「懲戒処分」の版間の差分

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{{Law}}
'''懲戒'''(ちょうかい, Discipline)や'''懲戒処分'''(ちょうかいしょぶん)とは、一定組織内いて解説秩序維持のために科せられる制裁や、特別の監督関係または身分関係にある者に対し一定の義務違反を理由として科する制裁をいう<ref>{{kotobank}}</ref>
 
== 民間企業における懲戒処分 ==
{{Quote box|
処置の例 <ref name="jli1403">{{Cite report| |title=従業員の採用と退職に関する実態調査―労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ)― |date=2014-03-20 |journal=国内労働情報 |series=14-03 |publisher=独立行政法人労働政策研究・研修機構 |url= https://www.jil.go.jp/kokunai/reports/report003.html}}</ref>
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ただし実際には、企業は従業員の長期的キャリアを重視して、服務規律の違反があっても他の事実上ないし人事上の手段(上司による叱責、査定上の不利益、[[左遷]]、昇進取りやめ等)による処理を旨とし、懲戒処分の発動は、非行の性質・程度が重大なケースないしは企業秩序への挑戦の性格の濃いケースに限る傾向にある<ref>菅野和夫『雇用社会の法』有斐閣 p.82</ref>。このような実態を前提にして、労働基準法での就業規則への記載に係る条数は少ない。
 
== 公務員における懲戒処分 ==
[[公務員]]における懲戒処分とは、職員に非違行為があったとき、その職員に対する制裁としてなされる処分をいい、[[国家公務員法]]第82条、[[自衛隊法]]第46条、[[外務公務員法]]第3条、[[国会職員法]]第28条 - 第32条、[[地方公務員法]]第29条、裁判所職員臨時措置法に規定がある{{efn|なお、これらの法律による規定がなされる前は、'''文官懲戒令'''([{{NDLDC|788011/418}} 明治32年勅令第63号])(後に「官吏懲戒令」と改称)により懲戒処分が定められていた。}}。
 
職員は、法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることはない。任命権者は非違の程度や情状によって懲戒処分の内容を決定し、処分の選択については任命権者の裁量に委ねられている。なお、一の非違行為に対して二種類以上の懲戒処分を重ねて課することはできない。また、公務員における懲戒処分については、国家公務員は人事院規則で、地方公務員は地方公共団体ごとに条例で、その詳細が定められており、その実施にあっては、通常、その旨を記した書面を交付して行うよう規定している。
 
=== 懲戒処分の対象となる事由 ===
# 国家公務員法若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合(国家公務員)
# 地方公務員法若しくは同法第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合(地方公務員)
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特別職国家公務員である[[自衛隊員]]の懲戒処分の審査請求は、防衛大臣に対して行う{{efn|防衛装備庁の職員である隊員の場合は、自衛隊法第48条の2の規定に基づく。防衛装備庁の職員以外の場合は、行政不服審査法の規定により処分庁の主任の大臣が防衛大臣になる。}}。この審査請求の裁決は、裁決は防衛人事審議会の議決を経る必要がある<ref>自衛隊法第49条第4項</ref>。
 
地方公務員ならであれば[[人事委員会]]又は[[公平委員会]]に対して、'''審査請求'''を行う。
 
審査請求に対する裁決に不服がある場合は、裁判所に出訴することができるが、審査請求を行わずに裁判への出訴はできない<ref>国家公務員法第92条の2、自衛隊法第50条の2、地方公務員法第51条の2</ref>。
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それ故、公務員につき、国公法に定められた懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきである。もとより、右の裁量は、恣意<!--最高裁HPでは「懇意」とありますが、行政判例百選Ⅰ[第5版]158頁には「恣意」と書かれています。後者の方が文脈上意味が通るのではないかと思われるので、一応後者としました。HPは、PDFファイル作成時の誤植?-->にわたることを得ないものであることは当然であるが、懲戒権者が右の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。したがつて、裁判所が右の処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである。」</blockquote>
 
=== 司法警察職員、士業おけ対する懲戒処分手続の特例 ===
検事総長、検事長または検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示または指揮に従わない場合において必要と認めるときは、その者を懲戒しまたは罷免する権限を有する者(警察官であれば公安委員会など)に、それぞれ懲戒または罷免の訴追をすることができ、当該訴追を受理した者は、前項の訴追が理由のあるものと認めるときは、別に法律の定めるところにより、訴追を受けた者を懲戒しまたは罷免しなければならない。
{{see|懲戒請求}}
 
==士業に対する懲戒処分==
 
士業には、それぞれの根拠法に基づきそれぞれの懲戒権者による懲戒が規定されている。
 
また、第三者が懲戒手続の開始を申し立てることができるとされていることが多く、このような申立てを'''懲戒請求'''という。[[司法書士]]、[[行政書士]]等一部の士業に対する懲戒請求は、根拠法が「措置をとることを求める」と規定しているため「'''措置請求'''」と呼ばれることもある。
===弁護士===
{{main|弁護士の懲戒処分}}
=== 司法書士 ===
====司法書士法上の懲戒処分====
;懲戒事由
司法書士が司法書士法または同法に基づく命令に違反したこと(司法書士法第47条柱書)。
;懲戒処分の種類
*戒告
*二年以内の業務の停止
*業務の禁止
;懲戒請求(措置請求)
何人も、司法書士または司法書士法人に、司法書士法または同法に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる(司法書士法第49条第1項)。
====所属司法書士会による懲戒処分====
各司法書士が所属する単位[[司法書士会]]においても内規による懲戒処分が規定されている。その懲戒事由および懲戒の種類は各単位会に委ねられている<ref name=“jpo-hikaku”>{{cite web |url=https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/benrishi_shoi/document/seisakubukai-04-shiryou/shiryou_3-7.pdf |website=特許庁ウェブサイト |title=士業団体による会員の処分比較表 |format=pdf |accessdate=2021-07-26}}</ref>。
 
===行政書士===
====行政書士法上の懲戒処分====
;懲戒事由
行政書士法、同法に基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したときまたは行政書士たるにふさわしくない重大な非行があったこと(行政書士法第14条柱書)。
;懲戒処分の種類
*戒告
*二年以内の業務の停止
*業務の禁止
;懲戒請求(措置請求)
何人も、行政書士または行政書士法人について懲戒事由があると思料するときは、当該行政書士又は当該行政書士法人の事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる(行政書士法第14条の3第1項)。
====所属行政書士会による懲戒処分====
各行政書士が所属する単位[[行政書士会]]においても内規による懲戒処分が規定されている。その懲戒事由および懲戒の種類は各単位会に委ねられている<ref name=“jpo-hikaku”/>。
== 裁判所における懲戒処分 ==
{{see|司法行政権|裁判官#分限制度|裁判所法|裁判所書記官}}