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'''男の娘'''(おとこのこ{{Sfn|川本|2014|p=1}}{{efn2|「娘」を「こ」と読むのが正式だが、口頭で「おとこのこ」と発音すると元来の「男の子」と区別がつかなくなるため、「おとこのむすめ」「おとこのいらつめ」と読む場合もあるとされる{{Sfn|エキサイトnuman|2021}}。}}、{{Lang-en-short|Otokonoko}}{{Sfn|Kotaku|2011}}{{efn2|Otoko no musumeとも発音される{{Sfn|Kotaku|2011}}。}}、{{Lang-zh-short|偽娘}})は、日本の[[インターネットスラング]]のひとつ。2000年代にサブカルチャーの領域で発生し、2010年代に広く一般に普及してブームを起こした。[[2次元#架空における2次元という呼称|二次元]]および[[現実|三次元]]の「少女のような外見をした少年」を指すという一定の共通認識は成立しているが、厳密な解釈は定まっていない。
 
== 定義 ==
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| label3 = 二次元
}}
「男の娘」という言葉が登場したのは[[2000年代の日本|2000年代]]に入ってからのことであるとされる。2000年ごろに匿名掲示板「[[2ちゃんねる]]」に書き込まれたのが初出であるという説があり、サブカルチャー研究家の椿かすみ{{Sfn|椿|2015|p=192}}・ライターの来栖美憂{{Sfn|来栖|2015a|p=6}}らが紹介している{{efn2|ライターの[[森瀬繚]]は、初めて「男の娘」の使用が確認されたのは2002年9月、[[PINKちゃんねる]](2ちゃんねるの成年指定板)においてであったとしている{{Sfn|森瀬|2010|p=75}}。}}。来栖は、「子」を「娘」と書いて「こ」と読ませる発想はそれ以前から存在しており来栖によればルーツをはっきりさせるのは不可能に近いと述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=6}}。椿の調査によれば、この言葉は2006年9月9日に開催された[[同人誌即売会]]の名称「男の娘COS☆H」の一部として、初めて記録に残る形で使用された{{Sfn|椿|2015|p=192}}。「[[女装]][[ふたなり]][[女体化]]・異性への憑依などをした男の娘の同人誌即売会」が、その第1回の開催概要であった{{Sfn|椿|2015|p=194}}。「男の娘」という言葉は明確な定義がされないまま{{Sfn|来栖|2015b|p=32}}、インターネットスラング、[[インターネット・ミーム]]として広ま拡散していった{{Sfn|来栖|2015a|p=6}}。
 
二次元文化に端を発した「男の娘」がメディアで紹介される機会は、[[2009年]]以降、増えていった{{Sfn|吉本|2015|p=210}}。ところが、その多くは三次元の「男の娘」、つまり現実に存在する男性の女装であった{{Sfn|吉本|2015|p=210}}。二次元の流行が波及し、若年層を中心にポップでカジュアルな女装がおこなわれるようになったのである{{Sfn|朝日新聞|2014}}。「[[おかま|オカマ]]」「[[ニューハーフ]]」「女装少年(男子)」「女装子」など、似た意味の言葉は従来から多く存在していた{{Sfn|泉|2015|p=176}}。その中で「男の娘」が広く人口に膾炙した背景には、用語問題があった{{Sfn|永山|2015|p=154}}。侮蔑的・差別的なニュアンスを含む「オカマ」のような言葉に対し、人々は敏感になっていた{{Sfn|永山|2015|p=154}}{{efn2|例えば、川本直『「男の娘」たち』(2014年)のまえがきには次のように記されている。{{Quotation|{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}敢えて本書を『「男の娘」たち』と名づけた。さもなければ、あの忌まわしい「オカマ」という差別用語を使わざるをえなくなる。言わば、苦肉の策である。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}また、本書では、必要に迫られない限り、ニューハーフという言葉の使用を控えた。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}今では蔑称に成り代わっているからだ。|{{Harvnb|川本|2014|p=3}}}}}}。そこで決定的だったのが、漫画評論家の[[永山薫]]によれば、そこで決定的だったのが「男の娘」という語の登場であった{{Sfn|永山|2015|p=154}}。「直接的に「女装」の意味を含まず、婉曲的で、未だ手垢も付かず、ふわふわしていてカワイイ感じの「男の娘」が多くの人々のオトシドコロとして選択された」のである{{Sfn|永山|2015|p=154}}。時にはマーケティングの都合から「男の娘」が使用されることもあった{{Sfn|あしやま|2013|p=40}}{{Sfn|あしやま|2015|p=114}}。
 
したがって、「男の娘」の定義は、論者により様々であ、例えば以下のようになされている。
 
{| class="wikitable"
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| {{Sfn|田中|2015|pp=124-125}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|日本近代文学研究漫画家}}<br/>樋口康一郎[[幾夜大黒堂]]
| 最初の認識は女の子にしか見えない男性という意味合いとして捉えていました。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}たぶん狭義の男の娘――特に二次元限定で――はそういうことだと思うんですが{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}。いまは男の娘のバリエーションもかなり広がっていると思います。それこそ三次元も含むものになっているわけですし、それくらい広い意味を指すことばになっている。
| 2000年代以降、オタク文化/サブカルチャーの領域で「男の娘」と呼ばれる中性的な少年の表象が多く読者の人気を獲得し、現在ほぼ一般化している。「男の娘」は、一見、美少女に見える容姿を持ちながらも、性別は男性であるような少年であり、必ずしも女装しているとは限らない。
| {{Sfn|樋口幾夜|2015|p=85144}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|美術家}}<br/>[[柴田英里]]
| 「男の娘」といっても色々ある。元々は漫画やアニメなどの二次元文化において発生した、「女性にしか見えない容姿(及び内面)を持つ少年・青年キャラクターおよび彼らへの萌え要素」であったが、近年では次元を超えて、さらに容姿や内面に関係なく、女装行為を行う男性の総称としても定着してきた。
| {{Sfn|柴田|2015|p=131}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|[[カルチュラル・スタディーズ|文化研究]]}}<br/>溝口彰子
| {{Interp|三次元の|notooltip=1|和文=1}}「男の娘」は、性自認も生殖能力も男性のままで、着衣時の外見的には若くてかわいい女性に見え、なおかつ、女性と男性の両方をセックス・パートナーとする精力的な男性であるという、これまでになかった組み合わせをアピールする呼称であるようなのだ。
| {{Sfn|溝口|2015|p=168}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|ライター}}<br/>川本直
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| 三次元では敢えて言葉を濁している人が多いから、定義をはっきり確立させたほうがいいよ。誰一人、三次元で男の娘という言葉の定義をはっきりさせていない。だから、叩かれるのは当たり前だと思う。人によって定義が違うんだから。自分が「男の娘とは何か」と訊かれたら、それは女装もニューハーフも含むと断言するよ。
| {{Sfn|川本|2014|p=53}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|美術評論}}<br/>[[暮沢剛巳]]
| 特にこだわりたいのが、「男の娘」があくまでもフィクション作品に登場する架空のキャラクターであって実在の少年にはあてはまらない点と、そうした架空のキャラクターを対象とした萌え属性の一種である点である。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}キャラクターの内面に関しては、多くの作品において、「男の娘」は同年代の女性に恋愛感情を寄せる異性愛者として描かれていることに着目しておきたい。
| {{Sfn|暮沢|2010|pp=172-173}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|おたく文化史研究}}<br/>吉本たいまつ
| 現在の二次元表現に現れる「男の娘」は、非常に多様である。外見については「見た目は美少女」という点でほぼ共通している。しかし、内面の設定は様々である。「見た目は美少女だが内面は男らしい」という、非常にゆるい共通認識はあるが、女装に対する認識や性自認などはキャラクターごとに違う。内面の設定から「男の娘」を定義することは難しい。
| {{Sfn|吉本|2015|pp=210-211}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|漫画家}}<br/>秀良子
| 男の娘はわたしにとって二次元の存在というイメージが強くて{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}、どちらかと言うと[[魔法少女]]に近いような存在として捉えていて、わたしのなかでは男の娘がどういうものなのかというのはそこまで確立されているわけではないんですけど、女装男子とは違うものとして認識しています。
| {{Sfn|ふみ・秀|2015|p=57}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|ライター}}<br/>宮本直穀
| 「男の娘」は「女装少年」「[[ロリショタ]]」などの概念と一部が重なりながらもニュアンスは異なる。ざっくり'''「作品の受け手にとって女の子っぽさが可愛らしい少年」'''という、あくまで外部からの評価語というくらいに、まずは捉えておいてほしい。{{Interp|強調はママ|notooltip=1|和文=1}}
| {{Sfn|宮本|2017|p=209}}
<!-- 上と重複orあまり重要でない
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|サブカルチャー研究漫画評論}}<br/>椿かすみ永山薫
| 男の娘漫画の定義について筆者はアバウトに「相対的に若年で主人公または主要登場人物が常時、あるいは高い頻度で女装する漫画」という捉え方をしている。時代で区切るならば「ゼロ年代以降」だ。
| 現在、一般的に《男の娘》は「女装する男性」全般を指す言葉となっている。
| {{Sfn|椿永山|2015|p=192153}}
<!-- 上と重複
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|「プロパガンダ」主催日本近代文学研究}}<br/>[[西原さつき]]樋口康一郎
| 2000年代以降、オタク文化/サブカルチャーの領域で「男の娘」と呼ばれる中性的な少年の表象が多く読者の人気を獲得し、現在ほぼ一般化している。「男の娘」は、一見、美少女に見える容姿を持ちながらも、性別は男性であるような少年であり、必ずしも女装しているとは限らない。
| 男の娘という存在の、明確な定義は私もハッキリと分かっている訳ではない。ただ女性ホルモンの投与を受けておらず、身体は完全に男性の状態。でも顔は女の子にしか見えない。かつ、若い。というのが私の中での男の娘の印象だ。
| {{Sfn|樋口|2015|p=85}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|「プロパガンダ」主宰}}<br/>[[西原さつき]]
| 男の娘という存在の、明確な定義は私もハッキリと分かっている訳ではない。ただ女性ホルモンの投与を受けておらず、身体は完全に男性の状態。でも顔は女の子にしか見えない。かつ、若い。というのが私の中での男の娘の印象だ。そんな生き物、本当に実在するのだろうかと疑問に思うのかもしれない。というか、存在しないと思う方が自然かもしれない。二次元の世界では多い男の娘。しかし、三次元でも存在するのだ。嘘だと思うのであれば是非一度プロパガンダへ足を運んでみて欲しい。
| {{Sfn|西原|2015|p=111}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|「テクノコスプレ研究会」主宰}}<br/>あしやまひろこ
| 本稿では「男の娘」という語を、客観的に見て女子に見える、かつ肉体改造を施していない男性という意味で用いる。化粧の有無等は問わない。
| {{Sfn|あしやま|2015|p=114}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|美術家}}<br/>[[柴田英里]]
| 「男の娘」といっても色々ある。元々は漫画やアニメなどの二次元文化において発生した、「女性にしか見えない容姿(および内面)を持つ少年・青年キャラクターおよび彼らへの萌え要素」であったが、近年では次元を超えて、さらに容姿や内面に関係なく、女装行為を行う男性の総称としても定着してきた。
| {{Sfn|柴田|2015|p=131}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|[[カルチュラル・スタディーズ|文化研究]]}}<br/>溝口彰子
| {{Interp|三次元の|notooltip=1|和文=1}}「男の娘」は、性自認も生殖能力も男性のままで、着衣時の外見的には若くてかわいい女性に見え、なおかつ、女性と男性の両方をセックス・パートナーとする精力的な男性であるという、これまでになかった組み合わせをアピールする呼称であるようなのだ。
| {{Sfn|溝口|2015|p=168}}
|-
| style="white-space:nowrap" | {{fontsize|xx-small|サブカルチャー研究}}<br/>椿かすみ
| 現在、一般的に《男の娘》は「女装する男性」全般を指す言葉となっている。が、本稿では少し幅を狭めて、[[斎藤環]]が《[[戦闘美少女]]》の定義で用いたような「トラウマ」を持たない存在、ざっくりとまとめれば、フィクションに登場する「女性にしか見えない男性」を、ここでは考察の対象としたい。
| {{Sfn|椿|2015|p=192}}
|-
| style="white-space:nowrap" | ITmedia NEWS
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|}
 
[[File:Venn 男の娘 subset 女装.png|left|thumb|150px|泉らの概念図。「かわいくなければ男の娘にあらず」(水野麗){{Sfn|水野|2015|p=200}}。]]
[[File:Venn 男の娘 union 女装.png|left|thumb|150px|女装を必須としない立場の図{{Sfn|ボク姫PROJECT|2021}}。]]
漫画研究家の泉信行は、従来の「オカマ」「ニューハーフ」などの言葉は、女装という「行為」が主体となって付けられるものであったとし、行為の成否までは問われなかったと指摘する{{Sfn|泉|2015|p=176}}。泉は「似合わなくても呼び方は変わらないので、むしろ似合っていない例こそが悪目立ちしてきた。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}だが逆に、「男に女装は似合わない」という保守的な思い込みが乗り越えられてしまえば、もうそれを従来の言葉では表せなくなってくる。」と述べ、ある対象が「男の娘」であるかどうかは見る側が決めるものであると結論している{{Sfn|泉|2015|pp=176-177}}。
「女装」という概念は、男性が女性風の装いをすることで自然と発生する{{Sfn|あしやま|2013|p=39}}。漫画研究家の泉信行は、しかるに、従来の「オカマ」「ニューハーフ」などの言葉は、女装という行為によって付けられはするが、その成否までは問われなかったと指摘する{{Sfn|泉|2015|p=176}}。泉は「似合わなくても呼び方は変わらないので、むしろ似合っていない例こそが悪目立ちしてきた。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}だが逆に、「男に女装は似合わない」という保守的な思い込みが乗り越えられてしまえば、もうそれを従来の言葉では表せなくなってくる。」と続ける{{Sfn|泉|2015|pp=176-177}}。
 
{{Quote|「男の娘」は、まず第一に「女子にしか見えない/女子より女装が似合う」といった容姿への賛辞が前提としてある。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}「充分に女子として'''[[男性のまなざし|見られる]]'''」という「[[まなざし (哲学)|見る側]]」の視点から呼ばれる言葉なのだ。|{{Harvnb|泉|2015|pp=176-177}}、出典の強調は傍点}}
 
宮本直穀も「外部からの評価語」である点を見抜いている{{Sfn|宮本|2017|p=209}}。水野麗も、「男の娘」という語のうちに「かわいい女の子にしかみえない」という審美的な基準が暗に内包されていることを指摘している{{Sfn|水野|2015|p=200}}。田中東子も{{Harvnb|来栖|2015b|p=32}}の説明のうちに「少年」が「きれいに」(もしくは「かわいらしく」)「女装」をするという3つの要素が分かちがたく含まれている点に注意を向けている{{Sfn|田中|2015|p=125}}。「男の娘」はしばしば「女装少年」と混同される{{Sfn|水野|2015|p=200}}。水野によれば、それは「女装少年」という語も審美的な基準を含むものであり、「男の娘」同様、かわいらしさという条件を最重要視しているためであと分析している{{Sfn|水野|2015|pp=199-200}}。テクノコスプレ研究会主宰のあしやまひろこは、「女装」を現実的な言葉、対して「男の娘」を空想的・理想的な言葉と位置付けている{{Sfn|あしやま|2013|p=39}}。
 
一定の共通認識が存在するにもかかわらず、「この言葉の定義をめぐる領域は、銃弾飛び交う戦場にも似てい」ると川本直は述べる{{Sfn|川本|2014|p=1}}。まず、三次元に実在する人間が「男の娘」という語を使用することに、二次元の住人からは批判する声があるといい、同じ三次元同士でも争いがあるという{{Sfn|川本|2014|pp=1-2}}。二次元においても事情は同様であり、例えば以下は、主人公が女装して女学園に潜入する[[アダルトゲーム]](いわゆる女装潜入もの)の開発者による座談会の発言である{{Sfn|BugBug 2016年12月号|p=151}}。
 
{{Quotation|'''東ノ助''':『[[月に寄りそう乙女の作法]]』の情報を公式HPで解禁した時、主人公の紹介に「男の娘」って書いてあったんです。そうしたら発売後にユーザーさんから「朝日は男の娘じゃない!」ってお叱りをいただきました。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}<br/>'''NYAON''':実は私も『[[オトメ*ドメイン]]』のコンセプト紹介で湊を「男の娘」って書いてしまって、怒られました。|{{Harvnb|BugBug 2016年12月号|p=151}}}}
 
吉田悟郎の漫画作品『オトコの娘ラヴァーズ!!』(2013年)は、こうした状況について、「女装している子を愛でたい人」「可愛く女装したい人」「可愛い男の子が好きな人」など、そもそもは異なる対象を愛好していた人々が、「男の娘」という便利な言葉の登場に伴い、無理矢理一緒くたにされたため、混乱が生じているものという解説をおこなっている{{Sfn|吉田|2013|pp=51-52}}。来栖は、「男の娘」の定義の曖昧さが、逆に女装コスプレ人口の増加に繋がったとの見方を示している{{Sfn|来栖|2011|p=49}}。『オトコノコ倶楽部』『オトコノコ時代』の編集者・井戸隆明は、「男の娘」という語のユーザーは、「男の娘」という概念に対しそれぞれなりの所有意識を持っていると述べる{{Sfn|井戸|2015|p=190}}。「男の娘はこうだというふうに誰かに決められたくない、定義されたくないという無意識の欲望があるんじゃないか」と述べ、無理に定義せずに曖昧さを残しておくほうが望ましいと語っている{{Sfn|井戸|2015|p=190}}。
 
== 成立 ==
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=== ブームへといたる流れ ===
==== 漫画 ====
漫画表現においては「男性なのに女性の描画コードを使う」ことで受け手の認識を混乱させる手法が、[[手塚治虫]]『[[リボンの騎士]]』(1953年)以降しばしば用いられてきた{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。多くの専門家の見解が一致するところ{{Sfn|暮沢|2010|p=175}}{{Sfn|来栖|2012|p=103}}{{Sfn|川本|2014|p=136}}{{Sfn|永山|2015|p=151}}{{Sfn|吉本|2015|p=212}}、後の「男の娘」ブームの始点・先駆・あるいはルーツとなる作品は、[[江口寿史]]『[[ストップ!! ひばりくん!]]』(1982年)であるとされる。ヒロイン役の大空ひばりは事実を知らなければ美少女にしか見えない少年であった{{Sfn|川本|2014|p=136}}。おたく文化史研究家の吉本たいまつは、ここでも明示的な描画コードの転倒が行われていると述べる{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。来栖は、[[江戸川乱歩]]の小林少年、[[横山光輝]]『[[伊賀の影丸]]』の影丸が女装していた頃には、既に一部に熱狂的なファンがついていたとしつつ、そこへ「大きな一石を投じ」たのが『ひばりくん』であったと述べる{{Sfn|来栖|2012|p=103}}。「ひばりくんの可愛さは衝撃的であり、彼が近代女装美少年文化の始点という評価に異を唱える者はまずいないだろう」と断じている{{Sfn|来栖|2012|p=103}}。吉本は、『ひばりくん』では従来の作品より明確に「男の子でもかわいければ恋愛・性の対象にしてもよい」という視点が示されていると述べている{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。
 
『ひばりくん』の後、描画コードの転倒は、少年漫画においてしばらく途絶えるが{{Sfn|来栖|2012|p=103}}、[[川原由美子]]『[[前略・ミルクハウス]]』{{Sfn|来栖|2012|p=103}}・[[那州雪絵]]『[[ここはグリーン・ウッド]]』・[[高河ゆん]]『[[アーシアン]]』{{Sfn|森瀬|2010|p=74}}など、少女漫画{{efn2|『ここはグリーン・ウッド』『アーシアン』は男性にも活発に読まれた{{Sfn|森瀬|2010|p=74}}。}}に一旦受け継がれる形で{{Sfn|来栖|2012|p=103}}、ひとつの潮流として継続していった{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。そこへ登場したのが[[小野敏洋]]『[[バーコードファイター]]』(1992年)であった。小学生向けの漫画雑誌『コロコロコミック』に連載された同作品のヒロイン役・有栖川桜は、容姿も行動も可愛い女の子であった{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。ところが読者の人気を充分獲得した後{{Sfn|来栖|2012|p=103}}、桜が女装した男子であったことが公表されたのである{{Sfn|来栖|2013|p=283}}{{Sfn|永山|2015|p=151}}。永山は、このことが、桜を女の子と信じていた小学生読者の度肝を抜き、彼らにトラウマを与えたと解説する{{Sfn|永山|2015|pp=151-152}}。来栖はこの出来事を「オトコの娘史に残すべき大事件」と形容している{{Sfn|来栖|2013|p=283}}。『バーコードファイター』では女装した男子が一貫して肯定的に描かれた{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。永山は、一部の読者に対しては「女装男子でも可愛いからいいのだ」「むしろ男の子の方がいい」という新しい扉を開いたと述べている{{Sfn|永山|2015|pp=151-152}}。
 
しかしその後の1990年代、女装少年の漫画文化は長い沈黙に入る{{Sfn|川本|2014|p=138}}{{efn2|『[[魔女っ子戦隊 パステリオン]]』(1995年)などの例外はあったものの、評判を取るまでにはいたらなかった{{Sfn|川本|2014|p=138}}。}}。
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| fontsize = x-small
}}
一方、アニメにおいては701970年代初頭から、年少のかわいい男子を愛好する動きがあった。いわゆる[[ショタコン]]である{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。『[[機動戦士ガンダム]]』(1979年)以降、アニメ作品に描かれるキャラクターの年齢は高めに設定されることが多くなっていたが、少年を主人公とするアニメには依然根強い需要があり{{Sfn|吉本|2015|p=212}}、『[[キャプテン翼#二次創作|キャプテン翼]]』{{Sfn|吉本|2015|p=213}}など、主として女性ファンによる二次創作がおこなわれていた{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。特に大きな影響力があった作品として、吉本は『[[魔神英雄伝ワタル]]』(1988年)を挙げている{{Sfn|吉本|2015|p=212}}。『ワタル』に始まる少年アニメのヒットは、ショタ愛好を顕在化させ、少年ものの二次創作を活発化させていった{{Sfn|吉本|2015|pp=212-213}}。そして1995年に『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』『[[ロミオの青い空]]』が放映されると、ショタ好きの男女は大いに盛り上がる{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。特に、煙突掃除夫の2人の少年の友情を描いた『ロミオ』の衝撃は大きかった{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。2人の友情は愛情と読み替えることができたため、強烈な「ショタ萌え」「腐萌え」を引き起こしたのである{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。
 
{{Quote box
| quote = 80年代末期には、BLから派生したショタが男性向けジャンルと相互乗り入れしたアンソロジーが何種類か登場した。これが、後に女性作家の男性向けジャンルへの大量越境の橋頭堡となったわけだが、ショタジャンル自体は限定的なブームに留まった。多くの女性作家/読者にとって同性愛表現が興味の中心だったが、男性作家/読者の中には[[ホモフォビア]]も根強く、男性ジャンルではむしろ、ショタブームから派生した、[[おねショタ|オネ×ショタ]]、ショタ×オネ、女装少年という形で拡散し、浸透していく
| source = {{Harvnb|永山|2015|ppp=153-154}}
| align = right
| width = 250px
| fontsize = x-small
}}
そうした中、「男の娘」の源流を形成したのがショタアンソロジーであった{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。ショタアンソロジーとは、小学校高学年くらいの少年同士、または少年と若者の性行為が描かれる作品を集めた[[アンソロジーコミック]]であ{{Sfn|吉本|2015|p=213}}最も多くの巻数が発行された『[[ロミオ (雑誌)|ROMEO]]』(『ロミオ』に由来する)に代表され、ピークの1998年には63種もの単行本が刊行されていた{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。これらは、[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律|児童ポルノ法]]によりショタものも規制の対象になるという情報が流れたため、1999年に一度壊滅する{{Sfn|吉本|2015|p=214}}。ショタアンソロジーは少年ものの二次創作を出身とする作家が多く{{Sfn|吉本|2015|p=213}}、作家の約75%が女性であり、女性による女性向けの性描写という側面も持っていた{{Sfn|吉本|2015|p=214}}。そのため、一部は2000年代初頭のBL[[ボーイズラブ]]へと流れていったが{{Sfn|吉本|2015|p=214}}、しかし、多くの作家が後の成年向け「男の娘」漫画で活躍することになる{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。吉本は、ショタアンソロジーにより、かわいい男の子が「性的に消費される存在」「性の客体」になっていったと分析する{{Sfn|吉本|2015|p=214}}。
 
{{Bquote|ショタアンソロジーが果たした重要な役割は〈'''かわいい男の子を性的に消費する表現を確立した'''〉ことであった。|||{{Harvnb|吉本|2015|p=214}}、出典の強調は傍点}}
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| 鰤たんと俺たちで創る理想郷
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吉本は、現代の「男の娘」の直接の先祖となるキャラクターは、アーケード格闘ゲーム『{{読み仮名|[[GUILTY GEAR XX]]|ギルティギア イグゼクス}}』(2002年)に登場する[[ブリジット (GUILTY GEAR)|ブリジット]]であるとしている{{Sfn|吉本|2015|p=214}}。宮本もブームの軸を遡るとブリジットに行き当たると述べている{{Sfn|宮本|2017|p=210}}。ブリジットはヨーヨーを武器に戦う、修道女風の服装に身を包んだ{{Sfn|吉本|2015|pp=214-215}}金髪のキャラクターである{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。外見は女の子にしか見えず{{Sfn|川本|2014|p=139}}、稼働前当初の情報では少女であると信じられていた{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。ところがその後、ブリジットが男であることが明かされたのである{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。この発表もまた大きな衝撃をもって迎えられた{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。吉本・宮本によれば、当初は否定的な反応が見られたが、次第に「男の子でも萌えるのでは?」{{Harv|吉本|2015|p=215}}・「それならそれで」{{Harv|宮本|2017|p=210}}という雰囲気へと変わっていったとされる{{Sfn|吉本|2015|p=215}}{{Sfn|宮本|2017|p=210}}。来栖の取材したところによれば、メーカーには、「男の娘」として売り出すためにわざと性別を隠しておき、センセーショナルな発表を行うという意図はなかった{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}{{efn2|ブリジットの造形は、単にデザイナーの趣味であったらしい{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。}}。しかし「実は男」という設定が話題を呼ぶことになった{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。
 
ブリジットの影響で、2002年から2003年にかけ{{Sfn|吉本|2015|p=215}}、『好色少年のススメ』『少年愛の美学』『[[少年嗜好]]』など、ショタアンソロジーが成年マーク付きで復活していく{{Sfn|川本|2014|p=139}}。901990年代と違い、女装少年の登場する作品が多数掲載されるようになっていた{{Sfn|川本|2014|p=139}}{{Sfn|吉本|2015|p=215}}{{efn2|例えば2003年1月の『好色少年のススメ』では、13作品中5作品が女装ものであった{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。}}。ショタと女装が結びついていったのである{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。
 
{{Bquote|ブリジットが果たした役割は、〈'''かわいい少年と女装を結びつけた'''〉ことにあった。|||{{Harvnb|吉本|2015|p=215}}、出典の強調は傍点}}
 
[[File:Cosplayer of Bridget from Guilty Gear XX in Tokyo 20140321.jpg|300px|thumb|right|ブリジットのコスプレ。「こんな可愛い子が女の子のはずがない」。]]
ブリジットにより、かわいい少年を女装させたら一層「いい」ことが発見されたと、吉本は述べている{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。しかし、ブリジットの女性服は体の線を隠しており、男の子の体型にフィットしたものではなかった{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。吉本は、「男の娘」の描き方が確立されるまでには、もう少しの進歩が必要であったと解説している{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。ともあれ、結果としてブリジットは、「女装少年の先駆けとして定着」{{Harv|吉本|2015|p=215}}していく。画像掲示板の「[[ふたば☆ちゃんねる]]」では、「こんな可愛い子が{{Underline|女の子}}のはずがない」という「男の娘」を象徴する有名な倒錯フレーズが生まれた{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。吉本によれば、このフレーズはブリジットに端を発している{{Sfn|吉本|2015|p=215}}。そして2002年のうちに、ブリジット単独でをメインに据えた、女装・女性化・ふたなりの同人誌即売会「鰤計画」{{efn2|後に「計画」へと名称変更された{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。「鰤」は同人誌コミュニティにおけるブリジットの愛称{{Sfn|来栖|2015a|p=31}}。「計画」の由来は、少女趣味的なデザインで有名なアパレルブランド「PINK HOUSE」の愛好者が集う「ピンクハウス計画」である{{Sfn|椿|2015|p=198}}。{{Harvnb|来栖|2015a|p=16}}、{{Harvnb|上手|2011|p=188}}では「ブリジットオンリー(単独)即売会」とされている。}}が開催され、盛況となった{{Sfn|来栖|2015a2011|p=1645}}。鰤計画には多くの女装コスプレイヤーが参加しており、二次元と三次元のクロスオーバーが発生した{{Sfn|川本|2014|p=139}}{{efn2|1990年代後半の[[メイド#「メイド萌え」の成立|メイドブーム]]以降、女装コスプレイヤーの数は増加傾向を示していたが、多くのコスプレイベントは主に外見上の快・不快の問題から、彼らを閉め出していた{{Sfn|来栖|2011|p=44}}。鰤計画はそのような状況に一石を投じた{{Sfn|来栖|2011|p=45}}。}}。さらに鰤計画には、後の「男の娘」ブームを支えることになる人々も多数参加していた{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。ブリジットの人気は、「男の娘」文化を形成していく人々が交流する場をも生み出したのである{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。
 
来栖鰤計画の刺激を受けた{{Sfn|上手|2011|pp=188-189}}2006年の「男の娘COS☆H」では、ブリジット参加者の交流により重きが置かれるようになった{{Sfn|来栖|2011|p=45}}。そこにおいて「男の娘」という語が初めて記録に残る形で使用されたことは既に述べた。来栖は、「男性向け女装少年」というジャンル確立され、「男の娘」という言葉定着したは、ブリジットに依るところが大きいと述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=16}}。
 
==== 百合 ====
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901990年代後半以降、テレビアニメ『[[少女革命ウテナ]]』(1997年)・[[今野緒雪]]による少女小説『[[マリア様がみてる]](マリみて)』(1998年)のヒットを契機として百合ブームが発生し、ジャンルとして定着した{{Sfn|樋口|2015|p=87}}。2003年、『マリみて』は男性にもブームになり、2004年にはテレビアニメが放映される{{Sfn|吉本|2015|p=223}}。男性が登場しない美少女ばかりの学園で、少女同士が恋愛的な関係を結ぶ様に、男性たちは「萌えた」のである{{Sfn|久米|2013|p=77}}。多くの専門家が、特にアダルトゲームにおける女装ものブームの背景に、この百合ブームがあったことを指摘している{{Sfn|椿|2015|p=198}}。
 
『[[PC NEWS]]』編集長の今俊郎は、アダルトゲーム市場のムーブメントは、一般に周辺市場に追随して生じると説明し、後述の『[[処女はお姉さまに恋してる]](おとめはボクにこいしてる、おとボク)』(2005年)のブレイクも決して偶然ではなかったと述べる{{Sfn|今|2005|p=74}}。ゲームライターの彼佐真近も、女装美少年ものが2005年当時急速に流行しだしたことは、『マリみて』という下地があったからこそだと分析している{{Sfn|彼佐|2005|p=75}}。宮本も、『マリみて』のブームと『おとボク』の登場が時期的に符合していると指摘しており、また、後者の舞台・設定に、前者に通じるものを見いだしている{{Sfn|宮本|2017|p=205}}。今俊郎は、『マリみて』のヒットが『おとボク』を生み出したと断じている{{Sfn|今|2005|p=74}}。
 
日本近代文学研究家の久米依子も同様の認識のもとで、主人公が「男の娘」化するのちのライトノベル作品も、百合ブームから繋がった『おとボク』の影響を直接に受けたと推測している{{Sfn|久米|2013|p=77}}。
『[[PC NEWS]]』編集長の今俊郎は、アダルトゲーム市場のムーブメントは、一般に周辺市場に追随して生じると説明し、後述の『{{読み仮名|[[処女はお姉さまに恋してる]]|おとめはボクにこいしてる|おとボク}}』(2005年)のブレイクも決して偶然ではなかったと述べる{{Sfn|今|2005|p=74}}。ゲームライターの彼佐真近も、女装美少年ものが2005年当時急速に流行しだしたことは『マリみて』の影響が大きいと分析しており、『マリみて』という下地があって女装美少年ものの流行が生まれたと述べている{{Sfn|彼佐|2005|p=75}}。宮本も、『マリみて』のブームと『おとボク』の登場が時期的に符合していると述べており、また、後者の舞台・設定に、前者に通じるものを見いだしている{{Sfn|宮本|2017|p=205}}。今俊郎は、『マリみて』のヒットが『おとボク』を生み出したと断じている{{Sfn|今|2005|p=74}}。
 
==== アダルトゲーム ====
女装少年の広まりに、重要な役割を果たしたのがアダルトゲームであった{{Sfn|吉本|2015|p=216}}。2004年までは、アダルトゲームにおいて女装少年は賛否両論の存在であった{{Sfn|吉本|2015|p=216}}{{efn2|例えば、2004年に発売された『[[はなマルッ!]]』は、ヒロイン役の桐島薫が男性であることが発売前は伏せられていたため、購入したユーザーの中にはメーカーに抗議する者もあったという{{Sfn|森瀬|2010|p=75}}{{Sfn|来栖|2015a|p=18}}。}}。その状況を大きく変えたのが、2005年に発売された『おとボク』と『[[はぴねす!]]』であったる{{Sfn|暮沢|2010|p=177}}{{Sfn|吉本|2015|p=216}}。『おとボク』の主人公・宮小路瑞穂と、『はぴねす!』のサブキャラクター・渡良瀬準の2人は女装した男子であった{{Sfn|吉本|2015|p=216}}。来栖は、瑞穂と準が2000年代半ばを代表する「男の娘」であったとし、2人が同じ年に登場したのは偶然ではなかったという趣旨を述べている{{Sfn|来栖|2015a|pp=17-18}}。
 
瑞穂と準は、大空ひばり{{Sfn|あしやま|2015|p=116}}や有栖川桜{{Sfn|吉本|2015|p=212}}らと違い、「自分を男だと明確に認識している」キャラクターであった{{Sfn|吉本|2015|p=216}}。吉本は、瑞穂と準を「まさに「男の娘」と呼ばれるに相応しいキャラクターであった」と評し、この2人により、それまではっきりしなかった「男の娘とはどのようなものであるか」という基準が明確化されていったと述べる{{Sfn|吉本|2015|p=216}}。
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2007年8月、秋葉原に女装メイド喫茶「{{読み仮名|雲雀|ひばり}}亭」が開店する{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}{{Sfn|ASCII.jp|2008}}。PCパーツ界隈のメイド喫茶や呑み屋を1日借り切って営業するというスタイルであった{{Sfn|ASCII.jp|2008}}。メイド喫茶ブームに陰りが見え始めていた時期のことで、新規性から話題となり{{Sfn|来栖|2015a|p=31}}、最盛期には6時間待ちの行列ができた{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}。これがロイター通信によって報じられ、世界中に日本の女装文化が知られるようになる{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}。
 
同じ2007年{{Sfn|井戸|2015|p=183}}8月、[[モカ (経営者)|モカ]]という女装者により、定期開催の女装イベント「プロパガンダ」が立ち上げられた{{Sfn|川本上手|20142011|p=22188}}。第1回の会場は[[新宿二丁目]]の「タントラ」でった{{Sfn|川本|2014|p=23}}。収容人数50人の店に100人以上が押し寄せであった{{Sfn|川本|2014|p=23}}。[[ミクシィ]]コミュニティでの告知から始まった{{Sfn|川本|2014|p=23}}「プロパガンダ」は、女装ブーム回を追うごと乗っ参加人数が膨らんでいき、やが急速に国内最大規模を拡大の女装の祭典へと成長していく{{Sfn|川本朝日新聞|2014|p=23}}。
 
=== 「男の娘」ブーム ===
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2006年以降、「男の娘」という存在が次第に認知され、一般化していく{{Sfn|吉本|2015|p=217}}。アダルトゲームでは「男の娘」という概念が創る側に意識されはじめ、『[[ツイ☆てる]]』(2007年)公式の紹介文にこの言葉が出てくる{{Sfn|宮本|2017|p=210}}。ショタアンソロジーでも、2007年末になり「男の娘」という表現が初めて登場する{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。2008年のメディアミックス、『[[オトコのコはメイド服がお好き!?]]』を分析した吉本は、渡良瀬準に始まった「男の娘」キャラクターの描き方がこの時期には確立していると判断している{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。2009年にかけて「男の娘」は急成長していく{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。2009年の[[ニンテンドーDS]]向けソフト『[[THE IDOLM@STER Dearly Stars]]』の主人公の一人は、女装した少年であった{{Sfn|来栖|2015a|pp=20-21}}{{Sfn|吉本読売新聞|2015|p=2182010}}。情報の出し方がブリジットのときと似ており、賛否両論を起こしたが、人気キャラクターとして定着した{{Sfn|来栖|2015a|p=21}}。
 
2009年9月、[[三和出版]]から成年向け女装美少年総合専門誌『オトコノコ倶楽部』が創刊される({{efn2|後に出版社を移し、井戸の独立に伴い『オトコノコ時代』改称{{Sfn|井戸|2015|p=184}}。}}が刊行され{{Sfn|川本|2014|p=76}}。ニューハーフ雑誌が終焉を迎えつつあった時期でもあり、増刷がかかり創刊号はマニア誌としては異例の発行部数を記録した{{Sfn|井戸|2015|p=184}}{{efn2|{{Harvnb|井戸|2015|p=184}}によれば1万数千部。{{Harvnb|川本|2014|p=76}}によれば1万部以上。マニア誌の増刷というのは当時はほぼなかったという{{Sfn|井戸|2015|p=185}}。}}。同誌編集者の井戸は、「男の娘」という語当時頻繁にネットで見かけるようになっていたといい、「男の娘ということばのポップな、現代的なイメージを借上げれば、ことば自体もキャッチーだし、もっと幅広い層に受けるんじゃないか」と考えという{{Sfn|井戸|2015|p=184}}。2009年ごろまで「男の娘」は「女装少年」という語とシェアを競っていたが、2010年代に入ると「男の娘」という言葉が一般化し、「女装少年」という言葉を置き換えるようになっていく{{Sfn|川本|2014|p=142}}。
 
三次元では、「プロパガンダ」以降、女装関係の飲食店・イベントが増えていく{{Sfn|川本|2014|p=73}}。
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2009年9月{{Sfn|川本|2014|p=75}}「雲雀亭」のスタッフが独立する形で{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}「男の娘カフェ&バー NEWTYPE」が開店する{{Sfn|川本|2014|p=75}}{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。経営者は「茶漬け」であった{{Sfn|川本|2014|p=75}}。「NEWTYPE」は常設の店舗であり{{Sfn|来栖|2012|p=105}}、メディア展開に積極的であった{{Sfn|川本|2014|p=75}}。店員の写真集やDVDを発売し、「秋葉原の女装文化の中心的な存在」{{Harv|川本|2014|p=76}}になっていく{{Sfn|川本|2014|pp=75-76}}{{efn2|写真集には『[[女々男子|女々男子〜綺麗な男の娘は好きですか〜]]』『女々男子∞』『ゆりだんし』など{{Sfn|川本|2014|pp=75-76}}。}}・DVD『ゆりだんし』は1万部弱が発行された{{efn2Sfn|朝日新聞|2014}}。DVDには『男の娘DVD〜実は私達、男の娘なのです。〜』『男の娘DVD2〜男の娘×男の娘〜』など{{Sfn|川本|2014|pp=75-76}}。}}などを発売し{{Sfn|川本|2014|pp=75-76}}、川本により秋葉原の女装文化の中心的な存在となったと評された{{Sfn|川本|2014|p=76}}{{efn2|来栖は、ブームにおけるそのほかの現象として「男の娘向けメイク講座」「男の娘向けグッズネットショップ」などがあったと報告している{{Sfn|来栖|2015a|p=22}}。}}。2009年以降、「男の娘」に関するメディア報道が増えるが、吉本の調査によればそれらの多くが「NEWTYPE」を取材したものである{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。
 
同じ2009年11月{{Sfn|上手|2011|p=184}}、化粧した男子が美しさを競い合う「東京化粧男子宣言!」が開催される{{Sfn|川本|2014|p=76}}。主催は『オトコノコ倶楽部』第1号の表紙を飾った井上魅夜と、『わが輩は「男の娘」である!』の著者・[[いがらし奈波]]であった{{Sfn|川本|2014|pp=88-91}}。衆議院議員・[[谷本龍哉]]、奈波の母で漫画家の[[いがらしゆみこ]]らが審査員を務め{{Sfn|川本|2014|p=89}}、これもテレビ局の取材を受けた{{Sfn|川本|2014|p=91}}。2010年にはクラブイベント「+α」が「プロパガンダ」から分離・独立して開催されるようになる{{Sfn|川本|2014|pp=76-77}}。
 
比較文化学者の[[佐伯順子]]による調査によれば、「男の娘」の新聞メディア初出は、2010年4月1日[[読売新聞]]の以下の記事である{{Sfn|佐伯|2015|p=80}}。
 
{{Cquote|「ジョソコ」っていったい何? 「女装子」と書けば分かる通り、趣味で女ファッションを楽しむ男性のこと。女性と見まがう美しい人もいて、今やテレビで特集が組まれたり、「男の娘(こ)」という言葉が生まれたりするほど広がり、ゲームやアニメにも当然のように登場します。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}|4=「注目ワード ジョソコ ボクたち「男の娘」」、『[[読売新聞]]』2010年4月1月27日{{Sfn|読売新聞|2010}}{{efn2|{{Harvnb|佐伯|2015|p=80}}は2010年4月1日付けとしているが、誤記である。}}}}
 
2010年5月には、NHKのBS情報番組『[[MAG・ネット|MAG・ネット〜マンガ・アニメ・ゲームのゲンバ〜]]』で「男の娘」が特集される{{Sfn|暮沢|2010|p=200}}(吉本たいまつらが出演{{Sfn|NHK|2010}})。
{{Cquote|アニメや少女漫画へのあこがれから、ファッションとして女装を楽しむ「男の娘」が秋葉原を中心に増えているという。一昔前なら秘密の薫りもした世界。インターネットの動画サイトなど、表現の場所が広がっていることが、風穴を開けたようだ。|4=「TOKYO発 女装はファッション 男の娘 増加中」、『[[東京新聞]]』2010年4月1日{{Sfn|佐伯|2015|p=80}}}}
 
このような動きを受けて、2010年、ついに「男の娘」の一般向け専門誌が2誌創刊された{{Sfn|来栖|2015a|p=22}}{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。一迅社の『[[わぁい!]]』{{efn2|「わぁい!」の元ネタも画像掲示板の書き込みである。誰かが「おちんちんランドはじまるよー」と書き込むと、別の誰かが「わぁい」と返す約束であった{{Sfn|宮本|2017|p=210}}。}}と[[ミリオン出版]]の『{{読み仮名|おと☆娘|おとニャン}}』である。
2010年5月には、NHKのBS情報番組『[[MAG・ネット|MAG・ネット〜マンガ・アニメ・ゲームのゲンバ〜]]』で「男の娘」が特集される{{Sfn|にゅーあきば|2010}}(吉本たいまつらが出演{{Sfn|NHK|2010}})。
 
このような動きを受けて、2010年、ついに「男の娘」の一般向け専門誌が2誌創刊された{{Sfn|来栖|2015a|p=22}}{{Sfn|吉本|2015|p=218}}。一迅社の『[[わぁい!]]』{{efn2|「わぁい!」の元ネタも画像掲示板の書き込みである。誰かが「おちんちんランドはじまるよー」と書き込むと、別の誰かが「わぁい」と返す約束であった{{Sfn|宮本|2015|p=210}}。}}と[[ミリオン出版]]の『{{読み仮名|おと☆娘|おとニャン}}』である。
 
{{Quotation|2010年代初頭、ブームを象徴する碑として、あるいはそれらしい空気を確かな現象に固着させるための楔として、相次いで《男の娘》専門雑誌が誰の目にも留まる書棚に並べられた。既に月刊漫画雑誌の販路を確立していた一迅社の『わぁい!』と、実話・実録系雑誌を得意とするミリオン出版の『おと☆娘』である。|{{Harvnb|椿|2015|p=191}}}}
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さらに両社からは、「男の娘」漫画のアンソロジー・単行本が大量に発行された{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。既に[[スクウェア・エニックス]]が先行しており、両社や[[エンターブレイン]]が後に続いた格好であった{{Sfn|来栖|2012|p=105}}。成年マーク付きの「男の娘」漫画も発行点数が増える{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。成年向けの漫画は、吉本によれば明確にショタアンソロジーの系譜に連なっていた{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。1990年代末のショタアンソロジーで執筆していた作家が、「男の娘」漫画でも活躍していたのである{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。この発行ラッシュは2010年から2013年まで続く{{Sfn|吉本|2015|p=219}}{{efn2|隣接する領域、特に[[TSF (ジャンル)|TS]]ものも活性化した。吉本は[[少年画報社]]のアンソロジー『[[チェンジH]]』(2009年 - 2014年)を例に挙げている{{Sfn|吉本|2015|p=219}}。}}。2014年には[[佃煮のりお]]が『わぁい!』で連載していた『[[ひめゴト]]』がテレビアニメ化された{{Sfn|川本|2014|p=144}}。
 
『わぁい!』の編集者が『女装少年コレクション』を担当していた同じ人物であったことから、吉本はアダルトゲームにおけるブームが「男の娘」ブームに直接繋がったと分析している{{Sfn|吉本|2015|p=217}}。アダルトゲームでは、女装ものの年間発売本数が、2010年と2011年にそれぞれ42本にも及んだ{{Sfn|吉本|2015|p=217}}。2011年「男の娘」がメインヒロインを務める作品が増えたという報告がある{{Sfn|民安|2012|p=216}}。同年の、全ヒロインが男の娘という内容の『[[女装山脈]]』ヒット作となり{{Sfn|川本|2014|p=141}}、[[萌えゲーアワード]]の話題賞・金賞を受賞するなどした{{Sfn|宮本|2017|p=210}}。反響が大き2009年の論稿でライトノベルに「中性的な女装少年を魅力的に描、続編物語が出始めている」書いた久米は、2013年になり、「そして『[[女装海峡]]』(20134)・『経った現在、女装学園(妊)』(2014)がリリースは〈男の娘〉と呼びならわされ、もはやライトノベルの登場人物としては〈標準仕様〉と言いたくなるほど一般化してしまった」と報告した{{Sfn|川本久米|20142013|p=14169}}。サブカルチャー領域全般で、「男の娘」は脚光を浴びていく{{Sfn|久米|2013|p=69}}。
 
[[File:Sakurazuka Yakkun, Japanese comedian.jpg|150px|thumb|left|桜塚やっくん。]]
2011年、井上は「若衆bar化粧男子」を開店させ、さらに[[ドワンゴ]]と提携した井上が『男の娘☆ちゃんねる』を立ち上げる{{Sfn|川本|2014|p=77}}。主力コンテンツ「男の娘だョ! 全員集合」のパーソナリティは、モカ・「NEWTYPE」を経営する「茶漬け・女装芸能人の[[桜塚やっくん]]らであった{{Sfn|川本|2014|ppp=75-77}}。50人の会場でスタートした「プロパガンダ」は、200より大規模「クラブ・フープ」参加者を収容するためさら新宿の中で次々400人規模の「風林会館ニュージャパン」へと開催場所を移していった{{Sfn|川本|2014|pp=23-24}}。「+α」も50人ないし70人ほどの参加者を安定して集めていた{{Sfn|川本|2014|p=108}}。関西の女装ブームの中心は大阪であった{{Sfn|川本|2014|p=130}}。大阪千日前の[[味園ビル]]で2008年に始まった女装イベント「ウルトラ・エクセレント」は2013年ごろから急速に活況を呈し始めた{{Sfn|川本|2014|pp=130-131}}。東京とは雰囲気が異なり、井戸により「女装の世界に東西の分断が起こっている」と評された{{Sfn|川本|2014|pp=130-131}}。2012年には実写映画『[[僕の中のオトコの娘]]』が公開される{{Sfn|川本|2014|p=143}}。
 
2012年には実写映画『[[僕の中のオトコの娘]]』が公開される{{Sfn|川本|2014|p=143}}。川本は「男の娘」という言葉が確実に三次元の一般社会にも浸透しはじめたと述べる{{Sfn|川本|2014|p=143}}。{{Clear}}
 
{{Clear}}{{Quotation|2012年2月25日21時30分、風林会館5階の狭いエレベーターホールは女装子、MtF、男性、女性でごった返していた。プロパガンダは毎月の最終土曜日、22時から新宿歌舞伎町の「風林会館ニュージャパン」で開催されていた。規模は400人ほどで{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}。
 
会場内ではすでに江戸時代の[[陰間茶屋]](男娼が男女をもてなす娼館)をコンセプトとするバー「若衆bar化粧男子」の店主、井上魅夜が、和装姿で2人のスタッフを引き連れて入場していた。プロパガンダを、ドワンゴと提携して配信しているニコニコチャンネル『男の娘☆ちゃんねる』(現=『TJTV』)で中継するためだ。
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22時、開場と同時に参加者が雪崩れ込んでくる。|{{Harvnb|川本|2014|pp=31-34}}}}
 
「男の娘」ブームは、2008年から2014年にかけて続いた{{Sfn|来栖|2015a|pp=23-24}}。吉本は、爆発的なブームが観測されたのは2012年から2013年にかけてであったとしている{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。来栖は、文化として最も熱気があった時期は2009年であったと述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}。
 
== 成立の背景 ==
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かつて、ユダヤ・キリスト教文化圏では、異性装・同性愛は禁忌とされていた{{Sfn|三橋|2015|p=70}}。旧約聖書には男性同性愛を行った者は「必ず殺されなければならない」(レビ記20章13節)と記されている{{Sfn|三橋|2015|p=71}}。イギリスで同性愛に対する罰が死刑から懲役刑に減じられたのは1861年のことであった{{Sfn|三橋|2015|p=71}}。旧約聖書にはまた「女は男の着物を着てはならない。また男は女の着物を着てはならない」(申命記22章5節)とも書かれている{{Sfn|三橋|2015|p=71}}。百年戦争の英雄、[[ジャンヌ・ダルク]]は異端審問で火刑に処せられたが、神の教えに背いたとされた決定的な理由は、彼女の男装であった{{Sfn|三橋|2015|p=71}}。一方、日本では1629年、江戸幕府が歌舞伎に女性が出ることを禁じたところ、男が女を演じる[[女形]]が生まれ、人気を博すなどしていた{{Sfn|来栖|2015a|pp=7-8}}。
 
日本の伝統である神道・仏教には旧約聖書のような規範が存在しない{{Sfn|三橋|2015|p=71}}。キリスト教の影響下で異性愛制度が強化されていったのは、日本近代文学研究家の樋口康一郎によれば明治20年代以降のことである{{Sfn|樋口|2015|pp=88-89}}。日本人はその時期に女装は不健全なものという印象を刷り込まれた{{Sfn|井戸朝日新聞|2014}}{{Sfn|佐伯|2015|p=18979}}{{efn2|詳しくは、{{Harvnb|三橋|2008|pp=141-159}}なども参照のこと。}}。しかし、横浜市戸塚区の八坂神社には「お札撒き」という神事が2015年現在も残っており、女装した男性が撒くお札を人々が争うように拾う{{Sfn|三橋|2015|p=73}}。このお札は、神主が授ける普通のお札より効力があると信じられているという{{Sfn|三橋|2015|p=73}}。同様の男性が女装する祭礼は、東京都江戸川区の[[真蔵院 (江戸川区)|真蔵院]]で行われる「雷の大般若」、甲斐市竜王の三社神社で行われる「おみゆきさん」など各地に残っている{{Sfn|三橋|2015|p=73}}。性社会文化史研究家の[[三橋順子]]は、これらの背後に「女装してやった方が、効力がある」という信仰があるからではないかと推測している{{Sfn|三橋|2015|p=73}}。
 
日本における「女装した少年」の起源を遡ると、『古事記』『日本書紀』の[[ヤマトタケル]]に遡ることができるたどり着くことは多くの専門家が指摘している{{Sfn|三橋|2015|p=73}}{{Sfn|佐伯|2015|p=77}}{{Sfn|井戸|2015|p=189}}{{Sfn|来栖|2015a|p=7}}。ヤマトタケルは「御衣御裳」を身に着け「童女」に扮して宴席に忍び込み、[[熊襲]]を討つ{{Sfn|佐伯|2015|p=77}}。三橋は『[[南総里見八犬伝]]』で華々しい活躍をする女装の美少年・[[南総里見八犬伝の登場人物#犬坂毛野|犬坂毛野]]も例に引き、「女装すると、女々しく弱々しくなるのではなく、逆にパワフルになるようなのだ」と述べている{{Sfn|三橋|2015|p=73}}。女装することで通常とは異なる力――「双性力」を授けられるというのである。これを三橋は「双性原理」と名付ける{{Sfn|三橋|2015|pp=73-74}}。双性とは「男でもあり、女でもある」ことだといい、それは「神性」「聖」を帯びることにつながるため、一神教世界では根付きえなかったものであると続ける{{Sfn|三橋|2015|pp=74-76}}{{efn2|あしやまひろこも、「男の娘」に対して抱く空想・理想は、「完全なるもの」に対する宗教的な信仰に通じると述べている{{Sfn|あしやま|2013|p=40}}。}}。三橋は、三次元の「男の娘」は「双性原理」が息づく日本だからこそ生まれた存在であると論じている{{Sfn|三橋|2015|p=76}}{{efn2|ただし、現実には欧米のほうが寛容であるという指摘がある。{{Quotation|日本には同性愛を禁止する法律はない。その文化は、聖書の保守的な解釈の影響を受けていない。例えばソドミーも非合法化されたことがない。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}しかし、差別からの法的保護は依然不十分だ。ゲイの人々は西洋ほどには受け入れられていない。|{{Harvnb|Kotaku|2011}}から抜粋・直訳}}<!-- 実際は明治初期において、異性装とソドミーは禁止されていた(三橋『女装と日本人』)。 -->}}。
 
一方佐伯は、三次元の「男の娘」はアニメ・少女漫画といったポップカルチャーと強く結びついており、まったく新しい女装現象であると分析指摘する{{Sfn|佐伯|2015|p=81}}。樋口は次のように論じている。キリスト教の影響下に、異性愛制度が強化された際、処女崇拝や、恋愛を特権化理想視する浪漫主義的な傾向も現れ、少女の美が特権化されていった{{Sfn|樋口|2015|pp=88-89}}。この時期に成立した男性のセクシュアリティは美少女を「所有したい」であったが、901990年代の百合ブームを経て、美少女に「なりたい」に変わった。「男の娘」はあくまでも異性愛にもとづくものであり、それが百合文化の影響を受けたものである{{Sfn|樋口|2015|pp=86-88}}。佐伯は、「男の娘」の女装は性別越境の手段ではなく、コスプレの一種であったことが社会的寛容に繋がったと述べている{{Sfn|佐伯|2015|p=81}}。漫画家の魔北葵も、「男の娘」はコスプレの普及の上に成立した自己表現と見ている{{Sfn|魔北|2011|p=165}}。
 
いずれの観点でもインターネットは重要な役割を果たしたとされている。「プロパガンダ」を主催{{fontsize|smaller|(2015年時点)}}していた[[西原さつき]]は、インターネットの普及により女装に関する情報が簡単に入手できるようになり、SNSなどで仲間と交流しやすくなったため、女装がポジティブでカジュアルなものに変わったと述べている{{Sfn|西原|2015|p=111}}{{efn2|西原はまた、日本人は骨格の男女差が小さく、女装向けの民族であるとも述べている{{Sfn|西原|2015|p=112}}。}}。井戸も、若者が女装の方法をインターネットで学べるようになったことが大きいとし、SNSや動画配信などが承認欲求を満足させる装置として機能したと述べている{{Sfn|井戸|2015|p=187}}。『オトコノコ10年史』(2020年、三和出版)は、ビューティーアプリの登場と「盛る」文化の興隆がこれに拍車を掛けたとしている{{Sfn|オトコノコ10年史|pp=52-53}}。来栖は、三次元の「男の娘」文化は、インターネットの最大の特徴であるメディアの双方向性と相性が良かったと分析している{{Sfn|来栖|2015a|pp=21-22}}。
 
=== メカニズム ===
男性が女性キャラクターに感情移入するにあたっては、外見と性感の決定的な乖離が障害となる{{Sfn|椿|2015|p=194}}。「男の娘」を視点人物(主人公)に据えた『おとボク』の人気を分析した椿は、永山の以下の論考{{efn2|評論家の[[東浩紀]]は、永山が「男の娘」ブームを予言していたと述べている。{{Quotation|ロリコンマンガの読者がじつは犯す男性ではなく犯される幼女に同一化しているのではないかとの指摘{{Interp|{{Harvnb|永山|2014|pp=130-132}}|notooltip=1|和文=1}}は、のちの「男の娘」ブームを予告するものとも言え重要である。|東浩紀{{Sfn|永山|2014|pp=367-368}}、同書の解説}}}}を援用しつつ、そこに「視覚で受容される男性の解離」が存在すると指摘している{{Sfn|椿|2015|p=193}}。宮小路瑞穂、一般に主人公タイプの「男の娘」とは、決定的な乖離を飛び越えるための手掛かりとして、男性器を具えた存在として描かれているのだという{{Sfn|椿|2015|p=194}}。
 
{{Quotation|80年代末期から囁かれてきたことなんですが、エロ漫画の作者、読者というのは実は女の子になりたいんじゃないかということがあるんですね。
330 ⟶ 351行目:
|椿かすみによる{{Harvnb|永山|2003|pp=52-53}}の抜粋{{Sfn|椿|2015|p=194}}}}
 
その上で、椿はここにプレイヤーの「反家父長制的」心理「男性性の棄」が表出していると論じ続ける{{Sfn|椿|2015|p=194}}。そうした「男の娘」が、性交渉を持つことで女性ヒロインらを「所有」することにより、「超家父長制的」欲求もまた満たされるのだと論じている{{Sfn|椿|2015|pp=193-194}}。したがって、椿によれば、「男の娘」とは「その存在を立証するために男性器を晒すことを必然として」いるものであるという{{Sfn|椿|2015|p=194}}。来栖も「男の娘」の一番のポイントは、見た目が女性でありながら、男性器があるという点に集約されると断じている{{Sfn|来栖|2015a|pp=1939-19410}}。
 
また、成年コミックにおける「女装の快楽」を分析した永山は、多くの作品において、現実社会の男性優位幻想が「男の娘」の快楽描写の前提になっていることを指摘している{{Sfn|永山|2015|pp=155-156}}。即ち、視点人物は女装することで、劣位であるはずの女性の立場に初めて身を置くことになるが、そこで性的に「解放」(倒錯したマチズモ)され、さらなる快楽へ到達するというのである{{Sfn|永山|2015|pp=155-156}}。また、「女装することと、女装しても自分に残されたペニスが、快感を与えてくれていて、さらにその快感の中には[[ナルシシズム|ナルシ{{Interp|シ|notooltip=1|和文=1}}ズム]]がある」という永山の言説{{Harv|来栖|2015a|p=15}}を、来栖は本質の一面を看破したものと評価している{{Sfn|来栖|2015a|p=15}}。
したがって、椿によれば、「男の娘」とは「その存在を立証するために男性器を晒すことを必然として」いるものとされる{{Sfn|椿|2015|p=194}}。来栖も「男の娘」の一番のポイントは、見た目が女性でありながら、男性器があるという点に集約されると断じている{{Sfn|来栖|2015a|pp=9-10}}。
 
同様の指摘は三次元においてもなされている。女装子専門のAVメーカーを経営する[[二村ヒトシ]]は、「ぼくにはおまんこが味わっている快楽は味わえないが、ちんぽの快楽は熟知している。だから女性からちんぽが生えていれば、それだけ感情移入しやすい。」と述べ、ある作品を「「おっさんが、体の表面だけ美少女になって、しかしちんぽだけはおっさんのまま、スク水を着てもっこりして恥ずかしがりたいという願望」の映像化だ」と自ら評している{{Sfn|二村|2015|p=206}}。
 
{{Quote box
| quote = 後者{{Interp|はぴねす!|notooltip=1|和文=1}}は、魔法が使える世界の学園ものである。主人公は複数のヒロインと恋愛関係になるが、主人公の悪友、そしてサポート役として、女装少年の渡良瀬準が登場するのだ。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}準の見た目はまさに美少女である。内面は、女性よりも女性的な面を持っている一方、男の心も忘れていないとされている。準はまさに「男の娘」と呼ぶにふさわしいキャラクターであった。主人公にとって、恋愛の相談相手になる一方、それでいて男性の心も分かる。男性にとって、非常に都合の良い存在なのだ。
| source = {{Harvnb|吉本|2015|p=216}}
| align = right
| width = 250px
| fontsize = x-small
}}
一方、男性器を露出させない「男の娘」には、こうした欲求の形を当てはめることができない{{Sfn|椿|2015|p=195}}。椿は、ハーレムラブコメなど、登場人物の性別が明確に男と女に分かれていた従来の作品においては、両性のキャラクター間で取り交わされる感情は恋愛感情だけであったと指摘する{{Sfn|椿|2015|p=195}}。「男の娘」はそこへ、「男性でも女性でもない/ある存在」として投入され、
 
* 男性たちからアイドルとして祭り上げられたり、
* 男性に惚れられてしまったり、
* 「男性の気持ちを知り尽くした女性」として男性の恋愛相談に乗ったり、
* 男子禁制の井戸端会議に花を咲かせたり、
* いざという時には男性の筋力を活かして女性を救ったり、
* 女性から告白されたり、
 
といった役割を務めるようになった{{Sfn|椿|2015|pp=195-196}}。椿は、これらによって生み出される「キャラクター関係のダイナミズム」こそが、脱がない「男の娘」の、作品にもたらす魅力なのではないかと考察している{{Sfn|椿|2015|pp=195-196}}。これは女性向けの作品、特に「[[やおい]]」に通じるものがあるという{{Sfn|椿|2015|p=196}}。
 
=== 社会的背景 ===
[[File:Women-Only Car Sticker.JPG|thumb|left|200px|女性専用車両の表示。]]<!-- 「これはレディース割引や女性専用車両を攻撃するタイプのミソジニーと同様の思考パターンである。……」(水野 p.203) -->
{{Pie chart
| caption = 成人自殺者の男女比率(2015年){{Sfn|警察庁|2015|p=4}}
| thumb = left
| value1 = 69.3
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| color2 = #fb9a99
}}
現代は、女の子の「[[可愛い|かわいい文化]]」の方が楽しく、上位にあるように感じられる時代であると三橋は述べている{{Sfn|樋口|2015|p=87}}。樋口は、百合文化を受容したオタク男性が、男性性を醜いものとして嫌悪して少女を「所有したい」という欲望を廃棄し、少女に「なりたい」という憧憬の欲望を持つに至ったと説明する{{Sfn|樋口|2015|p=88}}。永山も、2000年代を境に大量の女装少年漫画が登場した背景には、マチズモの崩壊{{efn2|{{Harvnb|永山|2003|p=50}}、{{Harvnb|永山|2014|pp=270-271}}なども参照のこと。}}・フェミニズムの伸長などの複合的な要因があったと分析している{{Sfn|永山|2015|p=154}}。永山は、一方では女装に対する蔑視・差別が軽減されてきている点を指摘する{{Sfn|永山|2015|p=154}}。樋口も、これまで少女に「なりたい」という願望が抑圧されていたのは、男がそのような願望を抱くのは変だという「男らしさ」の規範が強固であったためとしている{{Sfn|樋口|2015|p=87}}。「女の子になりたい」という願望が、主体的な行動(自らの女装)ではなく、客体化する方向において広範な支持を獲得したものが、(二次元の)「男の娘」であるとしている{{Sfn|樋口|2015|p=91}}。
 
{{Quote box
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[[毎日新聞]]は2013年、三次元の「男の娘」の背後に「「生きづらい男社会」の現実や、男でいることの閉塞感が、現実の社会の映し鏡のように」存在している可能性を報じている{{Sfn|毎日新聞|2013}}。記事中で佐伯は、「男性は『稼がなければ』とプレッシャーがかかるのに、一部の女性は、結婚して経済的に男性に依存する生き方も許される。不況で労働環境が厳しくなり、そんな女性の役割に『逃げ込みたい』と考える男性がいる。」と解説している{{Sfn|毎日新聞|2013}}。
 
AV監督の[[二村ヒトシ]]も、男性たちが「“男”であろうとすることが、めんどうくさい」「“男”という役割を降りたい」あるいは「“男”であることは醜い」と思っていると推測している{{Sfn|二村|2015|p=208}}。佐伯は、2015年の論稿において、三次元の女装は、いまだ男性が主流的に担わされている生計や社会的責任からの解放を希求するものであるとしている{{Sfn|佐伯|2015|p=83}}。男性に対する抑圧・男性の自殺の増加など、日本社会の深刻な「男性問題」がブームの背景にあると推測している{{Sfn|佐伯|2015|p=83}}。
 
水野は「分かりあえて、楽で、かわいくて、癒やされる」タイプの「男の娘」が支持を得ていることの背景に[[ミソジニー]]や[[ホモソーシャル|ホモソーシャリティ]]があると推測している{{Sfn|水野|2015|p=200}}。共感もできず理解もできない性よりは、性と共に過ごす方が居心地がいい。しかし、異性愛の傾向を持っている場合は、性グループの中にいるだけでは満足できない。「男の娘」は、このジレンマを解決してくれるというわけである{{Sfn|水野|2015|p=200}}。二村も、上述の不満とミソジニー的な心理が、女装という行為か、客体としての「女を、ではなくて“美しい男の娘”を」愛したいと思うことに繋がると論じている{{Sfn|二村|2015|pp=208-209}}。主人公タイプの「男の娘」を分析した久米は、逆に、男子少年の女装して少女コミュニティに紛れ込みたいという志向の一端をなしているのは[[ミサンドリー]]であり、従来ホモソーシャル性が強いといわれてきた男性文化の変容が感じられると指摘している{{Sfn|久米|2013|p=79-81}}。
 
もうひとつ、永山・吉本が指摘している背景がある。1991年から921992年にかけて起こった[[有害コミック騒動]]の結果、男女の性行為を描いたコミックには「成年マーク」が付けられることになった{{Sfn|永山|2014|pp=98-102}}{{Sfn|吉本|2015|p=213}}。吉本永山らは、この成年マークがショタアンソロジーの成立に密接に関わっていたと分析している{{Sfn|永山|2014|pp=102-104}}{{Sfn|吉本|2015|pp=213-214}}{{efn2|成年マークの導入により、成年コミックはかえって売り上げが伸びた。成年マークが付いている本はエロ本であることを保証されたためである。成年コミック市場は急拡大し、多様な表現が可能になったため、ショタアンソロジーが生まれたと吉本は分析している。さらに、ショタアンソロジーの性描写は男性同士であったために、成年マークの付与を免れた。ショタアンソロジーは女性も購入しやすく、若者でも手に取ることができたのである{{Sfn|吉本|2015|pp=213-214}}。}}。
 
== ブームの収束 ==
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2015年現在、「男の娘」ブームは全体として収束状態にあり、井戸は「低空飛行で安定」していると表現している{{Sfn|井戸|2015|p=185}}。
 
2013年5月に専門誌の『おと☆娘』が休刊に追い込まれると、その9か月後の2014年2月には『わぁい!』も休刊を表明する{{Sfn|椿|2015|p=191}}。椿は、少ないパイをおそらく奪い合った結果{{Sfn|椿|2015|p=191}}、売り上げが低迷したことを大きな要因として指摘している{{Sfn|椿|2015|p=191197}}。井戸は2誌から「これ!という作品が生まれなかった」ため述べている{{Sfn|井戸|2015|p=185}}。2誌で連載されていた漫画作品のうち、『ひめゴト』だけが他誌への移籍を果たしたが、それも2015年7月27日の第6巻が最終巻となった{{Sfn|椿|2015|p=191}}。椿はこれをブームの「ひとつの節目」と表現している{{Sfn|椿|2015|p=191}}。
 
<span style="vertical-align:text-bottom;">{{fontsize|smaller|{{Color sample|#ff7f0e}}}}</span>成年マークのつかない女装/男の娘の単行本刊行点数は2012年にピークを迎えたが、2014年に大きく減少した{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。吉本によれば、これは専門2誌が休刊し、アンソロジーも終了したため、作品の供給自体がなくなったためである{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。吉本は2015年の時点で、非成年の「男の娘」コミックのブームは終了に向かっていると判断している{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。ただし、<span style="vertical-align:text-bottom;">{{fontsize|smaller|{{Color sample|#1f77b4}}}}</span>成年コミックでは非成年での減少を補うような形で継続しているとの見方を示す(グラフ「女装/男の娘とショタ系書籍の刊行点数の推移」も参照){{Sfn|吉本|2015|p=220}}。
 
アダルトゲーム業界では『おとボク』がヒットした直後の2005年の時点で、既にブームの早期終焉を危惧する声が上がっていた{{Sfn|空想女装少年コレクション|2005|p=81}}。彼佐などは「女装」と「美少年」以外の「何か」が必要になってくるだろうと警句を発していた{{Sfn|彼佐|2005|p=75}}。
 
{{Quotation|あとは企画力の勝負になると思うんですよね。例えば主人公の立場をどこに置くか、とか。ぶっちゃけ、大概どれも学園ものじゃないですか。既存の学園ものに、主人公の立場だけを単純に変えて、その女学園に放り込む、みたいな。そういうパターンを今後はもう少し変えていかないと、あっという間に飽和しちゃいますよ。|ミスターX|覆面座談会{{Sfn|空想女装少年コレクション|2005|p=81}}}}
 
結局、2015年になり、アダルトゲームでは明らかにブームが終了に向かっていると吉本は結論した{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。『はぴねす!』を企画した「ちゃとら」は、準以降、女装キャラクターが必然性なく登場することが増えたと語っていた{{Sfn|来栖|2009a|p=92}}。『女装山脈』などのディレクションを手掛けた西田一は、「非常に残念なことですが、男の娘が美少女ゲームの一ジャンルを築くことはついぞありませんでした」と述べ、受け皿の少なさから一過性のものに終わったとの認識を示している{{Sfn|西田|2015|p=128}}。
 
椿は、「《男の娘》が有名になり、大量のシミュラークルが市場に投下され続けた」結果、オタクたちが単純に「飽きた」という可能性を指摘する{{Sfn|椿|2015|p=198}}{{efn2|椿はまた[[#メカニズム]]に関連し、こうも指摘している。『わぁい!』や『おと☆娘』は一般誌であったため、両誌の掲載作品では、「男の娘」の男性器はスカートなどに隠れて存在が確認できなかった。外見は、ただの女性キャラクターと変わりがなかった{{Sfn|椿|2015|p=195}}。そうしたキャラクターは、所詮は「(やおい的な楽しみ方のための)女性の道具」にしかなり得ないのであり、そこにスクール水着などを付録に付けるなどした歪さが、寿命を縮めてしまったのではないか――{{Sfn|椿|2015|pp=197-198}}。}}。井戸隆明は、ブームの頃に面白いコンテンツがあまり出てこなかったと述べている{{Sfn|井戸|2015|p=185}}。来栖は粗製濫造により全体の質が悪化したと分析する{{Sfn|来栖|2015a|p=23}}。作品数が増え、「男の娘」の意味するところが属性の一部にまで拡大した結果、「「女のキャラがただ男と言ってるだけ」というものに代表される、表層的に記号化され、物語も魅力も薄っぺらい平坦なキャラクター」が多くなり、創る側・観る側双方の飽き加速させたのだという{{Sfn|来栖|2015a|p=23}}。
 
吉本は、二次元表現における爆発的なブームは全体としては過ぎたとの見解を示す{{Sfn|吉本|2015|p=220}}。来栖は2015年の時点で「現在、「男の娘」というワードに、数年前まで確かにあった魔法のようなものは消えてしまったかもしれない」と述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=27}}。吉本はしかし、成年コミックとコミックマーケットにおける増加傾向から、「男の娘」を性的に愛好する動きは、2015年の時点において継続していると分析しており{{Sfn|吉本|2015|p=220}}、今後は安定していくと推測している{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。
 
<!-- 雲雀亭は2016年に新宿へ移転したが、その後が不明。若衆barは2016年12月に閉店したが、ニュースにならなかった。 -->
2013年10月にパーソナリティであった桜塚やっくんが事故死したため、『男の娘☆ちゃんねる』は2014年1月に名称を『Trance Japan TV』と改め、[[トラニーチェイサー]]{{efn2|トラニー=トランスジェンダー、チェイス=性的に追いかけ回す、の意味{{Sfn|川本|2014|p=34}}。}}番組として再スタートを切った{{Sfn|川本|2014|p=77}}。「プロパガンダ」は2016年3月12日に9年間の歴史に幕を下ろした{{Sfn|プロパガンダ|2016}}。一方ブームのうち特に旧来の女装界隈が主体となっていたものについて井戸は、報道と実情の乖離を肌で感じていたという{{Sfn|井戸|2020|p=42}}。吉本は、しかし、三次元の「男の娘」は定着した印象があると述べている{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。「NEWTYPE」は2015年時点で営業を継続している{{Sfn|来栖|2015a|p=20}}。椿も、同店「NEWTYPE」が2015年時点で依然定期的にメディアで取り上げられていることなどを挙げ、「男の娘」は消えたわけではないと語っている{{Sfn|椿|2015|p=198}}。
 
{{Bquote|私たちがこの語の、そしてそれが指し示す存在の特異さにすっかり慣れてしまったのが、この2015年なのではないだろうか。|||{{Harvnb|椿|2015|p=198}}}}
 
== 評価・影響 ==
「男の娘」キャラクターの登場は、美少女キャラクターを中心としてきたサブカルチャーの領域に大きなインパクトを与えた{{Sfn|樋口|2015|p=85}}。2000年代、オタク文化は徹底してフェミニズム的な批判を受けてきたが、「男の娘」の人気は、オタク男性たちが「少女」を欲望の対象とすることから脱却しつつあるものと受け取られ、驚きを与えたためであった{{Sfn|樋口|2015|p=85}}。泉は、「男の子だから女装が似合うのだ」というアクロバティックな常識の覆し方に、知的な興味を惹きつけるものがあったと語っている{{Sfn|泉|2015|p=177}}。第一に提示された魅力は既成観念からの「ギャップ」であった{{Sfn|久米|2013|pp=74-75}}。
 
{{Quote box
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| fontsize = x-small
}}
しかし暮沢剛巳・樋口は、実際にはこの表象は、オタク男性たちの性的嗜好の根本的な変化が現れたものではなく、あくまで彼らの文化の前提となってきた異性愛の延長線上に出現したものに過ぎないと推測す述べてい{{Sfn|暮沢|2010|p=174}}{{Sfn|樋口|2015|p=85}}。佐伯は、ジェンダーとしての女性性に対する保守的な価値観がなお残存していることを、逆説的に物語っていると指摘している{{Sfn|佐伯|2015|p=83}}。泉も、「男の娘」という言葉が用いられているとき、実は「女子に見えるという状況とは何か」こそが問われていると述べ指摘し、「男の娘」は「女子(美少女)とはこういうものだ」という強い規範・理想の上に成り立っていると指摘し論じている{{Sfn|泉|2015|p=177}}。
 
吉本は、「男の娘」はあくまで性的に消費される対象であることにも注意を促し向けており、「そこには消費する男性&#x003E;消費される「男の娘」という、不均衡な関係が内包されている」と述べている{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。そして三次元の「男の娘」においても、この不均衡の存在は無視しがたいであろうとしている{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。樋口も、オタク男性たちは「男の娘」の内面まで踏み込まず、安全な場所からキャラクターを消費していると指摘し、このことは創る側にまで影響を与え、「男の娘」の表象の限界がそこにあると論じ批判している{{Sfn|樋口|2015|p=91}}。対して泉は、「女装というベールに覆われることで、その本性は神秘となる。内面を断定しにくいことによって、逆に「こうだったらいいな」という理想に当てはめながら読むこともできる。」という見方も提示している{{Sfn|泉|2015|p=181}}。
 
{{Bquote|「男の娘」を愛好するオタクの大半は通常の異性愛者の男性であり、他のタイプの美少女キャラクターに対するのと大きく変わらない感覚で「男の娘」を消費している。実在の同性愛者や性同一性障害者と同一の悩みを共有しているわけでもなければ、深い共感を寄せる立場にもない彼らを主な消費者として想定した作品に、そうした問題意識が希薄なのは当然のことなのだ。|||{{Harvnb|暮沢|2010|p=174}}}}
「男の娘」の内面を描いて高く評価されている作品も存在する。例えば『ぼくらのへんたい』は異なる理由で女装している3人の少年を詩的に描いた群像劇であり{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}、川本・来栖らにより特筆すべき作品と見なされている{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}{{Sfn|来栖|2015a|p=26}}。『放浪息子』は性別に違和感を抱く2人の少年少女を中心に、思春期の苦悩と葛藤を描き出した作品であり、「萌え」やコメディしかなかったそれまでの女装少年コミックとは一線を画すと評されている{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}。
 
{{Quote box
日本社会で三次元の「男の娘」が2011年時点で主流になりつつあるという記事を[[Kotaku]]で執筆したBrian Ashcraftは、「日本はセクシュアリティに関し、多くの点でアメリカより開放的だが、多くの点で依然として非常に伝統的であり、トランスジェンダーの人々は差別からの保護を受けられていない」と、法整備が追いついていないことを懸念している{{Sfn|Kotaku|2011}}。対して、「男の娘」が性別越境を目的としたものではないとみなしている{{Sfn|佐伯|2015|p=81}}佐伯は、「男女平等のゆがんだ方向の一つ」と逆に問題視し{{Sfn|毎日新聞|2013}}、女装してリラックスしたいという男性当事者の欲求が、日本社会の「男性問題」の裏返しであるならば、「男の娘」の出現をジェンダーフリーな社会の到来として歓迎することはできないと警告を発している{{Sfn|佐伯|2015|p=83}}。田中も、三次元の女装には、それがコスプレによるものであっても、「かわいがられたい」という欲望の表出を見ることができるとし{{Sfn|田中|2015|p=128}}、「フェミニスト的な立ち位置からすると{{Interp|一見|notooltip=1|和文=1}}アンビバレントな解決策であるように思え」ると評している{{Sfn|田中|2015|p=129}}。この点については、「女装はジェンダーを破壊するものではなく、むしろ女性性を強化するもの」([[ろくでなし子]]、2013年)などという指摘があり、女装とジェンダーフリーを結びつけて考える論調には異論も存在する{{Sfn|あしやま|2015|pp=115-116}}。
| quote = 〈男の娘〉化する少年の物語にもやはり「[[セカイ系]]」的な、少女たちと世界とに承認されて愛されたいという共通テーマを見いだせそうである。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}そこに従来型の、男性は女性をリードするべきだという規範を、男性自らが忌避する傾向が示されている。それはまた、[[戦闘美少女]]を求める意識ともつながるものだろう。
| source = {{Harvnb|久米|2013|pp=79-80}}
| align = right
| width = 250px
| fontsize = x-small
}}
対して久米は、注意深く読み込めば、「男の娘」表象が「いまなお若い世代を拘束する諸観念・制度への抵抗」の存在を示唆していることがわかると擁護しており、それを滑稽なギャップものとして簡単に受容してしまう姿勢にも問題があるとしている{{Sfn|久米|2013|pp=81-82}}。泉は、「女装というベールに覆われることで、その本性は神秘となる。内面を断定しにくいことによって、逆に「こうだったらいいな」という理想に当てはめながら読むこともできる。」という見方も提示している{{Sfn|泉|2015|p=181}}。
 
「男の娘」{{Sfn|朝日新聞|2014}}の内面を描いたものと認知され、高く評価されている作品も存在する。例えば[[ふみふみこ]]『[[ぼくらのへんたい]]』(2012年)は異なる理由で女装している3人の少年を詩的に描いた群像劇であり{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}、川本・来栖・井戸らにより特筆すべき作品と見なされている{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}{{Sfn|来栖|2015a|p=26}}{{Sfn|井戸|2015|pp=185-186}}。『放浪息子』(前述)は性別に違和感を抱く2人の少年少女を中心に、思春期の苦悩と葛藤を描き出した作品であり、「萌え」やコメディしかなかったそれまでの女装少年コミックとは一線を画すと評されている{{Sfn|川本|2014|pp=140-141}}。
樋口は、上述の批判にもかかわらず、単に少女を賛美していた段階から、百合文化を経て「男の娘」の段階まで到達したことは、「異性愛制度が{{Interp|我々に|notooltip=1|和文=1}}強制する規範を克服していく過程」として肯定的に捉えることができると評している{{Sfn|樋口|2015|p=92}}。吉本も、特に二次元の「男の娘」により「男でもかわいければよい」「むしろ男だからよい」という考えが広まったとし、同性愛を無条件に忌避していた状況に変化が現れていると述べている{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。樋口は「男の娘」が、女性ジェンダー化した現代の男性たちが、自己愛と向き合うなかで、他者への想像力を広げる契機にもなっていると評価し、「男の娘」作品群にもそうした要素が見いだせると分析している{{Sfn|樋口|2015|p=92}}。
 
日本社会で三次元の「男の娘」が2011年時点で主流になりつつあるという記事を[[Kotaku]]で執筆したBrian Ashcraftは、「日本はセクシュアリティに関し、多くの点でアメリカより開放的だが、多くの点で依然として非常に伝統的であり、トランスジェンダーの人々は差別からの保護を受けられていない」と、法整備が追いついていないことを懸念している{{Sfn|Kotaku|2011}}。対して、「男の娘」が性別越境を目的としたものではないとみなしている{{Sfn|佐伯|2015|pp=81-83}}佐伯は、「男女平等のゆがんだ方向の一つ」と逆に問題視し{{Sfn|毎日新聞|2013}}、女装してリラックスしたいという男性当事者の欲求が、日本社会の「男性問題」の裏返しであるならば、「男の娘」の出現をジェンダーフリーな社会の到来として歓迎することはできないと警告を発している{{Sfn|佐伯|2015|p=83}}。田中東子も、三次元の女装には、それがコスプレによるものであっても、「かわいがられたい」という欲望の表出を見ることができるとし{{Sfn|田中|2015|p=128}}、「フェミニスト的な立ち位置からすると{{Interp|一見|notooltip=1|和文=1}}アンビバレントな解決策であるように思え」ると評している{{Sfn|田中|2015|p=129}}。この点については、「女装はジェンダーを破壊するものではなく、むしろ女性性を強化するもの」({{Harvnb|ろくでなし子|2013|p=51}}のあしやまによる解説)などという指摘があり、女装とジェンダーフリーを結びつけて考える論調には異論も存在する{{Sfn|あしやま|2015|pp=115-116}}。
ブームが収束したことに関し、来栖は、「男の娘」的な文化はこれまでもおよそ10年おきに何度か発生し、その都度消えていったとし{{Sfn|来栖|2015a|p=9}}、再来の可能性は充分にあると述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=30}}。井戸も、「同じものが違ったかたちをとって反復している」と指摘し、「男の娘」的なものはなくならないと予測している{{Sfn|井戸|2015|p=189}}。吉本は、今後再びブームになる可能性があるとすれば、ショタが「男の娘」に変化したように、別の要素が加わることで新たな性的愛好の対象が作られたときであろうと推測している{{Sfn|吉本|2015|pp=220-221}}。
 
樋口は、自身の上述の批判にもかかわらず、単に少女を賛美していた段階から、百合文化を経て「男の娘」の段階まで到達したことは、「異性愛制度が{{Interp|我々に|notooltip=1|和文=1}}強制する規範を克服していく過程」として肯定的に捉えることができると評している{{Sfn|樋口|2015|p=92}}。吉本も、特に二次元の「男の娘」により「男でもかわいければよい」「むしろ男だからよい」という考えが広まったとし、同性愛を無条件に忌避していた状況に変化が現れていると述べている{{Sfn|吉本|2015|p=221}}。樋口は、現代の男性たちの女性ジェンダー化が、彼らにとり他者との関係性を志向し、他者への想像力を広げる契機になっているとし、「男の娘」作品群にもそうした要素が明らかに見いだせると評価している{{Sfn|樋口|2015|p=92}}。
 
{{Infobox
| bodystyle = width:22em;
| above = 約10年周期の流行(来栖){{Sfn|来栖|2015a|pp=8-9}}
| abovestyle = font-size:100%;
| labelstyle = vertical-align:top;
| datastyle = text-align:left;
| label1 = 1960年代
| data1 = {{hlist-comma|[[美輪明宏]]}}
| label2 = 1970年代
| data2 = {{hlist-comma|[[池畑慎之介|ピーター]]|[[風と木の詩]]|[[パタリロ!]]}}
| label3 = 1980年代
| data3 = {{hlist-comma|松原留美子|ニューハーフブーム|ストップ!! ひばりくん!}}
| label4 = 1990年代
| data4 = {{hlist-comma|[[SHAZNA]]}}
| label5 = 2000年代
| data5 = '''「男の娘」ブーム'''
}}
ブームが収束したことに関し、来栖は、「男の娘」的な文化はこれまでもおよそ10年おきに何度か発生し、その都度消えていったとし{{Sfn|来栖|2015a|p=9}}、再来の可能性は充分にあると述べている{{Sfn|来栖|2015a|p=30}}。三橋も、繰り返されてきた流行現象の「21世紀リニューアル・ヴァージョン」が「男の娘」であると主張している{{Sfn|三橋|2015|p=76}}。井戸は、ブームが再来する可能性はないと見ているが{{Sfn|井戸|2015|p=186}}、来栖・三橋らと同様に「同じものが違ったかたちをとって反復している」点は認識しており、「男の娘」的なものは今後も存在し続けると推測している{{Sfn|井戸|2015|p=189}}。吉本は、今後再びブームになる可能性があるとすれば、ショタが「男の娘」に変化したように、別の要素が加わることでまた新たな性的愛好の対象が作られたときであろうと予想している{{Sfn|吉本|2015|pp=220-221}}。
 
=== 新語・流行語大賞 ===
468 ⟶ 537行目:
 
=== 商標問題 ===
2011年11月{{Sfn|ITmedia|2011}}、「男の娘☆コンベンション」という同人誌即売会のイベントが、イベントの名称である「男の娘☆」を商標登録していたことが判明し{{Sfn|井戸|2015|p=190}}{{efn2|2011年9月9日登録、登録番号5437080号、10月11日公開{{Sfn|ITmedia|2011}}。}}、「占有」{{Sfn|井戸|2015|p=190}}「業界ゴロ」{{Sfn|来栖|2015a|p=23}}のようなニュアンスで伝わったため騒動となった{{Sfn|来栖|2015a|p=23}}{{Sfn|永山|2015|p=157}}{{Sfn|井戸|2015|p=190}}。これは前述の「男の娘COS☆H」が2009年に改称したものである{{Sfn|川本|2014|p=142}}。「男の娘」そのものが登録されたわけではなく、即売会の自衛のための措置であったことが理解されると、ほどなくして鎮静化した{{Sfn|来栖|2015a|p=23}}。
 
その後2020年になり、「男の娘」が商標登録されたことが報じられた{{Sfn|秋葉原PLUS|2020}}。「NEWTYPE」の運営会社によるもので、商標区分は「飲食物の提供」となっている{{Sfn|秋葉原PLUS|2020}}。
 
== 代表的なキャラクター・人物 ==
474 ⟶ 545行目:
=== 二次元 ===
{{See also|Category:女装作品}}
以下に、専門家により「男の娘」(または「オトコの娘」)と評されたキャラクターのいくつかを挙げていく。ただし、前述したとおり、「男の娘」の厳密な定義・認識は論者により異なっている上、「用語自体はここ10年ほどの間に広まった比較的新しいものだが、指示対象となる存在自体は、マンガ史的にはもっと遡ることができる。{{Interp|……|notooltip=1|和文=1}}「男の娘」という概念を拡張し、過去の作品をも遡及的に含み込んでいくことは適切ではない。」{{Harv|日高|2015|p=158}}・「「男の娘」は歴史的に構成されてきた呼び方だが、そう呼ばれる前から、かわいい少年や女装する少年はいた。こうしたキャラクターを現在の「男の娘」の定義に当てはめるのは難しい。」{{Harv|吉本|2015|p=211}}・「時代で区切るならば「ゼロ年代以降」」{{Harv|永山|2015|p=153}}といった指摘注意なさ、一部では払われていることには留意されたい
 
{| class="sortable wikitable" style="font-size:smaller;"
! style="white-space:nowrap;" | 発表年
! class="unsortable" | 作品
504 ⟶ 575行目:
| rowspan="4" | [[ストップ!! ひばりくん!]]
| rowspan="4" | 大空ひばり
| 来栖美憂[[暮沢剛巳]]{{Sfn|来栖暮沢|2015c2010|ppp=51176-177}}
| rowspan="4" |
|-
| 秀良子来栖美憂{{Sfn|ふみ・秀来栖|20152015c|p=5751}}
|-
| あしやまひろこ秀良子{{Sfn|あしやまふみ・秀|2015|p=11657}}
|-
| 井戸隆明{{Sfn|井戸|2015|p=186}}
545 ⟶ 616行目:
| 井戸隆明{{Sfn|井戸|2015|p=185}}
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20020500|2002年}}
| rowspan="2" | [[GUILTY GEAR XX]]
| rowspan="2" | [[ブリジット (GUILTY GEAR)|ブリジット]]
| 暮沢剛巳{{Sfn|暮沢|2010|p=180}}
| rowspan="2" |
|-
| 来栖美憂{{Sfn|来栖|2015c|p=54}}
|
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20021200|2002年}}
| rowspan="2" | [[放浪息子]]
| rowspan="2" | 二鳥修一
| あしやまひろこ暮沢剛巳{{Sfn|あしやま暮沢|20152010|p=116181}}
| rowspan="2" |
|-
562 ⟶ 635行目:
| rowspan="2" | [[ゆびさきミルクティー]]
| rowspan="2" | 池田由紀
| 来栖美憂暮沢剛巳{{Sfn|来栖暮沢|2015c2010|p=57181}}
| rowspan="2" |
|-
| あしやまひろこ来栖美憂{{Sfn|あしやま来栖|20152015c|p=11657}}
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20031200|2003年}}
| rowspan="2" | [[ブロッケンブラッド]]
| rowspan="2" | 守流津健一
| 来栖美憂{{Sfn|来栖|2010|p=93}}
| rowspan="2" |
|-
| {{Sort|20031200|2003年}}
| [[ブロッケンブラッド]]
| 守流津健一
| 吉本たいまつ{{Sfn|吉本|2015|pp=217-218}}
|
|-
| {{Sort|20040700|2004年}}
| [[もやしもん]]
| [[もやしもんの登場キャラクター#主要人物|結城蛍]]
| 結城蛍
| 来栖美憂{{Sfn|来栖|2015|p=19}}
|
607 ⟶ 682行目:
| 吉本たいまつ{{Sfn|吉本|2015|p=216}}
|-
| rowspan="2" | {{Sort|2007010020060800|20072006年}}
| [[まりあ†ほりっく]]
| rowspan="2" | [[バカとテストと召喚獣]]
| 衹堂鞠也
| rowspan="2" | 木下秀吉
| 暮沢剛巳{{Sfn|暮沢|2010|pp=180-181}}
|
|-
| {{Sort|20060900|2006年}}
| [[シリーズぴこ]]
| ぴこ
| 暮沢剛巳{{Sfn|暮沢|2010|pp=182-183}}
|
|-
| rowspan="4" | {{Sort|20070100|2007年}}
| rowspan="4" | [[バカとテストと召喚獣]]
| rowspan="4" | 木下秀吉
| 暮沢剛巳{{Sfn|暮沢|2010|p=182}}
| rowspan="4" |
|-
| 来栖美憂{{Sfn|来栖|2012|p=104}}
|-
| rowspan="2" |
| 久米依子{{Sfn|久米|2013|p=73}}
|-
| 樋口康一郎{{Sfn|樋口|2015|p=85}}
633 ⟶ 724行目:
|
|-
| rowspan="23" | {{Sort|20090400|2009年}}
| rowspan="23" | [[プラナス・ガール]]
| rowspan="23" | 藍川絆
| あしやまひろこ{{Sfn|あしやま|2015|pp=116-117}}
| rowspan="3" |
|
|-
| [[永山薫]]{{Sfn|永山|2015|p=151}}
|-
| 椿かすみ{{Sfn|椿|2015|p=196}}
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20090800|2009年}}
| rowspan="2" | [[僕は友達が少ない]]
| rowspan="2" | 楠幸村
| 久米依子{{Sfn|久米|2013|pp=73-74}}
| rowspan="2" | 第5巻で実は女性であったことが明かされ、「男の娘」ではなくなる{{Sfn|久米|2013|pp=73-74}}。
|-
| 樋口康一郎{{Sfn|樋口|2015|p=85}}
|
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20090917|2009年}}
| rowspan="2" | [[THE IDOLM@STER Dearly Stars]]
| rowspan="2" | [[THE_IDOLM@STERの登場人物#秋月 (あきづき りょう)|秋月涼]]
| 来栖美憂{{Sfn|来栖|2015c|p=50}}
| rowspan="2" |
663 ⟶ 758行目:
| {{Sort|20091015|2009年}}
| [[STEINS;GATE]]
| [[STEINS;GATEの登場人物#漆原 るか(うるしばら るか)|漆原るか]]
| 漆原るか
| [[大島薫]]{{Sfn|大島|2015|pp=97-98}}
| 大島は「女装男子」とする説も紹介している。
|-
691 ⟶ 786行目:
|
|-
| rowspan="2" | {{Sort|20120500|2012年}}
| rowspan="2" | [[ぼくらのへんたい]]
| rowspan="2" | {{hlist-comma|ユイまりか|パロウ|まりかユイ}}
| [[ふみふみこ]]{{Sfn|ふみ・秀|2015|p=57}}
| rowspan="2" | 「男の娘が流行りかけていてことばもキャッチーだったから」(ふみ)
|-
| [[幾夜大黒堂]]{{Sfn|幾夜|2015|p=146}}
|-
| {{Sort|20120600|2012年}}
760 ⟶ 857行目:
# 池田由紀{{fontsize|smaller|([[ゆびさきミルクティー]])}}
# 衹堂鞠也
# [[綾崎ハヤテ]]{{fontsize|smaller|([[ハヤテのごとく!]])}}
# 白姫彼方{{fontsize|smaller|([[おと×まほ]])}}
{{Endflatlist}}
992 ⟶ 1,089行目:
| {{Sfn|わぁい!|loc=Vol.16, p. 316}}
|}
 
==== 分類 ====
{{External media
| align = right
| width = 300px
| image1 = {{ウェブアーカイブ |deadlink= |title=「男の娘」分布図をスクリーンに映し出して論じ合う永山薫と来栖美憂(2010年10月16日)。 |url=https://twitter.com/Kaworu911/status/1449367139052179457 |archiveurl=https://archive.ph/x0I9W |archiveservice=[[archive.today]] |archivedate=2021-10-29}}
}}
「男の娘」キャラクターを分類する試みがなされている。『女装少年ゲーム大全』(2011年、ミリオン出版)は、受け身なオトコの娘・積極的なオトコの娘・ショタっこ・トランスセクシュアル・潜入系の5タイプを挙げている{{Sfn|民安|2011|pp=68-72}}。例えば「受け身なオトコの娘」とは、男性にとっての理想の女性像が反映される傾向のある、清楚で従順なキャラクターであり、周囲の圧力で強制的に女装させられている状況がしばしば付随するものであるとしている{{Sfn|民安|2011|p=68}}。来栖はキャラクターの内面と置かれた状況を独立に扱い、乙女/少年度・自発/強制度(あるいは心の女性度の高低・女装頻度の高低)を両軸で評価するグラフで傾向別の分布を示している{{Sfn|来栖|2010|p=98}}{{Sfn|来栖|2009b|p=143}}。例えば、大空ひばりや有栖川桜は、積極的に女装している・内面も女性らしいタイプであり、『ブロッケンブラッド』の守流津健一は強制的に女装させられた・少女らしいところのまったくないタイプ、『放浪息子』の二鳥修一は女性らしさは大空ひばりと同程度ながら・その女装はわずかに強制されたもの、といった具合である{{Sfn|来栖|2010|p=98}}。暮沢も指標として、身体の状態・年齢・女装の秘密度・女装の動機・女装の頻度を独立に挙げている{{Sfn|暮沢|2010|pp=183-186}}。永山は、個々の作品の差異を無視して一括する議論は不毛ではあるとしつつ、厳密には以下のように区分できると述べている{{Sfn|永山|2015|p=154}}。
 
; 女装という行為の在り方
:* 日常女装
:* 変装
:* 性別違和
:* コスプレ
:* 強制女装(SM、制度、契約)
:* 職業女装(接客業、演劇、バンド)
:<!-- バグ回避のための行「Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き」参照 -->
; 女装する主体の在り方
:* クロスドレッサー
:* トランス・ヴェスタイト
:* トランス・ジェンダー
:* トランス・セクシュアル
 
さらに、関連する用語として、異性装・インターセックス・無性・両性具有・半陰陽・シーメール・身体改造・洗脳・女体化・転生・魂の入れ替わり・少年愛・ゲイ・去勢などを挙げ、これらが複合的に「男の娘」の物語を構成していくと解説している{{Sfn|永山|2015|p=154}}。例えば『もやしもん』の結城蛍は日常女装・変装として描かれているが、コスプレとも解釈でき、抑圧された同性愛傾向も読み取れるという{{Sfn|永山|2015|p=154}}。
 
=== 三次元 ===
[[File:Majyokai in dwango.jpg|thumb|4人組「男女装ロ娘」サアイドル、[[魔女会|男の娘だらけの魔女会]]」。井上・井戸らとともにドキュメンタリー番組に取材された{{Sfn|川本|2014|pp=143-144}}。]]
公の場で最初に「男の娘」を名乗った三次元の存在は[[いがらし奈波]]と目されている{{Sfn|川本|2014|p=89}}。「男の娘AV女優」を名乗る[[橘芹那]]は、「男の娘」という語について、「包み込む言葉がなかったから、いい言葉だと思う」と述べる{{Sfn|川本|2014|pp=52-53}}。三次元に実在する人間が「男の娘」という語を使用することに、二次元の住人からは批判する向きがあるとしつつ、そうした批判に反論していく必要がある旨を語っている{{Sfn|川本|2014|p=53}}。田中東子は、三次元の「男の娘」の代表例として[[大島薫]]や加茂碧唯の名前を挙げている{{Sfn|田中|2015|p=126}}。文化研究家の溝口彰子は、「現在{{Interp|2015年|notooltip=1|和文=1}}の私にとっての「男の娘」の代表格は、多くの人にとってそうであるように、大島薫さんだ」と述べている{{Sfn|溝口|2015|p=167}}。元ミス筑波大学であり{{Sfn|あしやま|2015|p=119}}、テクノコスプレ研究会の主催者であるあしやまひろこは、マーケティングの都合上自身を「男の娘」と形容することがあるが、普段は女装者を自称している{{Sfn|あしやま|2015|p=121}}。
 
== 日本以外の国・地域における「男の娘」 ==
=== ヘレニズムギリシア ===
[[File:Hermaphroditus Louvre face.jpg|thumb|[[ヘルマプロディートス]]は両性具有の神。]]
美術家の[[柴田英里]]は、ヘレニズム時代の彫刻『{{仮ンク|眠れるシア神話の神・[[ヘルマプロディートス|en|Sleeping Hermaphroditus}}』]]を「少年的な身体と少女的な身体を曖昧な境域で渡り歩く〈男の娘〉の身体そのものでありオブジェとして広義男の娘〉の古典であるみなており{{Sfn|柴田|2015|ppp=132-133}}、広義その彫刻『{{仮リンク|眠れるヘルマプロディートス|en|Sleeping Hermaphroditus}}』をオブジェとしての「男の娘」の古典的傑作であると見なしている{{Sfn|柴田|2015|p=132}}。
 
=== 中国英語圏 ===
男の娘のように女性のように見える男性キャラクターについて「Trap」という英語があり、日本の男の娘は「Japanese Trap」と呼ばれる{{Sfn|J-CAST|2020}}。異性愛者にとってそういうキャラは罠で、それにハマってしまったいうニュアンスがある{{Sfn|Game*Spark|2019}}{{Sfn|あにぶ|2020}}。
女装行為を行う男性や、女性にしか見えない容姿を持つ男性を、中国語では「{{読み仮名|偽娘|ウェイニャン}}」と呼ぶ{{Sfn|フライメディア|2015}}。この概念は日本のアニメ・漫画に由来するものとされ{{Sfn|人民網|2010b}}、いわば中国版「男の娘」であり{{Sfn|フライメディア|2015}}、中国のアニメ・漫画ファンによる造語と考えられている{{Sfn|人民網|2010b}}。[[人民網]]日本語版は2010年、中国のネット上で「偽娘育成マニュアル」「偽娘白書」など、女装の指南本が多く出回っていると報じた{{Sfn|人民網|2010a}}。「偽娘」たちはオンライン・オフラインで頻繁に集まり、女装について語り合っているといい、「偽娘」現象が中国で論争の的になっているとしている{{Sfn|人民網|2010a}}。
 
アメリカの掲示板サイト[[Reddit]]のアニメコミュニティAanimemesでは2020年8月3日にコミュニティの反差別規定に基づいて「Trap」の使用を禁止することを発表、使用者に悪意はなくむしろ愛情をもって使われていたかもしれないがそのつもりがなくとも現実のトランスジェンダーやジェンダーが一致しない人物の心情を悪くしてしまったことが理由で、代替語としてFemboy、Crossdresser、otokonoko、Josou、Tomgirl、Cutieを示したが、掲示板利用者内で論争を呼び、悪意を持って使われていない、個人の意識の問題とするものや他サイトでは侮辱するために使われていたとの話もあった{{Sfn|J-CAST|2020}}。8月8日にサイト運営側は謝罪し、今回の発表に対して寄せられたコメントの多くは誤解で発表は性急で不適切であったとしながらも言葉を禁止する考えはそのままであった{{Sfn|J-CAST|2020}}。
武漢では2009年10月に「偽娘」のグループ・{{仮リンク|爱丽丝伪娘团|zh|爱丽丝伪娘团}}が結成された{{Sfn|华声在线|2012}}。
 
=== 中国 ===
2019年秋、「男の娘」が主人公の一般向けアニメ作品『今天開始做明星(今日からスター)』が、公開されたに際し、多くの話題を呼んだ{{Sfn|クーリエ・ジャポン|2019}}。クーリエ・ジャポンは、これを「中国初どころか、アジア初」として報じ、「日本がリードしていたはずの「男の娘」文化も、このまま大国に追い抜かれてしまうのだろうか」と書いている{{Sfn|クーリエ・ジャポン|2019}}。
女装行為を行う男性や、女性にしか見えない容姿を持つ男性を、中国語では「{{読み仮名|偽娘|ウェイニャン}}」と呼ぶ{{Sfn|フライメディア|2015}}。この概念は日本のアニメ・漫画に由来するものとされ{{Sfn|人民網|2010b}}、いわば中国版「男の娘」であり{{Sfn|フライメディア|2015}}、中国のアニメ・漫画ファンによる造語と考えられている{{Sfn|人民網|2010b}}。武漢では2009年10月に「偽娘」のグループ・{{仮リンク|アリス偽娘団|zh|爱丽丝伪娘团}}が結成された{{Sfn|华声在线|2012}}。ネット上では「偽娘育成マニュアル」「偽娘白書」など、女装の指南本が多く出回った{{Sfn|人民網|2010a}}。[[人民網]]日本語版は「偽娘」現象が中国で論争の的になっていると2010年に報じている{{Sfn|人民網|2010a}}。
 
その後、中国当局は、映像作品における男性出演者の「偽娘」化の傾向を問題視するようになった{{Sfn|Next TV|2021}}。2021年9月、{{仮リンク|国家ラジオテレビ総局|zh|国家广播电影电视总局}}は芸能界の管理統制を強化する8項目の通達を発表し、男子のジェンダーレスなイメージの発信を禁止する方針(限娘令)を打ち出した{{Sfn|Record China|2021}}。同月、中国出版工作者協会遊戯工作委員会(GPC)と、[[テンセント]]や[[網易|NetEase]]を含む213の同国オンラインゲーム事業者が、ゲーム中毒対策のための自主規制ガイドラインを発表した{{Sfn|AUTOMATON|2021}}。同ガイドラインは、当局から各社に要請されていた内容に沿ったもので、「娘炮(女性的な男性)」や「耽美(ボーイズラブ)」などが「悪しき文化」として規制の対象になった{{Sfn|AUTOMATON|2021}}。当局が教育やエンターテインメント業界への規制を進めていることには、国内外から「文化大革命の再来」との批判が上がっている{{Sfn|ITmedia|2021}}。
 
== 脚注 ==
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{{Notelist2|2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|320em|refs=
}}
 
1,024 ⟶ 1,148行目:
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|今|2005}} |reference=今俊郎「女装美少年ゲーム 今後はこうなる!」、74頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|彼佐|2005}} |reference=彼佐真近「男性から見た女装美少年、女性から見た女装美少年」、75頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|空想女装少年コレクション|2005}} |reference=「緊急! 覆面座談会」、80-85頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=このアニメがすごい! 2007 |series=[[別冊宝島]]1411号 |publisher=[[宝島社]] |date=2007-03-17 |isbn=978-4796657440 |ref={{Sfnref|このアニメがすごい!|2007}}}}
* {{Cite book |和書 |titleauthor=おと☆娘三橋順子 |volumeauthorlink=VOL.7三橋順子 |title=女装と日本人 |series=ミリオンムック[[講談社現代新書]] |publisher=[[ミリオン出版講談社]] |date=20122008-0409-2619 |isbn=978-48130659444062879606 |ref={{Sfnref|三橋|2008}}}}
* {{Cite book |和書 |title=オトコノコ倶楽部 |volume=VOL.1 |publisher=[[三和出版]] |date=2009-05-12 |isbn=978-4776904298}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2012}} |reference=来栖美憂「おと☆特製 オトコの娘年表」、103-105頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2009a}} |reference=ちゃとら、[[こ〜ちゃ]]{{fontsize|smaller|(取材・文:来栖美憂)}}「見逃せない2D世界の男の娘達①人気ゲーム「はぴねす!」《渡良瀬準》編」、90-93頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2009b}} |reference=来栖美憂「女装少年の系譜」、138-143頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=おと☆娘 |volume=VOL.1 |series=ミリオンムック |publisher=[[ミリオン出版]] |date=2010-10-25 |isbn=978-4813063902}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2010}} |reference=来栖美憂「このオトコの娘ヒロインがスゴい!」、93-98頁。}}
* {{Cite book |和書 |author=暮沢剛巳 |authorlink=暮沢剛巳 |title=キャラクター文化入門 |publisher=[[NTT出版]] |date=2010-11-25 |isbn=978-4757142565 |ref={{Sfnref|暮沢|2010}}}}
* {{Cite book |和書 |title=オトコノコ時代 |volume=VOL.1 |series=マイウェイムック |editor=井戸隆明 |publisher=マイウェイ出版 |date=2011-05-12 |isbn=978-4861358067}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|上手|2011}} |reference=上手詩織「女装文化の歴史 第五回◎女装イベント、その発生と展開」、182-189頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=女装少年ゲーム大全 |volume=2009-2011 |series=ミリオンムック |publisher=ミリオン出版 |date=2011-08-29 |isbn=978-4813065012}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|民安|2011}} |reference=[[民安ともえ]]{{fontsize|smaller|(構成:編集部)}}「私立オトコの娘学園」、65-75頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=オトコノコ時代 |volume=VOL.2 |series=マイウェイムック |editor=井戸隆明 |publisher=マイウェイ出版 |date=2011-11-09 |isbn=978-4861358593}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2011}} |reference=来栖美憂「女装初心者・男の娘のための女装とコスプレ特集」、43-49頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|魔北|2011}} |reference=魔北葵{{fontsize|smaller|(聞き手:編集部)}}「魔北葵インタビュー「ふたなりから男の娘という表現へ」」、160-165頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=おと☆娘 |volume=VOL.7 |series=ミリオンムック |publisher=ミリオン出版 |date=2012-04-26 |isbn=978-4813065944}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2012}} |reference=来栖美憂「おと☆娘特製 オトコの娘年表」、103-105頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|民安|2012}} |reference=民安ともえ{{fontsize|smaller|(聞き手:編集部)}}「民安ともえの2011年ひとりオトコの娘アワード?」、216-217頁。}}
* {{Cite book |和書 |title=おと☆娘 |volume=VOL.10 |series=ミリオンムック |publisher=ミリオン出版 |date=2013-02-18 |isbn=978-4813067252}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2013}} |reference=来栖美憂「来栖美憂のオトコの娘名作批評 第3回“バーコードファイター”」、283頁。}}
* {{Cite book |和書 |author=川本直吉田悟郎 |title=「男オトコの娘」たちラヴァーズ!! |series=ミリオンコミックス |publisher=‎[[河ミリオン書房新社]] |date=20142013-09-2526 |isbn=978-4309246741 |url=4813054009 |ref={{Sfnref|川本吉田|20142013}}}}
* {{Cite book |和書 |author1=一柳廣孝 |authorlink1=一柳廣孝 |author2=久米依子 |title=ライトノベル・スタディーズ |publisher=[[青弓社]] |date=2013-10-19 |isbn=978-4787292162}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|久米|2013}} |reference=久米依子「トラブルとしてのセクシュアリティ 〈男の娘〉表象と少女コミュニティ志向」、69-83頁。}}
* {{Cite book |和書 |author=永山薫 |title=増補 エロマンガ・スタディーズ 「快楽装置」としての漫画入門 |series=[[ちくま文庫]] |publisher=[[筑摩書房]] |date=2014-04-09 |isbn=978-4480431691 |ref={{Sfnref|永山|2014}}}}
* {{Cite book |和書 |author=川本直 |title=「男の娘」たち |publisher=[[河出書房新社]] |date=2014-09-25 |isbn=978-4309246741 |ref={{Sfnref|川本|2014}}}}
* {{Cite book |和書 |title=大人限定 男の娘のヒミツ |series=マイウェイムック |editor=井戸隆明 |publisher=マイウェイ出版 |date=2015-07-09 |isbn=978-4865113792}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|来栖|2015a}} |reference=来栖美憂「「男の娘」と「ボクら」の歴史」、6-31頁。}}
1,038 ⟶ 1,181行目:
* {{Cite journal |和書 |journal=[[ユリイカ (雑誌)|ユリイカ]] |volume= |issue=2015年9月号 特集=男の娘 —“かわいい”ボクたちの現在— |publisher=青土社 |date=2015-08-27 |isbn=978-4791702947}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|ふみ・秀|2015}} |reference=[[ふみふみこ]]、秀良子{{fontsize|smaller|(聞き手:編集部)}}「女装男子は一日にしてならず、いわんや男の娘をや」、56-68頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|三橋|2015}} |reference=[[三橋順子]]「トランスジェンダー文化の原理 双性のシャーマンの末裔たちへ」69-76頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|佐伯|2015}} |reference=[[佐伯順子]]「“男性差別”社会の癒やし 女装男子の歴史と現在」、77-84頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|樋口|2015}} |reference=樋口康一郎「「女の子になりたい男」の近代 異性愛制度のなかの〈男の娘〉表象」、85-92頁。}}
1,047 ⟶ 1,190行目:
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|田中|2015}} |reference=[[田中東子]]「自由と抑圧のはざまでかわいさを身にまとう」、122-130頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|柴田|2015}} |reference=[[柴田英里]]「ヘルマフロディトスの身体 オブジェとしての男の娘は如何にして誕生し、何を求めるのか」、131-138頁。}}
<!-- ** {{Wikicite |ref={{Sfnref|幾夜|2015}} |reference=[[幾夜大黒堂]]「境目と境界の漸近線 『境界のないセカイ』の向こう側」、139-146頁。}} -->
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|永山|2015}} |reference=永山薫「大きな声ではいえないオトコノコ漫画の秘密」、147-157頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|日高|2015}} |reference=日高利泰「彷徨う者たちの倫理 来るべき志村貴子論のために」、158-166頁。}}
1,057 ⟶ 1,200行目:
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|二村|2015}} |reference=[[二村ヒトシ]]「彼女から生えているのは「ぼくのと同じちんぽ」だ」、205-209頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|吉本|2015}} |reference=吉本たいまつ「ショタ・女装少年・男の娘 二次元表現における「男の娘」の変遷」、210-224頁。}}
* {{Cite book |和書 |author=宮本直穀 |title=エロゲー文化研究概論 増補改訂版 |publisher=総合科学出版 |date=2017-04-25 |isbn=978-4881818596 |url= |ref={{Sfnref|宮本|2017}}}}
* {{Cite book |和書 |title=マンガで振り返るオトコノコ10年史 |series=三和ムック |publisher=三和出版 |date=2020-09-17 |isbn=978-4776923350}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|井戸|2020}} |reference=井戸隆明{{fontsize|smaller|(聞き手:編集部)}}「『オトコノコ倶楽部』創刊編集長・井戸隆明に聞く」、11-46頁。}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|オトコノコ10年}} |reference=「女装美少年たちが美少女化した時代背景」、47-65頁。}}
 
=== 雑誌 ===
1,066 ⟶ 1,212行目:
* {{Cite journal |和書 |journal=[[BugBug]] |volume=<!-- 25 --> |issue=<!-- 12 -->2016年12月号 |publisher=[[サン出版]] |date=2016-11-02}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|BugBug 2016年12月号}} |reference=「女装主人公ヒミツの座談会」、149-155頁。}}
 
=== 同人誌 ===
* {{Cite journal |和書 |journal=女装と思想 |volume= |issue=Vol.1 |publisher=テクノコスプレ研究会 |date=2013-08-11}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|あしやま|2013}} |reference=あしやまひろこ「刹那的永遠性の「男の娘」」、38-51頁。}}
* {{Cite journal |和書 |journal=女装と思想 |volume= |issue=Vol.2 |publisher=テクノコスプレ研究会 |date=2013-12-31}}
** {{Wikicite |ref={{Sfnref|ろくでなし子|2013}} |reference=[[ろくでなし子]]「「女装」とデコまんについての雑感」、51頁。}}
 
=== 新聞記事 ===
* {{Cite news |和書 |author=福田淳 |title=注目ワード:ジョソコ ボクたち「男の娘」 |newspaper=[[読売新聞]] |page=8頁 |date=2010-01-27 |edition=東京夕刊 |ref={{Sfnref|読売新聞|2010}}}}
* {{Cite news |和書 |author=鈴木敦子 |title=ストーリー:女子化する男たち |newspaper=[[毎日新聞]] |pages=1・4頁 |date=2013-02-17 |edition=東京朝刊 |ref={{Sfnref|毎日新聞|2013}}}}
* {{Cite news |和書 |author=神庭亮介 |title=女装に恋して“男の娘” 集う若者「ストレスから解放」 |newspaper=[[朝日新聞]] |page=11頁 |date=2014-09-20 |edition=東京夕刊 |ref={{Sfnref|朝日新聞|2014}}}}
* その他は孫引き。
 
=== ウェブページ ===
* {{Cite web |date=2008-02-11 |url=https://ascii.jp/elem/000/000/106/106974/ |title=生か死か!? 女装メイド喫茶「雲雀亭」に潜入取材! 魅惑のカオスは性別のるつぼ!! |publisher=[[ASCII.jp]] |accessdate=2021-09-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210818032736/https://ascii.jp/elem/000/000/106/106974/ |archivedate=2021-08-18 |ref={{Sfnref|ASCII.jp|2008}}}}
* {{Cite web |author=坂本恵 |date=2010-04-05 |url=https://natalie.mu/comic/pp/waai |title=わぁい! - 特集・インタビュー |work=コミックナタリー |publisher=[[ナタリー (ニュースサイト)|コミックナタリー]] |accessdate=2021-09-25 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210203075416/https://natalie.mu/comic/pp/waai |archivedate=2021-02-03 |ref={{Sfnref|コミックナタリー|2010}}}}
* {{Cite web |date=2010-05-03 |url=http://www.new-akiba.com/news/nhk23mag |title=NHKで「男の娘」特集が放送予定。23日のMAG・ネットにて |publisher=[[ネトラン|にゅーあきば.こむ]] |accessdate=2021-09-18 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210301194902/http://www.new-akiba.com/news/nhk23mag |archivedate=2021-03-01 |ref={{Sfnref|にゅーあきば|2010}}}}
* {{Cite web |url=http://www.nhk.or.jp/magnet/program.html |title=放送内容 |work=[[MAG・ネット]] |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |accessdate=2011-05-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110512173043/http://www.nhk.or.jp/magnet/program.html |archivedate=2011-05-12 |deadlinkdate=2021-09-18 |ref={{Sfnref|NHK|2010}}}}
* {{Cite web |date=2010-06-17 |url=http://j.people.com.cn/94475/7028255.html |title=アジアで流行する「偽娘」 |work=中国・インターネット流行事情 |publisher=[[人民網]] |accessdate=2021-09-12 |ref={{Sfnref|人民網|2010a}}}}
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* {{Cite web |date=2016-02-27 |url=http://propaganda-party.com/news/68/category:1 |title=【重大発表】プロパガンダは次回で最終回になります! |publisher=プロパガンダ |accessdate=2016-03-03 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160303205427/http://propaganda-party.com/news/68/category:1 |archivedate=2016-03-03 |deadlinkdate=2021-09-03 |ref={{Sfnref|プロパガンダ|2016}}}}
* {{Cite web |author=生活安全局生活安全企画課 |date=2016-03-18 |url=https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/H27/H27_jisatunojoukyou_01.pdf |title=平成27年中における自殺の状況 |format=pdf |publisher=[[警察庁]] |accessdate=2021-09-12 |ref={{Sfnref|警察庁|2015}}}}
* {{Cite web |author=田中淳 |date=2019-0903-0630 |url=https://courrierwww.gamespark.jp/columnsarticle/1734682019/03/30/88579.html |title=#62 中国が日本を追い抜いたヒロインは女神も含めて皆、男!? 「男の娘」アニメ、アジア初登場美少年(女)ノベルゲーム『女装神社』Steam配信開始 |publisher=[[クーリエ・ジャポン]]Game*Spark |accessdate=2021-0910-1204 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20211003075745/https://www.gamespark.jp/article/2019/03/30/88579.html |archivedate=2021-10-03 |ref={{Sfnref|クーリエ・ジャポンGame*Spark|2019}}}}
* {{Cite web |author=numankyouei-のいせ |date=20212020-0401-1518 |url=https://www.excite.coanibu.jp/news/article/Numan_NrlHS/20200118-otokonoko-155063.html |title=女子みたいに可愛い男子は好きですか? 男の娘(おとこのこ)特集 |publisher=[[エキサイト]]あにぶ |accessdate=2021-0910-1204 |archiveurl=https://web.archive.org/web/2021091208082420200814112701/https://www.excite.coanibu.jp/news/article/Numan_NrlHS/20200118-otokonoko-155063.html |archivedate=20212020-0908-1214 |ref={{Sfnref|エキサイトあにぶ|20212020}}}}
* {{Cite web |author=和泉宗吾 |date=2020-02-06 |url=http://www.akiba-plus.com/?p=81608 |title=【速報】「男の娘」が商標登録 |publisher=秋葉原PLUS |accessdate=2021-10-21 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20200312003202/http://www.akiba-plus.com/?p=81608 |archivedate=2020-03-12 |ref={{Sfnref|秋葉原PLUS|2020}}}}
* {{Cite web |date=2020-03-01 |url=https://twitter.com/nis_bokuhime/status/1233787934416891910 |title=「男の娘」と「女装男子」の違いについて |publisher=[[ボク姫PROJECT]] |website=[[Twitter]] |accessdate=2021-10-26 |archiveurl=https://archive.ph/pSCK2 |archivedate=2021-10-26 |ref={{Sfnref|ボク姫PROJECT|2021}}}}
* {{Cite web |date=2020-08-16 |url=https://www.j-cast.com/2020/08/16392220.html?p=all |title=「男の娘」を指す「trap」は差別用語? 海外掲示板の処置に日本でも物議 |publisher=[[ジェイ・キャスト|J-CASTニュース]] |accessdate=2021-10-04 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210913153604/https://www.j-cast.com/2020/08/16392220.html?p=all |archivedate=2021-09-13 |ref={{Sfnref|J-CAST|2020}}}}
* {{Cite web |date=2021-03-11 |url=https://www.nexttv.com.tw/NextTV/News/Home/WorldNews/2021-03-11/398741.html |title=出奇招! 中國祭影視男星「限娘令」 網友痛批:強制審美 |publisher={{仮リンク|Next TV|zh|壹電視}} |accessdate=2021-10-22 |ref={{Sfnref|Next TV|2021}}}}
* {{Cite web |author=numan |date=2021-04-15 |url=https://numan.tokyo/words/NrlHS |title=男の娘(おとこのこ)とは?(意味)~用語集 |publisher=乙女企画 |accessdate=2021-09-12 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210416110117/https://numan.tokyo/words/NrlHS |archivedate=2021-04-14 |ref={{Sfnref|numan|2021}}}}
* {{Cite web |author=浦上早苗 |date=2021-09-09 |url=https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2109/09/news034.html |title=ジェンダーレス男子、タレント二世も起用NG。中国エンタメ界に吹き荒れる大統制 |publisher=ITmedia |accessdate=2021-10-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20211015035824/https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2109/09/news034.html |archivedate=2021-10-15 |ref={{Sfnref|ITmedia|2021}}}}
* {{Cite web |author=anomado |date=2021-09-13 |url=https://www.recordchina.co.jp/b882285-s36-c70-d0196.html |title=ジェンダーレス男子はNG!「限娘令」で芸能人たちが“男性らしさ”のアピールをスタートか |publisher=[[Record China]] |accessdate=2021-10-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20210915074518/https://www.recordchina.co.jp/b882285-s36-c70-d0196.html |archivedate=2021-09-15 |ref={{Sfnref|Record China|2021}}}}
* {{Cite web |date=2021-09-25 |url=https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210925-176916/ |title=中国でゲーム業界団体が“自主規制ガイドライン”を発表。実名認証厳守でボーイズラブも自主規制、213企業が協賛する厳しい条件 |publisher=AUTOMATON |accessdate=2021-10-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20211010020535/https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210925-176916/ |archivedate=2021-10-10 |ref={{Sfnref|AUTOMATON|2021}}}}
 
== 関連項目 ==
* [[異性装]] - [[女装]]
* [[おかま]] - [[ニューハーフ]] - [[トランスジェンダー]] - [[トランスセクシャル性転換]]
* [[少年愛]] - [[少年性愛]] - [[ショタコン]] - [[性的対象化]]
* [[ふたなり]] - [[ロリショタ]] - [[TSF (ジャンル)]]
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* {{Wayback|url=http://hibari-tei.com/|title=「雲雀亭」公式サイト|date=20140517120022}}
* {{Website|http://newtype.ms/|「男の娘カフェ&バー NEWTYPE」公式サイト}}
* {{ニコニコチャンネル|ch774|TJTV -Trans Japan TV-(旧・ 男の娘☆ちゃんねる)}}
** {{YouTube channel|OtokonokoCh|TJTV -Trans Japan TV-(旧・ 男の娘☆ちゃんねる)|アーカイブ}}
 
{{LGBT}}