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|略称=CD-R
|ロゴ= [[File:CD-RECORDABLE logo.svg|280px]]
|画像= [[ファイルFile:CD-R Back.jpg|280px]]
|画像コメント= CD-Rの裏面(フタロシアニン色素を使用したCD-R裏面。
|種類=光ディスク
|容量=650MB650 MB700MB700 MBなど
|フォーマット=
|コーデック=
|読み込み速度=1.2Mbps<br>(150kiB/s、1倍速)<br>最高72倍速
|書き込み速度=1.2Mbps<br>(150kiB/s、1倍速)<br>最高52倍速
|回転速度=200 - 530 &nbsp;rpm
|読み取り方法=780nm780&nbsp;nm赤外線レーザー
|書き込み方法=780nm780&nbsp;nm赤外線レーザー
|書き換え=[[ライトワンス]]
|回転制御=
|策定=
|用途=データ
|ディスク径=12cm12&nbsp;cm8cm8&nbsp;cm
|大きさ=120×120×1.2mm2&nbsp;mm (12cmCD12&nbsp;cmCD) <br />80×80×1.2mm2&nbsp;mm (8cmCD8&nbsp;cmCD)
|重さ=
|上位=
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}}
 
'''CD-R'''({{lang-en-short|compact disc - recordable}})は、データを書き込みできる[[コンパクトディスク]]の一つ1種である。一書き込まれたデータは書き換えも消去もできないものの、容量許す限り追記可能であり、このことから「追記型」([[Write Once Read Many|WORM]]メディア)と呼ばれる。
 
"That's"ブランドの[[太陽誘電]]が1988年に開発して<ref name="cds21">[http://www.cds21solutions.org/osj/j/cdr/r_birth.html CD-Rの誕生] CDs21ソリューションズ</ref>、1989年6月より販売開始した<ref>[http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040510/cds21.htm 2003年におけるCD-Rの世界生産量が100億枚を突破 -CDs21が記念パーティー、累計300億枚で地球を一周] AV Watch 2004年5月10日</ref>。1990年に規格書「オレンジブック パートII」に規定された<ref>{{Cite web |url=https://www.lscdweb.com/ordering/cd_products.html |title=CD Products |publisher=フィリップス |accessdate=2020-08-08}}</ref>。なお、CD-Rという名称は、太陽誘電内の社内用コードネームであった<ref name="cds21" /><ref>[http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/denki13/4/4-3.htm 光ディスク 4.3 光ディスクの規格] 特許庁公式サイト内</ref>。
。CD-Rとは、もともとは太陽誘電内の社内用コードネームであった<ref name="cds21" /><ref>[http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/denki13/4/4-3.htm 光ディスク 4.3 光ディスクの規格] 特許庁公式サイト内</ref>。
 
== 概説 ==
記録できるCDとしては、CDのライセンサーである[[ソニー]]と[[フィリップス]]が開発した1987年に「ブルーブック」に規定のCD-WO、1988年に「オレンジブック パートI」に規定されたCD-MOがあったがとのの、
いずれも普及せず、1989年に太陽誘電から発売されたCD-Rが記録型CDとして一般に普及した<ref name="cds21" />。1995年ごろには既にパソコンに[[CD-ROM]]ドライブがほぼ標準搭載されるようになっており、[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]のような大容量のシステムも容易にインストールできる環境が整っていた。その翌年の1996年からCD-Rは急成長した<ref name="nipponsei">{{Wayback|url=http://www.nipponsei.jp/interview/ch-01/interview_yuden-04-02.html|date=20151117123425|title=太陽誘電 第4回『CD-Rがブレークする瞬間』 CD-ROMの存在がCD-Rの普及を促す――そして迎えたCD-Rのブレーク}}</ref>。当時のCD-Rドライブ価格は40万円、メディアが1枚5千円したのが、1996年初頭にはドライブは10万円を切るようになりメディアは1枚1000円と低価格化した<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/960823/cdr.htm CD-Rドライブ価格調査] PC Watch 1996年8月22日</ref>さらに1999年頃からは台湾メーカーによるメディアの[[価格破壊]]もあり、急速に普及していった。
 
書き込み速度は初期(1999年頃)には等倍速(1倍速)から4倍速であったが、徐々に向上し、2001年頃には8から16倍速、2003年頃には52倍速程度まで実用化された。この速度競争には、[[1994年]]に、[[ソニー]]、[[ヤマハ]]、[[太陽誘電]]など数社が「オレンジ研究会」なる部会を立ち上げ、製造段階でディスクに識別符号を割り振り各々の互換性を保証する「[[ライトストラテジー]]」を制定したことが影響している。なお、[[フィリップス]]はオレンジブックに準拠する立場から反対した。この高速化のためには[[#バッファーアンダーランエラー回避技術|後述のバッファーアンダーランの防止技術]]<!--この記事の節に内部リンクしているため「後述」も含めています。-->も必要とされた。
 
一旦書き込むと書き換え不能なメディアであるCD-Rは、データなどのバックアップや、改変不能なデータの配布のためのメディアなどとして利用される場合がある。他に、[[CD-DA]]を書き込むことで、[[CDプレイヤー]]で使用可能な音楽CDを作成するために利用する用途もある。さらに、データとCD-DAを混在させたメディアの作成も可能である。また、[[ビデオCD]]を作成にも使用できる。
 
なお、かつては700&nbsp;MBを下回る記録容量のCD-Rも見られたものの、次第に700&nbsp;MBの容量のCD-Rが主流となっていった。この他に700&nbsp;MBを超える記録容量のCD-Rもあるものの、700&nbsp;MBを超えるとオレンジブックに準拠しないため、互換性などの問題から用途は限られている。
 
== 対応ハードウェア ==
1990年に初めてCD-Rドライブが商品化された<ref name="cds21">< /ref>また、1996年の「オレンジブック パートⅢ」の規定によって1997年に[[CD-RW]]が商品化されたが<ref name="cds21">< /ref>、こると以降はCD-R/RW両対応製品が多くなった。普及の伴い、低価格化と共に普及が進み、それがさらなる普及につながった。さらに開発競争によって、読み込み/書き込み速度の高速化進んだ。
 
1996年には[[DVD]]が製品化された。CD-R/RWドライブとDVD-ROMドライブは別個に普及を進めてきた関係で、初期の[[DVDプレーヤー]]やDVD-ROMドライブはCD-Rの再生に非対応だった。しかし、2000年にDVD-ROM読み込みとCD-R/RW書き込みに対応した、いわゆるコンボドライブが登場し、これ以降はコンボドライブが主流になっていった。さらに、2002年以降からDVD系メディア等の書き込みにも対応したスーパーマルチドライブやハイパーマルチドライブが登場し、現在に至る
 
1998年には音楽専用のCD-R/RWレコーダーが発売された。データ用のCD-R/RWは使用できず、[[私的録音録画補償金制度|私的録音補償金]]が上乗せされた音楽専用メディアを使う必要がある。一般向けには[[ミニディスク]]ほど普及しなかったがアナログレコードのデジタル化やデジタル放送の録音等、DATデッキの代わりとして使用されることも多い。近年では低価格化も進みプロ及びオーディオ愛好家向けに生産されている。
CD-R/RWドライブとDVD-ROMドライブは別個に普及を進めてきたが、2000年にDVD-ROM読み込みとCD-R/RW書き込みに対応した、いわゆるコンボドライブが登場。以降はコンボドライブが主流になっていく。さらに、2002年以降からDVD系メディア等の書き込みにも対応したスーパーマルチドライブやハイパーマルチドライブが登場し、現在に至る。
 
1998年には音楽専用のCD-R/RWレコーダーが発売された。データ用のCD-R/RWは使用できず、[[私的録音録画補償金制度|私的録音補償金]]が上乗せされた音楽専用メディアを使う必要がある。一般向けには[[ミニディスク]]ほど普及しなかったがアナログレコードのデジタル化やデジタル放送の録音等、DATデッキの代わりとして使用されることも多い。近年では低価格化も進みプロ及びオーディオ愛好家向けに生産されている。
{{See also|CDレコーダー}}
 
CD-Rを使った音楽CDの私的複製やオリジナルの[[コンピレーション・アルバム|コンピレーション]]CDの作成などが一般的になると、レーベル面にインクジェットプリンタで印刷ができるプリンタブルメディアの需要が高まった。家庭用インクジェットプリンタの多くはCD-Rのレーベル面印刷に対応している<ref group="注釈">なお、CD-Rのレーベル面印刷に対応している機種の場合、メディアのサイズが同じであるためDVD-R・BD-R等のレーベル面印刷にも対応可能である。</ref>
 
2000年代半ばになると複数の記録型DVD規格に対応したDVDマルチドライブが一般的になった。これらの製品はほぼ例外なくCD-R/RWの書き込みにも対応している。記録型[[Blu-ray Disc]]・[[HD DVD]]ドライブも同様である。
 
DVD-Rメディアの価格低がりが続きいたことで、CD-Rよりも割安になったり、データの受け渡し用に[[メモリーカード]]・[[USBメモリ]]・[[オンラインストレージ]]の利用が一般的になったためデータ記録用途においてCD-Rは一定の役割を終えたと言える。しかしその一方で音楽CDの作成用途としては依然として需要がある。
 
== メディアの種類 ==
データ用も音楽用も同じ材質ではあるので記録する[[音質]]や[[ビットレート]]に気にしない限り問題なく利用出来るこれは[[DVD-R]]/DVD-RWにも言えることである。
 
=== データ用 ===
オレンジブックに規定されている一般的なCD-Rで容量は、12cm12&nbsp;cmのディスクで最大700MB(80700&nbsp;MB(80分)の記録が可能で8cm650&nbsp;MBディスクで210MB(24場合は74)、ポケットイズ50MBある。650MB(74分)(8cmでは185MB〈21分〉)と700MB(80分)(8cmでは210MB〈24分〉)が主流で、以前は550MB(63分)(8cm8&nbsp;cmのディスクでは156MB)最大210&nbsp;MB(24分)メディアもあった記録可能で現在では一部185&nbsp;MB音楽愛好家が使用するのみでほとんど使われなくなった。1980年代場合主に7421CDであったが、1990年代から80分CDが出回ようになった。ポケットイズで50&nbsp;MBある
 
1980年代は主に74分CDであったが、1990年代から80分CDが出回るようになった。このこともあり、12&nbsp;cmのディスクは700&nbsp;MB(80分)が、8&nbsp;cmのディスクでは210&nbsp;MB〈24分〉が主流になっていった。
オレンジブック規格外の700MBを超えるメディア、流通しているものでは最大870MBも存在しているが、ATIPのアドレスに矛盾が生じるため正しく読み書きできないドライブも多く存在する<ref>{{Cite book |和書 |author=[[森康裕]] |year=2004 |title=焼きミスよさようなら!! DVD/CD-Rパーフェクトデータ |publisher=[[三才ブックス]] |isbn=4915540839 }}</ref>。2003年にフィリップスがこれらのガイドライン「High Capacity Recordable Disc」を策定している。[[2019年]]現在90分ディスクはごく一部の市販CDに採用<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190131000615/https://store.deccaclassics.com/*/CD-Classics/Field-Nocturnes/5TLY0FL9000 |title =Field: Nocturnes |publisher =store.deccaclassics.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>されつつあるが、ドライブの読み書きの問題からいまだに難色を示すレーベルは多い。99分ディスクを使用したレーベルはまだ現れていない。このため、「100分」という都合の悪い収録時間(例えば[[マーラー]]や[[ブルックナー]]などの交響曲)だとCDを2枚組にしなければならず、CD出現初期からこの問題は解決していない。
 
なお、以前は12&nbsp;cmのディスクで550&nbsp;MB(63分)、8&nbsp;cmのディスクでは156&nbsp;MBのメディアもあったが、現在では一部の音楽愛好家が使用するのみでほとんど使われなくなった。
 
参考までに、オレンジブック規格外の700MB700&nbsp;MBを超えるメディア、流通しているものでは最大870MB870&nbsp;MBも存在しているが、[[ATIP]]のアドレスに矛盾が生じるため、700&nbsp;MBを超えるメディアは正しく読み書きできないドライブも多く存在する<ref>{{Cite book |和書 |author=[[森康裕]] |year=2004 |title=焼きミスよさようなら!! DVD/CD-Rパーフェクトデータ |publisher=[[三才ブックス]] |isbn=4915540839 }}</ref>。2003年にフィリップスがこれらのガイドライン「High Capacity Recordable Disc」を策定している[[2019年]]現在90分ディスクはごく一部の市販CDに採用されている程度である<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190131000615/https://store.deccaclassics.com/*/CD-Classics/Field-Nocturnes/5TLY0FL9000 |title =Field: Nocturnes |publisher =store.deccaclassics.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>されつつあるが、ドライブの読み書きの問題からいま、未だに難色を示すレーベルは多い。さらに、99分ディスクを使用したレーベルはまだ現れていない。このため「100分」という都合の悪い収録時間(の音楽<ref group="注釈">例えば[[マーラー]]や[[ブルックナー]]などの交響曲)だなど。</ref>を収録しようすると、CDを2枚組にしなければならず、CD出現初期からこの問題は解決していない。
 
=== 音楽用 ===
音楽専用CD-R/RWレコーダー用のメディアで、データ用との違いは、判別信号 (Disc Application Code) が記録されており、レコーダー側で識別できるようになっていること(音楽用のデータ用への流用は出来るがこの逆は出来ない)と、[[私的録音録画補償金制度|私的録音補償金]]が上乗せされていることである。多くのCDプレーヤーの時間表示はそもそも100分以上を想定していないため、表示限界までの99分59秒がCD容量の限界として認識されたと考えられる。かつてはDouble Density CD-R 1.3GB3&nbsp;GBで120分を詰め込むことも考えられていたが、全く普及しなかった。
 
=== High Capacity Recordable Disc ===
HCRDとも呼ばれる規格で、記憶容量はオレンジブックの規格上では最大で700&nbsp;[[バイト (情報)|MB]]である。しかし700MB700&nbsp;MBを超えて記録できるCD-Rメディアや対応ドライブ・ライティングソフトが各社から発売されたため、2003年にフィリップスが700MB700&nbsp;MBを超えるCD-Rの規格についてのガイドラインとして、'''{{lang|en|High Capacity Recordable Disc}}''' (HCRD) 1.0を策定した<ref>{{Cite web |url =https://www.afterdawn.com/news/article.cfm/2003/05/12/high_capacity_recordable_disc_1_0_by_philips |title =High Capacity Recordable Disc 1.0 by Philips |publisher =www.afterdawn.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>。最大容量は12&nbsp;cmのディスクで98分29秒74フレーム<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20151231171052/http://forum.videohelp.com/threads/83092-Data-capacity-of-CDs |title =High Capacity Recordable Disc system, Version 0.9, dated Sept 2002 |publisher =forum.videohelp.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>、8&nbsp;cmのディスクで30分の記録が可能である。ただし、[[オレンジブック]]には準拠しておらず、CD-Rのロゴは使用されていない<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190130212601/https://www.philips.ie/c-p/CR8D8NJ10_00/800-mb-90-min-52-x |title =800 Mb 90 Min |publisher =www.philips.ie |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref><ref>{{Cite web |url =https://archive.is/9BcHd |title =High Capasity CD-R |publisher =images.philips.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>。そして、このオレンジブックの準拠しないメディアを読み書きできる機器、ライティングソフトなどは依然として限られている。Eight-to-fourteen modulationが定めた規格最大容量は97分26秒である<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190131000353/https://forums.stevehoffman.tv/threads/longest-running-time-on-an-official-cd-you-bought.638860/ |title =Eight to Fourteen Modulation (EFM) allowed a theoretical maximum of 97 minutes on a 120mm disc. |publisher =forums.stevehoffman.tv |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>。
。最大容量は12cmのディスクで98分29秒74フレーム<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20151231171052/http://forum.videohelp.com/threads/83092-Data-capacity-of-CDs |title =High Capacity Recordable Disc system, Version 0.9, dated Sept 2002 |publisher =forum.videohelp.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>、8cmのディスクで30分の記録が可能となっている。ただし、[[オレンジブック]]には準拠しておらず、CD-Rのロゴは使用されていない<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190130212601/https://www.philips.ie/c-p/CR8D8NJ10_00/800-mb-90-min-52-x |title =800 Mb 90 Min |publisher =www.philips.ie |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref><ref>{{Cite web |url =https://archive.is/9BcHd |title =High Capasity CD-R |publisher =images.philips.com |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>。読み書きできる機器、ライティングソフトなどは依然として限られている。Eight-to-fourteen modulationが定めた規格最大容量は97分26秒である<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190131000353/https://forums.stevehoffman.tv/threads/longest-running-time-on-an-official-cd-you-bought.638860/ |title =Eight to Fourteen Modulation (EFM) allowed a theoretical maximum of 97 minutes on a 120mm disc. |publisher =forums.stevehoffman.tv |date = |accessdate =2019-01-30 }}</ref>。
 
== 構造 ==
CD-Rは、ポリカーボネイト製基板、記録層、反射膜層([[金]]<ref group="注釈">[[太陽誘電]]が開発した当初のCD-Rは、反射膜層に金を用いていた。</ref>、[[白金]]、[[銀]]など)、保護層、レーベル層の順に層で構成されている。サンドイッチ状に基板にはさまれた[[CD|従来の記録済みCD]]と違い、記録層を表板に貼り付けただけの構造になっておであり、表面が傷つけば記録層も剥がれ落ちる。そのため、表面に文字を書き込む際には鉛筆やボールペンなどの先の尖った筆記用具は使用できず、先が柔らかくて尖っていない油性マジックやサインペンなどで書き込むよう注意が必要である。
 
来の記録済みCDが、[[アルミニウム]]製の薄膜に「ピット」と呼ばれる微小な凹みを設けたことで起きる光の反射の度合いの変化でデータを読み取るが、これ方式であるのに対してCD-Rでは、金属薄膜に塗布された有機色素の有無で反射の度合いを変化させる。
 
記録時には強い[[赤外線]]領域の波長780&nbsp;nmの[[レーザー|レーザー光]](波長780nm)の照射したことによる熱での有機色素の膜を焼き切ってり、反射層へ直接透過する点を発生させ、これをピットに相当させる。このためデータの記録は非可逆的となであり、一度1回書き込まれた情報の消去ができない。
 
品質の良いCD-Rであれば、反射率の変化は在来の記録済みCDにほぼ匹敵しており、一般のCD読み出し装置での使用が可能となっていである。しかし、音楽用途では古いCDプレーヤーや反射光を読み込む性能が低いレンズを使用しているプレーヤーでは、一部のCD-Rを読み出せない事例や再生不良を起こす事例も多数報告されており注意が必要である。
 
=== 記録層 ===
; [[シアニン|シアニン色素]]
: [[太陽誘電]]が実用化した記録面材質で、CD販売初期から使われている。他の色素に比べて光や熱などによる化学的安定性が低いものの、CD-Rの普及に1役買った色素である。[[台湾]]製のメディアの一部などは一時期、シアニンを薄く塗ったCD-Rを販売して品質的にも問題があったが、フタロシアニンの普及などによる代替策がある。
; [[フタロシアニン|フタロシアニン色素]]
: [[三井化学]]が実用化した記録面材質である。当初は1社のみであったが、化学的性質が比較的安定<!--何が? 化学的に?-->しており、シアニンと比べて薄くしてもそれなりの効果が得られ、低価格化なども重なり、近年の韓国・台湾をはじめとするアジア諸国製ディスクで多く使用されている。
; [[アゾ|アゾ色素]]
: [[三菱化学メディア]]が実用化した記録面材質で、裏面くなるのが特である。俗に「裏青」と呼ばれる。最も化学的安定性が高く、市場や海賊版製造で根強い人気を誇る。他よりも比較的高価であるが、耐久性や耐光性に特に優れる。2005年6月以降、三菱化学メディア製ディスクにもフタロシアニン色素の採用が進み、希少性が高まる中で、同社の委託生産先(台湾)の工場火災からアゾ色素採用製品の供給が止まり、市場から姿を消した時期もあった
 
== 記録方式 ==
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=== ディスクアットワンス方式 (DAO : Disk at Once) ===
ディスクアットワンス方式によると、古いドライブやパソコン以外の機器との互換性は高くなる一方、未使用領域への追加的利用には対応できない。
 
=== インクリメンタル方式 (Incremental Write) ===
セッションアットワンス方式 (SAO : Session at Once) やトラックアットワンス方式 (TAO : Track at Once)、パケットライト方式 (Packet Write) のような、インクリメンタル方式によると、古いドライブやパソコン以外の機器との互換性は低くなる一方、未使用領域への追加的利用には対応可能となである。ただし、クローズ情報を記録([[ファイナライズ]])した場合には、それ以降、未使用領域への追加的利用には対応できないこととなる。
 
== バッファーアンダーランエラー回避技術 ==<!--記事の上部から、この節に内部リンクが来ているので、節の名称変更の際は、御留意ください。-->
「[[バッファーアンダーラン]]」とは、CD-Rへの記録中に、記録装置へデータの転送が途切れ、記録用バッファー内のデータが必要量を下回ってしまう現象を言う。つまり、書き込むデータが必要なのに、そのデータが存在しない状況である。バッファーアンダーランが発生すると書き込みは失敗し、そのディスクは不良ディスクとなり、事実上、使用不能になってしまう。メディアへの記録中にコンピュータの負荷が増大した際に発生しやすく、とくにドライブの記録速度が向上するのしたことに伴って発生率が上昇し、問題となった。
 
== なお、バッファアンダーランエラー回避 ==技術は[[DVD|DVD-R]]ドライブでは、仕様で必須の機能とされている。
「[[バッファーアンダーラン]]」とは、CD-Rへの記録中に、記録装置へデータの転送が途切れ、記録用バッファー内のデータが必要量を下回ってしまう現象である。発生すると書き込みは失敗し、そのディスクは不良ディスクとなってしまう。メディアへの記録中にコンピュータの負荷が増大した際に発生しやすく、とくにドライブの記録速度が向上するのに伴って発生率が上昇し、問題となった。
 
=== 一般的な技術 ===
記録速度が8倍速以上のCD-R(「High-speed」の記載がある)が登場した[[2000年]]、バッファーアンダーランが発生することによる書き込みの失敗(バッファアンダーランエラー)を回避する機能を持ったドライブが開発された。その仕組みは、[[ライティングソフトウェア|書き込みソフトウェア]]と連携し、記録中にドライブへのデータ転送が停滞した際にディスクへの記録を一時的に中断し、その後データ転送が復旧したらその位置から記録を再開するもの方法ある。例えば、[[三洋電機]]の「BURN-Proof」(バーン・プルーフ)や、[[リコー]]の「[[JustLink]]」(ジャストリンク)、[[ライトン]]の「SMART-BURN」(スマート・バーン)といったものが知られている。これらはその後多くのコンピュータ向け記録装置や書き込みソフトウェアに採用され、ドライブバッファの大容量化やコンピュータの性能向上などと共に書き込み不良の減少に寄与している。
 
高速(20倍速が目安)で書き込みを行う場合は、同じ速度を維持しながら書き込む制御を行うドライブと、ディスク内周部を低速・外周部を高速と、ディスクの回転数を変えて書き込む制御を行うドライブが存在する。後者の制御を行う場合に速度変更を行う「継ぎ目」部分では一時的に書き込み動作が停止するが、書き込み動作の停止・再開にバッファアンダーランエラー回避技術が応用されている。これにより現在の超、さらなる高速書き込みが実現された。
 
これらのバッファアンダーランエラー回避機能が作動すると、ディスク上のピットパターンに微妙な不連続が生じる。しかし、CD-Rはデジタル記録であるためデータに異常が出ることはなく、不連続の大きさ自体も技術発展によって最小限にとどめられるようになった。しかし、音楽CDを作成した場合、この不連続が音質の劣化につながるという主張もある。
なお、バッファアンダーランエラー回避技術は[[DVD|DVD-R]]ドライブでは、仕様で必須の機能となっている。
 
=== その他の技術 ===
これらの機能が作動すると、ディスク上のピットパターンに微妙な不連続が生じる。CD-Rはデジタル記録であるためデータに異常が出ることはなく、不連続の大きさ自体も技術発展によって最小限にとどめられるようになった。しかし、音楽CDを作成した場合、この不連続が音質の劣化につながるという主張もある。
例えば、データ用CD-Rの場合は、容量の小さなファイルを幾つも記録する場合もある。このような場合に、書き込みの前に、ライティングソフトウェアの側で予め物理メモリ上などにファイルをキャッシュしておき、多数のファイルを読み取ったせいで時間を要した結果、バッファアンダーランが発生して上記のバッファアンダーランエラー回避機能を利用するといった事態が、そもそも発生しないように済ます機能を実装した例もある。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist}}
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
<references/>
 
== 関連項目 ==
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{{Normdaten}}
 
{{デフォルトソートDEFAULTSORT:CD-R}}
[[Category:コンパクトディスク|R]]
[[Category:オーディオストレージ]]