「悪魔ちゃん命名騒動」の版間の差分

'''悪魔ちゃん命名騒動'''（あくまちゃんめいめいそうどう）とは、実子に「[[悪魔]]」と[[命名]]しようとしたところ、その命名を不適切であるとして[[行政]]が受理を拒否したことによるり起こった騒動である。その受理手続きの完成を求めた申し立ては、いわゆる「親の[[命名権]]」に関する1つの基準、問題提起としてほとんど最初の重要な審判例とされており{{Sfn|大里|1994|p=45}}{{Sfn|田中|1995|p=155}}{{Sfn|河上|2018|p=89}}、[[児童虐待]]が社会問題となった際には[[親権]]の在り方や親子と国家との関係性を考える上での検討材料の1つとされた{{Sfn|河上|2008|p=841}}{{Sfn|横田|2012|p=58}}。

[[1993年]][[8（平成5年）8月11日]]、[[東京都]][[昭島市]][[役所]]に「'''悪魔'''」と命名しされた男児の[[出生届]]が提出された<ref>朝日新聞 1994年01月14日 朝刊 １社 「子に「悪魔」と命名、是か非か　昭島。市が変更指導　親役所は不服申し立て」</ref>。「悪」も「魔」も[[常用漢字]]の範囲であることから受付され理したが、市受理後に戸籍課職員の間で疑問が[[出たため、法務省]][[民事局]]に本件の受理の可否に付き照会した。法務省から「問題ない」ところの回答があったため受理手続きに入ったが、後日、「子供の福祉名を害『悪魔』とする可能性があのは妥当でなく、届出人に新たな子の名を追完させ、追完に応じるまでは名未定の出生届として取り扱う」旨の指示が出されたことから、[[親権]]の[[濫用]]を理由に不受理となっ手続きを完成させず、戸籍に記載された<ref>読売新聞 1994.01.13 東京朝刊 社会 31頁 「命名欄の「悪魔」ちゃん是か非か　両親の文字を誤記扱いと市して抹消し、家裁で論争／東京・多摩地区」</ref>夫婦に対して別の名前に改めるよう指導した。届出者（当時30歳）である父親は、[[東京家庭裁判所|東京家裁]]八王子支部に不服申し立てを行い、市と争った結果、1994年（平成6年）2月1日に家庭裁は判所が「命名権の乱用で戸籍法違反であるが、受理手続き論的立場から受理を認める（つまり結果としては親側の勝訴）完成せよ」との判断を下したことで申立人である父親の申し立てが<ref>朝日新聞 1994年02月01日 夕刊 ２社 「認容された。市などなお戸惑い今後の対応、国と協議へ　「悪魔ちゃん」命名問題」</ref>、市側は[[東京高等裁判所|東京高裁]]に即時抗告した<ref>朝日新聞 1994年02月11日 朝刊 ２社 「昭島市が東京高裁、申立人である父親が不服申し立てを取り下げ、その後、別の名前で届出が受理されたことに即時抗告　「悪魔ちゃん」問題」</ref>より、この騒動は終了した。