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[[ファイル:Shiratakinoodles.jpg|thumb|200px|糸こんにゃくを入れた鍋料理]]
 
通常、コンニャクと呼ばれる食品はコンニャクイモに含まれる[[グルコマンナン|コンニャクマンナン]]という[[多糖]]を[[デンプン#糊化|糊化]]し、[[アルカリ]]液(通常は[[水酸化カルシウム]]水溶液が用いられる。かつては[[灰]]を水で溶いた汁を使った)を用いて凝固させたもので、ぷにぷにとした独特加工される前は粉末食感を持つ形で流通する一旦凝固させそのめ、コンニャクは水溶性を持たず、強い弾力を示す。通常、ビ産業におけるコンール袋やプラスチッ食品パッ原料とはコンニャ詰めで販売されているが、[[缶詰]]などで販売されているもイモそのもある。独特臭みがありではなく調理に際しては一旦煮込で灰汁抜きにゃく粉るが、今日では灰汁抜きが不要な製品も多く見られる<ref name="Noubunkyo">[[農文協]](編)『地域食材大百科:第7巻 』 農山漁村文化協会 2013年 ISBN 978-4-540-11208-9 pp.356-369.</ref>
 
コンニャク食品はぷにぷにとした独特の食感を持ち、一旦凝固させたコンニャクは水溶性を持たず、強い弾力を示す。また、独特な臭みがあり、コンニャク食品が敬遠される最も大きな理由ともなっている<ref name="Noubunkyo"/>。この臭みの正体は、古くなった魚の魚臭と同じ成分である[[トリメチルアミン]]という低分子物質である。コンニャクのトリメチルアミンは撹拌しただけでは発生せず、アルカリ性になると発生する事がわかっているが、その生成機構は未解明である<ref name="Noubunkyo"/>。
コンニャクのカロリーは300 g(1枚)で21 キロカロリーと、非常に低い。四つ切りのコンニャク[[おでん]]に2gの練り[[からし|辛子]]をつけて食す場合、つけた練り辛子のほうがカロリーが高い(辛子6キロカロリー、コンニャク5キロカロリー)ほどである。[[食物繊維]]が豊富なこともあり、[[ダイエット]]食品([[健康食品]])としても人気がある。しかし、メッケル憩室保有者<ref>山本博崇, 本間陽一郎, 浜野孝、[https://doi.org/10.11231/jaem.30.81 Meckel憩室による食餌性腸閉塞の1例] 『日本腹部救急医学会雑誌』 Vol.30 (2010) No.1 P81-84, {{DOI|10.11231/jaem.30.81}}</ref><ref>中尾照逸、大尾充剛、内田寿博 ほか、「コンニャクによる食餌性イレウスをきたした Meckel 憩室の1例」『近畿大学医学雑誌』 29(1), 17-19, 2004-04-25, {{naid|110004615468}}</ref>や胃切除を行った人は[[イレウス|腸閉塞]]を起こしやすいとする報告<ref>高見元敞、木村正治、竹内直司 ほか、[https://doi.org/10.11231/jaem1984.7.855 腸管内異物によるイレウスの病像 ―食餌性イレウスと胆石イレウスを中心に―] 『腹部救急診療の進歩』 Vol.7 (1987) No.4 P855-860, {{DOI|10.11231/jaem1984.7.855}}</ref><ref>大辻英吾、菊岡範一、辻本洋行 ほか、[https://doi.org/10.3919/ringe1963.54.991 胃切除後に発症したシラタキコンニャクによる食餌性イレウスの1例] 『日本臨床外科医学会雑誌』 1993年 54巻 4号 p.991-994, {{doi|10.3919/ringe1963.54.991}}</ref>がある。
通常、ビニール袋やプラスチック製のパック詰めで販売されているが、[[缶詰]]などで販売されているものもある。調理に際しては一旦煮込んで灰汁抜きをするが、今日では灰汁抜きが不要な製品も多く見られる。
 
コンニャクのカロリーは300 g(1枚)で21 キロカロリーと、非常に低い。四つ切りのコンニャク[[おでん]]に2gの練り[[からし|辛子]]をつけて食す場合、つけた練り辛子のほうがカロリーが高い(辛子6キロカロリー、コンニャク5キロカロリー)ほどである。[[食物繊維]]が豊富なこともあり、[[ダイエット]]食品([[健康食品]])としても人気がある。また、物理的に腸の老廃物を押し出す効果があり「お腹の砂払い」とも呼ばれている<ref name="Noubunkyo"/>。しかし、メッケル憩室保有者<ref>山本博崇, 本間陽一郎, 浜野孝、[https://doi.org/10.11231/jaem.30.81 Meckel憩室による食餌性腸閉塞の1例] 『日本腹部救急医学会雑誌』 Vol.30 (2010) No.1 P81-84, {{DOI|10.11231/jaem.30.81}}</ref><ref>中尾照逸、大尾充剛、内田寿博 ほか、「コンニャクによる食餌性イレウスをきたした Meckel 憩室の1例」『近畿大学医学雑誌』 29(1), 17-19, 2004-04-25, {{naid|110004615468}}</ref>や胃切除を行った人は[[イレウス|腸閉塞]]を起こしやすいとする報告<ref>高見元敞、木村正治、竹内直司 ほか、[https://doi.org/10.11231/jaem1984.7.855 腸管内異物によるイレウスの病像 ―食餌性イレウスと胆石イレウスを中心に―] 『腹部救急診療の進歩』 Vol.7 (1987) No.4 P855-860, {{DOI|10.11231/jaem1984.7.855}}</ref><ref>大辻英吾、菊岡範一、辻本洋行 ほか、[https://doi.org/10.3919/ringe1963.54.991 胃切除後に発症したシラタキコンニャクによる食餌性イレウスの1例] 『日本臨床外科医学会雑誌』 1993年 54巻 4号 p.991-994, {{doi|10.3919/ringe1963.54.991}}</ref>がある。
古くからコンニャクを食用としてきた主な地域は、[[日本]]・[[中華人民共和国|中国]]・[[ミャンマー]]などのアジア各国である。中国では、[[貴州省]]や[[雲南省]]、[[四川省]]など少数民族が多い地域でよく食され、それらの地では「魔芋」という名称のほうが一般的である。日本と似たような[[煮物]]や[[惣菜]]のような調理が多いが、これらの地方の[[小吃]]では、コンニャクを[[ステーキ]]のように焼いた料理に、[[唐辛子]]や、[[薬味]]がたっぷり効かされている。
 
古くからコンニャクを食用としてきた主な地域は、[[日本]]・[[中華人民共和国|中国]]・[[ミャンマー]]などのアジア各国である。中国では、[[貴州省]]や[[雲南省]]、[[四川省]]など少数民族が多い地域でよく食され、それらの地では「魔芋」「魔芋豆腐」という名称のほうが一般的である。日本と似たような[[煮物]]や[[惣菜]]のような調理が多いが、これらの地方の[[小吃]]では、コンニャクを[[ステーキ]]のように焼いた料理に、[[唐辛子]]や、[[薬味]]がたっぷり効かされている。
 
日本への伝来時期には諸説あり、[[飛鳥時代]]に医薬として<ref>宮崎正勝『知っておきたい「食」の日本史』70P 角川ソフィア文庫</ref>[[仏教]]と共に伝来した<ref>関谷友彦、神戸良治、大河原順次朗、[https://doi.org/10.14863/geosocabst.2011.0.371.0 下仁田町のジオパーク活動] 日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会(水戸大会) セッションID: T20-P-4, {{doi|10.14863/geosocabst.2011.0.371.0}}</ref>、あるいは縄文時代にサトイモと共に伝来した<ref>[http://www.mannanlife.co.jp/learns/about_konnyaku/ 知ってますか?こんにゃくのこと] マンナンライフ</ref><!--資料的に不足があるならば敢えて特定するのは欺瞞としか言えない--><!-- 経由地に関する議論は史料・研究不足のため不要 -->とも言われ、その後、[[推古天皇]]の時代に本格的に中国から輸入されたと言われる。その目的は「砂払い(整腸)」の薬効であったが、[[鎌倉時代]]までに食品として確立し、[[精進料理]]に用いられるようになった。
 
欧米ではコンニャクは「Devil's tongue(悪魔の舌)」とも呼ばれ、あまり人気のない食材であった<ref name="Noubunkyo"/>。しかし、[[和食]]ブームとともに低[[カロリー]]の[[健康食品]]として欧米にも広がりつつある<ref>{{Cite news|title=メタボ大国アメリカで大絶賛されている日本の“ある食品”|newspaper=[[週刊ダイヤモンド|ダイヤモンド]]・オンライン|date=2015-12-11|url=http://diamond.jp/articles/-/83072}}</ref><ref>{{Cite news|title=「Konjac」仏で注目、「健康食」売り込み|url=http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151226-OYT1T50080.html|newspaper=[[読売新聞]](YOMIURI ONLINE)|date=2015-12-26|archiveurl=https://archive.is/TSbi9|archivedate=2016-01-05}}</ref>。特に、「しらたき」が健康的な[[パスタ]]として[[欧米]]で流行した。
 
コンニャクの原料となるコンニャクイモの[[2018年]]度([[平成]]30年度)の日本での収穫量は55,900t。主産地は[[群馬県]] (93.2%) で、第2位[[栃木県]] (2.7%) 、第3位[[茨城県]] (1.4%) と続いており、日本では約97%は[[北関東]]で生産されている<ref>[https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031915579&fileKind=0 平成30年産作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物) こんにゃくいも]</ref>。
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=== 製造法 ===
球茎を粉状(実際には単に球茎を粉砕した'''荒粉'''とマンナンを精製した'''精粉'''に分かれ、コンニャク製造の際は双方を混合して用いる)にして[[水]]とともにこねた後に[[石灰]]乳([[水酸化カルシウム|消石灰]]を少量の水で懸濁したもの。水酸化カルシウム水溶液)、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)水溶液、または草木の灰を水に溶いたものを混ぜて[[殺菌#温度|煮沸]]して固める。
 
一般的なコンニャクは副素材として[[ひじき]]や[[アラメ]]、[[ヒトエグサ]]などの海藻粉末を加えて色をつけるのは、昔は皮ごとすり下ろした芋を使っていた名残である<ref name="Noubunkyo"/>。江戸時代に製粉法が開発されて白いコンニャクを作ることが可能になったがコンニャクらしくないと評判が悪かったため、意図的に色をつけるようになった。[[滋賀県]][[近江八幡市]]には[[酸化鉄(III)|三二酸化鉄]]を加え、赤色に加工した「赤こんにゃく」がある<ref>[http://www.omi8.com/tokusan/akakonnyaku.htm 近江八幡観光物産協会 特産品豆知識 赤こんにゃく] </ref>。なお、コンニャクイモには[[シュウ酸カルシウム]]が含まれるため、加工には細心の注意が必要である(ゴム手袋を使うのが理想的)。
 
;生のコンニャク芋から作る場合
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}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.yotsuba-net.com/tokusan/konnyaku.htm|title=奥久慈のコンニャク|accessdate=2009-04-17}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.bunkajoho.pref.ibaraki.jp/senjin/index.php?Detail=true&no=125|title=中島 藤衛門(中島 藤右衛門)|publisher=[[茨城県]]|accessdate=2009-04-17}}</ref>。
 
==== 添加物調理法 ====
コンニャクはおもに[[おでん]]、[[煮物]]、[[味噌汁]]、[[豚汁]]など汁物や[[鍋料理|鍋物]]の具に使われる。また、串を刺して[[味噌田楽]]の素材としても用いられる。たこ焼きなどに味付けした物を小さく切って入れる物もある。「しらたき」は[[すき焼き]]やおでんなどに使用される。他に炒め物やこんにゃくステーキなども存在するなど使用法は幅広い。板こんにゃくは味がしみ込みやすいように表面に浅い切れ目を入れたり、手でちぎって調理されることもある。ただし調理の際に酸の強い調味料を使うと結合力が低下して軟化したり溶解してしまう場合があるので注意が要る。
コンニャクに[[ひじき]]などで色をつけるのは、昔は皮ごとすり下ろした芋を使っていた名残である。江戸時代に製粉法が開発されて白いコンニャクを作ることが可能になったがコンニャクらしくないと評判が悪かったため、意図的に色をつけるようになった。[[滋賀県]][[近江八幡市]]には[[酸化鉄(III)|三二酸化鉄]]を加え、赤色に加工した「赤こんにゃく」がある<ref>[http://www.omi8.com/tokusan/akakonnyaku.htm 近江八幡観光物産協会 特産品豆知識 赤こんにゃく] </ref>。なお、コンニャクイモには[[シュウ酸カルシウム]]が含まれるため、加工には細心の注意が必要である(ゴム手袋を使うのが理想的)。
 
==== しらたき・糸こんにゃく ====
関東では材料を細い穴から押し出してから凝固させて作る<ref>[http://www.e-hikawa.com/process.html コンニャクとしらたきの製造方法] 樋川商店、2020年12月26日閲覧</ref>細い糸状のこんにゃくを「しらたき(白滝)」と呼んでいた。これに対して、[[関西]]では板こんにゃくを細く切って糸状にした物を糸こんにゃくと呼んでおり、製法の違いもあって両者は別物と言われていたが、現在は糸こんにゃくも細い穴を通す製法になったために両者を区別する方法はなくなったとされる<ref>[http://www.konnyaku.com/info_konjac/kon42.html 糸こんにゃくと白滝の違いは?] 共栄蒟蒻株式会社、2020年12月26日閲覧</ref>。このように細い糸状のこんにゃくを、主に関東地方ではしらたき、関西地方では糸こんにゃくと呼んでいる。糸こんにゃくをより細くしたものをしらたきと区別する場合もある。なお、近年は東西問わず、白い「しらたき」や、おでん用に機械で巻かれた(結ばれた)ものが普及しているため、白いものを「しらたき」、こんにゃく色のものを「糸こんにゃく」と呼ぶことが一般的である。なお、こんにゃく突きなどの道具を用い5 - 10mm角程度の太さにしたものは突きこんにゃくと呼ばれ、主に炒め物や煮物に使われる。原板を細くするところは糸こんにゃくと同じだが糸こんにゃくとは別に扱われる。なお、「すき焼きにしらたき(糸こんにゃく)をいれると肉がかたくなる」との説は間違いであるとする調査結果が公表されている。<ref>[http://www.konnyaku.or.jp/pdf/2017.2.23.pdf 2017.2.23.pdf|日本こんにゃく協会]</ref>
 
2010年代に入った辺りから、[[フランス]]では低カロリーで調理時間が短くて済む[[パスタ]]の代用品などとして、しらたきが比較的利用されるようになった<ref>[http://www.excite.co.jp/News/bit/E1489573630160.html フランス人が「しらたき」にハマる理由]</ref>([[#パスタの代用]]も参照)。
 
=== 調理法 ===
コンニャクはおもに[[おでん]]、[[煮物]]、[[味噌汁]]、[[豚汁]]など汁物や[[鍋料理|鍋物]]の具に使われる。また、串を刺して[[味噌田楽]]の素材としても用いられる。たこ焼きなどに味付けした物を小さく切って入れる物もある。「しらたき」は[[すき焼き]]やおでんなどに使用される。他に炒め物やこんにゃくステーキなども存在するなど使用法は幅広い。板こんにゃくは味がしみ込みやすいように表面に浅い切れ目を入れたり、手でちぎって調理されることもある。ただし調理の際に酸の強い調味料を使うと結合力が低下して軟化したり溶解してしまう場合があるので注意が要る。
 
==== 玉コンニャク ====
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==== パスタの代用 ====
2010年代に入った辺りから、[[フランス]]では低カロリーで調理時間が短くて済む[[パスタ]]の代用品などとして、しらたきが比較的利用されるようになった<ref>[http://www.excite.co.jp/News/bit/E1489573630160.html フランス人が「しらたき」にハマる理由]</ref>([[#パスタの代用]]も参照)。
日本国外(主に[[アメリカ合衆国]])では、しらたきがダイエット食品の一種として[[パスタ]]の代用品に利用されており、「Shirataki noodle」(シラタキ・ヌードル)の名称で販売されている。通常のしらたきのほか、パスタに見た目を近づけるために[[豆腐]]を混ぜた「Tofu Shirataki」(トウフ・シラタキ)も販売されている<ref>[http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120713/1041936/?top4_img 米国で「しらたき」が大人気! パスタ代用品として暴走中!?] - [[日経トレンディ]]ネット・2012年8月1日</ref>。また、イタリアでは乾燥しらたきがやはりパスタの代用品として「ZENPASTA」(ゼンパスタ)の名称で販売されている<ref>[http://getnews.jp/archives/1450386 イタリアで人気の「ゼンパスタ」など。ダイエッターにおすすめのパスタをまとめて紹介!] - ガジェット通信・2016年4月25日</ref>。