削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
6行目:
|製造国={{DEU}}
|設計・製造=[[ヘッケラー&コッホ]]社
|口径=9mm9 mm
|銃身長=225mm225 mm
|ライフリング=6条右回り
|使用弾薬=[[9x19mmパラベラム弾]]
13行目:
|作動方式=[[ブローバック#ローラー遅延式|ローラー遅延式ブローバック]]
|発射速度=800発/分
|銃口初速=400m400 m/s
|有効射程=200m200 m
|重量=3.08kg08 kg
|全長=550mm(550 mm([[銃床|ストック]]展開時700mm): 700 mm)
}}
'''H&K MP5'''は、[[ドイツ]]の[[ヘッケラー&コッホ]](H&K)社が設計した[[短機関銃]](SMG)。[[第二次世界大戦]]後に設計された短機関銃としては最も成功した製品の一つであり{{Sfn|トンプソン|2019|pp=2-10}}、命中精度の高さから[[特殊部隊]]、[[対テロ作戦|対テロ部隊]]などでは標準的な装備となっている{{Sfn|床井|2000|pp=18-25}}{{Sfn|床井|2005|pp=200-202}}。
31行目:
==== 動作機構 ====
[[ファイル:US_Patent_3283435_8-Nov-1966_BREECH_CLOSURE_Theodor_Koch.png|thumb|250px|ローラー遅延式ブローバック機構の断面図]]
上記の経緯より、基本的にはG3自動小銃を元に、[[9x19mmパラベラム弾]]仕様{{efn2|[[イギリス軍]]では、テスト用に'''[[.224 ボズ弾]]'''を使用する様、対応改造が施された物も存在した。}}に縮小した設計となっている。G3では、[[StG45]][[アサルトライフル]]に組み込んだのと同様の[[ブローバック#ローラー遅延式|ローラー遅延式ブローバック(ローラーロッキング)]]機構が採用されており、これは本銃でも踏襲された。この方式では、圧力が低下してから閉鎖が解除されてボルトが開くことから、反動がマイルドで、軽量のボルトでも9mm9 mmパラベラム弾を安全に射撃できるようになったほか、[[ボルト (銃)|ボルト]]を閉鎖した状態から撃発サイクルがスタートする、いわゆる[[クローズドボルト]]撃発となったこともあり、当時一般的だった[[ブローバック#シンプルブローバック方式|シンプルブローバック方式]]・[[オープンボルト]]撃発の短機関銃と比して、命中精度が高いというメリットがあった{{Sfn|床井|2000|pp=18-25}}{{Sfn|床井|2005|pp=200-202}}{{Efn2|クローズドボルト方式のフルオート射撃火器には、[[コックオフ#クローズドボルト|コックオフ現象(加熱による暴発)]]が起きやすいという欠点があるが、9mm9 mmパラベラム弾の実用的な連射ではコックオフを生じるほどの高温は生じないことが実証されており、訓練や通常の試験での連続発射で、MP5がコックオフを起こした記録はない{{Sfn|トンプソン|2019|pp=76-89}}。}}。各国の対テロ部隊においては簡易[[狙撃銃]]として位置付けられており、命中精度については、100m100 m以内の近距離射撃であればライフルにも匹敵するとされており<ref name="Maoka2007">{{Cite web|author=Satoshi Maoka|date=2007年12月18日|archivedate=2012-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120924034200/http://www.shootingtips.com/newfiles/article/HK%20UMP/HK%20UMP.html|url=http://www.shootingtips.com/newfiles/article/HK%20UMP/HK%20UMP.html|title=HK Universal Machine Pistol|accessdate=2022/01/21}}</ref>、[[建物]]の角から[[目]]と[[銃口]]だけを覗かせる[[テロリズム|テロリスト]]の[[眼球]]を撃ち抜くことが可能とも称される{{Sfn|小峯|坂本|2005|p=87}}。
 
しかし一方で、この機構によってボルトの構造が複雑になり、単価の上昇にも繋がった{{Sfn|床井|2000|pp=18-25}}{{Sfn|床井|2005|pp=200-202}}。また繊細な整備を必要とし、多弾数発射後にはヘッドスペース(包底面から[[薬莢]]位置決め部までの間隔)の点検をしなければ銃が作動不良を起こすこともある。点検方法は[[ボルト (銃)|ボルト]]を閉じてハンマーを落とした状態で[[弾倉|マガジン]]の挿入口から中にあるボルトヘッドとボルトキャリアの隙間にシックネスゲージを差込み、隙間がどのくらい開いているか調べる。隙間はメーカーで指定している範囲内である0.25mm25 mmから0.45mm45 mmの間に収まっていなければならない。隙間が許容範囲を超えるとローラーを大きいものに交換する必要がある。そして、交換可能範囲(最大でも0.25mm25 mmから0.5mm)5 mm)を超えた銃はそのまま使用するとローラー遅延の効果が十分に発揮される前にボルトが開放される早期開放による[[暴発]]などの危険があるため、H&K社に送って修理するか破棄される<ref>{{Cite journal|和書|first=Etsuo|last=Morohoshi|year=2007|month=11|title=アメリカ・マシンガン事情17・MP5雑学ノート|journal=[[Gun (雑誌)|月刊Gun]]|publisher=国際出版}}</ref>。
 
1992年発売のMP5/10など[[#大口径化モデル|大口径化モデル]]では、ボルトキャリアやボルトヘッドなどは標準的なMP5と互換性がなく、リコイル・スプリングは[[H&K HK53]]のものが流用されている。また9mm9 mmパラベラム弾モデルでも、1998年発売のMP5Fでは強装弾の使用に対応して内部構造を強化しており、同じリコイル・スプリングを導入したほか、ボルト・グループを強化した。この改良は、後に全ての生産型に導入された{{Sfn|トンプソン|2019|pp=30-75}}。
 
==== マガジン ====
73行目:
=== 各型の概要 ===
{{Double image stack|right|MP5 in U.S. Ordnance Museum.jpg|HK MP5 of PASKAL.JPG|250|MP5A2|MP5A5}}
==== 9mm9 mmパラベラム弾モデル ====
; HK54
: [[プロトタイプ]]。
113行目:
 
==== MP5SDシリーズ ====
{{Double image stack|right|Heckler_Koch_MP5.jpg|Maschinenpistole.jpg|250|MP5SD3|MP5SD3(MP5SD3(サプレッサーを外した状態)}}
[[特殊部隊]]向けに内装式[[サプレッサー]]を装備したモデル。"SD"とは"Schalldämpfer"の略号で、[[ドイツ語]]でサプレッサーを意味する。
; MP5SD1
147行目:
: ピストル・モデル。法的にピストルとして販売するため、ストックやバーティカル・フォアグリップは装着できず、代わりに、誤って手が銃口の前に出ないように小さな突起がハンドガードに付されている。5年間だけアメリカに輸入・販売されていたが、その多くは、HK94と同様にオートマチック・シアを組み込んで、フルオート射撃が可能なように改造された{{Sfn|トンプソン|2019|pp=30-75}}。
; SP5
: ピストル・モデル。SP89と異なり、8.86インチ(225mm)(225 mm)のMP5と同じ長さの銃身となっている。SP89と同様法的にピストルとするためストックやバーティカル・フォアグリップは装着できないが、アームブレースを取り付けることは可能。2019年より販売され、これに伴いHK94がSP5L、SP89がSP5Kとして再販された。
 
==== 訓練用モデル ====
158行目:
[[H&K G3]]と同じ機構ということもあり、G3を[[ライセンス生産]]している国ではMP5もライセンス生産していることが多い。
; SWA5
: [[アメリカ合衆国]]のスペシャルウエポン社がライセンス生産したもの。MP5Kに相当するMP-10(10(および民間用のSP-10)10)が製造されている。
; EBO MP5{{Efn2|ギリシャのEU加盟にあわせて、EBOはヘレニック・ディフェンス・システムズ(EAS)に改称した{{Sfn|トンプソン|2019|pp=156-174}}。}}
: [[ギリシャ]]のヘラニック・アームズ・インダストリー(EBO)社がライセンス生産したもの。MP5A3、MP5A4、MP5Kが製造されている{{Sfn|床井|2000|p=190}}。
180行目:
|-
!口径
|colspan="6"|[[9x19mmパラベラム弾|9×19mm9×19 mm]]
|-
!全長
|675 mm||690 mm<br />(最小550 mm)mm)||800 mm<br />(最小660 mm)mm)||320 mm||570 mm<br />(最小330 mm)mm)
|-
!銃身長
|colspan="2"|225 mm||146 mm||115 mm||148 mm
|-
!重量<br />(非装弾時)
|2,895 g||3,100 g||3,400 g||2,000 g||2,530 g
|-
220行目:
*{{IND}}
*{{IRL}}
*{{IRN}} - DIOが[[ライセンス生産]]したもの(MPT(MPT-5 Tondar)Tondar)を使用。
*{{ITA}}
*{{ISL}}
278行目:
{{commons|MP5}}
*[https://www.heckler-koch.com/en.html Heckler & Koch] - ヘッケラー&コッホ社公式サイト
*[https://www.heckler-koch.com/en/products/military/submachine-guns/mp5/mp5/overview.html  H&K社公式 「MP5」]
*[https://www.heckler-koch.com/en/products/military/submachine-guns/mp5/mp5sd/overview.html  H&K社公式 「MP5SD」]
*[https://www.heckler-koch.com/en/products/military/submachine-guns/mp5/mp5k/overview.html  H&K社公式 「MP5K」]
 
{{アメリカ軍の現在の歩兵用武器・弾薬}}