「国鉄103系電車」の版間の差分

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文献の見出し配列を103系との関連度を考慮して入れ換え、JR西日本譲渡車の出典
大和路線と片町線の改造車
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WAU102形搭載車は同車エリアに広く配置されていたが、AU75形に比べて冷房能力が不足することから、優先的に廃車が進められた。2007年7月、日根野区に配置されていた羽衣線予備編成の廃車をもって近畿圏からは消滅し227系投入により最後まで残った広島圏の車両も廃車となった。廃車発生品のWAU102形や電源用SIVは[[国鉄105系電車#JR西日本|105系の体質改善工事]]の際に一部が再利用された。
 
==== 関西本線関連(2500クハ103形2500・2550番台 ====
[[ファイル:Tc103-2551.jpg|thumb|クハ103-2551]]
[[ファイル:1991-12-kuha103-2503.JPG|thumb|クハ103-2503(冷房改造後)]]
1988年3月13日のダイヤ改正で、JR西日本の関西本線電化区間に「大和路線」の愛称が付与された<ref name="rp201801_p107" />。このダイヤ改正に伴って6両編成1本を4両編成2本として編成数が増加される際、不足した先頭車を中間電動車の電装解除・先頭車化改造で補うこととなった<ref name="rp201801_p107" />。
国鉄時代に関西本線(大和路線)では、列車増発を編成短縮と編成数増加させることからクハ101・100形改造の[[#関西方面編成数増加関連(2000・2050番台)|クハ103形2000・2050番台]]で対応した。この方針は民営化後も引き続き行われたが、不足する先頭車は余剰中間車の改造で対応することになり1988年に以下の2形式7両が改造された。
 
モハ102形を種車とするクハ103形2500番台は4両が改造され、方向転換を行い偶数向き専用となった<ref name="rp201801_p107" />。モハ103形が種車のクハ103形2550番台は3両が改造され、奇数向き専用となっている<ref name="rp201801_p107" />。2500番台が1両多いのは、[[阪和線#東羽衣支線|羽衣線]]に転用されたクハ103-194の補充のためである<ref name="rp201801_p107" />。
 
新設された運転台は高運転台型ではなく、1次改良型と同様の低運転台・[[シールドビーム]]タイプとなった<ref name="rp201801_p107" />。改造時は非冷房であったが、窓下の吸気口は設けられていない<ref name="rp200404_p24" />。台車は種車のDT33形から主電動機や駆動装置を撤去し、WDT33T形としたものを使用している<ref name="rp201801_p49" />。
 
2550番台ではパンタグラフの撤去が行われたが、パンタグラフ台が存置された<ref name="rp201801_p107" />。一部車両では側面の主電動機・電動発電機冷却風取入口も存置されている<ref name="rp201801_p49" />。2551・2552はパンタグラフ撤去跡に通風器が増設された。
 
改造車の新旧番号対照は以下の通り<ref name="rp201801_p49">平石大貴「103系電車形式集」『鉄道ピクトリアル』2018年1月号(通巻941号)、電気車研究会。49頁。</ref>。
 
; クハ103形2500番台
: モハ102形が種車で前位側に運転台を設置。方向転換し偶数向き専用。
:* モハ102-387・388・397・398→クハ103-2501 - 2504
; クハ103形2550番台
: モハ103形が種車で奇数向き専用。
:* モハ103-233・242・243→クハ103-2551 - 2553
 
改造時は非冷房であったが、後1990年度にWAU102形による冷房化と延命N工事施工された<ref name="rp201801_p49" />。しかし種車の車齢が高く、冷房能力も劣ることから早期に廃車対象となり、2500番台は播但線用3500番台へ運転台部品供出で1997年4月8日に、2550番台は状態のよい余剰車に置換えられて[[2006年]]3月1日に全廃された。
両区分共通の改造内容は次に示す。
* 電装解除と2550番台ではのパンタグラフの撤去。
** ランボードや一部車両では側面の主電動機・電動発電機冷却風取入口も存置。
** 2551・2552はパンタグラフ撤去跡に通風器が増設。
* 台車は種車のDT33形を小改造したWDT33T形を継続使用。
* 新設運転台は同社の方針から1974年以降製造の高運転台型ではなく、1次改良型の低運転台・[[シールドビーム]]タイプ。
 
==== 片町線 一部電化関連分割併合対応車(5000・2500番台) ====
2500番台が1両多いのは、[[阪和線#東羽衣支線|羽衣線]]に転用されたクハ103-194のを補充する必要からである。
[[ファイル:JR EC Mc103-5003.jpg|thumb|クモハ103-5003<br/>密着連結器下に電気連結器を装備]]
[[ファイル:JNR EC T102-2.jpg|thumb|サハ102-2<br/>電気連結器撤去後]]
[[1989年]](平成元年)3月11日に[[片町線]](学研都市線)の長尾 - 木津間が電化されたのに際し、電化時に開設された[[松井山手駅]]で[[京橋駅 (大阪府)|京橋]]寄りの4両を切り離し、以東の各駅には輸送需要の関係から[[木津駅 (京都府)|木津]]寄りの3両が入線する分割併合運用が実施されることとなった<ref name="rp201801_p107">前納・永尾・芳田「103系改造工事―改造項目逆引き事典」『鉄道ピクトリアル』2018年1月号、107頁。</ref>。分割併合対象の編成は Tc-M-M'-T'+Mc-M'-Tc の組成となり、T'車とMc車に分割併合用の[[連結器#電気連結器|電気連結器]]を設ける改造が行われ、5000番台が登場した<ref name="rp200404_p24" />。
 
その後、松井山手以東が3両編成では輸送力不足となり、翌1990年には Tc-M-M'+Mc-M'-T'-Tc として4両編成が木津に乗り入れるよう組成変更が行われた<ref name="rp201801_p108">前納・永尾・芳田「103系改造工事―改造項目逆引き事典」『鉄道ピクトリアル』2018年1月号、108頁。</ref>。
改造時は非冷房であったが、後にWAU102形による冷房化と延命N工事を施工。しかし種車の車齢が高く、冷房能力も劣ることから早期に廃車対象となり、2500番台は播但線用3500番台へ運転台部品供出で1997年4月8日に、2550番台は状態のよい余剰車に置換えられて[[2006年]]3月1日に全廃された。
 
==== 片町線 一部電化関連(5000・2500番台) ====
[[1989年]](平成元年)3月11日に[[片町線]](学研都市線)が全線電化されたが、その際に開設された[[松井山手駅|松井山手]]以西は7両編成での運転は可能であるが、以東の各駅はホーム長が短く入線不可であった。そのため松井山手駅で[[京橋駅 (大阪府)|京橋]]寄りの4両を切離し、[[木津駅 (京都府)|木津]]寄りの3両のみが入線するという運用で対応することになった。さらに翌[[1990年]](平成2年)には木津駅乗入れ編成を4両編成とする組成変更が行われた。
{|style="margin:1em 1em 1em 3em; border:1px solid gray; text-align:center; font-size:90%;"
|{{TrainDirection|京橋|木津}}
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|}
|}
 
* 両編成間の連結部は[[連結器#電気連結器|電気連結器]]使用。
分割併合部分にあたるモハ103形は、電気連結器と電気空気開閉器を搭載したクモハ103形5000番台に改造された。木津への乗り入れ編成は増結編成より3編成多く必要となり、羽衣支線のクモハ103-48を含む3両編成と大阪環状線の6両が転入し、改造時に冷房化(WAU102形)と側面方向幕設置が施工された<ref name="rp201801_p107" />。
* 5000番台は以下で解説する連結・解放用装備搭載改造が施工された車両である。
 
クモハ103形5000番台の運転台は、クハ103形2500・2550番台と同様に1次改良型タイプだが、クモハ103形から改造の5001を含めて奥行きが広くなり、改造時に運転台直後の戸袋窓が閉鎖されている<ref name="rp201801_p108" />。
 
松井山手駅に残される4両編成側の連結部の先頭車化改造は行わず、サハに電気連結器を設置する等の改造が行われた<ref name="rp201801_p107" />。サハ103形に電気連結器などを装備すると、既存の床下機器(低圧ツナギ箱)と干渉するため、方向転換を行っての電気連結器の設置によりサハ102形5000番台に改造された<ref name="rp201801_p107" />。分割併合側の幌には蓋が設けられ、妻面には標識灯掛が設置された<ref name="rp201801_p107" />。
 
; クモハ103形5000番台
: 5001はクモハ103形が種車、他はモハ103形に運転台が設置された<ref name="rp201801_p34" />。新番号は5004を除いて古い順に振り直された。
:* クモハ103-48・モハ103-248・249・241・295・304・427・435・480・485・499・727・729・770・772・780→クモハ103-5001 - 5016
: 分割・併合の迅速化のため、電気連結器と電気空気開閉器を搭載した。5001はクモハ103形が種車。他はモハ103形に運転台を設置して対応し、新番号は5004を除いて古い順に振り直された。新設運転台は、クハ103形2500・2550番台と同様に1次改良型タイプだが、5001を含め奥行きがやや広く運転台直後の戸袋窓が改造時からない。種車が多岐に渡るため、前面以外の形態は各車ごとに異なる。非冷房車を種車とする5001-5003は改造時に冷房化(WAU102形)と側面方向幕設置が施工された。
; サハ102形5000番台
: クモハ103形5000番台の分割・併合相手として、サハ103形0番台から13両が改造された<ref name="rp201801_p55">平石大貴「103系電車形式集」『鉄道ピクトリアル』2018年1月号(通巻941号)、電気車研究会。55頁。</ref>。5001を除いて新番号は古い順に振り直されている。
:* サハ103-385・277・280・281・286・290・320・323・366・383・386・390・416→サハ102-5001 - 5013
 
: クモハ103形5000番台の分割・併合相手として、サハ103形0番台から改造された。電気連結器などの装備の際、既存の床下機器と干渉するため方向転換されため通常のサハ103形と逆配置となり取扱が異なることから、別形式とされた。運用上、松井山手駅に残されるため標識灯掛が設置され、運用範囲が狭いことから改造両数もクモハ103形5000番台より3両少ない13両(4両編成が3本少ない)。5001を除いて新番号は古い順に振り直され、車両ごと形態に差異がある。編成構成の変更により1年足らずで意義が失われ、サハ102形0番台となった。方向転換は行われず、側面方向幕の設置位置<ref group="注">向きが反転しているため、通常は偶数向きクハを除き揃っている側面方向幕の位置が逆側になる。</ref>など、サハ103形との外観差異はその後も残った。
1990年3月の編成構成の変更により、サハ102形5000番台は1年足らずで自動解結装置が撤去され、サハ102形0番台となった<ref name="rp201801_p108" />。サハ102形は再びの方向転換は行われず、側面方向幕の設置位置が逆側になるなど、サハ103形との外観差異はその後も残った。電気連結器はモハ102形に移設され、改造車はモハ102形5000番台となった<ref name="rp201801_p108" />。
 
; モハ102形5000番台
:* モハ102-395・450・459・590・635・638・640・654・882・884・2026・2028・2041→モハ102-5001 - 5013
: 編成組成の変更に伴い、新たにクモハ103形5000番台の分割・併合相手としてモハ102形0番台から改造された。改造内容はサハ102形5000番台に準じているが、方向転換はされていない。
:* モハ102-395・450・459・590・635・638・640・654・882・884・2026・2028・2041→2041 → モハ102-5001 - 5013
; サハ102形0番台
: 編成組成の変更に伴い、サハ102形5000番台から改造された付随車<ref name="rp201801_p55" />。自動解結装置の撤去後も方向の再転換は行われず、引き続きサハ102形に区分された。
:* サハ102-5001 - 5013 → サハ102-1 - 13
 
: 編成組成の変更に伴いモハ103形0番台から改造された付随車でクハ103形2550番台から運転台設置を省いた形態である。当初4両編成に組成されていたサハ102形を木津直通編成に転用されたが、車両不足が生じた<ref name="rp201801_p108" />。2両は一般のサハ103形が転用されたが、残りの1両はユニット相手のモハ102-387がクハ103形2500番台に改造され余剰となったモハ103-232を種車として、サハ103-2501に改造され<ref name="rp201801_p53">平石大貴「103系電車形式集」『鉄道ピクトリアル』2018年1月号(通巻941号)、電気車研究会。53頁。</ref>。同時にWAU102形による冷房改造および延命N工事施工された<ref name="rp201801_p108" />
 
; サハ103形2500番台
: 編成組成の変更に伴いモハ103形0番台から改造された付随車で、クハ103形2550番台から運転台設置を省いた形態である。
:* モハ103-232 → サハ103-2501
: 編成組成の変更に伴いモハ103形0番台から改造された付随車でクハ103形2550番台から運転台設置を省いた形態である。当初4両編成に組成されていたサハ102形を木津直通編成に転用されたが、車両不足が生じた。2両は一般のサハ103形が転用されたが、残りの1両はユニット相手のモハ102-387がクハ103形2500番台に改造され余剰となったモハ103-232を種車として改造した。同時にWAU102形による冷房改造および延命N工事を施工された。
<gallery>
ファイル:JR EC Mc103-5003.jpg|クモハ103-5003<br/>密着連結器下に電気連結器を装備
ファイル:JNR EC T102-2.jpg|サハ102-2<br/>電気連結器撤去後
</gallery>
 
==== 片町線運用からの転用 ====
[[ファイル:JR EC Mc103-2507.jpg|thumb|200px|クモハ103-2507 ※2011年3月廃車]]
本区分番台は、19931992 - 1995年により[[JR西日本207系電車|207系]]の新製量産車が投入によりされ順次関連装備を撤去の上で103系は大和路線など他線に転用された<ref name="rp201801_p108" />。転用先では分割併合を行わないため、分割併合装置を撤去した5000番台は改番が行われた<ref name="rp201801_p108" />
 
クモハ103-5001とモハ102形5000番台は原番号に復帰し、クモハ103形の5002以降は2500番台となり、番号順に1ずれて改番された<ref name="rp201801_p109" />。他線転用時などに電気連結器を撤去した車両もあったが、電気空気開閉器を撤去した段階で番号が変更されている<ref name="rp201801_p109" />。
 
; クモハ103形2500番台
: 5001は原番復帰、5002以降は車番を-2501の2500番台に区分された<ref name="rp201801_p109" />。
:* クモハ103-5002 - 5016→クモハ103-2501 - 2515
 
:クモハ103形2500番台は1997年 - 1998年にかけて9両が播但線用3500番台に改造され、2011年には[[日根野電車区]]に在籍していた元5008(→2507)が廃車、2015年には[[広島運転所]]に在籍していた元5001~5003(→48・2501・2502)が廃車となり、平成末期時点では[[日根野電車区]]に2503・2504・2505が残存していた。このうち2503・2504は羽衣線用ワンマン運転対応、2504は編成全車が体質改善40N工事を施工、2503は全車が非ユニットサッシ車である。両者とも2018年3月の羽衣線4両化まで運行され、年度内に廃車されている。2505は羽衣線ワンマン運転非対応で、2016年の[[JR西日本225系電車|225系5100番台]]導入時まで運行され2018年に廃車となった。
 
: なお、広島運転所の48(←5001)は新製時からクモハ103である車両で最後の現存車両であった。
; クモハ103形
: 5001は原番復帰、5002以降は車番を-2501の2500番台に区分された。1997年 - 1998年にかけて9両が播但線用3500番台に改造され、2011年には[[日根野電車区]]に在籍していた元5008(→2507)が廃車、2015年には[[広島運転所]]に在籍していた元5001~5003(→48・2501・2502)が廃車となり、平成末期時点では[[日根野電車区]]に2503・2504・2505が残存していた。
: このうち2503・2504は羽衣線用ワンマン運転対応、2504は編成全車が体質改善40N工事を施工、2503は全車が非ユニットサッシ車である。両者とも2018年3月の羽衣線4両化まで運行され、年度内に廃車されている。2505は羽衣線ワンマン運転非対応で、2016年の[[JR西日本225系電車|225系5100番台]]導入時まで運行され2018年に廃車となった。
: なお、広島運転所の48(←5001)は新製時からクモハ103である車両で最後の現存車両であった。
 
:サハ102形は1・9 他線転用時など- 13電気連結器を撤去した車両もあっ延命N40が施工されたが、電気空気開閉器を撤去2008年に9が廃車されて形式消滅した段階で元番号への復帰を実施モハ102形は廃車となった車両がある一方で体質改善工事施工車もあるが、標識灯掛が残存しているため妻面の形状が一般のモハ102形と異なる。サハ103-2501は廃車となった
; サハ102形
: 1・9 - 13は延命N40が施工されたが、2008年に9が廃車されて形式消滅。
; モハ102形
: 他線転用時などに電気連結器を撤去した車両もあったが、電気空気開閉器を撤去した段階で元番号への復帰を実施。廃車となった車両がある一方で体質改善工事施工車もあるが、標識灯掛が残存しているため妻面の形状が一般のモハ102形と異なる。
; サハ103形
: 廃車となった。
 
==== ATS-P形導入に伴うブレーキ弁改造・交換 ====