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{{生物分類表
| 名称 = シャープゲンゴロウモドキ
| 画像 = [[File:Dytiscus sharpi in Kamogawa Seaworld 2017-07-24 No.1.jpg|
| 画像キャプション = [[鴨川シーワールド]]([[千葉県]][[鴨川市]])で生体展示されているシャープゲンゴロウモドキ成虫
| status =
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}}
'''シャープゲンゴロウモドキ'''(''Dytiscus sharpi''、シャープ擬源五郎・シャープ擬竜蝨)は{{Sfn|今森|2000|p=253}}、[[甲虫類|コウチュウ目]][[オサムシ亜目]][[ゲンゴロウ類|ゲンゴロウ科]][[ゲンゴロウ亜科]][[ゲンゴロウモドキ属]]
本種は[[
==
本種を含むゲンゴロウモドキ属は和名に反しれっきとしたゲンゴロウ科に属する昆虫ではあるが、[[ゲンゴロウ]](ナミゲンゴロウ、[[ゲンゴロウ属]])に命名上先を越されたため「ゲンゴロウに似ているがゲンゴロウではない」という意味で「ゲンゴロウモドキ」という和名が与えられた{{Sfn|佐藤|1993|p=86}}。また和名の「シャープ」および学名の「''shapi''」は[[イギリス]]の昆虫学者[[デイヴィッド・シャープ (昆虫学者)|デイヴィッド・シャープ]](''[[:w:David Sharp (entomologist)|''Sharp'']]'')に由来する(詳細な発見経緯は[[#分布・分類]]の節を参照)<ref name="生物多様性コーナー">{{Cite web|url=http://www.kamogawa-seaworld.jp/aquarium/aquarium_info/biodiversity02.html|title=「生物多様性コーナー」常設展示 水族館展示|accessdate=2019-12-01|publisher=[[鴨川シーワールド]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191201134351/http://www.kamogawa-seaworld.jp/aquarium/aquarium_info/biodiversity02.html|archivedate=2019-12-01}}</ref>。
== 分布・分類 ==
本種が属する[[ゲンゴロウモドキ属]]は[[ユーラシア大陸]]([[旧北区]]) - [[北アメリカ]]([[新北区]])にかけての[[全北区]]に広く分布する北方系の種のグループである{{Sfn|川上|2010|p=85}}。中でもシャープゲンゴロウモドキは[[アジア]]では最も南に分布する種で{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}、ゲンゴロウモドキの仲間が寒冷期([[氷河期]])に本州に進出した種の生き残り([[遺存種]])と考えられる{{Sfn|市川|2018|p=70}}。本来は日本・[[本州]]の十数都府県([[日本海側]]および[[関東地方]] - [[近畿地方]])に分布していたが多くの都府県で絶滅した{{Sfn|環境省|2014}}。
本種は[[環境省]]により ''Dytiscus sharpi'' 1種として記載されている一方{{Sfn|環境省|2014}}、かつては後述する記載の経緯より東日本・西日本それぞれの個体群が'''アズマゲンゴロウモドキ'''・'''コゲンゴロウモドキ'''の2種に分類されていた{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。
しかし両亜種間とも生体・形態面に差異は認められず{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}、特にオス個体は外見上で判別することは困難である{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}。そのため2009年時点で両種は同一種とみなされているが、メスの上翅の縦溝の長さに差異があるため2種をそれぞれ亜種として認める見解も存在し、分類学的な位置づけは確定していない{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。都築裕一(2003)は「本種は2亜種とも日本固有種かつゲンゴロウモドキ属の中でも桁外れに希少であるため『幻の水生昆虫』と呼ばれ、[[タガメ]]ですら比較にならないほどの珍種だ」と述べているほか{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}、森文俊(2014)は「2個体群両方の実物を見れば分類学的な知見以上の違いを感じることは間違いない」と述べている{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=118}}。
記録された分布からはアズマゲンゴロウモドキ・コゲンゴロウモドキには地理的な隔離が認められ、以下に記載する都府県のほか[[群馬県]]・[[長野県]]・[[奈良県]]でも遺跡出土物に本種が含まれていたため、それら各県にも分布していたことが確認されている{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}。
=== アズマゲンゴロウモドキ ===
本種の初記録は''{{AU|Wehncke}}'' が''{{AU|Thorey}}'' から受け取った日本産(おそらく[[関東地方]]周辺産)の[[タイプ標本]](1ペア)に基づき1875年に新種記載したもので、シャープ(''Sharp'')は1884年に''[[:w:George Lewis (coleopterist)|Lewis]]'' が[[東京都]][[上野]]で採集した個体の標本(1880年)を基に本種を再記載した{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。この関東地方に生息する個体群は'''アズマゲンゴロウモドキ'''(''D. sharpi sharp'')として後述の西日本産個体群(コゲンゴロウモドキ)とは別種として区別、もしくは亜種として分類する見解が存在し{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}、2個体群を同一種として扱う場合でも本個体群を「関東産」{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=116}}「関東型」などと呼称して区別する場合がある{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。
本個体群のメス成虫前翅(上翅)には縦溝がほとんどないか、あっても薄い{{Refnest|group="注"|アズマゲンゴロウモドキの上翅縦溝はあってもオスの上翅の点刻列とほとんど変わらず{{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}、都築(2003)は「せいぜい上翅の中央部まで達する程度で、野外で確認したアズマゲンゴロウモドキは溝のない無溝型のほうが圧倒的に多い」と述べている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}。}}点でコゲンゴロウモドキと区別される{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=118}}。[[第二次世界大戦]]前は[[東京都]]・[[神奈川県]]{{Refnest|group="注"|作家・[[養老孟司]]は「小学生のころは自分が住んでいた[[鎌倉市]]でたくさん見たことがある」と述べている<ref>『読売新聞』2010年10月8日中部朝刊第二特集面19頁「11日から名古屋でCOP10 生物多様性を考える・特集 その2=中部」([[読売新聞中部支社]])</ref>。}}・[[千葉県]]([[南関東]])に生息しており東京近郊でも記録されていたが、その時点でも生息地が限定され希少種とみなされていた{{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}。1937年(千葉県[[山武郡]][[成東町]]、現:[[山武市]])を最後に記録が途絶えたため{{Sfn|千葉県|2011|p=275}}、戦後は絶滅したと考えられ、[[1984年]]11月中旬に{{Sfn|佐藤|1993|p=84}}千葉県[[富津市]]で再発見されたが、2019年現在もなお危機的な状況にある<ref name="鴨川SW">{{Cite web|url=http://www.kamogawa-seaworld.jp/research/activity/pro_s.html|title=シャープゲンゴロウモドキの幼虫を県内の保全地に放流 絶滅危惧種の保全活動へ協力|accessdate=2019-12-01|publisher=鴨川シーワールド|date=2019-04-14|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191201134410/http://www.kamogawa-seaworld.jp/research/activity/pro_s.html|archivedate=2019-12-01}}</ref>。
=== コゲンゴロウモドキ
東日本(関東地方)産の個体群が記録されてから遅れて1889年には''[[:w:Maurice Auguste Régimbart|Regimbart]]'' が[[滋賀県]][[長浜市]]産個体(採集者:''{{AU|Leech}}'')の標本に基づき''D. validus'' を新種として記載し、それら西日本産の個体群は'''コゲンゴロウモドキ'''として前述の東日本産個体群(アズマゲンゴロウモドキ)とは別種もしくは亜種として分類される場合がある{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。また同一種として扱う場合でも本個体群を「北陸産」{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=118}}「関西型」などと呼称して区別する場合がある{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。
本個体群はアズマゲンゴロウモドキと異なりメスの上翅に上翅中央にまで達する深く長い縦溝がある{{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}。戦前は[[中部地方]] - [[西日本]]([[新潟県]]{{Refnest|group="注"|本州・佐渡島で記録があるが、新潟県が2001年3月に発行した『レッドデータブックにいがた』では絶滅危惧I類に選定されている{{Sfn|新潟県|2001|p=142}}。新潟県産の個体群は森正人・北山昭(2002){{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}や都築(2003){{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}、千葉県(2009){{Sfn|千葉県|2009|p=9}}・森文俊(2014)では「コゲンゴロウモドキ」(西日本産)とされているが{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=118}}、新潟県(2001)では ''D. sharpi sharp'' (=アズマゲンゴロウモドキ)として記載されている{{Sfn|新潟県|2001|p=142}}。}}・富山県{{Refnest|group="注"|県レッドデータブック(2012)では絶滅危惧I類に選定されている{{Sfn|富山県|2012|p=128}}。富山県水生昆虫研究会が1995年に生息実態を調査したところ県西部(石川県との県境付近)の[[氷見市]]
== 特徴 ==
=== 成虫 ===
成虫は体長28 - 33ミリメートル(mm){{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}、もしくは28 - 32ミリメートル{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}。体重は約1.7グラム(g)で{{Sfn|千葉県|2009|p=5}}、オスの方がメスより体長・体幅が若干大きいほか{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=176}}、雌雄で体型が若干異なる(オスは長卵型・メスは卵型){{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}。ゲンゴロウ科の代表種である[[ゲンゴロウ]](ナミゲンゴロウ)よりやや小型である。背面はわずかに緑色を帯びた黒褐色だが[[頭楯]]・上唇・[[触角]]・口枝・[[前胸背板]]・上[[翅]]の両側側縁部は黄色 - 淡い黄褐色である{{Sfn|森|北山|2002|pp=159-160}}。
ゲンゴロウモドキ属共通の特徴として
腹面は光沢の強い暗赤褐色
脚は黄褐色ないし赤褐色で、中・後脚の[[関節肢|脛節・跗節]]には雌雄ともに長い遊泳毛を持つほか、
=== 幼虫 ===
孵化直後の1齢[[幼虫]]は体長約16ミリメートルで白い体色だが、孵化から約半日で茶褐色になる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=177}}。3齢幼虫はゲンゴロウモドキ・エゾゲンゴロウモドキよりやや小型となる体長43.4 - 55.4ミリメートルで、背面は灰褐色もしくは黄褐色から暗褐色だがゲンゴロウモドキに比べてより淡色である{{Sfn|上手|2008|p=139}}。側面・腹面は白色もしくは灰白色だが頭部・前胸、腹部第7・8節の硬化した部分は黄褐色 - 暗褐色を帯びる{{Sfn|上手|2008|p=139}}。脚は黄褐色・頭部は亜方形で大腮の湾曲はゲンゴロウモドキ・エゾゲンゴロウモドキより弱い{{Sfn|上手|2008|p=139}}。
単眼は小さく7節の触角(第2節が最長で第7節が最短)を持ち、子顎の外葉は細長く上端に小突起・7節の小顎髭(第3節が最長で第2・4・6節がそれぞれ最短)を持つ{{Sfn|上手|2008|p=139}}。下唇側面には4節の下唇髭(第2・4節が最長、第1・3節が最短)を含め多くの短毛を持つ一方で唇舌を欠き、前胸腹板は[[腎臓]]形で幅は長さの2.32倍になり、前方の縁は明瞭に切れ込む{{Sfn|上手|2008|p=139}}。跗節前方腹面縁に3 - 7本の二次毛を持つほか{{Sfn|上手|2008|p=139}}、ゲンゴロウなど[[ゲンゴロウ属]]の幼虫とは異なり本種の幼虫には尾端に2本の突起があるが{{Sfn|市川|2018|p=70}}、尾突起は腹部第8節の半分程度と短い{{Sfn|上手|2008|p=139}}。
各脚の腿節・脛節・跗節、腹部第7・8節、尾突起に遊泳毛を持つ{{Sfn|上手|2008|p=139}}。
== 生態 ==
=== 生息地 ===
同属のゲンゴロウモドキ・エゾゲンゴロウモドキが池沼などある程度水深のある水域に生息する一方、本種は湧き水の流れ込む水深の浅い{{Refnest|group="注"|野生下における生息環境(放棄水田・休耕田)は水深10 - 20センチメートル程度しかない{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=172}}。幼虫飼育時は餌の捕獲・脱皮などがしやすいように「1齢幼虫は1 - 2センチメートル、2齢では2 - 4センチメートル、3齢では3 - 10センチメートル程度」が推奨される{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}。}}湿地・放棄水田・休耕田などに生息している{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。
本種は[[水生植物]]・餌となる小動物が豊富で適度な日当たり・柔らかい土の岸辺・水温の安定した[[湧水]]がある一時的な止水域を好み{{Refnest|group="注"|一時的な止水域は捕食者となる魚類の生息が困難であるため{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。}}、丘陵地の[[谷戸|谷戸田]](谷津田)など湿田(水はけが悪く冬季も水が涸れない水田)を好む{{Sfn|川上|2010|p=85}}。水質面では「やや酸性で透明度が高く、農薬など化学物質で汚染されていない清澄な水」が好条件である{{Refnest|group="注"|都築(2003)は「農薬・化学薬品などの化学的水質汚染には極めて弱い一方で有機的な水質汚染にはかなり強い」と述べている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=172}}。}}{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。また本種(ゲンゴロウ類)を含め水生甲虫類は蛹化する場所として土の陸上部分が必要で、コンクリート護岸・ゴムシート張りのため池など(土の岸がない水辺)では仮に汚染されていない水・豊富な餌があっても繁殖できない{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=142}}。
以上のような条件を満たす水域は現代では希少で、丘陵地の水深が浅い湿地などに細々と生息しているが、そのような環境は雨が少なかったり湧水が断たれたりすると消滅しやすい{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=171}}。また本種の個体群はいずれも局所的・小規模であるため、生息地の豪雨による決壊・夏季の異常高気温による水温上昇など自然的要因により消失する危険性もあるほか{{Sfn|千葉県|2009|pp=10-11}}、本種の生息に適した谷戸田を有していた丘陵地自体が開発されて本種の生息地が破壊される場合もある{{Sfn|川上|2010|p=85}}。それらのような環境の変化が起きると本種やその餌となる水生生物が生息できる環境ではなくなるため、都築(2003)は「このようにわずかな環境変化の影響を大きく受けやすいことが本種の個体数増加を妨げているのだろう」と考察している{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=171}}。また過疎化・高齢化や[[減反政策]]により[[耕作放棄]]された休耕田・放棄水田は水はけが悪い場所を除き短期間で乾燥してしまうため、水辺環境の減少につながる{{Refnest|group="注"|丘陵地に残る谷戸田は圃場整備が難しいため本種の良好な生息地が残っていたが、そのような場所も放置が続けばやがて乾燥化が進み、本種の生息には適さなくなる{{Sfn|川上|2010|p=85}}。}}{{Sfn|西原|2008|p=15}}。
===
本種は成虫・幼虫とも呼吸のため水面に浮上するが、基本的に[[夜行性]]で{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}、通常は水草の間・根際に身を潜めている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。本種は水生昆虫であるがゲンゴロウほど活発に泳ぎ回らず{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=172}}、水に潜ることは苦手である<ref name="読売新聞2018-08-28"/>。一方で湿地などを歩行することは得意で、自然界では水草を利用して水底まで移動する姿も観察されている<ref name="読売新聞2018-08-28"/>。また驚くと泥・水草の茂み近くに潜り込むため、自然界で観察することは非常に困難である{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。千葉県における再発見直後の1984年11月下旬に生息状況を調査した佐藤正孝は「再発見直後は『普段は水草の根などにしがみつき、冬季に交尾・産卵する』ということが知られておらず、それまでの記録から生息環境を想定しつつ歩き回ってもなかなか採集できなかったが、水たまりに何となく網を入れたら偶然採集できた」と述べているほか{{Sfn|佐藤|1993|p=84}}、都築(2003)は「本種の自然下における生態などは不明点が多く、子供向けの昆虫図鑑では紹介されていない場合も多い。特にアズマゲンゴロウモドキはコゲンゴロウモドキに比べて生息地が限定されており個体数も圧倒的に少ないため、生活様式を熟知していないと採集は不可能に近く『何日も採集に出かけたが1頭も見つけられなかった』という話もよく耳にするほどだ」と述べているv。
また成虫は飛翔して移動することができるが、陸上における幼虫の移動能力は極めて低く、幼虫は[[コンクリート]]などの護岸上を移動することはできない{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。そのため止水域間の移動は成虫の飛翔に限られる{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。飛翔距離については一部個体が夏 - 秋にかけて数百メートルから3 - 4キロメートル(km)移動した記録があるが{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}、移動する個体の数は限定的で{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}、良好な生息環境の場合はほとんどの個体は生息地を移動しない{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。そのため多くの生息地が消失し、残されている生息地も互いに距離が離れている現状からは「生息地間の遺伝的交流も少ない」と考えられており、遺伝的多様性の劣化・局所個体群の維持が困難になることが懸念されている{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。
成虫・幼虫とも高水温への耐性が弱く、水温30℃ほどで死亡する{{Refnest|group="注"|都築裕一は自身らによる実験結果から「成虫は水温35℃までは生存可能だが、35℃を超えると死滅する」と述べている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=173}}。}}{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。また本種は水温が低い時期に幼虫期を過ごすため、特に室内で飼育する場合は{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}暖房器具・直射日光の影響などによる水温上昇に注意し25℃以下の水温を維持する必要がある{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=179}}。
=== 摂食行動 ===
野外個体の成虫の食性観察は困難だが{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}、肉食性でオタマジャクシ・小魚などを捕食したり死んだ動物の肉を漁ったりすることが確認されている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。成虫はゲンゴロウと同様に強力な顎で肉質を齧り取って食べるが、本種はゲンゴロウより脚が長く{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}、水生昆虫・オタマジャクシ・小魚などを捕獲する行為はゲンゴロウより器用である{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=171-172}}。本種は獲物を捕食する際には前脚・中脚で餌を掴み、後脚は遊泳用に用いる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。
幼虫の摂餌形態は顎の先から消化液を注入して液化した餌を吸汁する[[体外消化]]で、成虫は餌を顎で齧る[[体内消化]]である{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
== 生活史 ==
=== 繁殖 ===
水田で産卵する大型ゲンゴロウ類を含め、水生昆虫の多くは田植え後に産卵するが、本種はそれらとは違い冬に繁殖する独特の生態を持つ{{Sfn|川上|2010|p=84}}。その理由は「北方系の種である本種やその幼虫の餌となっている[[ニホンアカガエル]]・[[ヤマアカガエル]]のオタマジャクシは高水温(30℃以上)に弱いため(夏の暑さを避けるため)」と考えられているが<ref group="注" name="カエル"/>、田植え前に繁殖できる条件を満たす水田は水はけが悪く冬季も水が涸れない「湿田」で、近年は湿田が減少していることが本種の減少に大きく影響している{{Sfn|川上|2010|p=85}}。
成虫は自然下で12月 - 翌年3月ごろにかけて[[交尾]]するが、特に産卵直前の3月に最も活発に交尾する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=175}}。飼育下では野生個体と同様に3月 - 4月にかけて産卵するが、繁殖期はゲンゴロウと比較すると非常に早く、かつ期間も短い{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=176}}。
生殖休眠解除(=生殖活動開始){{Refnest|group="注"|「生殖休眠」とは成虫が成熟前の状態のまま成長が停滞した状態になることで、生殖休眠解除=生殖活動開始を意味する<ref>{{Cite web|url=http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/tombo/glossary/|title=神戸の自然シリーズ 神戸のトンボ > 専門的な用語の解説|accessdate=2019-12-02|publisher=[[神戸市]]|website=神戸教育情報ネットワーク(KEI-Net)|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191202133026/http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/tombo/glossary/|archivedate=2019-12-02}}</ref>。}}は日照時間の長さに関係なく温度により2段階で解除される可能性が示唆されている{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。
交尾時はオスがメスの背後から肩に乗り前脚・中脚の吸盤でメスを捕らえ、白色半透明な交尾器を伸ばして交尾する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=175}}。交尾行動は2 - 4時間におよぶが、実際に交尾している時間は3, 4分程度と考えられている{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
オスは交尾器を外す際{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=175}}、メスの尾端に分泌物により白色の交尾栓を形成する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。交尾栓は白色の柔らかいゴム状で{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=175}}、今後メスが他のオスと交尾することを阻害する目的で形成するが{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=175}}、メスは交尾栓を自ら後脚で外すため、複数回の交尾が可能となる{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。メスは交尾後、数か月にわたり体内の貯精嚢(受精嚢)内で精子の活性を保つことができるため、都築裕一らが繁殖に取り組んだ際には1月末までペアリングを続けてから個別飼育に切り替えたメスから3月以降に100個以上の有精卵を得ることに成功している{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=176}}。
交尾後、メス成虫は柔らかい水生植物の茎に産卵する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}、屋外飼育下における産卵活動は1月下旬ごろから開始し、3月ごろ - 4月にかけてピークを迎え5月中旬ごろに終了する{{Sfn|森|渡部|関山|内山|2014|p=117}}。メスは繁殖期間中に毎日か数日おきに1個 - 数個の卵を産み{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=177}}、1シーズンに合計100個程度産卵する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
産卵管は刃物のような形状で{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}、メスは産卵管を植物の茎に突き刺して茎の内部に1卵ずつ産卵する{{Refnest|group="注"|同じく水草の茎に産卵するゲンゴロウが産卵場所にあらかじめ口で噛み傷をつけた上で産卵管を挿入して産卵するのに対し、本種は水草の茎に直接産卵管を突き刺して産卵する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=175-176}}。}}{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。産卵植物は[[セリ]]・[[ガマ]]・[[ヘラオモダカ]]・ミクリ・カンガレイなど12種程度が知られており{{Sfn|千葉県|2009|pp=7-8}}、生息する水域にいずれかの種が生育していれば種は問わず産卵するが、植物の数が少ないと繁殖の制限要因になる{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
卵は薄黄色・約4.1ミリメートルの棒状で、水中にて水草の茎に埋まった状態で孵化を待ち、産卵から約10日 - 14日後に孵化する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=176-177}}。卵の発育ゼロ点は約4.2℃で孵化までの[[栽培#有効積算温度|有効積算温度]]は約143度日とされる{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。なお本種は高水温に弱いが、受精卵 - 1齢幼虫初期は特に温度感受性が高く、15℃を超える水温では卵発生・幼虫の発育に悪影響が発生する{{Sfn|千葉県|2009|p=8}}。
====
幼虫は2回の脱皮で3齢幼虫(終齢幼虫)に変態し、体長は1齢幼虫で18 - 25ミリメートル、2齢幼虫は34 - 41ミリメートル、3齢幼虫は52 - 58ミリメートルである{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}。1・2齢[[幼虫]]はそれぞれ約1週間、3齢幼虫は約2週間で成長し、孵化後約1か月ほどで[[蛹化]]する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
幼虫は非常に獰猛で、成虫とは異なり[[水生カメムシ類]](タガメなど)と同様に体外消化を行い、小動物の肉質を溶かして吸い取るように食べる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。幼虫は孵化して約半日後から動くものになんでも反応して餌を捕食し{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=177}}、1・2齢幼虫は主に[[ミズムシ (甲殻類)|ミズムシ]]([[甲殻類]]・[[ワラジムシ目]])を捕食し、成長に伴ってミズムシ以外にも[[カゲロウ|フタバカゲロウ]]の幼虫・[[アカガエル属|アカガエル]]の幼生([[オタマジャクシ]]){{Refnest|group="注"|name="カエル"|本種と同じ北方系の種である[[ニホンアカガエル]]・[[ヤマアカガエル]]はまだ水面に氷が張るような寒い時期に産卵し、田植え前の水田でオタマジャクシが生育する一方、ゲンゴロウなど南方系の種である[[ヌマガエル]]・[[トノサマガエル]]・[[ダルマガエル]]は田植え後の水田で産卵する{{Sfn|川上|2010|pp=84-85}}。オタマジャクシの時期は前者が本種の幼虫期と、後者がほかのゲンゴロウ類の幼虫期とそれぞれ一致するため、本種幼虫にとっては前者のオタマジャクシの方が餌として都合が良い{{Sfn|川上|2010|pp=84-85}}。}}なども捕食するようになる{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。また幼虫同士で共食いを行う場合もある{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}。
なお雑食性であるオタマジャクシはまだ小さい1齢幼虫・脱皮前後の無防備な幼虫を集団で襲って逆に捕食するケースがあるほか、都築(2003)は自身の観察結果から「捕食中の幼虫は防御体制がしっかり取れないため外部からの衝撃に極めて弱く、オタマジャクシを捕食していた3齢幼虫がほかのオタマジャクシに体当たりされて死亡するケースがあった。1週間分の生き餌をまとめて与えたり、幼虫の数倍もある大きな餌を与えることは避け、餌は毎日様子を見ながら必要な分だけ与えることが望ましい」と述べている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=180}}。3齢幼虫は1日に約20匹のオタマジャクシを捕食するほどの大食漢で、成虫の大きさは幼虫期の生育環境で決まる{{Refnest|group="注"|幼虫期に餌が不足すると羽化までの期間が長くなり、小型の成虫になる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=180}}。}}{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=179-180}}。
幼虫は脱皮の半日 - 1日前には食欲がなくなり水草などに掴まりじっとするようになり、脱皮直前には適当な足場を探して体を固定する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=177}}。足場がしっかりしていないと途中で抜けられなくなり死亡してしまうが、水深が浅ければ特に足場がなくてもうまく脱皮できる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=177-178}}。脱皮直後の幼虫は体が柔らかいため自然界ではほかの生物たちに捕食されやすいが、脱皮後数時間もすると再び強い食欲で摂食活動を再開する{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}。また幼虫は成虫よりはるかに水質悪化に敏感である{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。
十分な体長まで成長した3齢幼虫は{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}孵化後約1か月ほど経過すると餌を摂らなくなり、その1 - 3日後に水中から地上へ上陸して{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}水際の土に穴を掘り、土中に形成した[[蛹室]]内で前蛹を経て蛹になる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。蛹室は最大幅約29 - 35ミリメートルの球形に近い楕円形で、地表から約32 - 45ミリメートル付近に形成し{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=180}}、蛹室形成 - 蛹化の期間は約5 - 7日である{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
上陸から約20日後{{Sfn|市川|2018|p=70}}、蛹は約3週間の蛹期を経て[[羽化]]するが、自然下における羽化時期は5 - 7月である{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。野生下では孵化 - 上陸までの日数は約35日ほどだが、室温で飼育した場合は約25日ほどで上陸する{{Sfn|市川|2018|p=70}}。体が硬くなるまでは数日間にわたり蛹室内で過ごすが{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}、羽化から2 - 3日後の夕方 - 夜に水中へ移動して活動を開始する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
===
北方系の昆虫である本種は比較的水温の低い時期に幼虫時代を過ごし、初夏までには新成虫となり餌を食べつつ越冬に備える{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}。夏には活動が一時不活性化し水底の泥中に潜ったりするが、秋になると再び活発に活動するようになり、水中にて成虫で[[越冬]]する{{Refnest|group="注"|越冬の状況については「水中の水草が([[光合成]]により)排出する酸素が減少する冬季は水底に潜り冬眠する」と解説している文献{{Sfn|今森|2000|p=253}}、「真冬でも交尾・捕食行動を行う」{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=170}}「明確な冬眠状態にはならない」とする文献{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=174}}「水中で越冬し翌春に繁殖する」とする文献が存在する{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。}}{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。本種は北方系の種であるため寒さには極めて強く、水中で越冬して寒さが厳しくなると水草・泥の中に潜り込んでいることが多いが、真冬でも活動が鈍る程度で明確な冬眠状態にはならない{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=174}}。
本種は成虫寿命は野外では3年まで(夏季に温度が高いとより短く1年ほど)、飼育下では3年以上の記録がある{{Sfn|千葉県|2009|p=7}}。
===
自然下における成虫の天敵は主に[[サギ]]などの鳥類で{{Sfn|西原|2008|p=12}}、[[新潟県]][[佐渡島]]では1937年に「[[トキ]]の[[ペリット]]からシャープゲンゴロウモドキの成虫が検出された」という記録がある{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。また侵略的外来種である[[アメリカザリガニ]]・[[オオクチバス]]([[ブラックバス]])による捕食圧も本種の存続に悪影響を及ぼしており、特にアメリカザリガニは直接の捕食のみならず産卵場所となる水草・餌生物を消失させるなど生息域に対し間接的な影響を与える{{Refnest|group="注"|西原昇吾(2012)では「2006年 - 2008年に本種の生息地へアメリカザリガニが侵入し、2009年には本種の生息が確認されなくなった」という事例が報告されている{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。}}{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}。
潜在的に捕食者として推測される生物としては魚類・[[イノシシ]]など哺乳類(本種が休眠する夏の底泥を探るため)が挙げられる{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。幼虫は[[イモリ]]に捕食された記録があるほか、他の水生昆虫・[[スジブトハシリグモ]]などが潜在的捕食者として推測されている{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。また直接的に本種を捕食するわけではないが、千葉県では[[ニホンジカ]]の採食圧により産卵基質となる植物が食害され、繁殖に悪影響を及ぼされている可能性が指摘されている{{Sfn|千葉県|2009|p=11}}。
このほか成虫の体表にミズカビ・カワコザラガイなどが寄生する場合があるため、ミズカビ除去などの目的で{{Sfn|西原|2008|p=12}}ゲンゴロウなどほかのゲンゴロウ属と同様に抽水植物・水面から出た流木などに掴まり甲羅干しをする{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=173}}。
== 保全状況 ==
* {{絶滅危惧IA類}}{{Sfn|環境省|2014}}
* [[希少野生動植物種|国内希少野生動植物種]]([[絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律|種の保存法]])
本種は大型[[肉食性]]水生甲虫類の一種として[[生態系]]で重要な位置を占め、生息地である[[里山]]では水辺環境の[[指標種]]とされているが{{Sfn|千葉県|2009|p=2}}、従来の記録地がほとんど都市周辺であり、かつ残存していた標本もわずかで生態も不明点が多かったため、1960年代以降は<ref group="注" name="最終記録"/>長年記録がなく絶滅したと考えられていた{{Sfn|佐藤|1993|pp=84-86}}。
その後、千葉県における再発見がきっかけで他県でも記録されたが、同時に生息地は開発の波が迫った丘陵地であることも判明した{{Sfn|佐藤|1993|p=86}}。本種は水生昆虫の中でも特に減少傾向が著しく{{Sfn|環境省|2014}}、日本全国の個体数は2017年(平成29年)2月時点で2,000頭以下と推測されており<ref>{{Cite news|title=種の保存法違反:絶滅危惧の昆虫、販売容疑…男を逮捕|newspaper=[[毎日新聞]]|publisher=[[毎日新聞社]]|author=斎川瞳|date=2017-02-22|language=ja|url=http://mainichi.jp/articles/20170222/k00/00e/040/236000c|accessdate=2019-12-09|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170222074629/http://mainichi.jp/articles/20170222/k00/00e/040/236000c|archivedate=2019-12-09}}</ref>、[[環境省]]は2014年に改訂した[[昆虫類]]「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」(レッドリスト)にて本種を{{絶滅危惧IA類|image=none}}に選定している{{Sfn|環境省|2014}}。
* アズマゲンゴロウモドキ - かつて記録があった[[東京都]]・[[神奈川県]]ではともに'''絶滅種'''に選定され、唯一生息が確認されている千葉県でも環境省レッドデータブックの絶滅危惧IA類に相当する「最重要保護生物(カテゴリーA)」に選定されている{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}。
* コゲンゴロウモドキ - 滋賀県<ref>{{Cite news|title=ゲンゴロウ、湖国「絶滅」 滋賀県レッドデータブック|newspaper=[[京都新聞]]|publisher=[[京都新聞社]]|date=2016-05-23|language=ja|url=http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160523000165|accessdate=2017-07-22|archiveurl=http://web.archive.org/web/20170321225815/http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160523000165|archivedate=2017-03-21}}</ref>・愛知県・京都府・大阪府では'''絶滅種'''に選定されている{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}。2000年以降に記録がある県は新潟県・富山県・石川県・福井県・島根県と少なく{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}、2018年時点では石川・富山両県を除き確実な生息記録がない{{Sfn|市川|2018|p=70}}。
主な減少原因は以下の理由で、生息環境破壊・農薬汚染・乱獲などは本種に限らず[[ゲンゴロウ]](ナミゲンゴロウ)など多くの水生昆虫の減少にも共通する理由である。
#生息環境の破壊{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}
#* [[圃場整備]]による乾田化・[[用水路]]のコンクリート化、水田の[[耕作放棄]]による[[植生遷移]]・乾燥化など{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}
#** 日本ではかつて平地の水田の多くが水はけの悪い湿地に作られたほか、谷間を利用した谷戸田も常に湧水が流れ込み、冬でも水が涸れない湿田を生み出していた{{Sfn|川上|2010|p=85}}。湿田は本種を含む北方系水生昆虫・カエルの繁殖場所として重要な場所となっていたが、農業の近代化によりトラクターなど工作機械を入れやすくする目的で水田の水はけを良くする乾田化・圃場整備が進むと、そのような水田では本種と同じく冬場に繁殖するアカガエルがほとんど見られなくなり、アカガエルのオタマジャクシを主な餌としていた本種もそのあおりを受けて激減することとなった{{Sfn|川上|2010|p=85}}。
#採集圧(乱獲)
#* 本種は国内希少野生動植物種指定以前から大型水生昆虫で最も希少・高価な種だった{{Refnest|group="注"|インターネット上では高額で取引され、雌雄ペアが20万円以上で売買された例が存在する<ref name="読売新聞2018-08-28">『読売新聞』2018年8月28日[[読売新聞東京本社|東京朝刊]]石川県版第二面26頁「[いきもの語り]昆虫編(1)シャープゲンゴロウモドキ(連載)=石川」([[読売新聞北陸支社]]・記者:竹村一朗)</ref>。}}ため、一部のマニア・業者により盛んに乱獲されており、それに伴う生息地の環境破壊(新成虫を採集する目的で湿地を深さ数十センチメートル〈cm〉にわたり掘り返すなど)が本種の激減に拍車を掛けた{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=171}}。また(後述の国内希少野生動植物種指定以前に)生息調査用にマーキングされた個体がインターネットで販売されていた事例も確認されている{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}。
#* 都築(2003)は「本種は無秩序な乱獲の結果、人が容易に入れる場所ではほとんどその姿を見ることができない状態に陥った。湿地を掘り返す採集方法は全く根拠がなく成果が得られぬばかりか、湿地環境を破壊して本種の絶滅を助長するものでしかない」と述べている{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=171}}。
#[[アメリカザリガニ]]・ブラックバスなど侵略的外来種による捕食・生息環境改変{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}
#生息地の分断・隔離による個体群の維持機構(遺伝的多様性)の劣化{{Sfn|千葉県|2009|p=10}}
#農薬汚染による影響{{Sfn|千葉県|2009|p=11}}
{{See also|ゲンゴロウ#減少の背景}}
=== 保護対策 ===
近年では里山環境の再評価が進み、本種を含む水辺の生物を保護する目的で環境づくりへの取り組みが始まっている{{Sfn|川上|2010|p=85}}。
====
本種は[[2011年]](平成23年)[[4月1日]]付で[[ゲンゴロウ属#マルコガタノゲンゴロウ|マルコガタノゲンゴロウ]]・[[ゲンゴロウ属#フチトリゲンゴロウ|フチトリゲンゴロウ]]などとともに[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律]](種の保存法)に基づき「国内希少野生動植物種」に指定された<ref>{{Cite press release|title=国内希少野生動植物種一覧(2019年3月19日現在)|publisher=環境省|url=http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/list.html|language=ja|accessdate=2019-03-19|archivedate=2019-03-19|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190319141832/http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/list.html}}</ref><ref>{{Cite press release|title=「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」について(お知らせ)|publisher=環境省|date=2011-03-15|url=http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13611|language=ja|accessdate=2019-03-19|archivedate=2019-03-19|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190319141926/http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13611}}</ref><ref>{{Cite news|title=ヨナグニマルバネクワガタなど5種、国内希少種に指定へ|date=2011-02-15|newspaper=[[朝日新聞デジタル]]|publisher=[[朝日新聞社]]|url=http://www.asahi.com/eco/TKY201102150533.html|language=ja|accessdate=2019-03-19|archivedate=2019-03-19|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190319142054/http://www.asahi.com/eco/TKY201102150533.html}}</ref>。これにより捕獲・採取、殺傷、輸出入・譲渡などは原則として禁止されたほか<ref>{{Cite press release|title=種の保存法の概要|publisher=環境省|url=https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/hozonho.html|language=ja|accessdate=2019-12-07|archivedate=2019-12-07|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191207144158/https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/hozonho.html}}</ref>、2013年には違法な捕獲・譲渡などへの罰則が強化され、新たにインターネットなどにおける広告も規制された{{Sfn|千葉県|2009|p=11}}。
==== 石川県 ====
石川県は2018年時点で最も多くの個体が生息しており<ref name="読売新聞2018-08-28"/>、同県の[[能登半島]]北部および[[金沢市]]が本種最大の生息地となっているが<ref name="読売新聞2012-12-12"/>、過去に[[能登空港]]の建設{{Refnest|group="注"|能登空港建設の際には1998年(平成10年)5月28日に[[環境庁]](現:環境省)が[[運輸省]](現:[[国土交通省]])に対し「空港事業用地内に生息する本種や[[ホクリクサンショウウオ]]の保全を図るため生息状況の調査・把握や移植・生息地維持を図り生息が脅かされることがないよう対処する必要がある」と申し入れている<ref>{{Cite web|title=空港整備法施行令改正に際しての能登空港に係る環境保全上の措置について|publisher=環境省|date=1998-06-01|url=http://www.env.go.jp/press/2352-print.html|language=ja|accessdate=2019-12-31|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191231124353/http://www.env.go.jp/press/2352-print.html|archivedate=2019-12-31}}</ref>。}}とそれに伴う周辺の圃場整備・LPガス基地建設により多数の生息地が消滅した<ref name="石川県"/>。2009年3月発行の同県版レッドデータブックでは「絶滅危惧I類」に分類されており「池沼開発・放棄水田の植生遷移・採集圧などにより生息数はここ10年ほどで半減した」と解説されている<ref name="石川県">{{Cite web|title=いしかわレッドデータブック 動物編 2009 シャープゲンゴロウモドキ|publisher=[[石川県]]|date=2009-03|url=https://www.pref.ishikawa.lg.jp/sizen/reddata/rdb_2009/4_ato/kennsaku2/documents/5-26sya-pugengoroumodoki_1.pdf|format=PDF|language=ja|accessdate=2019-12-11|archiveurl=https://megalodon.jp/ref/2019-1211-2204-55/https://www.pref.ishikawa.lg.jp:443/sizen/reddata/rdb_2009/4_ato/kennsaku2/documents/5-26sya-pugengoroumodoki_1.pdf|archivedate=2019-12-11}}</ref>。
県は2004年(平成16年)4月1日に施行した「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」において本種を2005年(平成17年)5月1日付で「希少野生動植物種」に指定し、生きている野生個体を捕獲・採取・殺傷・損傷することを原則として禁止したほか、生息地も「希少野生動植物保護地区」に指定し、開発などをする場合には県知事の許可を必要と定めた<ref>{{Cite web|url=http://www.pref.ishikawa.jp/satoyama/noto-giahs/lib_shizen_kisyoshu.html|title=世界農業遺産「能登の里山里海」ライブラリー「自然・生き物:絶滅危惧種、希少種の保護活動」|accessdate=2019-12-07|publisher=石川県|website=世界農業遺産「能登の里山里海」情報ポータル|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191207145240/http://www.pref.ishikawa.jp/satoyama/noto-giahs/lib_shizen_kisyoshu.html|archivedate=2019-12-07}}</ref>。同条例は違反した場合、違反者に1年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑が科されるよう規定されている<ref>{{Cite web|url=https://www.pref.ishikawa.lg.jp/sizen/srdb/|title=石川県指定希少野生動植物種の指定について|accessdate=2019-12-07|publisher=石川県|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191207145813/https://www.pref.ishikawa.lg.jp/sizen/srdb/|archivedate=2019-12-07}}</ref>。
また石川県では一部の生息地で「捕獲禁止」の看板を設置して採集圧に対する一定の抑制効果を挙げたり、環境省の[[生物多様性]]保全推進支援事業として実施した「いしかわの里山の生物多様性保全再生事業」の一環として本種などが生息する[[能登地方]]のため池群においてオオクチバスなどの外来種の防除・休耕田を利用した[[ビオトープ]]の整備による生息地再生など保全策に取り組んでいる{{Sfn|千葉県|2009|p=12}}。また金沢市では生息地の地元集落と環境保全協定を結んでいるほか<ref name="石川県"/>、[[石川県ふれあい昆虫館]](石川県[[白山市]])では1998年の開館当初から本種の保全を目的に累代飼育・生息地の現地調査を続けている<ref name="読売新聞2012-12-12"/>。
==== 千葉県 ====
千葉県では[[2000年]]以降は房総半島丘陵部の7か所で生息が確認されたのみで、2008年・2009年度の調査結果ではうち2か所でしか生息が確認できず極めて危機的な状況にある{{Sfn|千葉県|2009|p=9}}。県内の個体数は2017年時点で100頭ほどと推測される<ref>{{Cite news|title=絶滅の恐れあるゲンゴロウの標本、販売した疑いで逮捕|newspaper=[[朝日新聞デジタル]]|publisher=[[朝日新聞社]]|date=2017-02-22|language=ja|url=https://www.asahi.com/articles/ASK2Q3670K2QUTIL004.html|accessdate=2019-12-09|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191209141821/https://www.asahi.com/articles/ASK2Q3670K2QUTIL004.html|archivedate=2019-12-09}}</ref>。
同県では「千葉シャープゲンゴロウモドキ保全研究会」(後述の協議会傘下)が生息状況調査、生息地の維持管理・再生など保全活動に取り組んでいるほか、生息地周辺の学校で自然観察会・授業などにより環境教育を実施し、地元住民の協力・理解を取り付けて保全活動を継続している{{Sfn|千葉県|2009|p=12}}。
また千葉県環境生活部自然保護課および地元自治体・地元NPO・研究機関([[千葉県立中央博物館]]・[[鴨川シーワールド]])から構成される「シャープゲンゴロウモドキ保全協議会」が2008年に設置された{{Sfn|千葉県|2009|p=21}}。協議会は本種を生態系の一員としてとらえ、本種および本種の生息する環境を回復すべく回復計画を策定して保全活動に取り組んでいる{{Sfn|千葉県|2009|p=2}}。2010年から協議会に参加した鴨川シーワールド([[鴨川市]])は協議会傘下の保全研究会メンバーから譲渡された雌雄各3頭(計6頭)を利用して繁殖活動に取り組み、2019年4月までに約1,400頭を孵化させた実績を持つほか<ref name="読売新聞2019-04-25"/>、同年12月時点で本種や[[ニホンイシガメ]]・[[ミヤコタナゴ]]など千葉県に生息する希少在来種を「生物多様性コーナー」にて常設展示している<ref name="生物多様性コーナー"/>。
また保全研究会は地元地権者の協力を得て県内の山間部に本種の生息に適した保全地を整備し、2019年4月には同地にて初めて幼虫の放流(105頭)を実施した<ref name="読売新聞2019-04-25">『読売新聞』2019年4月25日東京朝刊千葉県版第二面28頁「絶滅危惧の水生昆虫 放流 シャープゲンゴロウモドキ=千葉」([[読売新聞東京本社]]・千葉支局)</ref>。
== 飼育 ==
'''※2020年現在は前述のように種の保存法で野生個体の採取・売買などが禁止されているため新たに飼育個体を入手することは不可能である。'''
本種を含む水生昆虫類の多くは[[アクアリウム]]により[[観賞魚]]と似たような方法で飼育することができ{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=38}}、都築裕一は種の保存法で捕獲・売買が禁止される前の1999年に発刊された『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル』(データハウス)にて以下のように述べている。
* 「日本の大型水生昆虫の中でも最も希少・高価な昆虫で、ゲンゴロウマニアにとっては一度は飼育してみたい種」{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=168-169}}
* 「本種は約3年以上は生き、ほぼ年間を通じて活動するためペット向きだ。飼育容器(水槽)内に生息地に近い環境を整えることで、初心者でも本種本来の生態を観察したり累代飼育したりして楽しむことができるが、『ゲンゴロウモドキ属の南限種として学術的にも大変貴重な種』である点を自覚して大切に飼育してほしい」{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|pp=169-170}}
日本に生息するゲンゴロウモドキ属3種で最も南に分布する本種はほか2種(ゲンゴロウモドキ・エゾゲンゴロウモドキ)と生態が異なるため、飼育・繁殖方法は独自の方法が必要となる{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=168}}。本種は1頭のメス成虫が繁殖期に100個以上産卵するため、すべての幼虫を飼育する場合は飼育容器を100個以上準備する必要があるが、飼いきれなくなった幼虫は親成虫を採集した場所に放流することが望ましい{{Sfn|都築|谷脇|猪田|2003|p=178}}。
== 脚注 ==
164 ⟶ 183行目:
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 参考文献 ==
; 環境省発表
:* {{Cite press release
:* {{Cite press release
:* {{Cite book
; 千葉県資料
:* {{Cite web|title=千葉県シャープゲンゴロウモドキ回復計画(公表版)|url=http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/sharp.html|author=[[千葉県生物多様性センター]]|publisher=[[千葉県]]環境生活部自然保護課|date=2010-03-31|publication-date=2015-03-31|language=ja|accessdate=2019-03-05|archivedate=2019-03-05|archiveurl=http://web.archive.org/web/20190305022849/http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/sharp.html}}
:** {{Cite journal|論文|title=千葉県シャープゲンゴロウモドキ回復計画(公表版)|url=http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/20150331sharp.pdf|format=PDF|author=千葉県生物多様性センター|publisher=千葉県環境生活部自然保護課|date=2010-03-31|publication-date=2015-03-31|language=ja|accessdate=2019-03-05|archivedate=2019-03-05|archiveurl=http://web.archive.org/web/20190305022804/http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/20150331sharp.pdf|ref={{SfnRef|千葉県|2009}}
:** {{Cite journal|論文|title=千葉県シャープゲンゴロウモドキ再導入・補強計画|url=http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/20150331sharp.pdf|format=PDF|author=千葉県生物多様性センター|publisher=千葉県環境生活部自然保護課|date=2019-01-25|language=ja|accessdate=2019-03-05|archivedate=2019-03-05|archiveurl=http://web.archive.org/web/20190305024118/http://www.bdcchiba.jp/endangered/recovery_plan/sharp/Dytiscus_ReintroductionPlan_190124.pdf|ref={{SfnRef|千葉県|2019}}
:* {{Cite book|和書|title=千葉県の保護上重要な野生生物-千葉県レッドデータブック-動物編|edition=2011年改訂版|chapter=シャープゲンゴロウモドキ (Dytiscus sharpi Wehncke, 1875)|author1=山﨑秀雄|author2=宮内博至|editor=千葉県レッドデータブック改訂委員会|publisher=[[千葉県]]|date=2011-03|isbn=|page=275|url=http://www.bdcchiba.jp/endangered/rdb-a/rdb-2011re/rdb-201108insect.pdf#page=85|format=PDF|language=ja|accessdate=2019-12-13|archivedate=2019-12-13 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20191213142113/http://www.bdcchiba.jp/endangered/rdb-a/rdb-2011re/rdb-201108insect.pdf#page=85|ref={{SfnRef|千葉県|2011}}}}
;都県別レッドデータブック
:* {{Cite book|和書|title=富山県の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブックとやま2012|edition=2011年改訂版|chapter=シャープゲンゴロウモドキ (Dytiscus sharpi Wehncke, 1875)|editor=富山県生活環境文化部自然保護課|publisher=富山県生活環境文化部自然保護課|date=2012-08|isbn=|page=122|url=http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00013513/01037492.pdf#page=128|format=PDF|language=ja|accessdate=2019-12-13|archivedate=2019-12-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20191213141910/http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00013513/01037492.pdf#page=128|ref={{SfnRef|富山県|2012}}}} - 原著は2002年3月・富山県生活環境部自然保護課発行。
:* {{Cite book|和書|title=レッドデータブックにいがた|publisher=[[新潟県]]環境生活部環境企画課|date=2001-03|url=https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/50781.pdf#page=8|format=PDF|page=142|language=ja|accessdate=2019-12-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191213132157/https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/50781.pdf#page=8|archivedate=2019-12-13|ref={{SfnRef|新潟県|2001}}}}
:* {{Cite book|和書|title=改訂 しまねレッドデータブック2014 動物編-島根県の絶滅のおそれのある野生動物-|publisher=[[島根県]]環境生物部自然環境課|date=2014-03|url=https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/nature/shizen/yasei/red-data/kaiteishimaneRDB2014animal.data/doubutu.pdf|format=PDF|pages=98,114|language=ja|accessdate=2019-12-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191213131429/https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/nature/shizen/yasei/red-data/kaiteishimaneRDB2014animal.data/doubutu.pdf|archivedate=2019-12-13|ref={{SfnRef|島根県|2014}}}}
; 書籍
:* {{Cite book|和書|title=滅びゆく日本の昆虫50種|author1=佐藤正孝|author2=[[加藤陸奥雄]]・[[沼田
:* {{Cite book|和書|title=図説 日本のゲンゴロウ|author1=[[森正人 (生物学者)|森正人]]|author2=[[北山昭]]|publisher=[[文一総合出版]]|date=
:* {{Cite book|和書|title=普及版 水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル|publisher=[[データハウス]]|author1=都築裕一|author2=谷脇晃徳|author3=猪田利夫|date=2003-05-01|edition=初版第1刷|pages=21,168-180|origdate=2000-06-20|ISBN=978-4887187160|ref={{SfnRef|都築|谷脇|猪田|2003}}}} - 『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル 改訂版』(2000年6月20日発行・原著『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル』は1999年9月20日発刊)をソフトカバー化して改めて発刊したもの。
:* {{Cite book|和書|title=水
:* {{Cite book|和書|title=よみがえれ ゲンゴロウの里|series=守ってのこそう!いのちつながる日本の自然|volume=1|author=[[西原昇吾]]|publisher=[[童心社]]|date=2008-11-28|edition=初版第1刷|ISBN=978-4494011582|ref={{SfnRef|西原|2008}}}}
:* {{Cite book|和書|title=
:* {{Cite book|和書|title=水生昆虫観察図鑑 その魅力と楽しみ方|author1=[[森文俊]]|author2=[[渡部晃平]]|author3=[[関山恵太]]|author4=[[内山りゅう]]|publisher=[[ピーシーズ]]|date=2014-07-30|edition=初版第1刷|pages=|isbn=978-4862131096|ref={{Sfnref|森|渡部|関山|内山|2014}}}}
:* {{Cite book|和書|title=タガメとゲンゴロウの仲間たち|series=[[琵琶湖博物館]]ブックレット|volume=4|author=[[市川憲平]]|publisher=[[サンライズ出版]]|date=2018-03-27|edition=初版第1刷|ISBN=978-4883256341|ref={{SfnRef|市川|2018}}}}
; 論文
:* {{Cite journal|論文|title=愛知県豊橋市の江戸時代の遺構から発見されたシャープゲンゴロウモドキ|author=長谷川道明|publisher=[[豊橋市自然史博物館]]|location={{JPN}}・愛知県豊橋市|language=ja|year=2007|volume=17|page=25-28|url=http://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/06shuppan/kenkyuuho/kenpou17/17kenkyu-hokoku25.pdf|format=PDF|accessdate=2019-12-31|archiveurl=https://web.archive.org/web/20191231123045/http://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/06shuppan/kenkyuuho/kenpou17/17kenkyu-hokoku25.pdf|archivedate=2019-12-31|ref={{SfnRef|豊橋市自然史博物館|2007}}}}
:* {{Cite journal|論文|author=[[上手雄貴]]|title=日本産ゲンゴロウ亜科幼虫概説|journal=ホシザキグリーン財団研究報告|issue=11|issn=1343-0807|pages=|publisher=[[ホシザキグリーン財団]]|url=http://www.green-f.or.jp/hayashi/no11pdf/06kamite.PDF|date=2008年3月|format=PDF|language=ja|accessdate=2019-02-28|archivedate=2019年2月28日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20190228153811/http://www.green-f.or.jp/hayashi/no11pdf/06kamite.PDF|ref={{Sfnref|上手|2008}} }}
:* {{Cite journal|論文|author=西原昇吾|title=昆虫類保全の現場から 1 水生昆虫の現状と外来種問題|journal=チョウの舞う自然|issue=15|pages=8-11|date=2012-12-03|publisher=日本チョウ類保全協会|language=ja}}
== 関連項目 ==
* [[水生昆虫]]
* [[ゲンゴロウ類]]
* [[ゲンゴロウモドキ属]]
{{Commonscat|Dytiscus sharpi}}
{{Wikispecies|Dytiscus sharpi}}
{{デフォルトソート:しやあふけんころうもとき}}
[[Category:ゲンゴロウ]]
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