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[[File:Schopenhauer.jpg|thumb|right|[[アルトゥル・ショーペンハウアー]] (1788–1860), 有名な反出生主義者]]
'''反出生主義'''(はんしゅっしょうしゅぎ、{{要出典範囲|はんしゅっせいしゅぎ|date=2021年3月25日}}<!-- (注記)読み仮名については過去にノートで議論がありました。[[ノート:反出生主義#「しゅっしょう」「しゅっせい」]] -->、{{lang-en-short|Antinatalism}})とは、生まれることおよび子を持つことを否定的に価値づけ、子を持つことを道徳的に悪いと判断する倫理的見解である。[[アルトゥル・ショーペンハウアー]]、[[エミール・シオラン]]、[[デイヴィッド・ベネター]]らが反出生主義の擁護者として知られる。一方、人間を生み出すことに対して肯定的な意見を持つ立場は{{仮リンク|出生主義|en|Natalism}}と呼ばれる。反出生主義という用語は出生主義に対抗するものである。
 
== 概要 ==
[[森岡正博]]によれば、ひとくちに「反出生主義」と言っても複数の種類があり、1.「誕生否定」すなわち「人間が生まれてきたことを否定する思想」と、2.「[[出産]]否定」すなわち「人間を新たに生み出すことを否定する思想」の二種類に大別できる{{Sfn|森岡|2020|p=14;17}}。前者1の「誕生否定」は更に、1-1.「自分が生まれてきたことを否定する思想」と、1-2.「人間が生まれてきたこと一般を否定する思想」の二種類に細分化できる{{Sfn|森岡|2020|p=17}}。各者2の「出産否定」密接に結びついているが厳密「[[生殖]]否定」<ref>{{Cite web|url=https://researchmap.jp/YuichiNAKAGAWA/presentations/29552911|title=「何は区別するべきだ同意が不在なのか──生殖の許容可能性される同意の不在問題について」第20回早稲田超域哲学研究会|accessdate=2021-05-02|author=中川優一|page=2}}</ref>「無生殖主義」「反生殖主義」 ({{Sfnlang-en-short|anti-procreationism}}) <ref>{{Cite journal|和書|author=古野裕一・穂積浅葱・森岡正博|2020year=2021|ptitle=14;17無生殖協会の目指すもの ― 本当に“善い”反出生主義に向けて|url=http://www.philosophyoflife.org/jp/seimei202103.pdf|journal=現代生命哲学研究|volume=10|page=68|publisher=早稲田大学人間総合研究センター}}</ref>とも呼ばれる
 
反出生主義(特に誕生否定)は、古今東西の[[哲学]]・[[宗教]]・[[文学]]において綿々と説かれてきた{{Sfn|森岡|2020|p=13-14}}。ただし、それらをまとめて「反出生主義」と呼ぶようになったのは[[21世紀]]の哲学においてである{{Sfn|森岡|2020|p=13}}。反出生主義の対義語として{{仮リンク|出生主義|en|Natalism}}がある
 
以下の各節で述べるように、反出生主義は様々な観点から説かれる。なかでも21世紀の哲学者[[デイヴィッド・ベネター]]は、[[倫理学]]上の「善」(better) と「悪」(worse) や[[快楽]]の総量の観点から、出産否定は倫理的な思想であるという結論を導き出し、全人類は出産をやめて段階的に[[絶滅]]するべきだと主張した{{Sfn|森岡|2020|p=14;274-276}}。このベネターの主張は「誕生害悪論」とも呼ばれる{{Sfn|森岡|2020|loc=第7章}}<ref name=":0">{{Cite journal|和書|author=吉本陵|year=2014|title=人類の絶滅は道徳に適うか? : デイヴィッド・ベネターの「誕生害悪論」とハンス・ヨーナスの倫理思想|url=http://doi.org/10.24729/00007063|journal=現代生命哲学研究|volume=3|DOI=10.24729/00007063}}</ref>。
 
==環境問題==
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== 出産の代わりに養子 ==
現在、世界中に何百万人もの孤児がいる。哲学者の{{仮リンク|テオフィル・ド・ジロー|en|Théophile de Giraud}}は、道徳的な問題を抱えた出産を行うよりも、愛情と保護を必要としている子供らを[[養子]]にする方が良いだろうと述べている<ref>T. de Giraud, ''L'art...'' op. cit., p. 51.</ref>。
 
== 森岡正博による説明 ==
[[森岡正博]]によれば、ひとくちに「反出生主義」と言っても複数の種類があり、「誕生否定」すなわち「人間が生まれてきたことを否定する思想」と、「[[出産]]否定」すなわち「人間を新たに生み出すことを否定する思想」の二種類に大別できる{{Sfn|森岡|2020|p=14;17}}。前者の「誕生否定」は更に、「自分が生まれてきたことを否定する思想」と「人間が生まれてきたこと一般を否定する思想」に細分化できる{{Sfn|森岡|2020|p=17}}。各者は密接に結びついているが、厳密には区別するべきだとされる{{Sfn|森岡|2020|p=14;17}}。
 
反出生主義(特に誕生否定)は、古今東西の[[哲学]]・[[宗教]]・[[文学]]において綿々と説かれてきた{{Sfn|森岡|2020|p=13-14}}。ただし、それらをまとめて「反出生主義」と呼ぶようになったのは[[21世紀]]の哲学においてである{{Sfn|森岡|2020|p=13}}。
 
反出生主義の対義語として{{仮リンク|出生主義|en|Natalism}}がある。また、森岡は「誕生否定」の対義語の「誕生肯定」について論じている{{Sfn|森岡|2020|p=306}}。
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
 
* {{Cite web|title=『現代生命哲学研究』|url=http://www.philosophyoflife.org/jp/|accessdate=2021-05-02|publisher=[[森岡正博]]・早稲田大学人間総合研究センター|author=}}
*{{Cite web|title=生まれることは悪いことか? では産むことは? 【特別対談】川上未映子×永井均 反出生主義は可能か〜シオラン、べネター、善百合子|Web河出|url=https://web.kawade.co.jp/bungei/3600/|accessdate=2021-04-02|publisher=[[河出書房]]|author=[[川上未映子]];[[永井均]]}}
 
{{デフォルトソート:はんしゆつしようしゆき}}