「ドラえもん」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m 荒らしの除去
章構成を変更。概要に必要でない内容を後ろの節に回し、関連した節を統合。
37行目:
『'''ドラえもん'''』は、[[藤子・F・不二雄]]{{efn2|name="name"}}による[[日本]]の[[幼年漫画|児童]]向け[[SF漫画]]。[[1969年]]から[[小学館]]の雑誌で連載された。日本では国民的な知名度があり、登場キャラクターや登場アイテム(ひみつ道具)など、その世界観が一般社会に広く浸透している。海外でも、東アジア、東南アジアを中心に高い人気を誇る<ref>[https://www.j-cast.com/trend/2018/09/20338918.html?p=all アジアに広がる「ドラえもん」人気 インドネシア,タイ,マレーシア,香港で1位 J-CASTトレンド]</ref>。
 
 
== 作品の概要 ==
22世紀の未来からやってきたネコ型ロボット・'''[[ドラえもん (キャラクター)|ドラえもん]]'''と、勉強もスポーツも苦手な小学生・'''[[野比のび太]]'''が繰り広げる日常生活を描いた作品である。基本的には一話完結型の連載漫画だが、ストーリー漫画形式となって日常を離れた冒険をする「[[大長編ドラえもん|大長編]]」シリーズもある。一話完結の基本的な[[プロット (物語)|プロット]]は、「ドラえもんがポケットから出す多種多様な[[ひみつ道具]](現代の技術では実現不可能な機能を持つ)で、のび太(以外の場合もある)の身にふりかかった災難を一時的に解決するが、道具を不適切に使い続けた結果、しっぺ返しを受ける」というものが多く、前作の「[[ウメ星デンカ]]」のストーリー構図をほぼそのまま踏襲しており実質的な後継作品ともいえる。このプロットは、作者の藤子・F・不二雄が自身のSF作品で描いた独自定義「すこし・不思議」('''S'''ukoshi '''F'''ushigi){{efn2|本来のサイエンスフィクションのSFではない}}という作風に由来し、当時の一般SF作品の唱える「if」(もしも) についての対象を想定した回答が反映されている。
 
=== あらすじ概要 ===
 
=== 作品概要 ===
{{Main|#作風や舞台設定}}
 
==== あらすじ ====
のび太が[[お正月]]をのんびりと過ごしていると、突然、どこからともなく彼の未来を告げる声が聞こえ、机の引出しの中からドラえもんと、のび太の[[続柄#玄孫|孫の孫]]の[[セワシ]]が現れた。セワシ曰く、のび太は社会に出た後も沢山の不運に見舞われ、会社の倒産が原因で残った莫大な借金によって子孫を困らせているという。そんな悲惨な未来を変えるために、ドラえもんを子守用ロボットとしてのび太のもとへ連れてきたのだった{{Efn2|これは『小学四年生』に掲載された『未来の国からはるばると』のあらすじである。}}。
 
ドラえもんは、おなかの[[四次元ポケット]]から取り出す多種多様な「[[ひみつ道具]]」を使って、のび太の身にふりかかった災難を一時的に解決するが、道具を不適切に使い続けた結果、最後にはしっぺ返しを受ける。同級生の'''[[源静香]]'''(しずか)、'''[[剛田武]]'''(ジャイアン)、'''[[骨川スネ夫]]'''も交えた日常の中で、ドラえもんたちの日常は続いていく。
 
==== 物語の変化 ====
本作の連載開始当初は、ドラえもんが騒動を巻き起こすギャグ漫画としての特色が強く、ストーリー性の強い作品は見られなかった<ref name="doracarte">小学館ドラえもんルーム編 『ド・ラ・カルト ドラえもん通の本』</ref>。『[[コロコロコミック]]』掲載時などでは、柱{{efn2|本の上部、左右端やのど(中央折り目)付近の、縦に細長いエリア。ヘッダー。}}の煽り文句は「日本一のギャグまんが ドラえもん」となっていた。
 
読者層(掲載各誌)が小学校在学の児童全学年と広範囲に展開されているため、読者の年齢差を意識して、作品内容を描き分けて連載されていた。低学年対象は平易なセリフでひみつ道具の楽しさが描かれ、中学年対象はのび太の成長などのストーリー性が強くなり、高学年対象は社会問題を扱うなど複雑な内容も増えている<ref name="doracarte" />。また絵柄も描き分けられており、低学年向けの話ではキャラクターの頭身が小さく容姿が幼いが、高学年向けになるほど頭身が大きくなり容姿がやや大人びている。
 
小学館ドラえもんルームは、ドラえもんとのび太の関係が、連載が進む中で変化していると著書に記している<ref name="doracarte" />。ドラえもんは役目を終えて未来に帰ったことがあり、その一件により「世話係と世話をされる者」といった関係は終わり、以降は「一緒にいたいからいる」という関係に変化しているという。
 
=== 作品誕生来歴経緯 ===
『ドラえもん』ができるまでの過程を描いた漫画『ドラえもん誕生{{efn2|1978年発行『コロコロコミックデラックス ドラえもん・藤子不二雄の世界』初出(藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第20巻、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第0巻収録)。映画『[[2112年 ドラえもん誕生]]』の原案の一部にもなっている。}}』によると、[[藤子・F・不二雄]]は1969年11月、新連載の締め切りが間近に迫っても作品の構想がまるで浮かんでいなかった。そんな切迫した状況にもかかわらず、「アイデアが勝手に出てくる機械があれば」、「昔もこんなふうに締め切りギリギリになって大変だった」などと考えたり、ドラネコのノミをとったりして、時間を無駄にするだけだった。そしてついに締め切り日の朝が訪れ、困り果てた末に「なんにも、ぜーんぜんまとまってない!! わしゃ、破滅じゃー」と叫びながら階段を駆け下りたところ、たまたま置いてあった娘のポロンちゃん([[おきあがりこぼし]])につまずいたことで「ドラネコと起き上がりこぼし」からドラえもんのキャラクターが、さらに「便利な道具を持ったそのキャラが、ダメな男の子(自分)を助けに未来からやってくる」というアイデアが生まれ、ドラえもんが誕生したという。
 
上記のように連載直前までキャラクターが決まっていなかったため、連載開始前月に掲載された予告<ref>『小学四年生』1969年12月号。藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第1巻の巻末資料、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第0巻に掲載されている。</ref> は、新作のタイトルも主人公の姿も描かれていない{{efn2|のび太は描かれているものの、本来ドラえもんが出てくる引き出しからは、「出た!」と書かれた大きな吹き出しのみが飛び出し、「何が出たのか、どんなお話かは正月号までのお楽しみ」という触れ込みが書かれていた。}}<ref>[https://natalie.mu/comic/news/354706 「ドラえもん」6種類の第1話を収録した“0巻”が12月発売、カラーページや予告も] - コミックナタリー、2019年11月8日(2020年8月21日閲覧)</ref> という、異例の体裁であった。藤子不二雄{{Unicode|Ⓐ}}によれば、藤子・F・不二雄はドラえもんのキャラクターを作る際に、ネコのデッサンを漫画化したものを多数描いていたという<ref name="sekai">『藤子・F・不二雄の世界』(1997年)</ref>。
 
漫画評論家の[[米澤嘉博]]は、ドラえもんの発想の原型のひとつとして、何でも取り出す[[魔法]]のカバンを持ったネコのキャラクターが主人公であるアメリカの漫画『[[フィリックス・ザ・キャット]]』を上げている<ref>『藤子不二雄論』河出書房新社 P223</ref>。
 
なお、元アシスタントスタッフの[[えびはら武司]]の『[[まいっちんぐマンガ道]]』によれば、「ある猫を飼う男が、自分の悪い未来を変えるために冒険する」という[[ロバート・A・ハインライン]]の小説『[[夏への扉]]』がドラえもんの元になったという<ref>『本当にあった愉快な話』 Vol.249(2018年3月号) 竹書房 掲載回</ref>。えびはらによると、藤子・F・不二雄は「そんなこと書いても読者は喜ばない」として、上記『ドラえもん誕生』で描かれたようなエピソードを自ら創作したのだとしている<ref>『本当にあった愉快な話』 Vol.249(2018年3月号) 竹書房 P162</ref>。
 
=== 掲載誌・単行本 ===
{{Main|#出版物}}
 
==== 連載 ====
[[ファイル:Doraemon, serial publication.png|thumb|right|400px|ドラえもん連載期間(読み切り、半年未満の連載、過去作品の再録、大長編は除く。黄色は他誌と同時掲載。詳細は「連載誌」の項を参照)]]
1969年より、小学館の学年誌(『[[よいこ (雑誌)|よいこ]]』『[[幼稚園 (雑誌)|幼稚園]]』『[[小学一年生]]』『[[小学二年生]]』『[[小学三年生]]』『[[小学四年生]]』)にて連載開始した。いずれも1970年1月号で、当時の作者名義は「[[藤子不二雄]]」。1話ごとに完結する短編として執筆。[[ロゴタイプ|タイトルロゴ]]は『[[オバケのQ太郎]]』のロゴも手掛けた赤松育延によるもので、ドラえもんの手足をイメージしている<ref name="fukayomi">小学館ドラえもんルーム編 『ドラえもん深読みガイド〜てんコミ探偵団〜』</ref>。1974年3月に、原作の漫画連載も最終回として「さようなら、ドラえもん」が描かれたが、作者が思い直し、翌月「帰ってきたドラえもん」によって連載は継続される。原作の単行本は1974年8月から刊行開始され、第1巻はレーベル『[[てんとう虫コミックス]]』の第1号作品となっている。
60 ⟶ 77行目:
1987年以降は作者の体調面の問題もあり、レギュラー短編の新規執筆は徐々に縮小し、1991年をもって全て終了した。大長編(後述)を除く、作者本人の手による最後の作品は、1994年に発表された全3回の集中連載中編「[[ドラえもん ガラパ星から来た男|ガラパ星から来た男]]」(第45巻収録)となっている。
 
==== スピンオフ『ドラミちゃん』 ====
『ドラえもん』本編連載のほか、1974年には、ドラえもんの妹「[[ドラミ]]」を主人公に据えたスピンオフ作品『'''ドラミちゃん'''』が連載され、のちに『ドラえもん』本編に統合された<ref name="doracarte" />。
また派生作品『[[ドラミ|ドラミちゃん]]』の雑誌掲載時の初出版も雑誌からの複写で20巻に収録されており、単行本に収録された版(みよちゃん→しずか、カバ田→ジャイアンといった登場人物の書き換えなど)と比較できるようになっている。
 
全集では、作者の藤子・F・不二雄による改訂はそのまま残し、第三者による改訂はできる限り元に戻すという編集方針がとられた(一部例外あり)。このため、従来の単行本はもちろん、初期の版とも一部のセリフなどが異なっているケースがある。
 
==== 単行本 ====
連載された作品は小学館の漫画単行本レーベル[[てんとう虫コミックス]]に収録され、全45巻が刊行された。その後ドラえもん誕生50周年を記念して、2019年11月末には上述の6誌に掲載された6種類の第1話を単行本にとりまとめて'''0巻'''として発売、(『ドラえもん プラス』を除けば)1996年に発売されたてんとう虫コミックス第45巻以来の新刊となった。0巻の初版は10万部だったが、発売前に重版が2度かかり、発売後の重版も併せて、同年12月25日出来重版で累計40万部を超えた<ref>{{cite web |url=https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20200113-00158722/ |title=『鬼滅の刃』『五等分の花嫁』大ヒット、『ドラえもん』50周年、マンガ界の新たな 隆盛とは |author=[[篠田博之]] |date=2020-01-13 |accessdate=2020-02-04}}</ref><ref>{{cite web |url=https://numan.tokyo/news/ARLHt |title=『ドラえもん』0巻が累計40万部突破! コミックス全巻重版&緊急書店フェア開催中♪ |author=[[篠田博之]] |date=2020-01-06 |accessdate=2020-02-04}}</ref>。
 
これら以外に映画放映時にその漫画版である『[[大長編ドラえもん]]』(後述)を刊行。
 
==== 全集 ====
出版されている全集としては、1984年から刊行された「[[藤子不二雄ランド]]」([[藤子・F・不二雄]]が他界する1996年頃までに絶版)、2009年より刊行された「[[藤子・F・不二雄大全集]]」の『ドラえもん』(全20巻)および『大長編ドラえもん』(全6巻)が挙げられる。
 
「[[藤子・F・不二雄大全集|大全集]]」のうち『ドラえもん』は、1 - 17巻が「学年繰り上がり方式」で収録されており、1962年生まれが7歳になり就学する1969年の小学1年生、1970年の小学2年生、といった順で収録されている。18 - 20巻では、幼年誌やその他の雑誌に掲載された作品を収録している。
ドラえもん誕生50周年を記念して、2019年11月末には上述の6誌に掲載された6種類の第1話を単行本にとりまとめて'''0巻'''として発売、(『ドラえもん プラス』を除けば)1996年に発売されたてんとう虫コミックス第45巻以来の新刊となった。0巻の初版は10万部だったが、発売前に重版が2度かかり、発売後の重版も併せて、同年12月25日出来重版で累計40万部を超えた<ref>{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20200113-00158722/|title=『鬼滅の刃』『五等分の花嫁』大ヒット、『ドラえもん』50周年、マンガ界の新たな 隆盛とは|author=[[篠田博之]]|date=2020-01-13|accessdate=2020-02-04}}</ref><ref>{{cite web|url=https://numan.tokyo/news/ARLHt|title=『ドラえもん』0巻が累計40万部突破! コミックス全巻重版&緊急書店フェア開催中♪|author=[[篠田博之]]|date=2020-01-06|accessdate=2020-02-04}}</ref>。
 
=== テレビアニメ ===
73 ⟶ 102行目:
 
1979年の二度目のテレビアニメ化から現在に至るまで高い人気を保ち続け、[[長寿番組]]となっている。なおウィキペディアでは、1973年に放映されたシリーズを「第1作」、1979年から2005年3月まで放映されたシリーズを「第2作第1期」、2005年4月から放映されているシリーズを「第2作第2期」としている。
 
=== 映画ドラえもん ===
{{Main|ドラえもん映画作品}}{{節stub|date=2022年4月6日 (水) 08:42 (UTC)}}
 
=== 大長編ドラえもん ===
81 ⟶ 113行目:
アニメ版の声優交代の第2期『[[ドラえもん のび太の恐竜2006]]』(2006年公開)以降の映画は「大長編ドラえもん」としては漫画版が執筆されていない。ただし、『[[ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜]]』(2007年公開)以降は「映画ストーリー」として[[岡田康則]](単行本では「藤子・F・不二雄プロ」名義)が漫画版を執筆している。単行本は既刊5巻。純粋な漫画版を執筆するのではなく、外伝漫画を執筆することもある([[ドラえもんの派生作品#映画ストーリー超特別編]]を参照)。
 
=== ドラえもん文庫受賞歴 ===
* 第2回(1973年)[[日本漫画家協会賞]]'''優秀賞'''<ref name="nmksjj">[http://www.nihonmangakakyokai.or.jp/jushou.html 日本漫画家協会賞受賞者] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070219190000/http://www.nihonmangakakyokai.or.jp/jushou.html|date=2007年2月19日}}、社団法人日本漫画家協会。</ref>。
2004年に、すべての作品を収蔵した「ドラえもん文庫」が開設された。作者の出身地で知られる[[富山県]][[高岡市]]の[[高岡駅]]前再開発ビル「ウイング・ウイング」内の高岡市立中央図書館の「ドラえもんコーナー」と、[[富山大学]]横山研究室である。これはドラえもん研究で知られる富山大学の[[横山泰行]]教授が、収集した単行本計671冊を寄贈、図書館側も協力して実現した。
* 第27回(昭和57年度)[[小学館漫画賞]]'''児童部門受賞<ref>[http://comics.shogakukan.co.jp/mangasho/rist.html 小学館漫画賞:歴代受賞者]、小学館。</ref>。'''
* 第23回(1994年)[[日本漫画家協会賞]]'''文部大臣賞'''<ref name="nmksjj" />。
* 第1回(1997年)[[手塚治虫文化賞]]'''マンガ大賞受賞<ref>[http://www.asahi.com/tezuka/kiroku.html 受賞の記録] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070203111018/http://www.asahi.com/tezuka/kiroku.html|date=2007年2月3日}}、朝日新聞。</ref>。'''
 
収集家の間でも入手困難とされる、[[てんとう虫コミックス]][[初版]]初刷の単行本第1巻から第10巻を含む全45巻を所蔵している。
 
== 作風や舞台設定 ==
雑誌のフルカラーのコピーも所蔵している。書籍の内容は、当時連載していた小学館の学年誌などの雑誌に掲載されていた全作品を原寸大で複写し、フルカラー作品はすべてフルカラーで複写して、それを製本化して収めたものである。
作品の連載開始は1969年12月発売の1970年1月号。主人公は、未来の世界からやって来たネコ型ロボットのドラえもん<ref>『ドラえもん誕生』、『ド・ラ・カルト -ドラえもん通の本-』小学館、1997年</ref> (連載初期<ref>藤子・F・不二雄大全集第1巻に再録された連載初期のキャラクター紹介図</ref>は、[[東京都]]{{efn2|[[練馬区]]月見台、あるいは[[田無市]]大字田無。詳細は[[野比のび太#住所|野比のび太]]を参照。なお、川崎市による「ドラえもん特別住民票」では、「神奈川県川崎市多摩区長尾2丁目8番1号」と記載されている<ref>{{Cite news|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300V_T00C12A9CR0000/|title=ドラえもん、川崎市の特別住民に 「生誕前」100年記念|newspaper=日本経済新聞|date=2012-09-03|accessdate=2016-03-20}}</ref>。}}に住む8月7日生まれ{{efn2|「ぼくの生まれた日」の雑誌での初出(『小学四年生』1972年8月号掲載)では、生年は1962年とされており、てんとう虫コミックスで単行本化される際に「1964年」に変更された。藤子不二雄ランドの単行本では「10年前」とされ、藤子・F・不二雄自選集でもその設定は引き継がれた。}}の小学4年生(もしくは5年生){{efn2|漫画では4年生(雑誌掲載時は雑誌ごとに学年が異なっていた)、アニメ版では5年生。}}の野比のび太が主人公とされていたが、作者自身により副主人公に改められた{{efn2|作者は1989年の講演([http://dora-world.com/yojigen/int0211_f.html インタビューチャンネル] ドラえもんチャンネル)にて、「(この作品の)副主人公」と語っている。アニメ版ではキャスト紹介でドラえもんが1番目、のび太は2番目であり、字幕もドラえもんが主人公を表す黄色で、のび太は準主人公を表す水色。}})。
 
=== 全集登場人物 ===
{{main|ドラえもんの登場人物一覧}}
出版されている全集としては、2009年より刊行された「[[藤子・F・不二雄大全集]]」の『ドラえもん』(全20巻)および『大長編ドラえもん』(全6巻)が挙げられる。
作者によれば、のび太のモデルは、少年時代の作者自身である{{efn2|ただし学童疎開体験については時代設定の関係上父親ののび助の体験として描いている。}}。作者の少年時代は、運動能力が低く、いつも漫画を描いていたらしい<ref>[http://dora-world.com/yojigen/int0211_f.html ドラえもん公式サイト インタビューチャンネル 藤子・F・不二雄先生]{{リンク切れ|date=2020年5月}}</ref>。
 
他の登場人物も[[高岡市]]で過ごした少年時代の人間関係をモデルにしているという。藤子・F・不二雄の少年時代の友人の間では「ジャイアンのモデル」と目されている者もいるとのこと<ref>テレビ朝日系『ドラえもん誕生物語 藤子・F・不二雄からの手紙〜』2006年2月19日放送</ref>。藤子不二雄{{Unicode|Ⓐ}}の自伝的漫画である「[[まんが道]]」の少年時代編においても、番長格の少年が登場する。さらに、しずかについては作者の理想の女性を描いたものだとする説がある<ref>[http://www3.u-toyama.ac.jp/doraemon/submit/repo_113.html しずかちゃんのモデルはヘップバーン?!]、横山泰行(2004年、10月6日)。初出は[[朝日新聞]]2006年4月1日朝刊。</ref>。
このうち『ドラえもん』は、1 - 17巻が「学年繰り上がり方式」で収録されており、1962年生まれが7歳になり就学する1969年の小学1年生、1970年の小学2年生、といった順で収録されている。18 - 20巻では、幼年誌やその他の雑誌に掲載された作品を収録している。
 
不思議な力を持つ主人公と、平凡で目立たない準主人公の少年に加えて、「紅一点のマドンナ」「体が大きく腕っ節の強い乱暴者のガキ大将」「家が裕福で見栄っぱりのずるがしこい少年(ごく稀に少女)」の三者が必ず登場するのは、『キテレツ大百科』『オバケのQ太郎』『チンプイ』などの藤子マンガに共通する、いわば“王道”のパターンである。
また派生作品『[[ドラミ|ドラミちゃん]]』の雑誌掲載時の初出版も雑誌からの複写で20巻に収録されており、単行本に収録された版(みよちゃん→しずか、カバ田→ジャイアンといった登場人物の書き換えなど)と比較できるようになっている。
 
=== 舞台設定 ===
全集では、作者の藤子・F・不二雄による改訂はそのまま残し、第三者による改訂はできる限り元に戻すという編集方針がとられた(一部例外あり)。このため、従来の単行本はもちろん、初期の版とも一部のセリフなどが異なっているケースがある。
作品の舞台となる、ドラえもんやのび太たちが住む[[町]]は、「[[東京都]][[練馬区]]月見台すすきヶ原」という町である<ref name="fukayomi" /><ref>第15巻収録「不幸の手紙同好会」、第24巻収録「虹谷ユメ子さん」</ref>。「多奈川」という大きな[[川]]が流れている<ref name="fukayomi" /><ref>大長編「のび太と竜の騎士」ほか</ref>。都内ではあるが、まだ裏山や空き地が開発されずに残されており、主人公たちの遊び場になっている(作者が少年時代を過ごした富山県高岡市の影響ともされる<ref name="rokarutya">[http://www.info-toyama.com/loculture/vol05/page04.html ロカるちゃvol5](社団法人富山観光連盟発行の印刷物)</ref>)。
 
大長編では、地球上で絶滅した[[恐竜]]が地底では生き残っていて、[[ディノサウロイド|恐竜人]]に進化したものが文明を築いていたことが判明する。また地球には他にも人類以外の知的種族(アフリカ奥地の[[イヌ科]]種族、[[海底人]]、小人族など)や独自の発達を遂げた人類(海底に移住した[[ムー大陸]]人=[[龍宮]]、雲の上の天上人など)が一般の人類に知られず<ref>22世紀生まれのドラえもんですら彼らのことを知らなかった様子。</ref> 存在し、[[宇宙]]には多種の[[地球外生命体]]も存在することが明かされた。また、この世界には複数の[[反地球]]が存在しており、一個はかつて学会で提唱されていたとおりの太陽の裏側のラグランジュポイントに存在し、22世紀では存在を知られている<ref>1980年TV放映の『のび太の夢の金メダル』より</ref>。もう一つは別の恒星系に、地形や人間の性別、性格などがすべてあべこべな反地球が存在している<ref>17巻収録「あべこべ惑星」より</ref>(ここで言う「反地球」は、一般的な反地球とは全く別のものである)。
 
; のび太の家
: ドラえもんとのび太が住む[[住宅|家]]。のび太の部屋は、窓の下が玄関上の屋根に面しており、のび太は屋根の上で昼寝や日光浴などをすることもある<ref name="fukayomi" />([[野比のび太#のび太の家|のび太の家]]も参照)。稀にドラえもんもネコのように丸くなって昼寝をすることがある。野比家の持ち家ではなく(2階建てという、当時としては珍しい)[[借家]]<ref>コミックス第9巻「無人島のつくり方」より。玉子がのび太に小遣い減額を言い渡し、のび助にも「今月から家賃が上がり、お金が足りない」と節煙を求める描写がある</ref><ref>{{Cite web |title=『ドラえもん』のび太の家は“借家” 「一番の衝撃」「知らなかった」と驚きの声 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2215471/full/ |website=[[オリコン|ORICON NEWS]] |accessdate=2021-11-27}}</ref>。
; 空き地
: ドラえもんやのび太たちが住む町内にある[[空き地]]。[[土管]]が3本(稀に6本)、ピラミッド状に積み上げられており、ジャイアンが座る定位置になっている{{efn2|この土管は何度か破壊されたこともある。}}。子供たちが集まっておしゃべりしたり、野球をしたりと、子供たちの憩いの場となっている。のび太の幼少時、またのび太の父の小学生時代には木材が多く置かれていた。このことから単なる空き地ではなく、本来は材木を管理する企業が資材置き場として用いていた敷地の可能性が高い{{efn2|テレビアニメ第2作第2期「夢まくらのおじいさん」(2010年6月11日放送)では、敷地の奥にある倉庫には「石田材木」の看板が見える。テレビアニメ第2作第1期においても、空き地の奥に倉庫を配置することがしばしばあった。「ゆめの町、のび太ランド」の回では、空き地が資材置き場として使われており、子供たちが遊べないという設定になっている。『のび太の日本誕生』ではこの空き地の地主(声 - 田口昂)が登場し、不動産会社が3億円で買い取ろうとしていた。}}。また、空き地の所有者も確認できる。ジャイアンの[[リサイタル]]は、ここで開かれることが多い。この空き地は、日頃から自由に使えるようになっていて、原作やテレビアニメの中でも度々登場する。さらに、空き地で不発弾が確認されたこともあった。
; 学校の裏山
: 小学校の裏にある小山で、のび太の憩いのスポット。山の頂上には「千年杉」と呼ばれる木がそびえ立つ<ref>第26巻収録「タイムカプセル」、第28巻収録「大ピンチ!スネ夫の答案」など</ref>。モデルは少年時代の作者が息抜きに通っていた[[高岡城#高岡古城公園|高岡古城公園]]ともされ、開発が及んでいない緑豊かな土地である<ref name="rokarutya" />。近辺の崖からは、新種の[[三葉虫]]<ref>第11巻収録「化石大発見!」</ref> や大型肉食[[恐竜]]の化石<ref>『ドラえもん+』第2巻収録「全体復元液」</ref> が発掘されている。団地の建設で一部掘り崩されたり<ref>第33巻収録「さらばキー坊」</ref>、宅地開発の対象になったり<ref>『大長編ドラえもん のび太の日本誕生』</ref>、ゴルフ場建設が計画されたり<ref>『大長編ドラえもん のび太とアニマル惑星』</ref> など、造成の対象にもされており、25年後には頂上にヒルトップマンションという名前のマンションが建設され、千年杉は姿を消している<ref>第26巻収録「タイムカプセル」</ref>。
; 未来の世界
: ドラえもんが生まれた時代。22世紀(連載初期は21世紀となっていた{{efn2|藤子・F・不二雄大全集第1巻収録「未来から来たドラえもん」(『小学二年生』1970年1月号)では、ドラえもんが「[[2081年|百十一年あと]]のせかい」から来たと発言している。また、連載初期の話の初出時は「21世紀」をドラえもんが来た未来とするセリフがいくつか散見され、単行本収録時にも初期の版では「21世紀」のままになっている話(第1巻収録「古道具きょう争」「走れ!ウマタケ」、第2巻収録「オオカミ一家」、第7巻収録「好きでたまらニャい」「ネズミとばくだん」「エスパーぼうし」)がある。後の版で全て「22世紀」に変更された。}})。[[天気]]は[[気象庁]]で制御しており、農作物や経済の動向などをふまえた上で厳正に決めている<ref name="fukayomi" /><ref>第12巻収録「天気決定表」</ref>。[[台風]]は上陸する前に消滅させている<ref name="fukayomi" /><ref>第41巻収録「野比家は三十階」</ref>。タイムマシンが普及しており、時間旅行をする際のルールとして「航時法」という法律が制定されている。24世紀には、航時法の違反を取り締まる組織「[[タイムパトロール (藤子・F・不二雄)|タイムパトロール]]」(略称:時警)の本部がある<ref name="fukayomi" />。
 
=== 時代設定 ===
漫画連載時期、アニメ放映時期に合わせて、作品内に登場するものにも多種の変化が見られる。家電は時代に合わせて変化しており、当初は[[黒電話]]であったのび太の家の電話も[[押しボタン式電話機]]に変わっていて、テレビも白黒からカラーへ(野比家がカラーテレビを購入したのは「[[タイムふろしき]]」騒動の後)、そして薄型テレビへと変わり、2010年9月17日に放映されたテレビアニメではスネ夫の家に3Dテレビが登場している。
 
それでも、大枠では連載開始当時(1970年代)の生活様式を維持している。(テレビアニメ第2作1期では、のび太は基本的に紺色の[[半ズボン]]と白色のハイソックスに黄色のシャツを着用しており、のび太の服装は(開始から現在まで一切)変化していない。これは[[新人類]]・[[団塊ジュニア]]・[[ポスト団塊ジュニア]]が小学生だった当時の典型的服装である。ただし、連載中期 - 後期においては上着に関してはさまざまなバリエーションが登場している。また、のび太のパパは連載が進むにつれて洋服を普段着にするようになった。高校生は必ず[[学生帽]]に[[詰襟]]の[[学生服]]姿という描写で登場する。テレビアニメ第2作第2期ではリニューアルによってのび太たちの服装に変更が加えられた。
 
また、1985年発行のてんとう虫コミックス『ドラえもん』33巻収録『ドラえもんに休日を!!』では、のび太がパパの会社が週休2日制になったことを羨むシーンがある。
 
「してない貯金を使う法」(第4巻第8話)では1960年代に[[丸井]]が日本で初めて導入した[[割賦販売]]が、「[[割賦販売|月ぷ]]」(月賦)という表現で登場し、父と叔父のやり取りを見ていたのび太が「これこそ現代人の生き方」と評している。公共交通機関を利用する事もない(第2巻第13話「[[地下鉄]]をつくっちゃえ」で夕方のラッシュに巻き込まれて辟易するシーンが一度出てくるのみ)。
 
また、ドラえもんでは、作品中においてその年代について言及される場面が何度かある。「竜宮城の八日間」(第25巻収録)では、タイムマシンが見当たらず現代へ帰れないと思い込んだのび太が、話を聞いてきた警察官に「1980年にもどる道をおまわりさんに聞いてもむだだろうね」と言っている。「りっぱなパパになるぞ!」(第16巻収録)では、のび太としずかが結婚してマンションに住み、息子のノビスケがのび太くらいの年齢となった近未来が2002年とされている。「白ゆりのような女の子」(第3巻収録)では、のび太の父親であるのび助についての戦時中における[[学童疎開]]の話がある(当時10歳前後であるとすると[[焼け跡世代]])。しかし、テレビアニメ第2作第1期「タイムマシンでお正月{{efn2|1980年1月1日放送}}」では、1940年生まれという設定となっている。また、「ハリーのしっぽ」(第33巻収録)ではハレー彗星接近の前年で、現在は1985年となっているが、[[西新宿]]や[[サンシャインシティ]]といった現在首都圏内でよく見られる高層ビル街はほとんど描かれない{{efn2|日本初の高層ビル・[[霞ヶ関ビル]]ができたのが1968年、西新宿での第1号・[[京王プラザホテル]]ができたのが1971年。}}。「ママのダイヤを盗み出せ」(第7巻収録)では、母親である玉子の少女時代は1948年とされている。しかし、テレビアニメ第2作第2期「ママのダイヤを盗み出せ{{efn2|2007年8月17日放送}}」では、玉子の7歳の時代が松田聖子がデビューして間もない1980年代初めになっている。
 
藤子・F・不二雄自身の中にある設定について、『ドラえもん』の数年前として『[[パーマン]]』{{efn2|第19巻収録「影とりプロジェクター」でそれを示唆する記述があり、第24巻「めだちライトで人気者」で明確となる。}}、ほぼ同時期の設定として『[[オバケのQ太郎]]』『[[エスパー魔美]]』『[[ウメ星デンカ]]<ref>第32巻収録「なんでも空港」</ref>』など、数十年後として『[[21エモン]]<ref>第32巻収録「オンボロ旅館をたて直せ」</ref>』などがある。
 
== 出版物 ==
 
=== 掲載誌 ===
147 ⟶ 210行目:
* 〈てんとう虫コミックス〉:1話
 
=== 誕生の経緯単行本 ===
本節では『ドラえもん』の各単行本の概説を記載する。『大長編ドラえもん』については[[大長編ドラえもん#単行本|「大長編ドラえもん#単行本」]]を、各単行本の書誌情報については[[#書誌情報|「#書誌情報」]]を参照。
『ドラえもん』ができるまでの過程を描いた漫画『ドラえもん誕生{{efn2|1978年発行『コロコロコミックデラックス ドラえもん・藤子不二雄の世界』初出(藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第20巻、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第0巻収録)。映画『[[2112年 ドラえもん誕生]]』の原案の一部にもなっている。}}』によると、[[藤子・F・不二雄]]は1969年11月、新連載の締め切りが間近に迫っても作品の構想がまるで浮かんでいなかった。そんな切迫した状況にもかかわらず、「アイデアが勝手に出てくる機械があれば」、「昔もこんなふうに締め切りギリギリになって大変だった」などと考えたり、ドラネコのノミをとったりして、時間を無駄にするだけだった。そしてついに締め切り日の朝が訪れ、困り果てた末に「なんにも、ぜーんぜんまとまってない!! わしゃ、破滅じゃー」と叫びながら階段を駆け下りたところ、たまたま置いてあった娘のポロンちゃん([[おきあがりこぼし]])につまずいたことで「ドラネコと起き上がりこぼし」からドラえもんのキャラクターが、さらに「便利な道具を持ったそのキャラが、ダメな男の子(自分)を助けに未来からやってくる」というアイデアが生まれ、ドラえもんが誕生したという。
 
本項では、単に「未収録作品」と示している場合、てんとう虫コミックス (TC)『ドラえもん』全45巻に収録されていない作品を示す。
上記のように連載直前までキャラクターが決まっていなかったため、連載開始前月に掲載された予告<ref>『小学四年生』1969年12月号。藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第1巻の巻末資料、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第0巻に掲載されている。</ref> は、新作のタイトルも主人公の姿も描かれていない{{efn2|のび太は描かれているものの、本来ドラえもんが出てくる引き出しからは、「出た!」と書かれた大きな吹き出しのみが飛び出し、「何が出たのか、どんなお話かは正月号までのお楽しみ」という触れ込みが書かれていた。}}<ref>[https://natalie.mu/comic/news/354706 「ドラえもん」6種類の第1話を収録した“0巻”が12月発売、カラーページや予告も] - コミックナタリー、2019年11月8日(2020年8月21日閲覧)</ref> という、異例の体裁であった。藤子不二雄{{Unicode|Ⓐ}}によれば、藤子・F・不二雄はドラえもんのキャラクターを作る際に、ネコのデッサンを漫画化したものを多数描いていたという<ref name="sekai">『藤子・F・不二雄の世界』(1997年)</ref>。
 
〈[[藤子・F・不二雄大全集]]〉を除き、すべて選集。特記のない限り小学館からの発行。
漫画評論家の[[米澤嘉博]]は、ドラえもんの発想の原型のひとつとして、何でも取り出す[[魔法]]のカバンを持ったネコのキャラクターが主人公であるアメリカの漫画『[[フィリックス・ザ・キャット]]』を上げている<ref>『藤子不二雄論』河出書房新社 P223</ref>。
; 〈[[てんとう虫コミックス]]〉全46巻(1 - 45巻・0巻)
: 1974年 - 1996年、2019年
: 1 - 45巻は計821話収録(45巻「ガラパ星からきた男」は1話として計上)<ref>『[http://knol.google.com/k/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93-knol-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E7%9B%AE%E6%AC%A1#/ ドラえもんKnol (ドラペディア)] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100119032616/http://knol.google.com/k/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93-knol-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E7%9B%AE%E6%AC%A1|date=2010年1月19日}}』にて、[[横山泰行]]による調査。</ref>、0巻は9話を収録。収録されている作品は、0巻を除き藤子・F・不二雄が自ら選抜した作品である。ただし、雑誌掲載時の各話のページ数が異なって単行本一冊の規定量に必ずしもきれいに収まらないことから、余りのページ分を利用して加筆修正や書き足りなかったコマを補っており、ゆえに巻末にある広告ページが存在しない<ref>藤子・F・不二雄ワンダーランド ぼくドラえもん 06</ref>。タケコプターの旧名称「ヘリトンボ」や初版でそのままだった誤植・ミス、現代では不適切とされる表現も増刷のたびに修正されている。作品のタイトルも雑誌掲載時とは異なっているものが多く、単行本化に際して改題されたタイトルがそのままアニメ第2作のサブタイトルなどに反映されている。45巻の初版では「第46巻に続く」旨が巻末に表示されていたが、藤子・F・不二雄の死去により以降は発刊されず、重版からはこの表示は削除されている。このため、全45巻に収録されなかった作品、未収録作品が500話以上存在し、特に幼年誌「よいこ」「幼稚園」での掲載53作品はすべて未収録である。
: 『ドラえもん』開始時に学年誌の編集長をしていた井川浩によると、当初単行本化は予定されておらず、原稿料の値上要求に対する対案として提示されたものであった。しかし小学館社長が売れ行きを怪しみ承認が得られなかったため、社員に採点をさせて高評価の話だけを収録する形で社長を説得、最終的に第6巻までということで社長の承認を得る。このため、第6巻の最後には最終回のひとつである「さようなら、ドラえもん」が収録されている。しかし売れ行きが好調であったため、第7巻以降も続刊されることとなった<ref>この段落は、[[安藤健二]]「第一章 ポケットの中の悪夢 05「どん底」からの復活」『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年12月1日初版発行、{{ISBN2|978-4-86248-338-6}}、97-98頁 を参照。</ref>。中編「[[ドラえもん ガラパ星から来た男|ガラパ星から来た男]]」の連載終了後、同編を収録した第44.5巻が『[[月刊コロコロコミック]]』1994年9月号の別冊付録として発行されている。同編はその後「ガラパ星からきた男」に改題の上第45巻にも収録された。
: 2019年11月、小学館は23年ぶりの最新刊として『ドラえもん 0巻』を発売することを発表した。「ドラえもん」の連載50周年を記念して企画されたもので、1969年に連載がスタートした小学館の6つの雑誌(対象読者別に描き分けられた6種類)の第1話(基本の第1話は第1巻にも収録されている「小学四年生」1970年1月号掲載の「未来の国からはるばると」)や連載開始の前号に掲載した予告ページなどを収録する<ref name=":0">{{Cite web |url=https://www.oricon.co.jp/news/2148320/full/ |title=漫画『ドラえもん』23年ぶり新刊12・1発売 全6種類の異なる第1話を完全収録 |accessdate=2019年11月26日 |publisher=オリコン(2019年11月8日作成)}}</ref>。当初は2019年12月1日の発売を予定していたが、同年11月27日から順次発売するとともに[[電子書籍]]よりも紙の[[単行本]]での予約が集まっているとして発売前としては異例となる重版も決定した<ref name=":0" /><ref>{{Cite web |url=https://www.fnn.jp/posts/00427933CX/201911262011_CX_CX |title=「ドラえもん」0巻発売へ 23年ぶり新刊 |accessdate=2019年11月26日 |publisher=フジテレビ(2019年11月26日作成)}}</ref><ref>『新刊「ドラえもん0巻」 故藤子・F・不二雄さん6誌の第1話収録 県内 きょうから販売』[[北日本新聞]] 2019年11月28日1面</ref>。
; 『[[ドラえもん プラス]]』〈てんとう虫コミックス〉既刊6巻
: 2005年 - 2006年、2014年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録の作品を集めた単行本。計124話収録。<!--(うち、計47話は藤子不二雄ランド収録経歴あり。また、11話が並行販売していたぴっかぴかコミックスなどに先行収録された)。6巻の収録作が藤子不二雄ランドやぴっかぴかコミックス収録されているかわからないのでコメントアウトにします。情報をお持ちの方は更新をお願いいたします。-->連載初期作品も点在する。2006年に出版された5巻を最後に刊行が停止していたが、[[てんとう虫コミックス]]誕生40周年記念として2014年に6巻が刊行された。なお、1 - 5巻の初版時にはキャラクターキーホルダー同梱の限定版スペシャルパックも発売された。
; 『ドラえもんカラー作品集』〈てんとう虫コミックススペシャル〉全6巻
: 1999年 - 2006年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録(計119話。うち、計31話は藤子不二雄ランド掲載経歴あり)の作品を当時のカラー原稿で収録した単行本。カラー掲載の関係で低学年向け作品ばかりであり、中でも第5巻は連載初期特集となっている。また、小学館雑誌連載当時のカラー原稿をそのまま収載している関係で、後に藤子不二雄ランドなどに単行本化された同名タイトルと、話の内容や台詞が変わっているものもある。
; 『ドラえもん巻頭まんが作品集』〈てんとう虫コミックススペシャル〉
: 2003年、2011年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』の巻頭作品を収録。参考資料として初出誌の表紙画像や年表も収録している。
: 2003年刊行版は上下巻構成で、上巻に1 - 23巻、下巻に24 - 45巻を収録。2011年刊行版は『ドラえもん巻頭まんが作品45』として1 - 45巻が1冊にまとめられている。
; 〈My First BIG〉既刊191巻
: 2002年 -
: コンビニ向け廉価版。
; 『ドラえもん傑作選』〈てんとう虫コミックスワイドスペシャル〉既刊1巻
: 1999年 -
; 〈小学館コロコロ文庫〉全18巻
: 1994年 -
: 文庫版。337話収録。基本的には『てんとう虫コミックス』収録の話をテーマごとに掲載している。ロボット編、スネ夫編、ドラミ編に未収録作品があり、また収録作品が重複しているものもある。
; 〈小学館コロコロ文庫デラックス〉全10巻
: 2000年 -
: 文庫版。286話収録。未収録話1話(コロコロ文庫版には収録)を除き、すべててんとう虫コミックス収録済み作品である。また、小学館コロコロ文庫には掲載されていない話も多い。
; 〈藤子不二雄自選集〉全7巻
: 1981年発行
: 全10巻で発売された藤子不二雄自選集の第1巻から第7巻まで。計93作品収録で若干描き足しがされている話もある(てんとう虫コミックスではこの描き足し作品は未収録。藤子不二雄ランド、ぴっかぴかコミックスなどで読める作品もある。大全集では描き足しされた作品を完成形として掲載している)。現在絶版。
; 『藤子・F・不二雄 自選集 ドラえもん』全2巻
: 1998年
: 〈藤子不二雄自選集〉の計7冊を全2冊にまとめたもの。収録作品は自選集と相違ない。
; 〈カラーコミックス〉全6巻(および映画版全4巻)
: 1979年 - 1982年発行
: 小学館が[[コロコロコミック]]増刊号という位置付けで発行したB5サイズの4色刷。全22冊刊行のうち、ドラえもんの短編作品を収録したのは全6冊である。全部で102話収録されており、『てんとう虫コミックス』未収録話が多かった(発刊当時はほとんどの作品が未収録であった)が、2作品{{efn2|「動物キャンディー」「しょうげき波ピストル」。また「ヨット大冒険」は、同誌以外では、ぼくドラえもんの付録のみの収載であった。}}を除き、後にてんとう虫コミックス、藤子不二雄ランド、カラー作品集などに掲載された。また、映画版ドラえもんとして、「のび太の恐竜」から「のび太の海底鬼岩城」までが発刊された。いずれも現在は絶版。なお、後述の『藤子・F・不二雄大全集』ではカラーコミックス掲載分も'''単行本収録扱い'''である。
; [[中央公論新社|中央公論社]]〈中公コミックス [[藤子不二雄ランド]]〉全45巻
: 1984年 - 1990年発行
: 第35巻までは初出掲載を基準に『てんとう虫コミックス』収録(計10作品{{efn2|「人間あやつり機」「のび太の恐竜」(短編)「ドンブラ粉」「宝さがしごっこセット」「悪の道を進め!」「あらかじめ日記はおそろしい」「おかしなおかしなかさ」「サンタえんとつ」「忘れものおくりとどけ機」「いたずらオモチャ化機」の計10作品は同誌に掲載されなかった。}}を除く第37巻までのほぼ全話)と未収録話を拾遺しながら掲載。第36巻以降は『てんとう虫コミックス』から収録した新編集となっていた。計832話収録(うち132話はてんとう虫コミックス単行本未収録。そのうち、プラス、カラー作品集で計47話収録。なお、後述の『藤子・F・不二雄大全集』ではFFランド掲載分も単行本収録扱いである)。また、自選集の一部作品で行われた描き足し作品は、それを収録作品に採用している。本シリーズはどの作品も巻頭にアニメセル画が付いており、巻末には読者のおたより感想文や特集・表題とは別の漫画作品が1話分だけ収録されているおまけコーナーがあり、『ドラえもん』の巻末おまけコーナーでは『[[ウルトラB]]』か『[[チンプイ]]』が掲載されているものが多く、『チンプイ』はこの巻末付録から連載が始まった。なお、ドラえもん単行本とは別冊であるがFFランドスペシャルには初期連載作品、「愛妻ジャイ子!?」「のび太が強くなる」が収録されている。現在絶版。
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS Doraemon』既刊10巻
: 2002年 - 刊行中<ref>[http://www.shogakukan.co.jp/dora_comics/ 小学館:イングリッシュ コミックス ドラえもん] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20041030045333/http://www.shogakukan.co.jp/dora_comics/|date=2004年10月30日}}</ref>
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS AUDIO版 DORAEMON』既刊2巻
: 2009年 - 刊行中
: 別売りとして、[[iTunes]]で母語話者による台詞の英語発音が有料配信されている。
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS Doraemon セレクション』既刊6巻
: 2013年 - 刊行中
; 〈[[ぴっかぴかコミックス]]〉全18巻
: 2004年 - 2008年発行(刊行中だが一部は品薄状態)
: 全18巻。低年齢向けの作品を集めた単行本。『てんとう虫コミックス』収録済みの作品を中心に207話収録。63話の未収録作品(うち、20話は藤子不二雄ランド収録経歴あり)を含む。また、単行本として初めて幼年誌掲載作品も載せられた。
; 『ドラミちゃん』〈ぴっかぴかコミックス〉全1巻
: 2007年
: ドラミちゃんが主役となる話を収録。計8作品。
; 『カラー版 ドラえもん』〈ぴっかぴかコミックススペシャル〉全1巻
: 2005年
: 幼年誌「よいこ」「幼稚園」連載作品が中心となっており、いずれも『てんとう虫コミックス』未収録。現在は品薄状態。
; 『デジタルカラーセレクションドラえもん』〈てんとう虫コミックススペシャル〉既刊6巻
: 2004年 - 2012年
; 〈[[藤子・F・不二雄大全集]]〉全20巻
: 2009年7月 - 2012年9月
: 未収録作品を含む全作品収録の完全版。全20巻。約100作品がすべての単行本、関連雑誌を含め、初収録となる。第三者による改変を抑え、セリフ等はなるべく初出時に準拠しているが{{efn2|誤植校正や、現在では不適切とされる台詞の一部修正は行われている。}}、コミックス収録時に加筆修正があったものについては、加筆後のものを完成形とみなして収録している。1巻から17巻までは、[[藤子・F・不二雄大全集#学年繰り上がり収録|学年繰り上がり収録]]によって連載時と同じ順番での収録となり、のび太たちの年齢も既刊の単行本のように統一せず、掲載誌に合わせられている。「てれびくん」「月刊コロコロコミック」「少年サンデー増刊号」などに描き下ろされた作品や幼年向け作品などは後の巻に収録しており、雑誌「小学館BOOKS」連載の姉妹編「ドラミちゃん」および学年誌に連載された特別企画「ドラとバケルともうひとつ」も初収録された。基本的に藤子・F・不二雄本人が執筆した作品の掲載が原則であるが、例外的に当時のアシスタントたかや健二が作画を行った3作品、しのだひでおが作画を行った1作品も収載されている。
 
=== 専門雑誌 ===
なお、元アシスタントスタッフの[[えびはら武司]]の『[[まいっちんぐマンガ道]]』によれば、「ある猫を飼う男が、自分の悪い未来を変えるために冒険する」という[[ロバート・A・ハインライン]]の小説『[[夏への扉]]』がドラえもんの元になったという<ref>『本当にあった愉快な話』 Vol.249(2018年3月号) 竹書房 掲載回</ref>。えびはらによると、藤子・F・不二雄は「そんなこと書いても読者は喜ばない」として、上記『ドラえもん誕生』で描かれたようなエピソードを自ら創作したのだとしている<ref>『本当にあった愉快な話』 Vol.249(2018年3月号) 竹書房 P162</ref>。
; 『ドラえもんクラブ』
: 1994年に隔月刊誌として発刊された[[専門雑誌|専門誌]]。全4号。連載途中で中断した『ドラえもん のび太と雲の王国』の完結編や、未収録作品なども再録されていた。
; 『ドラえ本』
: ドラえもんグッズ大図鑑として1997年から不定期に発刊され、グッズ大図鑑としつつも3号には、てんとう虫コミックスに未収録の作品をフルカラーで2本再録している。1999年12月に発売された『ドラえ本 3』を最後に完結したと思われていたが、2007年より毎年、映画の公式ガイドブックとして『映画ドラえ本』が発刊されている。
; 『[[ぼく、ドラえもん]]』
: 2004年2月20日より毎月5日と20日の月2回発行の専門誌。全25号。創刊号は低価格でDVDも付いていたため売り切れが相次ぎ、急遽増刷された。てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録の作品を毎号2から4話程度付録として収録している。本誌、付録を含め全103作品収録。うち、79作品が未収録(うち、12作はカラーコミックス、47作は藤子不二雄ランドでの掲載経歴あり。また、後にドラえもんプラスで34作品、てんとう虫コミックススペシャル『ドラえもんカラー作品集』で1作品が掲載された。本誌のみの掲載作品は20作品であり、藤子・F・不二雄大全集においては'''初収録作品'''扱いとなっている)。
; 『[[もっと!ドラえもん]]』
: 2005年4月25日より発刊。『ぼく、ドラえもん。』の後継誌。全5号。付録として[[フィギュア]]が付く。また『[[新オバケのQ太郎]]』など、他の藤子・F・不二雄作品情報も掲載された。第4号ではスネ夫のフィギュアがつく予定がしずかのフィギュアが付いていた(次の第5号でスネ夫、しずか、シークレットのフィギュアが付けられた)。
 
=== 関連書籍 ===
以下はすべて小学館より刊行。
; 『ド・ラ・カルト ドラえもん通の本』
: 1997年12月5日に刊行。連載の歴史や登場人物の魅力などを紹介している書籍。連載年表や、藤子・F・不二雄の語録も収録している。
; 『決定版 ドラえもん大事典』
: 2001年6月18日に刊行。原作漫画を紹介するガイドブック(テレビアニメ第2作第1期や映画についても一部取り上げている)。[[いそほゆうすけ]]作画。
; 『21世紀版 ドラえもんひみつ大百科』
: 2005年7月7日に刊行。テレビアニメ版のリニューアルに伴い、原作漫画とアニメ版の両面から紹介しているガイドブック。
; 『ドラえもん深読みガイド -てんコミ探偵団-』
: 2006年7月24日に刊行。専門誌『ぼく、ドラえもん』と後継誌『もっと!ドラえもん』で連載されていた「てんコミ探偵団」の内容を単行本化した書籍。新しくテーマを追加した増補版となっている。
 
ひみつ道具を扱う書籍については「[[ひみつ道具#事典の出版]]」を参照。
 
=== ドラえもん文庫 ===
2004年に、すべての作品を収蔵した「ドラえもん文庫」が開設された。作者の出身地で知られる[[富山県]][[高岡市]]の[[高岡駅]]前再開発ビル「ウイング・ウイング」内の高岡市立中央図書館の「ドラえもんコーナー」と、[[富山大学]]横山研究室である。これはドラえもん研究で知られる富山大学の[[横山泰行]]教授が、収集した単行本計671冊を寄贈、図書館側も協力して実現した。
 
収集家の間でも入手困難とされる、[[てんとう虫コミックス]][[初版]]初刷の単行本第1巻から第10巻を含む全45巻を所蔵している。
 
雑誌のフルカラーのコピーも所蔵している。書籍の内容は、当時連載していた小学館の学年誌などの雑誌に掲載されていた全作品を原寸大で複写し、フルカラー作品はすべてフルカラーで複写して、それを製本化して収めたものである。
 
=== 海外展開 ===
[[ファイル:Doraemon da Arena Suzano-SP.jpg|thumb]]
[[ファイル:DoraemonTruckInJapan.jpg|thumb|ドラえもんと[[貨物自動車]]]]
171 ⟶ 321行目:
1970年代には既に香港・台湾で[[中国語]]の海賊版が出版されており、日本文化が当時解放されていなかった韓国でも海賊版が『[[トンチャモン]]』というタイトルで出版された。そのため韓国や中国などでは、過去に日本の本家『ドラえもん』の方がコピーと誤解されたこともあった<ref>藤子・F・不二雄ワンダーランド ぼくドラえもん 09</ref>。
 
ベトナムでは正規版の出版以前に海賊版が1000万部以上売り上げており、1994年に正規版を出版するにあたって、それまで原作者に本来受け取るべき[[印税]](日本円で2000万円相当)を支払いたいと申し出たが、藤子・F・不二雄が「このお金を基にして現地の子供たちのために役立ててほしい」と希望したため、貧困家庭の就学希望児童を支援する「ベトナムの子供たちのためのドラえもん教育基金」が設立された<ref name="sekai" /><ref>[https://www.kantei.go.jp/jp/child/980805dai4.html 子どもの未来と世界について考える懇談会]</ref>。藤子・F・不二雄はそれに合わせてベトナムを訪問している。
 
多言語社会であるスペインでは、[[スペイン語]](カスティーリャ語)や[[カタルーニャ語]]など5言語で出版された。
178 ⟶ 328行目:
アニメーションはこれまで、北米([[アメリカ合衆国]]、[[カナダ]])、中南米([[ブラジル]]、[[コロンビア]]、[[チリ]]、[[アルゼンチン]]、[[エクアドル]]、[[ボリビア]]、[[ペルー]]、[[パラグアイ]]、[[ベネズエラ]]、[[パナマ]]、[[メキシコ]]、[[プエルトリコ]]、[[キューバ]]、[[ドミニカ共和国]]、[[ニカラグア]]、[[コスタリカ]]、[[ホンジュラス]]、[[エルサルバドル]])、[[ヨーロッパ]]([[スペイン]]、[[イタリア]]、[[フランス]]、[[ポルトガル]]、[[ポーランド]]、[[ベラルーシ]]、[[ロシア]]、[[イギリス]])、中東([[サウジアラビア]]、[[カタール]]、[[アラブ首長国連邦|UAE]]、[[オマーン]]、[[エルサレム]]、[[イスラエル]]、[[トルコ]])、アフリカ([[アルジェリア]]、[[リビア]]、[[チュニジア]])、[[東アジア]]([[中華人民共和国|中国]]、[[香港]]、[[マカオ]]、[[台湾]]、[[大韓民国|韓国]])、[[東南アジア]]([[インドネシア]]、[[マレーシア]]、[[タイ王国]]、[[ベトナム]]、[[フィリピン]]、[[シンガポール]]、[[カンボジア]])、[[南アジア]]([[インド]]、[[バングラデシュ]]、[[ブータン]]、[[ネパール]]、[[パキスタン]])、[[オセアニア]]([[オーストラリア]])でも放送された(2017年3月現在、オーストラリア、カナダ、ポーランド、イギリス、パキスタンでは放送されていない)。
 
[[木村純一]]プロデューサー(1998年当時)によると、東南アジアでのテレビアニメの放送は視聴率が70パーセントを超えることもあるという<ref>「テレビ秋の陣 地上波の模索(下) アニメバブル 長持ちソフト期待」『[[朝日新聞]]』1998年10月2日夕刊、11面。</ref>。東南アジア諸国では、[[野比玉子|ママ]]がドラえもんの道具でやり込められると子供が大喜びする<ref name="doracarte" /> という特徴も見られる。
 
アメリカ合衆国では、1985年に[[CNN]]の[[テッド・ターナー]]が50話分の放映権契約を結んだものの長らく放映が実現しなかったが<ref>[[横山泰行]]『ドラえもん学』(PHP研究所、2005年)120頁</ref>、2014年より[[ディズニー]]の子供向けチャンネル[[ディズニーXD]]で放送が始まった<ref>[http://www.doraemon.com/ 米国版公式サイト]</ref>。このアメリカ放送版は、単なる吹き替え版ではなく現地の文化や生活習慣に合わせて様々な変更を加えられた[[ローカライゼーション|ローカライズ版]]であり、舞台をアメリカの架空の街に移し登場人物名も英語名風にするなどアメリカの視聴者になじみやすいように設定に改変を加え、フィクション作品の中でも健康的な食生活を推進するという規則に従ってのび太が食べるおやつがフルーツになるなど、アメリカの子供番組の放映基準に合わせた細かな画像の加工や差し替えも行われている。日本では2014年7月から8月にかけて行われたイベント『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION』にて日本語字幕版として初公開上映<ref>[https://www.oricon.co.jp/news/2040257/full/ アメリカ版『ドラえもん』日本初上映 六本木で8・1から10日連続] - ORICON STYLE 2014年7月26日</ref> を経て、2016年2月1日から[[ディズニー・チャンネル]]にて『Doraemon』のタイトルで日本語吹き替え版の放送を開始した。
190 ⟶ 340行目:
 
一般に、『ドラえもん』はアジア圏・南米圏で高い人気を得る一方で、欧米諸国では人気が奮わない場合が多い。このような傾向に関して漫画評論家の[[米澤嘉博]]は、「単に生活や風習の違いだけでは解釈することのできない、メンタルな部分がそこにはある」と述べている<ref>『藤子不二雄論』河出書房新社 P5</ref>。
 
=== 受賞歴 ===
* 第2回(1973年)[[日本漫画家協会賞]]'''優秀賞'''<ref name="nmksjj">[http://www.nihonmangakakyokai.or.jp/jushou.html 日本漫画家協会賞受賞者] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070219190000/http://www.nihonmangakakyokai.or.jp/jushou.html |date=2007年2月19日 }}、社団法人日本漫画家協会。</ref>。
* 第27回(昭和57年度)[[小学館漫画賞]]'''児童部門受賞<ref>[http://comics.shogakukan.co.jp/mangasho/rist.html 小学館漫画賞:歴代受賞者]、小学館。</ref>。'''
* 第23回(1994年)[[日本漫画家協会賞]]'''文部大臣賞'''<ref name="nmksjj"/>。
* 第1回(1997年)[[手塚治虫文化賞]]'''マンガ大賞受賞<ref>[http://www.asahi.com/tezuka/kiroku.html 受賞の記録] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070203111018/http://www.asahi.com/tezuka/kiroku.html |date=2007年2月3日 }}、朝日新聞。</ref>。'''
 
== 作風や舞台設定 ==
作品の連載開始は1969年12月発売の1970年1月号。主人公は、未来の世界からやって来たネコ型ロボットのドラえもん<ref>『ドラえもん誕生』、『ド・ラ・カルト -ドラえもん通の本-』小学館、1997年</ref> (連載初期<ref>藤子・F・不二雄大全集第1巻に再録された連載初期のキャラクター紹介図</ref>は、[[東京都]]{{efn2|[[練馬区]]月見台、あるいは[[田無市]]大字田無。詳細は[[野比のび太#住所|野比のび太]]を参照。なお、川崎市による「ドラえもん特別住民票」では、「神奈川県川崎市多摩区長尾2丁目8番1号」と記載されている<ref>{{Cite news|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300V_T00C12A9CR0000/|title=ドラえもん、川崎市の特別住民に 「生誕前」100年記念|newspaper=日本経済新聞|date=2012-09-03|accessdate=2016-03-20}}</ref>。}}に住む8月7日生まれ{{efn2|「ぼくの生まれた日」の雑誌での初出(『小学四年生』1972年8月号掲載)では、生年は1962年とされており、てんとう虫コミックスで単行本化される際に「1964年」に変更された。藤子不二雄ランドの単行本では「10年前」とされ、藤子・F・不二雄自選集でもその設定は引き継がれた。}}の小学4年生(もしくは5年生){{efn2|漫画では4年生(雑誌掲載時は雑誌ごとに学年が異なっていた)、アニメ版では5年生。}}の野比のび太が主人公とされていたが、作者自身により副主人公に改められた{{efn2|作者は1989年の講演([http://dora-world.com/yojigen/int0211_f.html インタビューチャンネル] ドラえもんチャンネル)にて、「(この作品の)副主人公」と語っている。アニメ版ではキャスト紹介でドラえもんが1番目、のび太は2番目であり、字幕もドラえもんが主人公を表す黄色で、のび太は準主人公を表す水色。}})。
 
=== 登場人物 ===
{{main|ドラえもんの登場人物一覧}}
作者によれば、のび太のモデルは、少年時代の作者自身である{{efn2|ただし学童疎開体験については時代設定の関係上父親ののび助の体験として描いている。}}。作者の少年時代は、運動能力が低く、いつも漫画を描いていたらしい<ref>[http://dora-world.com/yojigen/int0211_f.html ドラえもん公式サイト インタビューチャンネル 藤子・F・不二雄先生]{{リンク切れ|date=2020年5月}}</ref>。
 
他の登場人物も[[高岡市]]で過ごした少年時代の人間関係をモデルにしているという。藤子・F・不二雄の少年時代の友人の間では「ジャイアンのモデル」と目されている者もいるとのこと<ref>テレビ朝日系『ドラえもん誕生物語 藤子・F・不二雄からの手紙〜』2006年2月19日放送</ref>。藤子不二雄{{Unicode|Ⓐ}}の自伝的漫画である「[[まんが道]]」の少年時代編においても、番長格の少年が登場する。さらに、しずかについては作者の理想の女性を描いたものだとする説がある<ref>[http://www3.u-toyama.ac.jp/doraemon/submit/repo_113.html しずかちゃんのモデルはヘップバーン?!]、横山泰行(2004年、10月6日)。初出は[[朝日新聞]]2006年4月1日朝刊。</ref>。
 
不思議な力を持つ主人公と、平凡で目立たない準主人公の少年に加えて、「紅一点のマドンナ」「体が大きく腕っ節の強い乱暴者のガキ大将」「家が裕福で見栄っぱりのずるがしこい少年(ごく稀に少女)」の三者が必ず登場するのは、『キテレツ大百科』『オバケのQ太郎』『チンプイ』などの藤子マンガに共通する、いわば“王道”のパターンである。
 
=== 舞台設定 ===
作品の舞台となる、ドラえもんやのび太たちが住む[[町]]は、「[[東京都]][[練馬区]]月見台すすきヶ原」という町である<ref name="fukayomi"/><ref>第15巻収録「不幸の手紙同好会」、第24巻収録「虹谷ユメ子さん」</ref>。「多奈川」という大きな[[川]]が流れている<ref name="fukayomi"/><ref>大長編「のび太と竜の騎士」ほか</ref>。都内ではあるが、まだ裏山や空き地が開発されずに残されており、主人公たちの遊び場になっている(作者が少年時代を過ごした富山県高岡市の影響ともされる<ref name="rokarutya">[http://www.info-toyama.com/loculture/vol05/page04.html ロカるちゃvol5](社団法人富山観光連盟発行の印刷物)</ref>)。
 
大長編では、地球上で絶滅した[[恐竜]]が地底では生き残っていて、[[ディノサウロイド|恐竜人]]に進化したものが文明を築いていたことが判明する。また地球には他にも人類以外の知的種族(アフリカ奥地の[[イヌ科]]種族、[[海底人]]、小人族など)や独自の発達を遂げた人類(海底に移住した[[ムー大陸]]人=[[龍宮]]、雲の上の天上人など)が一般の人類に知られず<ref>22世紀生まれのドラえもんですら彼らのことを知らなかった様子。</ref> 存在し、[[宇宙]]には多種の[[地球外生命体]]も存在することが明かされた。また、この世界には複数の[[反地球]]が存在しており、一個はかつて学会で提唱されていたとおりの太陽の裏側のラグランジュポイントに存在し、22世紀では存在を知られている<ref>1980年TV放映の『のび太の夢の金メダル』より</ref>。もう一つは別の恒星系に、地形や人間の性別、性格などがすべてあべこべな反地球が存在している<ref>17巻収録「あべこべ惑星」より</ref>(ここで言う「反地球」は、一般的な反地球とは全く別のものである)。
 
; のび太の家
: ドラえもんとのび太が住む[[住宅|家]]。のび太の部屋は、窓の下が玄関上の屋根に面しており、のび太は屋根の上で昼寝や日光浴などをすることもある<ref name="fukayomi"/>([[野比のび太#のび太の家|のび太の家]]も参照)。稀にドラえもんもネコのように丸くなって昼寝をすることがある。野比家の持ち家ではなく(2階建てという、当時としては珍しい)[[借家]]<ref>コミックス第9巻「無人島のつくり方」より。玉子がのび太に小遣い減額を言い渡し、のび助にも「今月から家賃が上がり、お金が足りない」と節煙を求める描写がある</ref><ref>{{Cite web|title=『ドラえもん』のび太の家は“借家” 「一番の衝撃」「知らなかった」と驚きの声|url=https://www.oricon.co.jp/news/2215471/full/|website=[[オリコン|ORICON NEWS]]|accessdate=2021-11-27}}</ref>。
; 空き地
: ドラえもんやのび太たちが住む町内にある[[空き地]]。[[土管]]が3本(稀に6本)、ピラミッド状に積み上げられており、ジャイアンが座る定位置になっている{{efn2|この土管は何度か破壊されたこともある。}}。子供たちが集まっておしゃべりしたり、野球をしたりと、子供たちの憩いの場となっている。のび太の幼少時、またのび太の父の小学生時代には木材が多く置かれていた。このことから単なる空き地ではなく、本来は材木を管理する企業が資材置き場として用いていた敷地の可能性が高い{{efn2|テレビアニメ第2作第2期「夢まくらのおじいさん」(2010年6月11日放送)では、敷地の奥にある倉庫には「石田材木」の看板が見える。テレビアニメ第2作第1期においても、空き地の奥に倉庫を配置することがしばしばあった。「ゆめの町、のび太ランド」の回では、空き地が資材置き場として使われており、子供たちが遊べないという設定になっている。『のび太の日本誕生』ではこの空き地の地主(声 - 田口昂)が登場し、不動産会社が3億円で買い取ろうとしていた。}}。また、空き地の所有者も確認できる。ジャイアンの[[リサイタル]]は、ここで開かれることが多い。この空き地は、日頃から自由に使えるようになっていて、原作やテレビアニメの中でも度々登場する。さらに、空き地で不発弾が確認されたこともあった。
; 学校の裏山
: 小学校の裏にある小山で、のび太の憩いのスポット。山の頂上には「千年杉」と呼ばれる木がそびえ立つ<ref>第26巻収録「タイムカプセル」、第28巻収録「大ピンチ!スネ夫の答案」など</ref>。モデルは少年時代の作者が息抜きに通っていた[[高岡城#高岡古城公園|高岡古城公園]]ともされ、開発が及んでいない緑豊かな土地である<ref name="rokarutya"/>。近辺の崖からは、新種の[[三葉虫]]<ref>第11巻収録「化石大発見!」</ref> や大型肉食[[恐竜]]の化石<ref>『ドラえもん+』第2巻収録「全体復元液」</ref> が発掘されている。団地の建設で一部掘り崩されたり<ref>第33巻収録「さらばキー坊」</ref>、宅地開発の対象になったり<ref>『大長編ドラえもん のび太の日本誕生』</ref>、ゴルフ場建設が計画されたり<ref>『大長編ドラえもん のび太とアニマル惑星』</ref> など、造成の対象にもされており、25年後には頂上にヒルトップマンションという名前のマンションが建設され、千年杉は姿を消している<ref>第26巻収録「タイムカプセル」</ref>。
; 未来の世界
: ドラえもんが生まれた時代。22世紀(連載初期は21世紀となっていた{{efn2|藤子・F・不二雄大全集第1巻収録「未来から来たドラえもん」(『小学二年生』1970年1月号)では、ドラえもんが「[[2081年|百十一年あと]]のせかい」から来たと発言している。また、連載初期の話の初出時は「21世紀」をドラえもんが来た未来とするセリフがいくつか散見され、単行本収録時にも初期の版では「21世紀」のままになっている話(第1巻収録「古道具きょう争」「走れ!ウマタケ」、第2巻収録「オオカミ一家」、第7巻収録「好きでたまらニャい」「ネズミとばくだん」「エスパーぼうし」)がある。後の版で全て「22世紀」に変更された。}})。[[天気]]は[[気象庁]]で制御しており、農作物や経済の動向などをふまえた上で厳正に決めている<ref name="fukayomi"/><ref>第12巻収録「天気決定表」</ref>。[[台風]]は上陸する前に消滅させている<ref name="fukayomi"/><ref>第41巻収録「野比家は三十階」</ref>。タイムマシンが普及しており、時間旅行をする際のルールとして「航時法」という法律が制定されている。24世紀には、航時法の違反を取り締まる組織「[[タイムパトロール (藤子・F・不二雄)|タイムパトロール]]」(略称:時警)の本部がある<ref name="fukayomi"/>。
 
=== 時代設定 ===
漫画連載時期、アニメ放映時期に合わせて、作品内に登場するものにも多種の変化が見られる。家電は時代に合わせて変化しており、当初は[[黒電話]]であったのび太の家の電話も[[押しボタン式電話機]]に変わっていて、テレビも白黒からカラーへ(野比家がカラーテレビを購入したのは「[[タイムふろしき]]」騒動の後)、そして薄型テレビへと変わり、2010年9月17日に放映されたテレビアニメではスネ夫の家に3Dテレビが登場している。
 
それでも、大枠では連載開始当時(1970年代)の生活様式を維持している。(テレビアニメ第2作1期では、のび太は基本的に紺色の[[半ズボン]]と白色のハイソックスに黄色のシャツを着用しており、のび太の服装は(開始から現在まで一切)変化していない。これは[[新人類]]・[[団塊ジュニア]]・[[ポスト団塊ジュニア]]が小学生だった当時の典型的服装である。ただし、連載中期 - 後期においては上着に関してはさまざまなバリエーションが登場している。また、のび太のパパは連載が進むにつれて洋服を普段着にするようになった。高校生は必ず[[学生帽]]に[[詰襟]]の[[学生服]]姿という描写で登場する。テレビアニメ第2作第2期ではリニューアルによってのび太たちの服装に変更が加えられた。
 
また、1985年発行のてんとう虫コミックス『ドラえもん』33巻収録『ドラえもんに休日を!!』では、のび太がパパの会社が週休2日制になったことを羨むシーンがある。
 
「してない貯金を使う法」(第4巻第8話)では1960年代に[[丸井]]が日本で初めて導入した[[割賦販売]]が、「[[割賦販売|月ぷ]]」(月賦)という表現で登場し、父と叔父のやり取りを見ていたのび太が「これこそ現代人の生き方」と評している。公共交通機関を利用する事もない(第2巻第13話「[[地下鉄]]をつくっちゃえ」で夕方のラッシュに巻き込まれて辟易するシーンが一度出てくるのみ)。
 
また、ドラえもんでは、作品中においてその年代について言及される場面が何度かある。「竜宮城の八日間」(第25巻収録)では、タイムマシンが見当たらず現代へ帰れないと思い込んだのび太が、話を聞いてきた警察官に「1980年にもどる道をおまわりさんに聞いてもむだだろうね」と言っている。「りっぱなパパになるぞ!」(第16巻収録)では、のび太としずかが結婚してマンションに住み、息子のノビスケがのび太くらいの年齢となった近未来が2002年とされている。「白ゆりのような女の子」(第3巻収録)では、のび太の父親であるのび助についての戦時中における[[学童疎開]]の話がある(当時10歳前後であるとすると[[焼け跡世代]])。しかし、テレビアニメ第2作第1期「タイムマシンでお正月{{efn2|1980年1月1日放送}}」では、1940年生まれという設定となっている。また、「ハリーのしっぽ」(第33巻収録)ではハレー彗星接近の前年で、現在は1985年となっているが、[[西新宿]]や[[サンシャインシティ]]といった現在首都圏内でよく見られる高層ビル街はほとんど描かれない{{efn2|日本初の高層ビル・[[霞ヶ関ビル]]ができたのが1968年、西新宿での第1号・[[京王プラザホテル]]ができたのが1971年。}}。「ママのダイヤを盗み出せ」(第7巻収録)では、母親である玉子の少女時代は1948年とされている。しかし、テレビアニメ第2作第2期「ママのダイヤを盗み出せ{{efn2|2007年8月17日放送}}」では、玉子の7歳の時代が松田聖子がデビューして間もない1980年代初めになっている。
 
藤子・F・不二雄自身の中にある設定について、『ドラえもん』の数年前として『[[パーマン]]』{{efn2|第19巻収録「影とりプロジェクター」でそれを示唆する記述があり、第24巻「めだちライトで人気者」で明確となる。}}、ほぼ同時期の設定として『[[オバケのQ太郎]]』『[[エスパー魔美]]』『[[ウメ星デンカ]]<ref>第32巻収録「なんでも空港」</ref>』など、数十年後として『[[21エモン]]<ref>第32巻収録「オンボロ旅館をたて直せ」</ref>』などがある。
 
== 作品の受容 ==
289 ⟶ 395行目:
*[[バカリズム]](お笑い芸人)
**[[テレビ朝日]]の番組『[[雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!|アメトーーク!]]』のドラえもん芸人に出演している<ref>{{Cite web |url= https://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/backnumber/0684/|title= アメトーーク ドラえもん芸人|publisher= tv asahi|accessdate=2021-4-11}}</ref>。
 
== 出版物 ==
=== 単行本 ===
本節では『ドラえもん』の各単行本の概説を記載する。『大長編ドラえもん』については[[大長編ドラえもん#単行本|「大長編ドラえもん#単行本」]]を、各単行本の書誌情報については[[#書誌情報|「#書誌情報」]]を参照。
 
本項では、単に「未収録作品」と示している場合、てんとう虫コミックス (TC)『ドラえもん』全45巻に収録されていない作品を示す。
 
〈[[藤子・F・不二雄大全集]]〉を除き、すべて選集。特記のない限り小学館からの発行。
; 〈[[てんとう虫コミックス]]〉全46巻(1 - 45巻・0巻)
: 1974年 - 1996年、2019年
: 1 - 45巻は計821話収録(45巻「ガラパ星からきた男」は1話として計上)<ref>『[http://knol.google.com/k/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93-knol-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E7%9B%AE%E6%AC%A1#/ ドラえもんKnol (ドラペディア)] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100119032616/http://knol.google.com/k/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93-knol-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E7%9B%AE%E6%AC%A1 |date=2010年1月19日 }}』にて、[[横山泰行]]による調査。</ref>、0巻は9話を収録。収録されている作品は、0巻を除き藤子・F・不二雄が自ら選抜した作品である。ただし、雑誌掲載時の各話のページ数が異なって単行本一冊の規定量に必ずしもきれいに収まらないことから、余りのページ分を利用して加筆修正や書き足りなかったコマを補っており、ゆえに巻末にある広告ページが存在しない<ref>藤子・F・不二雄ワンダーランド ぼくドラえもん 06</ref>。タケコプターの旧名称「ヘリトンボ」や初版でそのままだった誤植・ミス、現代では不適切とされる表現も増刷のたびに修正されている。作品のタイトルも雑誌掲載時とは異なっているものが多く、単行本化に際して改題されたタイトルがそのままアニメ第2作のサブタイトルなどに反映されている。45巻の初版では「第46巻に続く」旨が巻末に表示されていたが、藤子・F・不二雄の死去により以降は発刊されず、重版からはこの表示は削除されている。このため、全45巻に収録されなかった作品、未収録作品が500話以上存在し、特に幼年誌「よいこ」「幼稚園」での掲載53作品はすべて未収録である。
: 『ドラえもん』開始時に学年誌の編集長をしていた井川浩によると、当初単行本化は予定されておらず、原稿料の値上要求に対する対案として提示されたものであった。しかし小学館社長が売れ行きを怪しみ承認が得られなかったため、社員に採点をさせて高評価の話だけを収録する形で社長を説得、最終的に第6巻までということで社長の承認を得る。このため、第6巻の最後には最終回のひとつである「さようなら、ドラえもん」が収録されている。しかし売れ行きが好調であったため、第7巻以降も続刊されることとなった<ref>この段落は、[[安藤健二]]「第一章 ポケットの中の悪夢 05「どん底」からの復活」『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年12月1日初版発行、{{ISBN2|978-4-86248-338-6}}、97-98頁 を参照。</ref>。中編「[[ドラえもん ガラパ星から来た男|ガラパ星から来た男]]」の連載終了後、同編を収録した第44.5巻が『[[月刊コロコロコミック]]』1994年9月号の別冊付録として発行されている。同編はその後「ガラパ星からきた男」に改題の上第45巻にも収録された。
: 2019年11月、小学館は23年ぶりの最新刊として『ドラえもん 0巻』を発売することを発表した。「ドラえもん」の連載50周年を記念して企画されたもので、1969年に連載がスタートした小学館の6つの雑誌(対象読者別に描き分けられた6種類)の第1話(基本の第1話は第1巻にも収録されている「小学四年生」1970年1月号掲載の「未来の国からはるばると」)や連載開始の前号に掲載した予告ページなどを収録する<ref name=":0">{{Cite web|url=https://www.oricon.co.jp/news/2148320/full/|title=漫画『ドラえもん』23年ぶり新刊12・1発売 全6種類の異なる第1話を完全収録|accessdate=2019年11月26日|publisher=オリコン(2019年11月8日作成)}}</ref>。当初は2019年12月1日の発売を予定していたが、同年11月27日から順次発売するとともに[[電子書籍]]よりも紙の[[単行本]]での予約が集まっているとして発売前としては異例となる重版も決定した<ref name=":0" /><ref>{{Cite web|url=https://www.fnn.jp/posts/00427933CX/201911262011_CX_CX|title=「ドラえもん」0巻発売へ 23年ぶり新刊|accessdate=2019年11月26日|publisher=フジテレビ(2019年11月26日作成)}}</ref><ref>『新刊「ドラえもん0巻」 故藤子・F・不二雄さん6誌の第1話収録 県内 きょうから販売』[[北日本新聞]] 2019年11月28日1面</ref>。
; 『[[ドラえもん プラス]]』〈てんとう虫コミックス〉既刊6巻
: 2005年 - 2006年、2014年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録の作品を集めた単行本。計124話収録。<!--(うち、計47話は藤子不二雄ランド収録経歴あり。また、11話が並行販売していたぴっかぴかコミックスなどに先行収録された)。6巻の収録作が藤子不二雄ランドやぴっかぴかコミックス収録されているかわからないのでコメントアウトにします。情報をお持ちの方は更新をお願いいたします。-->連載初期作品も点在する。2006年に出版された5巻を最後に刊行が停止していたが、[[てんとう虫コミックス]]誕生40周年記念として2014年に6巻が刊行された。なお、1 - 5巻の初版時にはキャラクターキーホルダー同梱の限定版スペシャルパックも発売された。
; 『ドラえもんカラー作品集』〈てんとう虫コミックススペシャル〉全6巻
: 1999年 - 2006年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録(計119話。うち、計31話は藤子不二雄ランド掲載経歴あり)の作品を当時のカラー原稿で収録した単行本。カラー掲載の関係で低学年向け作品ばかりであり、中でも第5巻は連載初期特集となっている。また、小学館雑誌連載当時のカラー原稿をそのまま収載している関係で、後に藤子不二雄ランドなどに単行本化された同名タイトルと、話の内容や台詞が変わっているものもある。
; 『ドラえもん巻頭まんが作品集』〈てんとう虫コミックススペシャル〉
: 2003年、2011年
: てんとう虫コミックス『ドラえもん』の巻頭作品を収録。参考資料として初出誌の表紙画像や年表も収録している。
: 2003年刊行版は上下巻構成で、上巻に1 - 23巻、下巻に24 - 45巻を収録。2011年刊行版は『ドラえもん巻頭まんが作品45』として1 - 45巻が1冊にまとめられている。
; 〈My First BIG〉既刊191巻
: 2002年 -
: コンビニ向け廉価版。
; 『ドラえもん傑作選』〈てんとう虫コミックスワイドスペシャル〉既刊1巻
: 1999年 -
; 〈小学館コロコロ文庫〉全18巻
: 1994年 -
: 文庫版。337話収録。基本的には『てんとう虫コミックス』収録の話をテーマごとに掲載している。ロボット編、スネ夫編、ドラミ編に未収録作品があり、また収録作品が重複しているものもある。
; 〈小学館コロコロ文庫デラックス〉全10巻
: 2000年 -
: 文庫版。286話収録。未収録話1話(コロコロ文庫版には収録)を除き、すべててんとう虫コミックス収録済み作品である。また、小学館コロコロ文庫には掲載されていない話も多い。
; 〈藤子不二雄自選集〉全7巻
: 1981年発行
: 全10巻で発売された藤子不二雄自選集の第1巻から第7巻まで。計93作品収録で若干描き足しがされている話もある(てんとう虫コミックスではこの描き足し作品は未収録。藤子不二雄ランド、ぴっかぴかコミックスなどで読める作品もある。大全集では描き足しされた作品を完成形として掲載している)。現在絶版。
; 『藤子・F・不二雄 自選集 ドラえもん』全2巻
: 1998年
: 〈藤子不二雄自選集〉の計7冊を全2冊にまとめたもの。収録作品は自選集と相違ない。
; 〈カラーコミックス〉全6巻(および映画版全4巻)
: 1979年 - 1982年発行
: 小学館が[[コロコロコミック]]増刊号という位置付けで発行したB5サイズの4色刷。全22冊刊行のうち、ドラえもんの短編作品を収録したのは全6冊である。全部で102話収録されており、『てんとう虫コミックス』未収録話が多かった(発刊当時はほとんどの作品が未収録であった)が、2作品{{efn2|「動物キャンディー」「しょうげき波ピストル」。また「ヨット大冒険」は、同誌以外では、ぼくドラえもんの付録のみの収載であった。}}を除き、後にてんとう虫コミックス、藤子不二雄ランド、カラー作品集などに掲載された。また、映画版ドラえもんとして、「のび太の恐竜」から「のび太の海底鬼岩城」までが発刊された。いずれも現在は絶版。なお、後述の『藤子・F・不二雄大全集』ではカラーコミックス掲載分も'''単行本収録扱い'''である。
; [[中央公論新社|中央公論社]]〈中公コミックス [[藤子不二雄ランド]]〉全45巻
: 1984年 - 1990年発行
: 第35巻までは初出掲載を基準に『てんとう虫コミックス』収録(計10作品{{efn2|「人間あやつり機」「のび太の恐竜」(短編)「ドンブラ粉」「宝さがしごっこセット」「悪の道を進め!」「あらかじめ日記はおそろしい」「おかしなおかしなかさ」「サンタえんとつ」「忘れものおくりとどけ機」「いたずらオモチャ化機」の計10作品は同誌に掲載されなかった。}}を除く第37巻までのほぼ全話)と未収録話を拾遺しながら掲載。第36巻以降は『てんとう虫コミックス』から収録した新編集となっていた。計832話収録(うち132話はてんとう虫コミックス単行本未収録。そのうち、プラス、カラー作品集で計47話収録。なお、後述の『藤子・F・不二雄大全集』ではFFランド掲載分も単行本収録扱いである)。また、自選集の一部作品で行われた描き足し作品は、それを収録作品に採用している。本シリーズはどの作品も巻頭にアニメセル画が付いており、巻末には読者のおたより感想文や特集・表題とは別の漫画作品が1話分だけ収録されているおまけコーナーがあり、『ドラえもん』の巻末おまけコーナーでは『[[ウルトラB]]』か『[[チンプイ]]』が掲載されているものが多く、『チンプイ』はこの巻末付録から連載が始まった。なお、ドラえもん単行本とは別冊であるがFFランドスペシャルには初期連載作品、「愛妻ジャイ子!?」「のび太が強くなる」が収録されている。現在絶版。
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS Doraemon』既刊10巻
: 2002年 - 刊行中<ref>[http://www.shogakukan.co.jp/dora_comics/ 小学館:イングリッシュ コミックス ドラえもん] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20041030045333/http://www.shogakukan.co.jp/dora_comics/ |date=2004年10月30日 }}</ref>
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS AUDIO版 DORAEMON』既刊2巻
: 2009年 - 刊行中
: 別売りとして、[[iTunes]]で母語話者による台詞の英語発音が有料配信されている。
; 『SHOGAKUKAN ENGLISH COMICS Doraemon セレクション』既刊6巻
: 2013年 - 刊行中
; 〈[[ぴっかぴかコミックス]]〉全18巻
: 2004年 - 2008年発行(刊行中だが一部は品薄状態)
: 全18巻。低年齢向けの作品を集めた単行本。『てんとう虫コミックス』収録済みの作品を中心に207話収録。63話の未収録作品(うち、20話は藤子不二雄ランド収録経歴あり)を含む。また、単行本として初めて幼年誌掲載作品も載せられた。
; 『ドラミちゃん』〈ぴっかぴかコミックス〉全1巻
: 2007年
: ドラミちゃんが主役となる話を収録。計8作品。
; 『カラー版 ドラえもん』〈ぴっかぴかコミックススペシャル〉全1巻
: 2005年
: 幼年誌「よいこ」「幼稚園」連載作品が中心となっており、いずれも『てんとう虫コミックス』未収録。現在は品薄状態。
; 『デジタルカラーセレクションドラえもん』〈てんとう虫コミックススペシャル〉既刊6巻
: 2004年 - 2012年
; 〈[[藤子・F・不二雄大全集]]〉全20巻
: 2009年7月 - 2012年9月
: 未収録作品を含む全作品収録の完全版。全20巻。約100作品がすべての単行本、関連雑誌を含め、初収録となる。第三者による改変を抑え、セリフ等はなるべく初出時に準拠しているが{{efn2|誤植校正や、現在では不適切とされる台詞の一部修正は行われている。}}、コミックス収録時に加筆修正があったものについては、加筆後のものを完成形とみなして収録している。1巻から17巻までは、[[藤子・F・不二雄大全集#学年繰り上がり収録|学年繰り上がり収録]]によって連載時と同じ順番での収録となり、のび太たちの年齢も既刊の単行本のように統一せず、掲載誌に合わせられている。「てれびくん」「月刊コロコロコミック」「少年サンデー増刊号」などに描き下ろされた作品や幼年向け作品などは後の巻に収録しており、雑誌「小学館BOOKS」連載の姉妹編「ドラミちゃん」および学年誌に連載された特別企画「ドラとバケルともうひとつ」も初収録された。基本的に藤子・F・不二雄本人が執筆した作品の掲載が原則であるが、例外的に当時のアシスタントたかや健二が作画を行った3作品、しのだひでおが作画を行った1作品も収載されている。
 
=== 専門雑誌 ===
; 『ドラえもんクラブ』
: 1994年に隔月刊誌として発刊された[[専門雑誌|専門誌]]。全4号。連載途中で中断した『ドラえもん のび太と雲の王国』の完結編や、未収録作品なども再録されていた。
; 『ドラえ本』
: ドラえもんグッズ大図鑑として1997年から不定期に発刊され、グッズ大図鑑としつつも3号には、てんとう虫コミックスに未収録の作品をフルカラーで2本再録している。1999年12月に発売された『ドラえ本 3』を最後に完結したと思われていたが、2007年より毎年、映画の公式ガイドブックとして『映画ドラえ本』が発刊されている。
; 『[[ぼく、ドラえもん]]』
: 2004年2月20日より毎月5日と20日の月2回発行の専門誌。全25号。創刊号は低価格でDVDも付いていたため売り切れが相次ぎ、急遽増刷された。てんとう虫コミックス『ドラえもん』に未収録の作品を毎号2から4話程度付録として収録している。本誌、付録を含め全103作品収録。うち、79作品が未収録(うち、12作はカラーコミックス、47作は藤子不二雄ランドでの掲載経歴あり。また、後にドラえもんプラスで34作品、てんとう虫コミックススペシャル『ドラえもんカラー作品集』で1作品が掲載された。本誌のみの掲載作品は20作品であり、藤子・F・不二雄大全集においては'''初収録作品'''扱いとなっている)。
; 『[[もっと!ドラえもん]]』
: 2005年4月25日より発刊。『ぼく、ドラえもん。』の後継誌。全5号。付録として[[フィギュア]]が付く。また『[[新オバケのQ太郎]]』など、他の藤子・F・不二雄作品情報も掲載された。第4号ではスネ夫のフィギュアがつく予定がしずかのフィギュアが付いていた(次の第5号でスネ夫、しずか、シークレットのフィギュアが付けられた)。
 
=== 関連書籍 ===
以下はすべて小学館より刊行。
; 『ド・ラ・カルト ドラえもん通の本』
: 1997年12月5日に刊行。連載の歴史や登場人物の魅力などを紹介している書籍。連載年表や、藤子・F・不二雄の語録も収録している。
; 『決定版 ドラえもん大事典』
: 2001年6月18日に刊行。原作漫画を紹介するガイドブック(テレビアニメ第2作第1期や映画についても一部取り上げている)。[[いそほゆうすけ]]作画。
; 『21世紀版 ドラえもんひみつ大百科』
: 2005年7月7日に刊行。テレビアニメ版のリニューアルに伴い、原作漫画とアニメ版の両面から紹介しているガイドブック。
; 『ドラえもん深読みガイド -てんコミ探偵団-』
: 2006年7月24日に刊行。専門誌『ぼく、ドラえもん』と後継誌『もっと!ドラえもん』で連載されていた「てんコミ探偵団」の内容を単行本化した書籍。新しくテーマを追加した増補版となっている。
 
ひみつ道具を扱う書籍については「[[ひみつ道具#事典の出版]]」を参照。
 
== 藤子・F・不二雄以外の執筆したドラえもん ==