|2012}}。
SH-60Jの後継として三菱重工業で'''SH-60K'''が開発された。[[2001年]](平成13年)初飛行。[[2005年]](平成17年)度より配備が開始された。
 
またその後、後継として'''SH-60K'''が開発された。SH-60Jの機体を全体に拡張して再設計するとともにシステムも刷新したもので、[[2001年]](平成13年)に初飛行し、[[2004年|平成16年]]度末に部隊使用承認を受け、[[2005年]](平成17年)度より配備が開始された{{sfn|技術研究本部|2012}}。
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=== オーストラリア海軍 ===
[[オーストラリア海軍]]は[[1984年]]に[[アデレード級フリゲート]]の搭載機配備とともに、RAWS({{Lang|en|role adaptable weapon system}})哨戒ヘリコプターとして'''S-70B-2'''名称で採用を決定た。、まず[[シコルスキー・エアクラフト|シコルスキー1984年]]社から10月6日に8機を輸入しもう1986年5月に更に8機分の機材を輸入して[[オーストラリア]]で組み立てらが追加さ、計16機を取得し{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}
 
機体構造はSH-60Bと同様だが、アビオニクスは大きく刷新されており、スーパーサーチャー・レーダーやCAE磁気探知機、CDCソノブイ処理装置、ロックウェル・コリンズ社製の戦術情報処理表示装置などを搭載している。兵装としてはMk.46 mod.5魚雷のほか、[[FN MAG]]機関銃も搭載できる{{Sfn|Saunders|2015|p=30}}。またその後、SEA-1405計画としてアップグレードが発動され、AES-210電波探知装置(ESM)、AN/AAQ-27 FLIR、AN/AAR-54ミサイル警報装置が搭載された{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}。
S-70B-2 シーホークは、オーストラリアが選定した[[電子機器]]を搭載し、小型[[レドーム]]に収容したMEL X-バンド[[レーダー]]を搭載した。機体右側には[[ホイスト]]を装備し、AN/SSQ-81 バーラ・ソノブイと[[磁気探知機|MADシステム]]を組み込んだCAE AN/AQS-504[[ソナー]]を備え、[[ペンギン (ミサイル)|ペンギン]]、[[シースクア (ミサイル)|シースクア]]といった[[対艦ミサイル]]の装備などが特徴である。ディッピングソナーを搭載しない点で、[[アメリカ海軍]]のSH-60Bに近い機体である。また、[[湾岸戦争]]時には、AN/AAQ-16 [[FLIR]]やAN/AAR-47システムを追加装備され、参加した。
 
[[20132014年]]からは後継となるMH-60Rの受領を開始し{{Sfn|Saunders|2015|p=30}}、[[2017年]]に全24機の受領を完了した。
 
=== ギリシャ海軍 ===
[[画像:Hellenic Navy S-70B-6 Aegean Hawk (1).JPG|thumb|250px|ギリシャ海軍のS-70B-6。ペンギン対艦ミサイルを装備している]]
[[ギリシャ海軍]]は、自国の[[イドラ級フリゲート]]に搭載するため、5機の'''S-70B-6 '''を採用し、非公式に「エージアンホーク'''を購入」と呼称した。1992年8月に5機が発注さはベンディックス製AN/ASQ-18(V)3ディッピングソナーを装備するという点ではSH-60F、後近い6機、AN/APS追加された。引き渡しは1994年より開始された{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-143(V)3レーダーを装備し、ペンギン対艦ミサイルの運用も可能となっている770}}{{Sfn|Saunders|2015|p=308}}
 
ソノブイやMADを省いてAN/ASQ-18(V)3ディッピングソナーを装備するという点ではSH-60Fに近いが、AN/APS-143(V)3レーダーとAN/ALR-66(V)2電波探知装置も装備している{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}。
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=== スペイン海軍 ===
[[スペイン海軍]]は、[[サンタ・マリア級フリゲート]]の配備とともに、12機の'''S-70B-1'''し、1988年12月にまず6機を受領した。これはまた[[ルバロ・デ・バサン級フカ海軍が保管してゲート]]の建造に伴たSH-60Bだがソノブイで1998年になく、SH-60Fと同様AN/AQS6機が追加された{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-13Fディッピングソナーを装備している770}}
 
スペインでは'''HS.23'''と称されており、SH-60Bの機体をベースにしつつ、ソノブイとともに、SH-60Fと同じAN/AQS-13Fディッピングソナーも装備している。またその後、ヘルファイアおよびペンギンの運用能力も追加されており、2003年より受領を開始した{{Sfn|Saunders|2015|p=771}}{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}。
 
なおスペイン海軍では、S-70B-1のほかに、米海軍を退役したSH-60F 2機を導入して、輸送用に使用している{{Sfn|Saunders|2015|p=771}}。
 
=== 中華民国(台湾)海軍 ===
[[中華民国海軍|台湾海軍]]の導入モデルは'''S-70C(M)-1/2 サンダーホーク'''と称されている{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}。1991年より引き渡しが開始され、21機が運用されている{{Sfn|Saunders|2015|p=813}}。
[[中華民国海軍|台湾海軍]]は、[[康定級フリゲート]]、[[成功級フリゲート]]や[[キッド級ミサイル駆逐艦|基隆級ミサイル駆逐艦]]において、'''S-70C(M)-1 サンダーホーク''' 10機を運用している。これはベンディックス製AN/ASQ-18(V)3[[ディッピングソナー]]を装備するという点ではSH-60Fに近いが、AN/APS-128Cレーダーを装備している。また[[電子戦支援]]装置は、2013年に導入した新造機では最新型を採用している。
 
これはSH-60Bをベースとしており、AN/APS-128CレーダーやALR-606(V)2逆探装置も搭載する一方で、AN/ASQ-18(V)3[[ディッピングソナー]]も装備している。[[康定級フリゲート]]、[[成功級フリゲート]]や[[キッド級ミサイル駆逐艦|基隆級ミサイル駆逐艦]]において艦載機として運用されている{{Sfn|Saunders|2015|p=813}}。
 
なお、S-70Cは民間向けモデルの名称であるが、機体の規格はS-70Bと同様であり、「[[二つの中国]]」に関係する政治的な配慮による名称とされている。増大する[[中華人民共和国]]の脅威に危機感を強めている[[中華民国]]国防部では、[[2015年]]12月に米国からの「O・H・ペリー級駆逐艦」追加配備決定に伴い、改良モデルとなる艦載対潜ヘリを購入するとしている。
 
=== トルコ海軍 ===
[[トルコ海軍]]は、8機の'''S-70B-28'''を運用している。これはSH-60Fに改良グラスコックピットた機体であており、ディッピングソナーとしてヘルラスDS-100長距離アクティブソナーの他、AN/APS-128143(V)レーダーを装備し、ヘルファイアミサイルの運用も可能{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-770}}
 
=== タイ海軍 ===
[[タイ王国海軍|タイ海軍]]は、1993年に'''S-70B-7'''を6機購入し、1997年より引き渡しを受けた。主に[[航空母艦|空母]]「[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]」の搭載機として、7機のS-70B-7を購入した。これはSH-60Bに準じる機体で、[[ナレースワン級フリゲート]]にも搭載運用されている。また、MH{{Sfn|Jackson|2004|pp=762-60Sも受領している770}}
 
APS-143(V)3レーダー、ALR-606(V)2逆探装置を備えている。ただしディッピングソナーやソノブイの装備、魚雷やASMの運用能力の付与は実現していない{{Sfn|Saunders|2015|p=832}}。
 
=== その他 ===
2010年代に入って、MH-60Rが[[デンマーク]]、[[ブラジル]]、[[イスラエル]]、[[サウジアラビア]]に採用されている。
 
== 派生型 ==
[[画像:USN SH-60F.JPG|thumb|250px|[[第7艦隊 (アメリカ軍)|第7艦隊]]司令官専用SH-60F]]
; SH-60B
: [[アメリカ海軍]]採用型。
; SH-60F
: アメリカ海軍の[[航空母艦]]搭載型。
; SH-60J/K
: [[日本]]向けと自主開発。
{{main|SH-60J (航空機)|SH-60K (航空機)}}
; MH-60S
: HH-60Hの[[捜索救難]]・CH-46の[[輸送]]、MH-53の機雷掃海任務を継承する新機種。
; MH-60R
: SH-60BとSH-60Fの能力を統合したアメリカ海軍の後継機。
 
== 仕様 (SH-60B) ==
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=== 参考文献 ===
 
=== 文献 ===
* A1-H60CA-NFM-000 [[NATOPS]] Flight Manual Navy Model H-60F/H Aircraft
* Donald, David ed. "Sikorsky HH/MH/SH-60 Seahawk", ''Warplanes of the Fleet''. AIRtime, 2004. ISBN 1-880588-81-1.
* Leoni, Ray D. ''Black Hawk, The Story of a World Class Helicopter'', American Institute of Aeronautics and Astronautics, 2007. ISBN 978-1-56347-918-2.
* Tomajczyk, Stephen F. ''Black Hawk'', MBI, 2003. ISBN 0-7603-1591-4.
* {{Cite journal|和書|last=石川|first=潤一|year=2019|month=10|title=米護衛艦搭載機の歩み|journal=[[世界の艦船]]|issue=910|pages=134-135|publisher=[[海人社]]|id={{NCID|AN00026307}}|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|authorlink=江畑謙介|last=江畑|first=謙介|title=艦載ヘリのすべて 変貌する現代の海洋戦|publisher=[[原書房]]|year=1988|isbn=978-4562019748|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|editor=技術研究本部|year=2012|chapter=技術開発官(航空機担当)|title=技術研究本部60年史|ncid=BB10936527|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|last=助川|first=士朗|year=2012|chapter=SHXについて|title=第3巻 回転翼機|series=海上自衛隊 苦心の足跡|publisher=[[水交会]]|pages=254-264|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|last=松田|first=導|year=2012|chapter=SHX研究開発の思い出|title=第3巻 回転翼機|series=海上自衛隊 苦心の足跡|publisher=水交会|pages=279-283|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|last=森|first=哲郎|year=2012|chapter=SH-60Jの開発・試験について|title=第3巻 回転翼機|series=海上自衛隊 苦心の足跡|publisher=水交会|pages=294-299|ref=harv}}
* Donald,{{Cite book|last=Donald|first=David ed. "|title=Sikorsky HH/MH/SH-60 Seahawk", ''|series=Warplanes of the Fleet''. |publisher=AIRtime, |year=2004. ISBN |isbn=1-880588-81-1.|ref=harv}}
* {{Cite report|url=https://www.forecastinternational.com/archive/disp_pdf.cfm?DACH_RECNO=587|title=LAMPS Mk III - Forecast International|author=Forecast International|year=2004|filetype=PDF|ref=harv}}
* {{Cite book|authorlink=:en:Norman Friedman|first=Norman|last=Friedman|title= The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998|year=1997|publisher=[[:en:United States Naval Institute|Naval Institute Press]]|isbn=978-1557502681|ref=harv}}
* Leoni,{{Cite book|first=Ray D. ''|last=Leoni|title=Black Hawk, The Story of a World Class Helicopter'', |publisher=American Institute of Aeronautics and Astronautics, |year=2007. ISBN |isbn=978-1-56347-918-2.|ref=harv}}
* {{Cite book|first=Mark|last=Lambert|year=1991|title=Jane's All the World's Aircraft 1991-92|publisher=[[:en:Jane's Information Group|Jane's Information Group]]|isbn=978-0710609656|ref=harv}}
* {{Cite book|first=Paul|last=Jackson|year=2004|title=Jane's All the World's Aircraft 2004-2005|publisher=Jane's Information Group|isbn=978-0710626141|ref=harv}}
* {{Cite book|first=Stanley S.|last=McGowen|year=2005|title=Helicopters: An Illustrated History of Their Impact|publisher=ABC-CLIO |isbn=978-1851094684|ref=harv}}
* {{Cite book|first=Stephen|last=Saunders|year= 2015|title=[[ジェーン海軍年鑑|Jane's Fighting Ships 2015-2016]]|publisher=[[:en:Jane's Information Group|Janes Information Group]]|isbn=978-0710631435|ref=harv}}
* Tomajczyk,{{Cite book|last=Tomajczyk|first=Stephen F. ''|title=Black Hawk'', |publisher=MBI, |year=2003. ISBN |isbn=0-7603-1591-4.|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==