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{{See also|元素#歴史}}
 
== 古代ギリシの原子論 ==
[[ギリシア哲学|古代ギリシア哲学]]においては、[[パルメニデス]]より後代の[[ソクラテス以前の哲学者]]たちによって考え始められた。[[イオニア学派]]の[[アナクサゴラス]]が、万物は最小の構成要素「スペルマタ」(種子)からなると説いて議論に先鞭をつけた。その後、[[ソクラテス]]と同時代の[[レウキッポス]]とその弟子[[デモクリトス]]らの一派が、「アトモン」(不可分なもの・原子)がを構成する最小単位であり、無数の原子と空虚が真に存在するという原子論を唱えた。[[ソクラテス]]とほぼ同時代のデモクリトスらの原子論は、[[プラトン]]の[[イデアル (環論)|イデア論]]や[[アリストテレス]]の[[形而上第一哲学]]と対立しつつ、[[ヘレニズム期]]の[[エピクロス]]や[[共和制ローマ]]の[[ルクレティウス]]に継承される。その後1000年以上の時を跨いで、[[ルネサンス期]]の[[人文主義者]][[ポッジョ・ブラッチョリーニ]]によって再発見された<ref>『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』スティーヴン・グリーンブラット:著、河野純治:訳、柏書房、2012年</ref>。
 
== インドの原子論 ==
[[20世紀]]以降の[[インド哲学]]史研究において、[[六師外道]]や[[ジャイナ教]]、[[ヴァイシェーシカ学派]]の思想、仏教の「極微」の思想などが、古代ギリシに見立てられて便宜的に「原子論」と呼ばれる<ref>{{Cite journal|author=山口義久|year=1996|title=インドとギリシアの古代「原子論」 : 比較思想の基本的問題|url=https://hdl.handle.net/10466/8850|journal=人文学論集|volume=14|page=|publisher=大阪府立大学}}</ref>。
 
=== 仏教の「極微」 ===
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空間の構造については、それが連続的であるのか、あるいは原子のような最小単位があるのか議論があったが、後者のほうが優勢であった。また、[[真空]]については、存在を認める議論と認めない議論の両方があった。
 
イスラームの原子論の起源については、古代ギリシ起源説、インド起源説、独立の発生だという説などがあり、はっきりとしたことはわかっていない。
 
== 近世ヨーロッパの原子論 ==
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19世紀末の電子発見以前の時点で存在が確認されていた最小の物体は濾過性病原体(後に[[ウイルス]]と認識される。)であった。
 
例えば、[[エルンスト・マッハ]]や[[ヴィルヘルム・オストヴァルト|オストヴァルト]]なども、[[実証主義]]の立場から、"原子"なるものは観測不能であることなどを理由に"原子"なるものが実在するという原子論には反対し、エネルギー論を主張していた。そして、原子論の考え方に基づいて熱現象を試みに計算してみたものなどを論文類で発表しはじめた若者[[ルートヴィッヒ・ボルツマン|ボルツマン]]と激しい論争を繰り広げた。この論争に関しては、[[アインシュタイン]]の1905年の論文による[[ブラウン運動]]に関する理論(仮説)の提出、および1909年の[[ジャン・ペラン|ペラン]]による実験的検証(左記アインシュタインの理論の検証を含む研究)により、ただの理屈や理論ではなく何らかの粒子が存在すると認知されることによって一旦決着がついた。ただしマッハは1913年に著書で原子論を批判し{{Efn|1897年の時すでに、ウィーンの帝国科学アカデミーでボルツマンの講演を聴いた後、マッハは「原子が存在するなど。私は信じない」と宣言している<ref>{{Cite book|和書|author=[[カルロ・ロヴェッリ|C・ロヴェッリ]]|year=2019|title=すごい物理学講義|publisher=河出文庫|pages=P.39}}</ref>。}}、[[ピエール・デュエム]]も1914年の著書で原子論を批判した。マッハとデュエムが没した1916年以降は原子論に反対する科学者はほぼいなくなっていた。ちなみに、この原子の実在証明は、[[電子]]発見の後である。
 
それまで反対派のほうが多かった「何らかの粒子的な単位」の存在が自然科学者一般に認められるようになったことで、それは自然科学分野で理論を構築するために使える便利な概念的道具となった。
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== 関連項目 ==
 
*[[実体]]
*[[カナーダ]]
*[[人間疎外|人間疎外(アトム化)]]
*[[カール・マルクス]]