「ミトラガイナ属」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
導入部: アヘンボクが危険な性格を持つという重要な情報が欠けていると思い立った為、この事が読み手に伝わるよう手直し。
m →‎種の区別: 意識していないと「たり」の呼応は忘れてしまうものですね。
(同じ利用者による、間の3版が非表示)
30行目:
}}
 
'''ミトラガイナ属'''<ref name="shiteiyakubutsu">{{Cite press release|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000115295.html|title=危険ドラッグの成分5物質及び1植物種を新たに指定薬物に指定|work=報道発表資料|publisher=厚生労働省|date=2016-03-09|accessdate=2021-12-24}}</ref>(ミトラガイナぞく)あるいは'''ミトラギナ属'''<ref name="kairaku_49">{{Harvcoltxt|シュルテスら|2007|p=49}}</ref>(ミトラギナぞく; {{Snamei|Mitragyna}})は[[アカネ科]]の[[属 (分類学)|属]]の一つである。全ての種が[[木本]]であり、[[#下位分類|#分布]]は[[インド]]から[[東南アジア]]を中心とし、[[熱帯アフリカ]]にも見られる。花は[[頭状花]]を特徴とし、様々な検討を経てアカネ科内では同じ特徴を持つ他の属とともに{{仮リンク|タニワタリノキ連|en|Naucleeae}}({{Sname||Naucleeae}})<ref group="注">かつてはこれに異を唱える学者もいた。詳細は[[#属の位置付け]]を参照。</ref>に入れられており、そのタニワタリノキ連内では[[めしべ]]の{{仮リンク|柱頭 (植物学)|label=柱頭|en|Stigma (botany)}}が[[キリスト教]]聖職者の被る冠([[ミトラ (司教冠)|ミトラ]])のような形状をしているという点などが他属と異なる<ref>詳細は[[#特徴]]を参照。</ref>。東南アジア原産で国によっては[[麻薬]]扱いされることもある[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}}、通称[[クラトム]])をはじめ[[アルカロイド]]を含む樹種は[[#薬用]]となり、アフリカ産の[[バイヤ]]({{Snamei|fr|Mitragyna ledermannii}})などは[[#木材]]として用いられる。
 
== 属名 ==
[[File:Mitre evolution.gif|thumb|left|ミトラ]]
属名 {{Snamei|Mitragyna}} は<!-- [[古典ギリシア語]] -->〈[[ミトラ (司教冠)|ミトラ]]〉{{lang-grc|[[wikt:en:μίτρα|μίτρα]]}} (mítra) + 〈女〉{{lang-grc|links=no|[[wikt:en:γυνή|γυνή]]}} (gunḗ) の合成語で、[[雌蕊]]の[[柱頭]]の形状がミトラという[[キリスト教]]の聖職者の冠(僧帽)に似ていることに由来する<ref>{{Harvcoltxt|Voorhoeve|1965|p=321}}</ref>{{refnest|group="注"|この属を最初に設けた[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]が示していたのは {{Snamei|Mitragyna africana}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}}]、{{Snamei||Mitragyna parvifolia}}、[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の3種である<ref>[[#歴史]]を参照。</ref>。}}。この形態的特徴は今日においても、タニワタリノキ連の中でこの属を区別する手がかりの一つとして通用する<ref>[[#位置付け区別]]を参照。</ref>。
 
== 特徴 ==
以下は {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=56–57}} により定義されたミトラガイナ属全体の形態的特徴である。
 
「木本性; 若い小枝は角張っているか丸く、無毛か軟毛あり。
 
枝は分枝する<!--differentiated-->; 節ごとに2連続で蕾がつく; 末生<!--ultimate vegetative-->側枝は鉤状にはならない。托葉は全縁で、わずかにあるいは強く[[竜骨]]状となり<!--keeled-->、頭状花を葉腋に抱くものは時に葉状となり、内部は基部に{{仮リンク|粘液毛|en|colleter (botany)}}がある; 縁は全縁で、粘液毛はない。
 
葉は全ての[[軸上]]で対生で、傾斜屈性の枝の側面の若枝の葉の器官<!--foliar organs of the side shoots of the plagiotropic branches-->はふつう小さく退化した葉から苞にかけて求頂的に<!--acropetally-->大きさが小さくなっていく; [[ダニ室]]がふつう側脈の葉腋に見られる。
 
[[頭状花]]は傾斜屈性の枝の側面の若枝上に頂生(恐らく数種では傾斜屈性の枝上に頂生するがこの点ははっきりしない); 傾斜屈性の枝の側面の若枝は長さが求基的に<!--basipetally-->増していき、単枝や複2枝[[集散花序]]<!--simple or compound dichasia-->の形に分枝するか、あるいは(比較的まれに){{仮リンク|密錐花序|en|thyrse}}<ref group="注">[[ライラック]]の花のように密に分枝し、主軸が不明瞭な一方で側軸は明瞭な[[花序]]のことをいう。</ref>でその全ての枝に頂生の頭状花が見られる形に分枝する。若枝の頂生部は連続する蕾のうち開花し得る<!--available-->もの全てから頭状花を咲かせ得、そして頂生の複[[散形花序]]のようになり得る。
 
花は5数性で、[[花托]]上に(半)無柄でつく; 花托は毛深い; 花同士の間の[[小苞]]は[[へら]]状で、柄<!--shaft-->は広いが、糸状ではない。
 
{{仮リンク|萼筒|en|Hypanthium}}は無毛かまれにまばらに毛が少数見られる程度である; 萼は短管状もしくは長管状である; 萼片は鈍角、3角あるいは線形から線-へら状で、無毛かまばらに毛が少数見られる程度である; 萼状総苞が見られるものとそうでないものとがある。
 
[[花冠]]筒は[[漏斗]]状から細く[[高杯]]状<!--hypocrateriform-->、外側が無毛で、内側は無毛から軟毛密生性; 花冠裂片は偏長形、蕾時は重なり合わない敷石状<!--valvate-->で、頂点に小さく無毛の付属物<ref group="注" name="appendage">{{lang-en-short|appendage}}</ref>があって外側が毛深いか、あるいは付属物は見られず外側は無毛である。
 
{{ruby|[[雄蕊]]|おしべ}}は花冠筒に高く着生し、顕著に喉から突き出てだだ広がるか、あるいは部分的か、もしくは突き出ずに直立する; [[花糸]]は短く、無毛である。
 
[[花柱]]は伸出する; [[柱頭 (植物学)|柱頭]]は[[ミトラ (司教冠)|僧帽]]状から細長い形-[[棍棒]]状で頂点や時に基部にも乳頭状の毛が見られる<ref group="注" name="papillate">{{lang-en-short|papillate}}</ref>か、あるいは卵状-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球状で乳頭毛が表面全体に見られる。
 
[[子房]]は2室で、各室に存在する厚く暗褐色-黒色の[[胎座]]が隔壁の少なくとも上部3分の1に接して沿着し、下垂する; [[胚珠]]は多数で、上向きに重なり合う[[鱗]]状である; 底面で接する。
 
小果は2小室; 外果皮は細く、丈に沿って胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally">果実を構成する心皮それぞれの外縫線に沿って裂開するということ。</ref>し、急速に失われ、萼の残りの下に完全な形のままでは残らず、内果皮と共に裂けていく; 内果皮は厚く、角質で、胞間裂開<ref group="注">果実の各室間の隔壁が離れる形で裂開するということ。[[オトギリソウ]]などにも見られる。</ref>、次いで頂点から底にかけて胞背裂開する。
 
種子は小さく多数、中心が網目状で、短い{{ruby|翼|よく}}が両端に見られ、下方の(接する)翼は浅く2裂するか、刻み目が見られる。」
 
 
上述の特徴のうち[[#属名]]の由来通りに僧帽状の雌蕊を有するという点や、室ごとに多数の[[胚珠]]が底面につく({{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}})といった点に加えて、[[花粉]]がH字状の内口<ref group="注">{{lang-en-short|endoapertures}}。</ref>付きの3-帯溝孔<ref group="注">{{lang-en-short|3-zonocolporate}}。花粉の外膜に細長い切れ目と丸い穴を持つ発芽口が赤道上に3つ存在するということ。<!--参考: {{Cite web|url=https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/keitai/kafunryuu.html|title=花粉粒|author=福原達人|work=植物形態学|date=2021-12-13|accessdate=2022-01-30}}--></ref>である点({{Harvcoltxt|Huysmans|Robbrecht|Smets|1994}})が、ミトラガイナ属をほかの[[タニワタリノキ連]]下の属と区別する上での鍵となる<ref>{{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014|p=308}}.</ref>。
 
=== 種の区別 ===
10種が認められる。全種の区別の詳細は[[#検索表]]に譲るが、特に {{Snamei|[[#Mitragyna diversifolia (Wall. ex G.Don) Havil.|Mitragyna diversifolia]]}} と {{Snamei|[[#Mitragyna parvifolia (Roxb.) Korth.|Mitragyna parvifolia]]}} の2種は形態的に明確な違いと言えるのは花同士の間にある小苞の柄に対する萼の位置<ref group="注">{{Snamei|M. diversifolia}} の方が高い。</ref>や、花冠裂片の2倍を基準とした花冠管の長さ<ref group="注">{{Snamei|M. diversifolia}} は基準よりも必ず短く、対する {{Snamei|M. parvifolia}} は基準よりも長い。</ref>といった点ぐらいであり、かつては前者が後者と誤同定されたり{{refnest|group="注"|{{Harvcoltxt|Korthals|1839–1842|p=161}} が {{Snamei|Stephegyne parvifolia}} {{small|({{AU|Roxb.}}) {{AU|Korth.}}}} [≡ {{Snamei|M. parvifolia}}] として紹介したものの一部(現在の[[インドネシア]]は[[ジャワ島]][[カラワン (都市)|カラワン]]あるいはその周辺地域の低地林で採取したもの)が1902年に {{Snamei|Mitragyna javanica}} {{small|{{AU|Koord.}} & {{AU|Valeton}}}} という新種として記載<ref>{{Cite journal|last=Koorders|first=S. H.|authorlink=:en:Sijfert Hendrik Koorders|last2=Valeton|first2=Th.|authorlink2=テオドリク・ファレトン|year=1902|title=Bijdrage N°. 8 tot de Kennis der Boomsoorten op Java|journal=Mededeelingen uit 's Lands Plantentuin 59|pages=38, 40|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/49660877}} {{nl_icon}}、{{la_icon}}</ref>、これは後に {{Snamei|M. diversifolia}} のシノニムとされるが[[タイプ標本]](基準標本)が明確に指定されておらず、さらに後になってからその[[レクトタイプ]](選定基準標本)としてコルトハルスがカラワンで採取した標本([[オランダ国立植物標本館]]所蔵: [https://data.biodiversitydata.nl/naturalis/specimen/L%20%200000739 L 0000739])が指定されることとなった<ref name="cer1978a_65" />。なおコルトハルスが左記の扱いを行った1841年当時はまだ {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} という分類は存在せず、[[ナウクレア属]]に分類されていた<ref name="cer1978a_65" />。}}、前者が後者の[[変種]]と考えられたりしたこと{{refnest|group="注"|ドイツ出身の{{仮リンク|ヴィルヘルム・ズルピッツ・クルツ|en|Wilhelm Sulpiz Kurz}} による1877年の {{Sname|''Nauclea parvifolia'' var. ''diversifolia''}} {{small|(Wall. ex G.Don) Kurz}}<ref>{{Cite book|last=Kurz|first=S.|year=1877|title=Forest Flora of British Burma|volume=2|location=Calcutta|page=67|url=https://biodiversitylibrary.org/page/36442135}}; あるいは {{Cite journal|last=Kurz|first=S.|year=1877|title=Contributions towards a knowledge of the Burmese Flora|journal=Journal of the Asiatic Society of Bengal. Part 2. Physical Science|volume=46|page=127|url=https://biodiversitylibrary.org/page/35548213}}</ref>。}}もある。また本属のうち熱帯アフリカ産の3種が一時期 {{Snamei|Hallea}} (あるいは {{Snamei|Fleroya}}) という別属に分類されていたことがあったが、そのうち[[バイヤ]]({{Snamei|[[#Mitragyna ledermannii (K.Krause) Ridsdale|Mitragyna ledermannii]]}})と {{Snamei|[[#Mitragyna stipulosa (DC.) Kuntze|Mitragyna stipulosa]]}} の2種は現在の[[コンゴ共和国]]にあたる地域では有用植物としての利用の際も特に区別せずに用いられてきた<ref name="ab1969" /><ref>具体的な呼称の一覧は[[#諸言語における呼称]]を参照。</ref>。この両者の形態的な違いは萼片の形状やその縁の毛の有無、小苞に対する萼片の高さ、枝につく花の個数といった点に見られる<ref>詳細は[[#検索表]]を参照。</ref>。
 
== 分類 ==
 
=== 歴史 ===
この属で初めて新種[[記載]]されたものは現在でいう {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} で、[[カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウ]]が[[ガーナ]]産{{efn|group=注|採取地はギニアと記されているが採取者の [[:en:Paul Erdmann Isert|Paul Erdmann Isert]] が赴いたのは当時の[[デンマーク領黄金海岸|デンマーク領ギニア]]すなわち現在の[[ガーナ]]であった。{{Snamei|Uncaria inermis}} の[[アイソタイプ]](副基準標本)は少なくともデンマークの[[コペンハーゲン大学]]とロシアの{{仮リンク|コマロフ植物研究所|en|Komarov Botanical Institute}}の2ヶ所に収蔵され、このうち前者の標本<ref>[https://plants.jstor.org/stable/10.5555/al.ap.specimen.c10004661 C10004661]</ref>はタイプ産地が「ガーナ(のアダ (Ada))」と明記されている。}}の {{Snamei|Uncaria inermis}} として発表した<ref>{{Cite book|last=Wildenow|first=Carolus Lvdovicvs|year=1793|chapter=Dvae plantae africanae|editor=Pavlvs Vsteri|title=Delectvs Opvscvlorvm Botanicorvm|volume=2|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/207 199], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/15048/476 t. 3]|language=la|ref=harv}}</ref>文献は、{{仮リンク|パウル・ウステリ|en|Paul Usteri}}の〈植物学小論文精選集〉<!-- 種名が主題であり、原書名は脚注に書いてあるので表記ご無用に願います。当該文献の詳細など述べる場合には注釈へ。''Delectus Opusculorum Botanicorum'' -->第2巻(1793年)である。次に1795年に記載されたのは現在でいう {{Snamei||Mitragyna parvifolia}} で、[[ウィリアム・ロクスバラ]]により[[南インド]]の[[コロマンデル海岸]]産の{{仮リンク|ナウクレア属|en|Nauclea}} {{Snamei|Nauclea parvifolia}} として記載された<ref>{{Cite book|last=Roxburgh|first=William|year=1795|title=Plants of the Coast of Coromandel; Selected from Drawings and Descriptions Presented to the Hon. Court of Directors of the East India Company|volume=1|location=London|pages=[https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/53 40], [https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/14392/88 t. 52]|ref=harv}}</ref>。
 
初めてミトラガイナ({{Snamei|Mitragyna}})の属名を用いるには、さらに[[1839年]]まで待つことになる。この時オランダの[[ピーター・ウィレム・コルトハルス|ピーテル・ウィレム・コルトハルス]]<ref name="pwk1839">{{Harvcoltxt|Korthals|1839}}.</ref>は、既に「ナウクレア属」として新種記載済みの2種<ref group="注">{{Snamei|Nauclea africana}} {{small|{{AU|Willd.}}}} [≡ {{Snamei|fr|Mitragyna inermis}} {{small|(Willd.) {{AU|Kuntze}}}}] と先述の {{Snamei|Nauclea parvifolia}}。</ref>をミトラガイナ属に組み替えただけでなく、この時点では未知の種であった[[アヘンボク]]({{Snamei||Mitragyna speciosa}})の存在も示唆しているが、当時はまだ{{ruby|裸名 (|らめい)}}{{efn|group=注|形態について記した文がない状態のまま新種や新属などとして示された学名を裸名({{lang-la-short|nomen nudum}})と呼ぶ。}}である<ref name="pwk1839" /><ref group="注">アヘンボクに関しては形態についての説明 (記相) が付されていなかったため、この1839年時点で新種記載は成立していない。アヘンボクは後にコルトハルス自身の手により晴れて新種記載され、その詳細は [[#Stephegyne Korth.|#''Stephegyne'' {{small|Korth.}}]] を参照。</ref><ref name="cer1978a_65">{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=65}}.</ref>。後に{{いつ|date=2022年1月}} {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} が慣習的にミトラガイナ属の[[タイプ種]]と見做されることとなった<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>。そして19世紀末になると[[オットー・クンツェ|カール・エルンスト・オットー・クンツェ]]や{{Anchors|ハヴィランド}}{{仮リンク|ジョージ・ダービー・ハヴィランド|en|George Darby Haviland}}が見直し、先述の {{Snamei|Uncaria inermis}} に加えて、ナウクレア属から {{Snamei|Nauclea diversifolia}} {{small|{{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}}}、{{Snamei|N. rotundifolia}} {{small|Roxb.}}、{{Snamei|N. stipulosa}} {{small|{{AU|DC.}}}}、{{Snamei|N. tubulosa}} {{small|{{AU|Arn.}} ex {{AU|Thwaites}}}} を、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})から {{Snamei|Adina rubrostipulata}} {{small|{{AU|K.Schum.}}}} をミトラガイナ属に移した<ref>{{Cite book|last=Kuntze|first=O.|year=1891|title=Revision Generum Plantarum|volume=1|location=Leipzig|publisher=Arthur Felix|pages=288–289|url=https://biodiversitylibrary.org/page/127748|ref=harv}}</ref><ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|pp=71, 73}}.</ref>。
 
[[#シノニム]]で触れるように、その後、いくつかの種は一旦、分類変更を経験するが、それらに関しても {{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014}} 以降は再びミトラガイナ属として扱われた。現在、10種がこの属として知られ、{{Snamei|de|Mitragyna hirsuta}} は最も新種の記載が遅く、先述の[[#ハヴィランド]]によるタニワタリノキ連の見直しの際に発表された<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=72}}.</ref>。
 
==== シノニム ====
49 ⟶ 82行目:
 
===== ''Mamboga'' Blanco, nom. rej. および ''Bamboga'' orth. var. =====
[[フィリピン]]で活動していた修道士の[[フランシスコ・マヌエル・ブランコ]]が1837年に {{Snamei|Mamboga capitata}} という新種の記載を行っている<ref name="Blanco1837">{{Cite book|last=Blanco|first=Fr Manuel|year=1837|title=Flora de Filipinas|location=Manila|pagepages=140140–141|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9493/219}}</ref>。これは米国の[[エルマー・ドリュー・メリル]]よる分析で {{Snamei||Mitragyna diversifolia}} {{small|({{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}) {{AU|Havil.}}}} と関連付けられ<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=E. D.|year=1918|title=Species Blancoanae. A Critical Revision of the Philippine Species of Plants Described by Blanco and Llanos|publisher=Bureau of Printing, Manila|page=360|url=https://bibdigital.rjb.csic.es/idviewer/9494/360}}</ref>、やがてそのシノニムとして扱われるようになる<ref name="cer1978a_65" />が、1837年初出の {{Snamei|Mamboga}} は1839年初出の {{Snamei|Mitragyna}} より先にあり、このような場合は[[国際藻類・菌類・植物命名規約]](ICN)の原則に定めた先取権の観点から、本来ならそれ以前にミトラガイナ属とされてきた種は全て{{Snamei|Mamboga}}属に組み替えを行う必要がある。しかしこの属は定義が{{ruby|杜撰|ずさん}}で、1897年に至っても「全く受容されてこなかった」とされており<ref>{{Harvcoltxt|Haviland|1897|p=6}}.</ref>、1905年に{{仮リンク|国際植物学会議|en|International Botanical Congress}} ([[ウィーン]]) で後に付いた {{Snamei|Mitragyna}} の方が[[保留名|保存名]]<ref group="注">{{lang-la|links=no|nomen conservandum}}。</ref>に決まった<ref>{{Cite journal|author=[[エルマー・ドリュー・メリル|Merrill, E. D.]] (聴き取り:[[:en:William Ralph Maxon|William R. Maxon]])|year=1915|title=On the application of the generic name ''Nauclea'' of Linnaeus|journal=Journal of the Washington Academy of Sciences|volume=5|number=15|page=531|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/2000872}}</ref>。{{Snamei|Mamboga}} は明確に廃棄名<ref group="注">{{lang-la|nomen rejiciendum}}。</ref>とされている<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}}.</ref>{{refnest|group="注"|2018年度版のICNの保留名・廃棄名リストにも掲載されている<ref>{{cite journal|authors=[[:es:John H. Wiersema|Wiersema, J.H.]], Turland, N.J., Barrie, F.R., [[:en:Werner Greuter|Greuter, W.]], Hawksworth, D.L., Herendeen, P.S., [[:en:Sandra Knapp|Knapp, S.]], Kusber, W.-H., Li, D.-Z., Marhold, K., May, T.W., McNeill, J., Monro, A.M., Prado, J., Price, M.J. & Smith, G.F. (eds.) |date=2018年+ [継続して更新中]|journal= International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code)<sup>※</sup> |pages= Appendices I–VII. |url=https://naturalhistory2.si.edu/botany/codes-proposals/|accessdate= 29 December 2021}}※=第19回国際植物学会議 (2017年7月、中国・[[深圳市]])</ref>。}}。なお表記揺れの「{{Snamei|Bamboga}}」は左記のブランコの文献の引用<ref>{{Cite book|last=Baillon|first=H.|authorlink=アンリ・エルネスト・バイヨン|year=1880|title=Histoire des plantes〈植物の歴史〉|volume=7|location=Paris|page=364|url=https://biodiversitylibrary.org/page/28858528|language=fr}}</ref>に現れたものである
 
フィリピンの現地語の一つ[[タガログ語]]で {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は mambog と呼ばれる<ref>{{Cite book|last=Merrill|first=Elmer D.|year=1923|title=An Enumeration of Philippine Flowering Plants|volume=3|location=Manila|publisher=Bureau of Printing|page=508|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/33502900}}</ref>が、これはブランコ自身が {{Snamei|Mamboga capitata}} を記載する際にも示していたものである<ref name="Blanco1837" />。
 
===== ''Stephegyne'' Korth. =====
63 ⟶ 98行目:
ミトラガイナ属はアカネ科内では {{Harvcoltxt|Schumann|1891}} が定義した[[タニワタリノキ連]]({{Sname||Naucleeae}})に含められた。このタニワタリノキ連には球形の[[頭状花序]]を特徴とするミトラガイナ属、[[タニワタリノキ属]]({{Snamei||Adina (plant)|Adina}})、[[ナウクレア属]]({{Snamei||Nauclea}})、[[カギカズラ属]]({{Snamei||Uncaria}}; シノニム: {{Snamei|Ourouparia}})などが集められ、{{Harvcoltxt|Verdcourt|1958}} もこの枠組みを追認したが逆に言えばそれぐらいしか共通性がなく、同様の特徴はアカネ科のほかの[[連 (分類学)|連]]にも見られるとして[[コリン・リズデイル]]はミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から[[キナノキ連]]({{Sname||Cinchoneae}})に移して亜連<ref group="注">{{lang-en-short|subtribe}}。連よりもさらに下の階級。</ref> Mitragyninae として括る措置を取った<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=541}}.</ref>。しかし1995年にアカネ科の複数属から代表して1種ずつ選び<ref group="注">ミトラガイナ属からは当時 {{Snamei|Hallea rubrostipulata}} と分類されていた {{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}} が選ばれ、カギカズラ属からも[[カギカズラ]] {{Snamei||Uncaria rhynchophylla}} {{small|({{AU|Miq.}}) Miq.}} が選ばれた。</ref>、その{{仮リンク|葉緑体DNA|en|chloroplast DNA}}の[[タンパク質]]コードに関わる[[遺伝子]]&#8203;rbcLの連続(シークエンス)を分析する手法による科内の系統関係の検討が試みられたところ、キナノキ連の亜連 Mitragyninae という区分は[[側系統]]的であり、この亜連の位置付けを支持する根拠は一切存在しないという結果が得られた<ref>{{Harvcoltxt|Bremer|Andreasen|Olsson|1995|pp=383, 386, 392}}.</ref>。さらに21世紀に入ってから[[リボソームDNA]]の[[内部転写スペーサー]]<ref group="注">{{lang-en-short|[[:en:internal transcribed spacer|internal transcribed spacer]]}}; 略称: ITS。</ref>領域や葉緑体DNAのrbcL領域、それにコーディングとは無関係なtrnT-F領域の解析に形態的特徴を加味した検討も行われた結果、ミトラガイナ属はカギカズラ属などと共に再びタニワタリノキ連に置かれるようになった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}}.</ref>。
 
ミトラガイナ属とほかのタニワタリノキ連の属とを広く分ける場合の区別際立つ特徴となるの関して、先述の[[#属名特徴]]で述べた通り僧帽状の雌蕊を有するということであり、加えてH字状の内口<ref group="注">{{lang-en-short|endoapertures}}。</ref>付きの3-帯溝孔<ref group="注">{{lang-en-short|3-zonocolporate}}。花粉の外膜に細長い切れ目と丸い穴を持つ発芽口が赤道上に3つ存在するということ。<!--参考: {{Cite web|url=https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/keitai/kafunryuu.html|title=花粉粒|author=福原達人|work=植物形態学|date=2021-12-13|accessdate=2021-12-23}}--></ref>の[[花粉]]を持つこと({{Harvcoltxt|Huysmans|Robbrecht|Smets|1994}})や、室<!--この場合は「小房」の方が適切か?-->ごとに底面についた多数の[[胚珠]]({{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}})といった点も挙げられ<ref>{{Harvcoltxt|Löfstrand|Krüger|Razafimandimbison|Bremer|2014|p=308}}.</ref>。これは[[花粉]]や[[分子系統学]]的な観点からの研究が進められてから構築された区分方法であるが、かつてミトラガイナ属とカギカズラ属をタニワタリノキ連から分離しようと試みた {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975|p=543}} は花粉の関係しない形態の面から以下のような検索表を設定している。なお {{Harvcoltxt|Ridsdale|Bakhuizen van den Brink Jr|1975}} はほかに[[ヤマタマガサ属]]({{Snamei||Cephalanthus}})もタニワタリノキ連から除いてアカネ科内で独立の連 Cephalantheae を為すとしており、また後に当時の既知の種から{{Snamei||Diyaminauclea}}属、{{Snamei||Khasiaclunea}}属、{{Snamei||Ludekia}}属、{{Snamei||Ochreinauclea}}属などを新属として設けて移した際、リズデイルはこれらも彼のいう「狭義のタニワタリノキ連」("Naucleeae ''s.s.''") の下に配置している<ref>{{Harvcoltxt|Ridsdale|1978b}}.</ref>ということ、またこの時は[[ヨヒンベノキ属]]({{Snamei||Corynanthe}}; シノニム: {{Snamei|Pausinystalia}})もタニワタリノキ連には含まれていなかった<ref>{{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002|p=1027}}.</ref>ということに留意されたい。なおヤマタマガサ属やヨヒンベノキ属に関しては {{Harvcoltxt|Razafimandimbison|Bremer|2002}} で改めてタニワタリノキ連の下に置かれるようになった。
* ミトラガイナ属およびカギカズラ属……2つの[[胎座]]が隔壁<!--septum-->に沿着するか、あるいは上部3分の1で<!--in the upper third-->接し、長く下垂し、厚く、暗褐色から黒色である; 胎座ごとの胚珠や種子が胎座全体に沿って上向きの[[鱗]]状に重なり合っている。小果の集合が[[花托]]と結合しておらず、果実の内果皮が上から下へ裂ける。花冠裂片が互いに重ならずに接し合う敷石状である。
* 「狭義のタニワタリノキ連」およびヤマタマガサ属……2つの胎座は隔壁に様々な接し方をしている; 上部3分の1で接している場合は2本の短い上向きの腕と長い下向きの足でY字形となっているか、あるいは小さく短い倒卵形の突起である; 中間で隔壁に接している場合は中央に結合<!--attachment-->のある円盤状か、あるいは横長からわずかに2裂し枝分かれがない; 胎座の色は淡色である; 胎座ごとの胚珠や種子は下垂する(こちらの方が優勢)か、あるいは全方向にだだ広がり、決して胎座の全長に沿って上向きに重なり合わない。小果の集合は花托と結合せずに内果皮が下から上へ裂けるか、あるいは緩く結合して不裂開か、あるいは子房と小果の集合が融合して(疑似的な)集合果となる。花冠裂片は鱗状に重なり合う(アジアや[[マレー群島区系]]では重なり合わないものもある)
さらに同じ前提のもとで {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|p=56}} が設定したミトラガイナ属とカギカズラ属とを区別するための検索表は以下の通りである。
* ミトラガイナ属……[[高木]]性である; 鉤は見られない。[[托葉]]が全縁である。花や小果が花托対して(ほぼ)無柄であるつく; 花同士の間に[[小苞]]が必ず存在し、[[へら]]状で、柄<!--shaft-->が広い(糸状ではない)。花冠管が無毛である; 裂片が先端には小さな無毛の付属物<!--ref group="注" name="appendage--" />を有し外側が毛深い(アフリカ産の3種のみ)か付属物を持たず外側が無毛である(アフリカ産1種、アジア産および[[[ニューギニア]]を含む]マレー群島区系産の全種)。[[柱頭]]が僧帽状から細長い形-[[棍棒]]状で先端、時に基部にもわずかに乳頭毛が見られる({{lang-en-short|<ref group="注" name="papillate}})" />か、あるいは卵形-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で表面全体に乳頭毛がある。小果が薄い外果皮つきで、縦に胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally">果実を構成する心皮それぞれの外縫線に沿って裂開するということ。< /ref>していき、急激に枯れていく。種子が両端に短い{{ruby|翼|よく}}を持ち、下方の翼が浅く2裂するか刻み目がつく。
* カギカズラ属……[[つる植物|つる]]性である; [[鉤]]を用いてよじ登る。托葉は全縁か2裂である。花や小果は有柄で花同士の間に小苞は存在しない(アジア産やマレー群島区系産の種の場合)か、あるいは存在する(アメリカ産の種の場合); あるいは花托対し(ほぼ)無柄でつき、花同士の間に糸状から線形-へら状の小苞が見られるが、幾分不明瞭であり、托葉は2裂する(まれに[[デルタ]]字 ([[Δ]]) 状から半円形のものもあるがその場合は花冠裂片の外側に軟毛が見られる)。花冠管の外側は無毛から軟毛つきである; 裂片に付属物は見られず、外側は無毛か粉質ないしは軟毛つきから毛深い。柱頭は球状から棍棒状で、先端に乳頭毛が見られる。小果は厚い外果皮つきで胞背裂開<ref group="注" name="loculicidally" />するが宿存萼<ref group="注">花期を終えて果実が実る頃になっても落ちずに残り続ける性質を持つ萼のこと。</ref>の残りの下は裂けず、急に枯れてはいかない。種子は両端に長い翼を持ち、下方の翼は深く2裂する。
 
=== 下位分類 ===
76 ⟶ 111行目:
以下は {{Harvcoltxt|Ridsdale|1978a|pp=58–59}} で設定された、本属の構成種10種すべてを網羅した検索表である。リズデイルが扱った10種はいずれも[[キュー植物園]]系データベース [[:en:World Checklist of Selected Plant Families|World Checklist of Selected Plant Families]]({{Harvcoltxt|Govaerts ''et al.''|2021}})において独立種として認められている。
* 1.
** 1a. [[花冠]]裂片に小さく頂生で無毛の付属物({{lang-en-short|<ref group="注" name="appendage}})" />があり、外側が毛深い。[[葯]]は直立し、花冠筒からは突出しないか、突出したとしても部分的である。[[柱頭]]は卵形-{{ruby|切形|せっけい}}<!--truncate-->からほぼ球形で、表面全体にわたって乳頭毛が見られる({{lang-en-short|<ref group="注" name="papillate}})である" />。アフリカ産で{{Snamei|Hallea}}属に分類されたことがある…… 8. へ
** 1b. 花冠裂片に付属物は見られず、外側は無毛である。葯は直立あるいはだだ広がり、花冠筒から顕著に突出する。柱頭は僧帽状から細長い形-[[棍棒]]形で、乳頭毛が見られるのは先端(ただし時に基部も)のみである。分布はアフリカ、アジア、[[マレー群島区系]][[[ニューギニア]]を含む]のいずれか。…… 2. へ
* 2.
** 2a. 花同士の間の[[小苞]]が[[萼]]と{{仮リンク|[[萼筒|en|hypanthium}}]]の長さの2倍を超え、若い頭状花中の花冠や小果の集合よりも高い位置に見られる。アフリカ産。…… {{Snamei|[[#Mitragyna inermis (Willd.) Kuntze|Mitragyna inermis]]}}
** 2b. 花同士の間の小苞は萼と萼筒の長さの2倍未満であり、若い頭状花中の花冠や小果の集合よりも相当低い位置に見られる。分布はアジアとマレー群島区系[ニューギニアを含む]…… 3. へ
* 3.
100 ⟶ 135行目:
** 8b. 萼は幾分か杯状で、萼片は萼の基部まで明瞭には分かれておらず、切形から波状縁形、時に小歯状からわずかに[[デルタ]]字([[Δ]])状である。葉の先端はふつう円形である…… 9. へ
* 9.
** 9a. 萼片が切形から波状縁形で、縁は無毛、花同士の間の小苞と同じ高さに位置するかあるいはそれよりわずかに短めで、若芽中には視認できない。枝ける頭状花の数がふつう10未満である…… {{Snamei|[[#Mitragyna stipulosa (DC.) Kuntze|M. stipulosa]]}}
** 9b. 萼片は短い小歯状からわずかにデルタ字状で、縁に繊毛があり、花同士の間の小苞よりも高い位置にあり、若い頭状花中にははっきりと視認できる。枝ける頭状花の数はふつう10を超える<ref group="注">{{Harvcoltxt|Aubréville|1959|p=259}} の {{Snamei|Mitragyna ciliata}} の図版も参照されたい。</ref>…… [[#Mitragyna ledermannii (K.Krause) Ridsdale|バイヤ ({{Snamei|M. ledermannii}})]]
 
==== 種の一覧 ====
108 ⟶ 143行目:
===== ''Mitragyna diversifolia'' (Wall. ex G.Don) Havil. =====
* 学名: {{Snamei||Mitragyna diversifolia}}<sup>([[species:Mitragyna diversifolia|Wikispecies]])</sup> {{small|({{AU|Wall.}} ex {{AU|G.Don}}) {{AU|Havil.}}}}
* 日本語名:「カイム」{{refnest|group="注"|name="kaim"|{{Harvcoltxt|熱帯植物研究会 編|1996|p=424}}、インドでの呼称の一つ kaim より({{Harvcoltxt|Beddome|1869}} によれば keim は[[ヒンドゥスターニー語]]での呼称の一つである)。ただしこの {{Harvcoltxt|熱帯植物研究会 編|1996}} では {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} があたかも {{Snamei|Mitragyna parvifolia}}(しかも命名者が {{AU|Korth.}} ではなく "Hav." とされている)のシノニムであるかのような扱いが為されている。実際に[[#検索表]]で示したようにリズデイルが両者違いとしたのは花同士の間2種ある小苞の柄に対する萼の位置({{Snamei|M. diversifolia}} の方が高い)と、花冠裂片の2倍を基準とた花冠管の長さ({{Snamei|M. parvifolia}} 基準よりも長く、{{Snamei|M. diversifolia}} は基準よりも必ず短い)といったものである。ただ、1877年には{{仮リンク|ヴィルヘルム・ズルピツ・クルツ|en|Wilhelm Sulpiz Kurz}}により {{Snamei|M. diversifolia}} が {{Sname|''Nauclea parvifolia'' var. ''diversifolia''}} と分類されたり(''Forest Flora of British Burma'' 2: [https://biodiversitylibrary.org/page/36442135 67]; et ''Journal of the Asiatic Society of Bengal''. Part 2. Natural History 46: [https://biodiversitylibrary.org/page/35548213 127])、そもそも {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} という分類を初めて行ったコルトハルス自身も[[インドネシア]]#種[[ジャワ島区別]][[カラワン (都市)|カラワン]]で採取した {{Snamei|M. diversifolia}} を {{Snamei|Stephegyne parvifolia}} [≡ {{Snamei|Mitragyna parvifolia}}] として報告({{Harvcoltxt|Korthals|1839–1842|p=161}})していたりするなど<ref name="cer1978a_65" />、歴史的に見れば学者ですら {{Snamei|M. parvifolia}} と {{Snamei|M. diversifolia}} 混同する事例が度々見られた参照。}}
* シノニム: {{Snamei|Mamboga capitata}} {{small|{{AU|Blanco}}}}、{{Snamei|Mitragyna javanica}} {{small|{{AU|Koord.}} & {{AU|Valeton}}}}、'''{{Snamei|Nauclea diversifolia}} {{small|Wall. ex G.Don}}'''、{{Sname|''Nauclea parvifolia'' var. ''diversifolia''}} {{small|(Wall. ex G.Don) {{AU|Kurz}}}} など
* 分布: [[バングラデシュ]]から[[中華人民共和国|中国]]([[雲南省]])および[[マレー群島区系]]にかけて{{refnest|group="注"|中国南中央部: 雲南省; [[バングラデシュ]]; [[ビルマ]](少なくとも西部から[[バゴー]]まで<ref name="cer1978a_65" />)、[[タイ王国|タイ]](全土<ref name="cer1978a_65" />)、[[カンボジア]]、[[ラオス]]、[[ベトナム]]; [[マレー半島]]、[[ジャワ]]、[[フィリピン]]}}。
183 ⟶ 218行目:
 
=== 木材 ===
ミトラガイナ属のうち[[熱帯アフリカ]]産の3種([[バイヤ]] {{Snamei|Mitragyna ledermannii}} (シノニム: {{Snamei|M. ciliata}})、{{Snamei|Mitragyna rubrostipulata}}、{{Snamei|Mitragyna stipulosa}})は木材として利用される<ref name="SekaiMokuzai">{{Harvcoltxt|ウォーカー 編|2006}}.</ref>(いずれも分類は{{Snamei|Hallea}}属の時期があった)。バイヤの心材は個体によって色も[[気乾比重]]も変化に富む。色は淡黄色または帯桃褐色から赤橙色、薄茶色まで、[[気乾比重]]は0.46-0.69(平均気乾比重は0.56)と振れ幅があり<ref name="SekaiMokuzai" />、その用途は内装、[[合板]]などである<ref name="NSY_bahia" /><ref name="SekaiMokuzai" />。{{Snamei|M. rubrostipulata}} と {{Snamei|M. stipulosa}} は[[ウガンダ]]に自生し、[[ガンダ語]]由来の〈ンジング〉「nzingu」の呼称で販売される<ref>{{Cite book|last=Beentje|first=H.J.|authorlink=:en:Henk Jaap Beentje|year=1994|url=http://www.nzdl.org/cgi-bin/library?e=d-00000-00---off-0unescoen--00-0----0-10-0---0---0direct-10---4-------0-1l--11-en-50---20-about---00-0-1-00-0-0-11----0-1-&a=d&c=unescoen&cl=CL1.6&d=HASH01b88f73433d5003648dbf5b.12.100|title=Kenya Trees, Shrubs and Lianas|location=Nairobi, Kenya|publisher=[[:en:National Museum of Kenya|National Museum of Kenya (ケニア国立博物館 )]]|language=en}}{{ISBN2|isbn=9966-9861-0-3|ref=harv}}</ref><ref>{{Cite book|last=Katende|first=A. B.|last2=Birnie|first2=Ann|last3=Tengnäs|first3=Bo|year=2000|title=Useful Trees and Shrubs for Uganda: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities|url=https://apps.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Hallea_stipulosa_UGA.pdf|format=pdf|page=354|location=Nairobi, Kenya|publisher=Sida's Regional Land Management Unit|language=en}}{{ISBN2|isbn=9966-896-22-8|ncid=BA64717723}}</ref><ref name="SekaiMokuzai" />。
 
「カイム」の名でまとめて紹介<ref>{{Harvcoltxt|熱帯植物研究会 編|1996|p=424}}.</ref>される {{Snamei|Mitragyna parvifolia}} と {{Snamei|Mitragyna diversifolia}} は、材は淡青黄色から明褐色へと変わり、[[木理]]はまれに波状、[[肌目]]は均一で精、気乾比重は0.67。乾燥による表面割れや節割れを起こす恐れがある点、また加工中に[[逆目]]を起こす恐れがある点が指摘される。耐久性は中で、用途は建築材や[[家具]]、[[玩具]]や[[彫刻]]、[[櫛]]などの細工品。
 
== 諸言語における呼称 ==
204 ⟶ 239行目:
 
== 図版 ==
以下にミトラガイナ属の一部の種のうち、図版に花の様子まで描いたものを示す。順番は上記の[[#検索表]]においてどのであるか{{疑問点範囲|date=2022年12月|割り出され確定した順}}である。
{| class="wikitable"
| rowspan="2" | [[File:Uncaria inermis from Delectus Opusculorum Botanicorum 2, t. 3 (1793).jpg|250px]]
285 ⟶ 320行目:
* {{Cite book|last=Bouquet|first=Armand|year=1969|title=Féticheurs et médecines traditionnelles du Congo (Brazzaville)|series=Mémoires O.R.S.T.O.M. ; 36|location=Paris|publisher=O.R.S.T.O.M.|page=211|url=https://www.documentation.ird.fr/hor/fdi:13972|ref=harv}}
* {{Cite journal|last=Leroy|first=Jean-François|year=1975|title=Taxogénétique : Étude sur la sous-tribu des Mitragyninæ (Rubiaceæ-Naucleeæ)|journal=Adansonia, Série 2|volume=15|issue=1|pages=65–88|url=https://biodiversitylibrary.org/page/59849118|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
 
== 関連文献 ==
300 ⟶ 333行目:
=== 出典 ===
{{reflist|30em}}<!-- 相対段組み。画面の広い場合に自動で30em単位で段をわかち、読みやすくなります。 -->
 
== 関連項目 ==
 
== 外部リンク ==