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{{出典の明記|date=2017年1月|ソートキー=医}}
'''人工透析'''(じんこうとうせき)は
[[腎不全]]を患った患者が[[尿毒症]]になるのを防止するには、外的な手段で[[血液]]の「老廃物除去」「[[電解質]]維持」「水分量維持」を行う必要がある。
[[日本]]では腎不全を解決する腎移植への認知が普及していないため、2017年11月現在で約32万人の透析患者がいる<ref>{{Cite web|title=だから腎臓移植は進まない 人工透析一辺倒のウラ側 {{!}} 聖域3 患者は33万人、医療費年1.6兆円に膨張|url=https://premium.toyokeizai.net/articles/-/18079|website=週刊東洋経済プラス|accessdate=2019-03-06|language=ja|first=風間|last=直樹}}</ref><ref>[http://www.jsdt.or.jp/ 日本透析医学会]</ref><ref name=":0">{{Cite web|title=透析大国ニッポン!一度始めたら一生やめられない人工透析の「真実」(週刊現代)|url=http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49662|website=現代ビジネス|accessdate=2019-03-06}}</ref>。
== 慢性腎不全と透析 ==
腎臓には[[糸球体]]濾過、[[尿細管]]の再吸収といった[[尿]]の生成、老廃物の排出、[[免疫系|免疫]]、[[内分泌器|内分泌]]、[[代謝]]といった機能がある。免疫は[[細胞性免疫]]への関与が示唆されており、腎不全の患者では
[[腎機能障害]]、[[慢性腎臓病]]
慢性に進行した場合には、[[クレアチニンクリアランス]]が10mL/minを切るまで通常の生活を送る上で[[自覚症状]]が乏しい場合も多く、倦怠感などで病院を訪れて血液検査を行って初めて腎臓がほとんど機能していないと知る
透析はクレアチニンクリアランスが10mL/分(非透析時も含めた時間平均値)の血液浄化能力しかないため、かなりの時間的制約があるにも関わらず活動、食事などに関しては[[慢性腎不全]]と同様に制限を加えなければならない治療法である。そのため、透析導入をできるだけ遅らせる治療がなされている。それが[[降圧薬]]による血圧コントロールや[[食事療法]]である。旧厚生省研究班の透析導入基準(案)によれば、臨床症状、腎機能(検査値)、日常生活障害度、年齢によって腎機能障害のスコア化を行い、60点以上となったら透析導入を行う、と定めている。ただし、基礎疾患が[[糖尿病]]である場合
透析には[[腹膜透析]]や
== 急性腎不全における透析導入 ==
Cr7.0 mg/dL、BUN80mg/dLといった急性腎不全では透析導入となることが多い。多くの急性腎性腎不全は急性尿細管壊死であるため、透析導入にて合併症を回避し、乏尿期から利尿期に移行すれば数日で透析から離脱することができる。
しかし、[[多臓器不全]]の場合には十分な利尿が得られないことが多い。急性血液浄化療法、特に急性腎障害(AKI)でのCHDFの適応としては[[尿毒症]]の出現(心外膜炎、中枢神経症状、消化器症状)、鬱血性心不全、肺水腫の出現、保存的治療で管理不能な電解質異常(K>6.5mEq/L or Na>155mEq/L or Na<120mEq/L)、BUN>84 mg/dLの高度の高尿酸血症、pH<7.1の高度のアシデミア、乏尿、無尿(尿量<200mL/12hr)、高体温、透析可能な薬物による中毒などが知られているが、十分なコンセンサスは得られていない。
== 血液浄化療法の分類 ==
[[ファイル:Hemodialysismachine.jpg|thumb|300px|血液透析装置]]
=== 血液透析 (
患者に2本の[[カニューレ]]([[w:Cannula|Cannula]])を挿入し、血液を体外へ導出して[[ろ過#限外ろ過|限外濾過]]と[[溶液|溶質
一般的には毎回4
なお、'''血液透析'''を受けながらの就業・就学は地域によっては可能である。特に都市部では午後6時ごろから透析を開始する施設が数多く存在するため、業務終了後に通院することができる。また、近年では透析患者専用の旅行ツアーを用意している旅行代理店も存在し、日本各地ならびに海外への旅行が可能となっている。
1998年から日本でも
=== 腹膜透析 (Peritoneal
患者自身の[[腹膜]]を透析膜として利用する手法。持続的携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal
一方で
CAPDでは6時間毎に1日4回透析液を出し入れせねばならないが、{{いつ範囲|最近では|date=2022年6月}}夜間睡眠をとっている間に透析液を自動的に腹膜内に出し入れする装置:APD(主にホームAPDシステム・ゆめシリーズを使用)も利用可能となっている。
以前は自らの手による回路との接続で雑菌等で腹膜炎を起こす者が多かったが、昨今は殺菌用の[[紫外線]]を照射しつつ自動的に腹膜透析用の機械とカニューレを接続できる機器(バクスター・クリーンフラッシュ)の開発で自宅でのCAPD、APDが以前より安全かつ容易になっている。
腹膜透析は
{{main|腹膜透析}}
=== 血液濾過 (
{{日本語表現|date=2022年6月|section=1}}
1970年代、Henderson らが提唱した
開発当初ヘモフィルターのろ過速度が低く、フィルターを直列に2段接続し試用していたころもあったが(Hospal RP-6 2連、Toray B-1 2連、Nipro F-1 2連など)
膜の評価は従来から用いられていたBUN、クレアチニン、VB12などに加え、[[イヌリン]]、[[オ
{{要説明範囲|形状は平膜タイプ膜間に波板状のコルゲートを挿入することで層流を維持しやすい工夫がなさ得ている|date=2022年6月}}、またコルゲートの中間点にスリットを入れ、チャネリングを起こしにくい構造となっている。
当時はまだ[[マイクロプロセッサ]](マイコン)制御の血液浄化装置は無かったが、山上、泉らが[[ダイセル|ダイセル化学工業]]との共同開発を行い、CPUとして[[intel 8085]]A
置換補充液の製剤形状も当初ガラス瓶入りの1Lバイアル(エアー管入り)を治療ごとに20本用意した、これは重量や廃棄の面でも問題があった
血液濾過法としては
血液透析では拡散現象により物質除去を図るため、拡散速度が大きな尿素やクレアチニンと
血液濾過は濾過流束に乗った物質除去を原理とするため、低分子蛋白領域物質の一部までの均一な除去が可能である。小分子量物質の除去はろ過速度QFとふるい係数SCに支配され血液透析には及ばないが、中分子量物質、低分子蛋白領域の物質除去は透析より勝るため、血液透析では改善できない病態の改善が認められている。また循環動態が不良であり、通常のHDに耐えられない場合、不均衡症候群が起こる場合にも用いられる。
透析では中空の半透膜(一部の製品で平膜あり)で構成された[[ダイアライザー]]と呼ばれるデバイスが用いられるが、血液濾過では比較的に除水能が高いヘモフィルターを用いる。ヘモフィルターに血液を体外循環させ大量の限外濾過液を取り出す。これは血液流量200mL/minに対して平均80mL/min程度となり、取り出された限外濾過液に相当する補充液を注入し血液浄化する。使われる補充液の量は約20L程度となる。ヘモフィルター通過後の血液に補充液を注入する方法を後希釈法と言い、通過前に注入する方法は前希釈法と呼ばれている。前希釈法では入口濃度が低下し、大量の補充液を必要とするため、ヘモフィルター内での濃縮効果が得られる後希釈法が一般的に用いられている。大量の補充液を必要とする前希釈法を実現させるためには、特に清浄化された透析液を補充液として利用するOn-line HF/HDFといった方法を用いる。後希釈法においては、過度の濾過速度(通常は血液流量に対し3分の1程度までに設定)を与えると、膜内層近傍においてファウリングと呼ばれる現象が生じ、膜固有の分子分画特性が失われるため、濾過速度設定には注意が必要である。
=== 血液透析濾過 (
HDとHFを同時に行う血液浄化療法で
=== 持続的血液透析濾過療法
急性腎不全の重症例や全身状態の悪い症例に対して行われる血液浄化法である。HDFを24時間持続的に行うということである。患者を長期拘束をし、長時間の抗凝固薬の投与による出血のリスク、[[集中治療室|ICU]]管理となることが多いので面会の制限などがあるものの、少量ずつ透析を持続的に行うため、全身状態に与える影響が少なく、血管外物質の除去効率が高いというメリットがある。
=== アフェレーシス
[[血漿]]交換
{{main|アフェレーシス}}
== 腹膜透析と血液透析の違い ==
慢性腎不全における[[腹膜透析]]と血液透析の違いをまとめる。HFとHDFといった血液浄化療法は、HDよりさらに高い質の血液浄化を求める場合に選択される治療法であるため、基本的にはこの2つを考えるのが主流である。
{| class="wikitable"
! nowrap="nowrap" |項目!! nowrap="nowrap" |HD!! nowrap="nowrap" |CAPD
92 ⟶ 90行目:
|小分子除去能||大きい||小さい
|-
|
|-
|血液、体液への影響||大きい||比較的小さい
98 ⟶ 96行目:
|血糖、脂質値||影響なし||上昇しやすい
|}
病態による使い分けも存在するのと同時に、患者自身の求める生活の質によって透析方法が選択される場合もある。血液透析は、まず内シャント造設術を行い、週に3回、4
=== 腹膜透析(特にCAPD)の流れ ===
腹膜透析を始めるには、まず腹腔内にカテーテルを留置する手術(テンコフカテーテル留置術)を行う。留置後はカテーテルの洗浄を数日間行い、その後500mLから透析液の貯留を始める。体格に合わせて1回1.5
CAPDではHDと異なり、[[浸透圧]]と[[拡散]]現象を用いて尿毒物質の除去を行う。長時間、透析液を腹腔内に入れておくと濃度勾配がなくなり拡散が弱まる。6時間ほどでクレアチニンの拡散も止まるので透析液を交換するという原理である。血液透析と異なり、[[ろ過#限外ろ過|限外濾過]]ではなく浸透圧による除水を行い、浸透圧物質としてグルコースやある種のデンプンを用いている。そのため糖尿病の患者では血糖コントロールが不安定になりやすい。かつては血液透析では中分子除去が苦手であったため、中分子除去という観点から腹膜透析が好まれていた。しかし中分子除去も可能なハイパフォーマンス膜という透析膜が開発されたため、その優位性がなくなった。しかし、心血管への負担が少ないこと、自尿を維持しやすいこと、血液透析と比べて食事制限が緩やかであることから、PD firstという考え方は存在している。透析導入が必要と判断された場合にCAPDが可能な状況ならまずはCAPDを行う方が予後が良いという考えである。しかし、長期間にわたる腹膜透析には被嚢性腹膜硬化症という合併症のリスクがあるため、4
=== 血液透析の流れ ===
血液透析を定期的に行うためには、大量の血液を透析機へ供給するための血管が必要である(ブラッドアクセスの確立)。そのために内シャント造設術という手術を受ける場合が多い。この手術は、手首のすぐ上で[[橈骨動脈]]と[[橈側皮静脈]]を吻合して橈側皮静脈に大量の動脈血をバイパスさせ、橈側皮静脈を透析用の血管として用いることができるようにする手術である。橈側皮静脈がシャントを作るのにふさわしくない場合
内シャント造設術後のトラブルとしては、シャント血管圧迫や血圧低下によるシャント閉塞、慢性の通過障害による内シャント瘤やグラフト瘤、末梢の血流低下による[[痺れ]]や蒼白、冷感などが生じるスティール症候群、血流異常によって静脈圧が上昇し手が赤白色に腫脹し痛みも伴う静脈[[高血圧]]症、シャント感染、循環動態の乱れによる高拍出性心不全などが知られている。
シャントはシャント造設術後、自分の血管を使用しているものは数週間で血液透析が行えるくらいに成熟するが、吻合部・縫合部の回復を中心に考えれば数日のうちに使用することも可能である。また、長年の使用で徐々にシャント血管が老化して使用できなくなることがあり、その場合には反対側の腕などにシャント血管を作り直す手術が必要となる。緊急の血液浄化が必要な場合
== 間欠的血液透析と持続的血液濾過療法 ==
多臓器不全を合併する重症患者の透析としては、日本では持続的血液濾過透析 (CHDF) が用いられることが多い。特に[[急性腎障害]] (AKI)、低心機能症例や重篤な炎症がみられる症例においてよく選択される。CHDFでは間欠的血液透析 (IHD) と比べて有利な点がある。それは除水時の血圧低下など循環動態への影響が少ないこと、また血中尿素窒素の濃度変化も緩徐であることから、浸透圧変化による細胞[[浮腫]]のリスクが低いことが
{| class="wikitable"
! nowrap="nowrap" | !! nowrap="nowrap" |血流量(mL/min)!! nowrap="nowrap" |透析液流量(mL/min)!! nowrap="nowrap" |置換液(mL/min)!! nowrap="nowrap" |透析時間!! nowrap="nowrap" |ダイアライザー膜面積(m<sup>2</sup>)
|-
|CHDF 日本||80
|-
|CHDF 欧米||140
|-
|IHD 日本||180
|-
|IHD 欧米||350
|}
IHDより程度は少ないが体外循環開始時の血圧低下が認められることがある。また回路内の血小板の消費、持続的に使用する抗凝固薬の使用による出血傾向、ブラッドアクセスカテーテルによる感染、出血、血栓、透析液使用による電解質異常(低カリウム血症、低燐血症)、ダイアライザーや抗凝固薬でのアレルギーなどが認められることがある。日本におけるCHDFの設定は'''血液流量60
== 血液透析の維持と評価 ==
血液透析は血液回路、透析モニター、[[ダイアライザー]]の3つのコンポーネントに分解するとわかりやすい。まず血液透析は[[拡散]]と限外濾過によって尿毒物質の除去を行うものである。血液透析の成績を左右する因子として、週に何回行うという透析回数、1回あたりにかける透析時間、用いる透析器械、ダイアライザーの種類、用いる[[抗凝固薬]]といったものが
=== 血液回路 ===
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=== 透析液供給装置 ===
濃縮液を精製水によって35倍希釈し、温度、濃度をチェックした後にダイアライザーに供給している。透析液の組成は電解質に関しては正常血漿に類似しており、尿素、クレアチニンといった老廃物は含まれていない、緩衝剤である重炭酸を高濃度含有しているということが特徴である。{{いつ範囲|近年では|date=2022年6月}}限外濾過を行うために除水量制御装置が必要である。
=== ダイアライザー ===
近年は中分子の除去も可能なハイパフォーマンスメンブレンを用いることが多い。ダイアライザーの性能は[[クリアランス]]で示される。クリアランスは血流量に依存するが大抵は200mL/minになるとダイアライザー固有の値になることが知られている。一般にダイアライザーの尿素クリアランスは、設定した血流量の95%程度である。ダイアライザーにはいくつかの種類が知られている。再生セルロース膜は昔から使われているダイアライザーであり、β2ミクログロブリンといった中分子除去はできないがアルブミンなどが除去されてしまうことがないため、栄養障害のある高齢者には用いられることがある。合成高分子膜にはPAN(ポリアクリルニトリル)やPS(ポリスルホン)、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)などがある。中分子除去、除水ともに良好である。しかし、アルブミンが除去されてしまったりPANはACE阻害薬との併用が禁忌であったりと、すべての膜にそれぞれの癖がある。また、膜の素材にアレルギー反応を起こす事がある。
=== 血液透析の評価 ===
==== TACBUN ====
[[尿素]]は、総体液中にほぼ均一に分布している分子量60の小分子である。そのため、血液浄化療法の治療を決定する上で重要な情報となりえる。一般に尿素は血中[[尿素窒素]] (BUN) にて測定されることが多い。透析患者のBUN値は変動しているため、BUNにて透析状態を評価するには何らかの基準が必要である。1週間の透析中および非透析時のBUNを時間的に平均した値がTACBUNである。月、水、金の週3回透析であれば月曜日の透析終了時のBUNと水曜日の透析前BUNの平均値に相当する。TACBUNが65mg/dL以下では合併症をおこす確率が低く、それ以上では合併症を起こすリスクが高いと
==== 尿素除去率 ====
透析前後でBUNがどれくらい除去できているのかを%で表した値である。(透析前BUN - 透析後BUN) / 透析前BUNである。70
==== 標準化蛋白異化率(n-PCR) ====
蛋白異化率は正味の蛋白分解量なので、蛋白摂取量と正味組織蛋白分解量の和である。過度の蛋白異化・同化などがなければ正味の組織蛋白分解量は0であるので、蛋白異化率は蛋白摂取量に等しくなる。月水金透析であれば、蛋白異化率={0.1/44×基礎体重×(水曜日透析前BUN-月曜日透析後BUN)+1.2}×9.35 が知られている。この値が 0.9 - 1.5g/kg/day の範囲内にないと予後が悪くなる。透析患者の食事療法の評価n-PCRから計算できている。
==== 標準化透析量 ====
標準化透析量はKt/Vで求められる。Kはダイアライザーの尿素クリアランス (mL/min) であり(カタログスペックに安全係数として0.9を掛けることが多い)、tは透析時間(min)でありVは尿素の[[分布容積]]である。尿素の性質から総体液量、すなわち体重の60%に一致する。Ktは透析量、すなわち1回の透析過程でどれだけ血液量から尿素が完全に浄化されたかを示す値と言える。これをVで割るので透析過程で総体液量の何倍の血液量を完全に浄化したのかを示すのが標準化透析量といえる。少なくとも1以上にならなければCcr10mL/min以下の除去能となるので透析不足である。1.6以上を保つのが理想的だが、{{いつ範囲|現在のところ|date=2022年6月}}Kt/Vが高ければ予後が良いことを示すエビデンスはない。臨床的にはKt/V=-ln(透析後BUN/透析前BUN)で計算することがある。しかし
Sinzato式による透析量の自動計算フォームがある<ref>[http://www.hdtool.net/ CKD・透析計算ツール]</ref>。
==== ドライウエイト (DW) ====
ドライウエイトとは基礎体重と同義と考えられており、浮腫がなく、血圧正常、心胸郭比は極一般的には50%以下であり、極端に小さな数字は、脱水域の体重と考えられている。しかし、これを決定する方法論は確立していない。様々な所見(HANP、BNP、浮腫度合)から、医師、看護師、臨床工学技士、その他スタッフ、ならび患者自身が総合的(摂食状況、活動量、体調、透析状況等)に評価を行う。
165 ⟶ 161行目:
[[アミロイドーシス]]の原因となるので30mg/L未満となるようにする。高値なら中分子除去の方法を検討する。
====
正常値は60pg/mL以下であるが、透析患者の場合には低Ca刺激による二次性副甲状腺機能亢進症を来たし、高値となりやすい。60
==== HANP ====
[[心房性ナトリウム利尿ペプチド|ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド]]は心不全のマーカーであるがBNPと比較してより心房の負荷、すなわち容量負荷の状態を反映する。正常値は8.0
==== 胸部単純
月に
==== 心エコー ====
年に
== 血液透析中の合併症 ==
透析中の合併症としては再循環、[[不均衡症候群]]、血圧異常、筋肉の痙縮、血管痛、
=== 溶質の透析異常 ===
透析中の
==== 再循環 ====
浄化した血液が全身を回らず透析されてしまう状態である。透析後の血液検査上、十分な透析ができているように見えるが、実際には血液の一部しか浄化できていないため、浄化した血液に触れる機会が少なかった間質液、細胞内液からの溶質の流入がおこり、しばらく時間がたつと透析不十分な血液データになる。シャント血管への穿刺部位の選択を誤った場合、透析されて血管に戻った血液がそのまま再びダイアライザへと向かってしまい、非常に狭いループで血液が循環してしまう。
==== 不均衡症候群 ====
[[血液脳関門]]では尿素の透過性が低いため、[[脳脊髄液]]および脳細胞と血液の間には他の細胞膜と異なった尿素の不均衡が生じる。血液透析によって脳脊髄液以外の尿素はすみやかに除去されるが、脳脊髄液、脳細胞内の尿素は除去されず不均衡が生じる。それは
=== 溶液の透析異常 ===
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|30分以降||循環血漿量の絶対量が低い||生理食塩水、高張液の点滴、または除水中止
|}
透析前半に発症する場合には、循環血漿量の減少に心血管系の代償機能が作動しきれず血圧低下をきたすものである。低アルブミン血症などの高リスクの患者で起こりやすい。この場合
=== 長期血液透析の合併症 ===
222 ⟶ 216行目:
=== 慢性腎不全の高血圧 ===
腎不全患者の血圧管理は透析導入前と透析導入後でマネジメントが大きく異なる。透析導入前の血圧管理は糸球体内圧の上昇による腎障害の進行を防ぐのが目標であり、塩分制限といった食事療法や降圧剤の投与といったことがされる。降圧剤はガイドラインではACE阻害薬やARBからはじめ、コントロール不良であったら、[[カルシウム拮抗
腎不全が進行すると[[糸球体濾過量]]が低下するため、体液量依存性の高血圧が生じる。体液が貯留することで心拍出量が増加し心臓に負荷がかかるため、全身自己調節がはたらき、末梢の血管が収縮し全身の体液量を減らす方向に働く。すなわち腎性高血圧は慢性期になると心拍出量は正常化している。人工透析によくなるように調節することで末梢の血管は拡張し、血圧、体液量ともに正常化する。このプロセスで安易に降圧薬を投与すると透析中の血圧が低下し、コントロール不良となる。
=== 透析患者の高血圧 ===
透析中の患者はDWの設定や体重増加によって大きく異なる点が特徴である。高血圧が進行したらDWが適正か再評価する。起立性低血圧が起らないのが理想的だが、[[糖尿病性神経症]]がある場合には、適正なDWでも起立性低血圧が起りえる。体重増加の大きな原因は食塩の過量摂取ある。透析間の体重増加はDWの3%以内が望ましいが、5%までは許容範囲である。それ以上の体重増加がある場合、透析中の合併症が起きやすく十分な除水が困難となることが多い。用いる薬物療法としてはサイアザイド系利尿薬は効果がなく、ループ利尿薬も[[難聴]]の副作用があり、尿量確保ができなければ用いるべきではない。結局Ca拮抗薬、ACEI、ARB、βブロッカーが用いられることになる。Ca拮抗薬は降圧効果が強く、透析が必要な末期腎不全では肝排泄性であるため好まれる。また常用量で使用できる点も非専門医でも扱いやすいところである。ARB、ACEIでは心臓のリモデリング作用に期待できるが、PAN透析膜使用中にアナフィラキシーが起ったという報告もある。
=== 透析患者の不快な症状 ===
透析患者がよく訴える不快な症状として[[こむら返り]]、皮膚の痒み、足のうらの違和感などがある。
;[[漢方薬]]治療
透析患者の不快な症状の緩和に漢方薬が用いられることがある<ref>本当に明日から使える漢方シリーズ2 フローチャート漢方薬治療 ISBN 9784880028231</ref>。[[こむら返り]]に対しては[[芍薬甘草湯]](しゃくやくかんぞうとう、[[ツムラ]]68番)が用いられる。透析中に足がつる場合には、透析前に服薬する。皮膚の痒みには[[当帰飲子]](とうきいんし、ツムラ86番)を用いる。足の裏の違和感には[[牛車腎気丸]](ごしゃじんきがん、ツムラ107番)が用いられる。漢方薬服用時に飲水量が増えてしまうことがあるので注意が必要である。
== 諸注意 ==
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== 利権問題・腎移植 ==
日本は腎臓病患者の透析率が95%で、[[アメリカ
高橋公太医師は、日本では透析をすれば長生き
== 出典 ==
248 ⟶ 242行目:
== 関連項目 ==
*[[腎臓]]
*[[腎臓学]]
*[[日本腎臓学会]]
*[[アルコール依存症]]
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2022年6月|section=1}}
* Dr.ジンゾーの透析療法の初歩 ISBN 978-4-525-25851-1
* ワンポイントノートで学ぶ透析療法の基本 ISBN 4-88563-090-8
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== 外部リンク ==
* [
* [https://dialysis.medipress.jp/
*
*
* [http://www.globaldialysis.com/ Global Dialysis]
* [
* [http://www.shirasagi-hp.or.jp/
* [
* [https://jinentai.com/animes/4 アニメで知る
{{Normdaten}}
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