削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
冒頭の記述を整理した。
タグ: 差し戻し済み
1行目:
{{Calculus |Integral}}
[[File:Integral-area-under-curve.svg|thumb|正値関数の積分は曲線の下部と軸で囲まれた部分(図の青く塗られた部分)の面積と解釈できる。]]
[[File:RandLintegrals.png|thumb|250px|リーマン積分(青色)、ルベーグ積分(赤色)]]
 
[[数学]]において、'''ルベーグ積分'''(ルベーグせきぶん、{{lang-en-short|[[:en:Lebesgue integration|Lebesgue integral]]}})とは、至るところ不連続な関数を積分{{Efn|一変数の非負値[[関数 (数学)|関数]]の[[積分]]は、最も単純な場合には、その[[関数のグラフ]]と {{mvar|x}} 軸の間の[[面積]]と見なすことができる。'''ルベーグ積分'''(ルベーグせきぶん、{{lang-en-short|[[:en:Lebesgue integration|Lebesgue integral]]}})とは、より多くの関数を積分できるように拡張したものであるを言う。ルベーグ積分においては、被積分関数は[[連続関数|連続]]である必要はなく、至るところ不連続でもよいし、関数値として[[無限大]]をとることがあってもよい。さらに、関数の[[定義域]]も拡張され、[[測度空間]]と呼ばれる空間で定義された関数を被積分関数とすることもできる{{Efn|「ルベーグ積分」(Lebesgue integration) という用語は、[[カラテオドリ]]に始まる一般の[[測度]]に関する関数の積分の一般論を意味することもあるし、[[ルベーグ測度]]に関して[[実数直線]](あるいは {{mvar|n}}-次元[[ユークリッド空間]])の特定の部分集合(特に[[ルベーグ可測集合]])上定義された[[ルベーグ可測関数]]を積分するという特定の場合を意味することもある{{sfn|伊藤|1963|p=78|ps=—「なお,初めに述べた一般の測度空間での積分を Lebesgue 式積分または単に Lebesgue 積分ということもある」}}。}}
 
数学者は長い間、十分[[滑らかな関数|滑らか]]なグラフを持つ非負値関数、例えば[[有界集合|有界]][[閉集合|閉]][[区間 (数学)|区間]]上の連続関数、に対しては、「曲線の下部の面積」を積分と定義できると理解しており、[[多角形]]によって領域を近似する手法によってそれを計算した。しかしながら、より不規則な関数を考える必要が、例えば[[解析学]]や[[確率論]]において[[関数の極限|極限]]を考えるときに生じたため、より注意深い近似の手法が適切な積分を定義するために必要なことが明らかとなった。また、[[局所コンパクト群]]のような、実数直線よりも一般の空間上で積分をしたいことがある。ルベーグ積分はこの重要な仕事をするために必要な正しい抽象化を与える。例えば、[[フーリエ級数]]などの関数列の極限として表される関数に対して、積分と極限操作が可換となるかどうかを[[リーマン積分]]で考えると非常に繊細な議論が必要だが、ルベーグ積分では、積分と極限操作の交換が可能であるための簡単な十分条件が分かっている。
 
ルベーグ積分は[[実解析]]と呼ばれる数学の分野に属する確率論や、他の多くの数理科学分野において、重要な役割を果たす。ルベーグ積分という名前は、その積分を導入した数学者[[アンリ・ルベーグ]]{{sfn|Lebesgue|1904}}<ref>H. Lebesgue (1902), ''Intégrale, longueur, aire'', Ann. Mat. Pura Appl., (3) '''7''', 231–359. {{doi|10.1007/BF02420592}}</ref> (Henri Lebesgue, 1875–1941) に由来している。それはまた{{仮リンク|公理的確率論|en|axiomatic theory of probability}}の中枢部でもある。
 
[[リーマン積分]]([[区分求積法]])では、関数のグラフを縦にスライスしてできた短冊の足し合わせの極限として積分する一方で、ルベーグ積分では関数のグラフを横にスライスしてから足し合わせるというところに特徴がある{{Efn|縦にスライスするリーマン積分では<math>\mathrm{d}x</math>は微小区間という意味合いがあったが、横にスライスするルベーグ積分ではもはや<math>\mathrm{d}x</math>は微小区間という意味合いを持たない。そのため、<math>\mu(\mathrm{d}x)</math>、または<math>\mathrm{d}\mu</math>などと表記される。}}。
「ルベーグ積分」(Lebesgue integration) という用語は、[[カラテオドリ]]に始まる一般の[[測度]]に関する関数の積分の一般論を意味することもあるし、[[ルベーグ測度]]に関して[[実数直線]](あるいは {{mvar|n}}-次元[[ユークリッド空間]])の特定の部分集合(特に[[ルベーグ可測集合]])上定義された[[ルベーグ可測関数]]を積分するという特定の場合を意味することもある{{sfn|伊藤|1963|p=78|ps=&mdash;「なお,初めに述べた一般の測度空間での積分を Lebesgue 式積分または単に Lebesgue 積分ということもある」}}。
 
== 概要 ==
数学者は長い間、十分[[滑らかな関数|滑らか]]なグラフを持つ非負値関数、例えば[[有界集合|有界]][[閉集合|閉]][[区間 (数学)|区間]]上の連続関数、に対しては、「曲線の下部の面積」を積分と定義できると理解しており、[[多角形]]によって領域を近似する手法によってそれを計算した。しかしながら、より不規則な関数を考える必要が、例えば[[解析学]]や[[確率論]]において[[関数の極限|極限]]を考えるときに生じたため、より注意深い近似の手法が適切な積分を定義するために必要なことが明らかとなった。また、[[局所コンパクト群]]のような、実数直線よりも一般の空間上で積分をしたいことがある。ルベーグ積分はこの重要な仕事をするために必要な正しい抽象化を与える。例えば、[[フーリエ級数]]などの関数列の極限として表される関数に対して、積分と極限操作が可換となるかどうかを[[リーマン積分]]で考えると非常に繊細な議論が必要だが、ルベーグ積分では、積分と極限操作の交換が可能であるための簡単な十分条件が分かっている。
 
== 導入 ==