「グルーミング (性犯罪)」の版間の差分

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Breaklily氏は冒頭以外は無関係であるというのであるが、子供の同意能力を否定し、大人と子供の性的関係を性被害または性加害として定義した上で、それらを目的として子供とコミュニケーションを取る事をグルーミングと呼んでいる以上、この用語の前提とされている事柄についての議論に立ち入る事は当然のことかと思われる。
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** 「親の私が、相手との戦い方を知っている」という、子どもへのメッセージも有効である<ref name=nishinippon897269/>。
** '''悪いのはSNSを使う子どもではなく、子どもを性的な目的に利用しようとする加害者である'''<ref name="nhk081"/>。
 
== 批判 ==
 
大人が性的な交際関係を持つ事を目的として子供とやり取りする事に、通常は人間同士の交流には用いられないグルーミングと言う用語を用いる事は、子供は性的な行為に自発的、或いは主体的に同意する事が出来ない存在であり、大人と子供の間の性行為は全て暴力または被害である、という事を前提として、子供が悪意のある大人に操られているという印象を与えようとしているものと考えられる。
 
しかし上記の主張が明確な科学的根拠を伴って語られる事は殆ど無く、単に女性の進学や社会進出の推進と言った特定の政治的な目標を推進することを望む人々にとって好都合な物語に過ぎないのではないかと言う疑いがある。実際、日本のマスコミメディアで紹介される事は殆どないが、以下に示すように、12~14歳以上の子供に性的同意能力がある事を示唆する科学的な研究は多い。
 
例えば子供の同意能力を扱った研究では、1982年に、Lois A. Weithornらは、選択の証拠、合理的な結果、合理的な推論、理解の四つの基準に基づいて、医療及び心理学的治療に関する子供の同意能力を評価し、14歳以上の子供は大人と同等水準の能力を有していると結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7172783/ Weithorn LA, Campbell SB. The competency of children and adolescents to make informed treatment decisions. Child Dev. 1982 Dec;53(6):1589-98. PMID: 7172783.]</ref>1993年に、M. J. Quadrelらは、中流階級の成人、彼らの10代の子供、療養施設の高リスクの青年期の子供に、自分やその他の人が様々なリスクを経験する確率を判断する様に求めたところ、三つのグループはいずれも自分が対象となる他者よりも多少低いリスクに直面していると考えていたが、この相対的な非脆弱性の認識は大人よりも青年期の子供の方が顕著に高い訳ではなかった事を発見している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8442566/ Quadrel MJ, Fischhoff B, Davis W. Adolescent (in)vulnerability. Am Psychol. 1993 Feb;48(2):102-16. doi: 10.1037//0003-066x.48.2.102. PMID: 8442566.]</ref>2002年に、Susan G. Millsteinらは、青年期の子供と若年成人を対象に、自然災害や行動に関連したリスクに関する判断について調査を行い、リスク判断と非脆弱性の認識の年齢差を評価した。その結果、青年期の子供は若年成人よりも彼ら自身を脆弱であると見なす傾向が強く、脆弱ではないと見なす青年はごく少数である事を発見した。<ref>[https://psycnet.apa.org/record/2002-11491-002 Millstein, S. G., & Halpern-Felsher, B. L. (2002). Judgements about risk and perceived invulnerability in adolescents and young adults. Journal of Research on Adolescence, 12(4), 399–422.]</ref>2017年に、Petronella Grootens-Wiegersらは、医学的意思決定に必要な能力として、選択を伝える能力、理解力、推論能力、評価能力の四つの能力を評価し、12歳の子供は意思決定能力を持つ事が出来る、と結論する一方で、脳の報酬系の早期発達と制御系の後期発達により、特定の状況(感情的になり易い状況)では意思決定能力が低下する、と述べている。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28482854/ Grootens-Wiegers P, Hein IM, van den Broek JM, de Vries MC. Medical decision-making in children and adolescents: developmental and neuroscientific aspects. BMC Pediatr. 2017 May 8;17(1):120. doi: 10.1186/s12887-017-0869-x. PMID: 28482854; PMCID: PMC5422908.]</ref>2018年に、Atika Khuranaらは報酬を得ようとする衝動に対する認知制御系の弱さを特徴とする不適応なリスク行動は、青年のごく一部に限られた現象である事を示唆する研究結果を報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29980957/ Khurana A, Romer D, Betancourt LM, Hurt H. Modeling Trajectories of Sensation Seeking and Impulsivity Dimensions from Early to Late Adolescence: Universal Trends or Distinct Sub-groups? J Youth Adolesc. 2018 Sep;47(9):1992-2005. doi: 10.1007/s10964-018-0891-9. Epub 2018 Jul 6. PMID: 29980957; PMCID: PMC6098970.]</ref>2021年に、Aja Louise Murrayは、報酬系の早期発達と制御系の後期発達によりリスクの高い行動を取るという仮説に合致した行動パターンを示す青年期の子供は、ごく一部の子供(特に男性)だけであり、女性には見られない傾向がある事を報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33856624/ Murray AL, Zhu X, Mirman JH, Ribeaud D, Eisner M. An Evaluation of Dual Systems Theories of Adolescent Delinquency in a Normative Longitudinal Cohort Study of Youth. J Youth Adolesc. 2021 Jul;50(7):1293-1307. doi: 10.1007/s10964-021-01433-z. Epub 2021 Apr 15. PMID: 33856624; PMCID: PMC8219591.]</ref>
 
2014年に、Dafna Tenerは、法定被害関係に対する青年の認識を調べる為に、法定強姦の被害者と認定された青年にインタビュー調査を行った。その結果、一部の青年はその関係を搾取的であったと述べたが、大部分の青年はその関係が終わってから暫くした後でさえ、その関係を互恵的な関係であったと述べていた。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25492668/ Tener D, Walsh WA, Jones LM, Kinnish K. "It all depends on the guy and the girl": a qualitative study of youth experiences with statutory victimization relationships. J Child Sex Abus. 2014;23(8):935-56. doi: 10.1080/10538712.2014.960635. PMID: 25492668.]</ref>
 
子供の頃に成人男性と性的関係を持った女性の性交当時の主観的な反応に関しては、2014年に、Bruce Rindらは、キンゼイ・サンプルを用いて、18歳未満の時に成人男性と初体験を迎えた女性と、同年代同士で初体験を迎えた女性の最初の性交に関する感情的な評価を調査した。その結果、18歳未満の時に成人男性と初体験を迎えた女性は、同年代同士で初体験を迎えた女性と同じぐらいその関係を楽しんでいた。この結果は14歳以下の時に成人男性と初体験を迎えた女性に限定した場合でも同様であった。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24233327/ Rind B, Welter M. Enjoyment and emotionally negative reactions in minor–adult versus minor–peer and adult–adult first postpubescent coitus: A secondary analysis of the Kinsey data. Arch Sex Behav. 2014 Feb;43(2):285-97. doi: 10.1007/s10508-013-0186-x. PMID: 24233327.]</ref>
 
2020年に、Jakov Burićらは、セクスティング(青年期の少女がSNSなどで自らの裸を成人男性等に送信する行為)が青年期の少女の心理的な良好度に与える影響を調査した。その結果、セクスティングの動態は、青年期の少女の心理的な良好度の変化とは関連しておらず、家庭環境の劣悪さが、セクスティング行動の頻繁さと心理的良好度の低さに関連している事を発見している。<ref>[https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1461444820931091 Is sexting bad for adolescent girls’ psychological well-being? A longitudinal assessment in middle to late adolescence, Jakov Burić, Justin R Garcia, and Aleksandar Štulhofer]</ref>
 
未成年の時に成人男性と性的関係を持った女性のその後の社会適応に関しては、2021年に、Bruce Rindは、未成年の時に成人者と初体験を迎えた人と同年代同士で初体験を迎えた人のその後の社会適応について調査し、未成年の時に成人と初体験を迎えた人のその後の社会適応度は、殆どの指標において成人同士で初体験を迎えた人と同じぐらい良好であった、と報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32430871/ Rind B. First Sexual Intercourse in the Irish Study of Sexual Health and Relationships: Current Functioning in Relation to Age at Time of Experience and Partner Age. Arch Sex Behav. 2021 Jan;50(1):289-310. doi: 10.1007/s10508-020-01721-y. Epub 2020 May 19. PMID: 32430871.]</ref>
 
未成年の頃に性交した女性一般のその後の社会適応に関しては、2013年に、Kelly L Donahueらは、一方が16歳未満で性行為に従事し、もう片方は16歳未満での性行為に従事しなかった双子のペアの心理的、社会的な不適応のリスクを比較する事により、早期性交がその後の心理的、社会的な適応に与える影響を調査し、16歳未満で性行為に従事した双子の片割れと、16歳未満で性行為に従事しなかった双子の片割れはその後の心理的社会的不適応のリスクにおいて有意な差が存在せず、早期に性交した子供のその後の心理社会的不適応は、早期の性行為が原因ではなく、双子が共有する家族的要因に起因するものであった可能性がある、と結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22708520/ Donahue KL, Lichtenstein P, Långström N, D'Onofrio BM. Why does early sexual intercourse predict subsequent maladjustment? Exploring potential familial confounds. Health Psychol. 2013 Feb;32(2):180-9. doi: 10.1037/a0028922. Epub 2012 Jun 18. PMID: 22708520; PMCID: PMC3664184.]</ref>
 
しばしば、青年期の少女は妊娠出産のリスクが高いと主張されるが、その反対の結論を支持する研究も多い。1997年に、A B Berensonらは、15歳以下で妊娠した青年期の少女と、成人女性や16歳以上の青年期の少女の周産期合併症リスクを比較した。その結果、青年期の少女は、貧血を発症する可能性が高かったが、集中治療室への入院が必要な幼児を出産する可能性は低く、妊娠高血圧症候群、早期陣痛、早期前期破水、絨毛膜羊膜炎、羊水混濁、子宮内膜炎、早産、低出生体重児、低アプガースコア、死産の発生率に差はない事を発見した。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9336751/ Berenson AB, Wiemann CM, McCombs SL. Adverse perinatal outcomes in young adolescents. J Reprod Med. 1997 Sep;42(9):559-64. PMID: 9336751.]</ref>1998年に、G Connollyらは、アイルランドの17歳未満の青年期の少女と17歳以上の女性の産科及び新生児の転帰を比較検討し、青年期の少女の産科及び新生児の転帰は成人の母親よりも悪い訳ではないと結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10069131/ Connolly G, Kennelly S, Conroy R, Byrne P. Teenage pregnancy in the Rotunda Hospital. Ir Med J. 1998 Dec;91(6):209-12. PMID: 10069131.]</ref>2000年に、A N Trivediらは、ニュージーランドの17歳以下の少女と18歳以上の女性の産科的転帰(出生体重、在胎週数、アプガースコア、骨盤位分娩、帝王切開分娩、機械的分娩、先天性欠損症の発生率、双子、妊娠高血圧症候群、子癇前症など)を調査し、17歳以下の少女は、真空支援膣分娩の割合が高かった事を除いて、両群の間に調査された転帰の差は存在しなかった事を発見している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15512586/ Trivedi AN. Early teenage obstetrics at Waikato Hospital. J Obstet Gynaecol. 2000 Jul;20(4):368-70. doi: 10.1080/01443610050111968. PMID: 15512586.]</ref>2005年、S Zeterogluらは、トルコ人の18歳未満の青年期の少女と18歳以上の成人女性の帝王切開分娩率を調査し、帝王切開分娩率は、青年期の少女の妊娠において増加しておらず、むしろ減少しており、青年期の少女の妊娠において生物学的な未熟さは有意な問題ではない、と結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16147817/ Zeteroglu S, Sahin I, Gol K. Cesarean delivery rates in adolescent pregnancy. Eur J Contracept Reprod Health Care. 2005 Jun;10(2):119-22. doi: 10.1080/13625180500131600. PMID: 16147817.]</ref>2010年に、James McCarthyらは、低出生体重児と早産の有病率に関する母親の年齢の影響を調査し、18歳未満の女性は、18歳以上の女性よりも低出生体重児を生む可能性が有意に低く、母親の年齢は早産の有病率に影響を与えていなかった事を報告している。<ref>[https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1207/s15327795jra0304_4 Age at First Birth and Birth Outcomes, James McCarthy &Janet Hardy]</ref>2016年に、Jennifer L Katz Eriksenらは、帝王切開分娩に関する母親の年齢の影響を調査し、青年期の少女は、複数の母体、新生児、分娩の特性で調整した後でさえ全体として一次帝王切開分娩をする可能性が成人女性の約半分であり、陣痛時に一次帝王切開分娩をする可能性は40%低い事を報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26836505/ Katz Eriksen JL, Melamed A, Clapp MA, Little SE, Zera C. Cesarean Delivery in Adolescents. J Pediatr Adolesc Gynecol. 2016 Oct;29(5):443-447. doi: 10.1016/j.jpag.2016.01.123. Epub 2016 Feb 1. PMID: 26836505.]</ref>2016年に、Adel Abu-Heijaらは、オマーン人の10代早期の少女と10代後期の少女の妊娠の産科及び周産期転帰を比較した。その結果、10代早期の少女は10代後期の少女と比べて、産科及び周産期合併症のリスクは高くないと結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27046961/ Abu-Heija A, Al Haddabi R, Al Bash M, Al Mabaihsi N, Al-Maqbali NS. Early Teenage Pregnancy: Is it Safe? J Obstet Gynaecol India. 2016 Apr;66(2):88-92. doi: 10.1007/s13224-014-0649-6. Epub 2014 Dec 25. PMID: 27046961; PMCID: PMC4818837.]</ref>2019年、Shunji Suzukiは日本人女性の青年期妊娠の産科転帰を調査し、青年期の妊娠は有害な産科転帰と関連していないと結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29278958/ Suzuki S. Clinical significance of pregnancy in adolescence in Japan. J Matern Fetal Neonatal Med. 2019 Jun;32(11):1864-1868. doi: 10.1080/14767058.2017.1421928. Epub 2018 Jan 7. PMID: 29278958.]</ref>2021年に、Danylo José Palma Honoratoらは、適切な集団出産前ケアを受けた青年期の少女の有害な新生児転帰リスクを調査した。その結果、集団出産前ケアを受けた青年期の少女の有害な新生児転帰の発生率は低く、リスクの差は存在しない事を発見した。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33898367/ Honorato DJP, Fulone I, Silva MT, Lopes LC. Risks of Adverse Neonatal Outcomes in Early Adolescent Pregnancy Using Group Prenatal Care as a Strategy for Public Health Policies: A Retrospective Cohort Study in Brazil. Front Public Health. 2021 Apr 9;9:536342. doi: 10.3389/fpubh.2021.536342. PMID: 33898367; PMCID: PMC8062755.]</ref>
 
10代で出産する事が母親の人生に与える影響に関しては、1997年に、Mary E. Corcoranらは、10代で出産する事と、成人期における貧困と福祉利用の関連性について、出産時期の異なる姉妹のデータを利用して因果関係を調査し、10代で母親となる事の悪影響とされていたものの大部分は、観察されていない家族特性によるものであると結論している。<ref>[https://www.jstor.org/stable/30013022 Do Unmarried Births among African-American Teens Lead to Adult Poverty?, Mary E. Corcoran and James P. Kunz, Social Service Review, Vol. 71, No. 2 (Jun., 1997), pp. 274-287 (14 pages)
Published By: The University of Chicago Press]</ref>2005年に、V. Joseph Hotzらは、流産による自然実験を利用して10代で出産する事が母親のライフコースに与える影響を調査した。その結果、10代で出産する事の否定的な結果の多くは、以前の研究で見つかったものよりも遥かに小さい事、殆どの結果について、早期出産の影響は短期的なものである事や、10代の母親が出産を20代以降に延期した場合、収入の少ない10代の間に出産及び子育てを済ませた場合に比べて、年間の労働時間と収入がむしろ減少してしまう事を発見している。<ref>[https://www.jstor.org/stable/4129557 Teenage Childbearing and Its Life Cycle Consequences: Exploiting a Natural Experiment, V. Joseph Hotz, Susan Williams McElroy and Seth G. Sanders, The Journal of Human Resources, Vol. 40, No. 3 (Summer, 2005), pp. 683-715 (33 pages), Published By: University of Wisconsin Press]</ref>
 
10代の母親を持つ事が、その子孫に与える影響に関しては、1994年に、Arline T. Geronimusらは、初産時の母親の年齢と子供の初期の社会情緒的認知的発達の関係を調査し、10代の母親の子供は、20代以降で初産を迎えた、10代の母親の姉妹の子供よりも発達の指標において、スコアが悪い訳ではなかった事を発見している。<ref>[https://www.jstor.org/stable/2137602 Does Young Maternal Age Adversely Affect Child Development? Evidence from Cousin Comparisons in the United States,Arline T. Geronimus, Sanders Korenman and Marianne M. Hillemeier,Population and Development Review,Vol. 20, No. 3 (Sep., 1994), pp. 585-609 (25 pages),Published By: Population Council]</ref>2003年に、Ruth N López Turleyは、母親の年齢と子供の発達の関係を調査し、若い母親の子供の問題行動の多さは彼女の年齢ではなく、彼女の家庭背景に起因している事を発見している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12705567/ Turley RN. Are children of young mothers disadvantaged because of their mother's age or family background? Child Dev. 2003 Mar-Apr;74(2):465-74. doi: 10.1111/1467-8624.7402010. PMID: 12705567.]</ref>2021年に、Shubhashrita Basuらは、18歳未満の母親から生まれた子供の出産から若年成人までの健康転帰を調査した。その結果、母親が18歳未満である事はその子供の健康転帰に悪影響を与えていなかったと結論している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34091239/ Basu S, Gorry D. Consequences of teenage childbearing on child health. Econ Hum Biol. 2021 Aug;42:101019. doi: 10.1016/j.ehb.2021.101019. Epub 2021 May 27. PMID: 34091239.]</ref>
 
その他、1983年に、M W Roosaは、妊娠中の10代の子供のセクシュアリティや子供の発達に関する知識と態度を調査した。その結果、10代の子供は子供の発達に関する知識において成人の母親よりも僅かにスコアが低いが、セクシュアリティの知識に関しては成人の母親よりもかなりスコアが高かった事を報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12312161/ Roosa MW. A comparative study of pregnant teenagers' parenting attitudes and knowledge of sexuality and child development. J Youth Adolesc. 1983 Jun;12(3):213-23. doi: 10.1007/BF02090987. PMID: 12312161.]</ref>1983年に、P L Parksらは、初産の青年期の母親の子育てに関する知識を調査し、青年期の母親の知識水準は同程度の社会経済的な地位を持つ初産の成人の母親と同程度である事を発見している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6685116/ Parks PL, Smeriglio VL. Parenting knowledge among adolescent mothers. J Adolesc Health Care. 1983 Sep;4(3):163-7. doi: 10.1016/s0197-0070(83)80369-6. PMID: 6685116.]</ref>
 
更に周辺的な問題として、大きく年齢差のある年上の男性を好む女性は、父親との関係に問題を抱えている、という主張については、2016年に、Sara G. Skentelberyは年齢差のある異性愛的な恋愛関係にある若い女性の愛着スタイルを同年代同士の恋愛関係にある女性と比較したが、2群の間に愛着スタイルの有意な差は存在せず、年齢差のある恋愛関係にある女性の74%は安定した愛着を持っていた事が分かっている。<ref>[https://psycnet.apa.org/record/2015-55834-001 Skentelbery, S. G., & Fowler, D. M. (2016). Attachment styles of women-younger partners in age-gap relationships. Evolutionary Behavioral Sciences, 10(2), 142–147. https://doi.org/10.1037/ebs0000064]</ref>
 
また年の差のある恋愛関係は、パートナーとの話が合わず、破綻する可能性が高い、という主張については、2021年に、David W. Lawsonらは、タンザニアの女性の横断的な調査データを用いて、夫が年上の配偶者の年齢差が女性にとって不利益になるのかどうかを調査した。その結果、潜在的な交絡因子を調整した場合、配偶者の年齢差は出生率や離婚のリスクとは関係していない事、また女性の精神的な健康や家庭内の意思決定における自律性は、同年代同士または妻が年上の結婚という稀な事例に比べて、夫が年上の結婚の方が高い事、さらに、配偶者の年齢差の大きさは、夫が年上の結婚の圧倒的多数において、女性の幸福度のいずれの指標とも関連していなかった事を発見した。<ref>[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513820301057 Shared interests or sexual conflict? Spousal age gap, women's wellbeing and fertility in rural Tanzania,
David W. Lawson, Susan B. Schaffnit, Anushé Hassan, Mark Urassac.]</ref>2022年に、Riana Minocherらは、コロンビアの4つのコミュニティにおける配偶者の年齢差、パートナーの好み、個人の幸福の関係を調査し、男女共に、年齢差が大きい事は出生率や幸福度の指標と否定的に関連していない事を発見している。<ref>[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1090513822000411 Spousal age-gaps, partner preferences, and consequences for well-being in four Colombian communities, Riana Minocher, Cody T. Ross.]</ref>
 
大人と子供の性的関係では、弱い立場の少女が家庭内暴力などの被害を受けやすくなる、と主張される事があるが、多くの研究は、社会一般及び家庭内における女性の社会的、経済的な地位が高くなるほど、男性のバックラッシュ現象により家庭内暴力や致死的な暴力の被害が増加する事を示している。2018年に、Eleonora Guarnieriらは、第一次世界大戦の終わりから1961年までカメルーンの西部領土がフランスとイギリスの間で恣意的に分割されていたことを利用し、女性のエンパワーメントを促進する政策や制度が親密なパートナーの暴力に与える影響を調査した。その結果、普遍的な学校教育システムの恩恵を受け、有償雇用の機会が与えられていたイギリス領の女性は、少数の行政エリートを教育し、男性の雇用が支配的なインフラ部門への投資を中心としていたフランス領の女性よりも家庭内暴力の被害者になる確率が30%も高い事を発見した。<ref>[Guarnieri, Eleonora and Rainer, Helmut, Female Empowerment and Male Backlash (May 7, 2018). CESifo Working Paper Series No. 7009, April 2018, Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3198483 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3198483]</ref>2019年に、Enrique Graciaは、測定の同等性を確保する為の予備的な調査を行った上で、ジェンダー平等指数の高いスウェーデンとジェンダー平等指数の低いスペインのデータを比較したところ、スウェーデンの女性はスペインの女性よりも親密なパートナーからの身体的、性的な暴力を受ける確率が高い事を報告している。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31095614/ Gracia E, Martín-Fernández M, Lila M, Merlo J, Ivert AK. Prevalence of intimate partner violence against women in Sweden and Spain: A psychometric study of the 'Nordic paradox'. PLoS One. 2019 May 16;14(5):e0217015. doi: 10.1371/journal.pone.0217015. PMID: 31095614; PMCID: PMC6522122.]</ref>2019年に、Erwin Bulteらは、ベトナムのデータを利用し、女性のエンパワーメントを促進する政策が家庭内暴力に与える影響を調査した。その結果、ジェンダーと起業家精神のトレーニングプログラムに参加した女性は対照群の女性よりも頻繁に家庭内暴力被害に遭う事を発見した。<ref>Bulte, Erwin & Lensink, Robert, 2019. "Women's empowerment and domestic abuse: Experimental evidence from Vietnam," European Economic Review, Elsevier, vol. 115(C), pages 172-191.]</ref>2020年に、Punarjit Roychowdhuryらは、インドのデータを利用し、妻の経済的地位と家庭内暴力の因果関係を調査した。その結果、妻の経済的地位が夫の経済的地位と同等以上である場合に、家庭内暴力が大幅に増加する事を発見し、女性のエンパワーメントとジェンダー平等を促進する政策は、かえって女性の家庭内暴力被害を増加させる可能性があると結論している。<ref>[https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3766994 Roychowdhury, Punarjit and Dhamija, Gaurav, Don't Cross the Line: Bounding the Causal Effect of Hypergamy Violation on Domestic Violence in India (November 6, 2020). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3766994 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3766994]</ref>2020年に、Sonia R. Bhalotraらは、2005年から2016年までの発展途上国のデータを利用し、失業率の変動と親密なパートナーからの暴力との関連を調査した。その結果、男性の失業率が1%増加すると、女性に対する身体的暴力の発生率が2.75%増加し、女性の失業率が1%増加すると、女性に対する身体的暴力の発生率が2.87%減少する事を発見した。<ref>[https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3524104 Bhalotra, Sonia R. and Kambhampati, Uma and Rawlings, Samantha B. and Siddique, Zahra, Intimate Partner Violence: The Influence of Job Opportunities for Men and Women (January 22, 2020). World Bank Policy Research Working Paper No. 9118, Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3524104]</ref>2020年に、Colleen E. Millsらは、ジェンダー平等の推進と男性の暴力との関連を調査し、ジェンダー平等の推進が男性による極右的暴力の増加と関連している事を発見している。<ref>[https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/0735648X.2020.1738261 Far-right violence as backlash against gender equality: A county-level analysis of structural and ideological gender inequality and homicides committed by far-right extremists,
Colleen E. Mills,Margaret Schmuhl &Joel A. Capellan.]</ref>2021年に、Joseph A Kilgallenらは、タンザニア北部のコミュニティにおける親密なパートナーからの暴力に関する行動と態度についての横断的な研究を行った。その結果、親密なパートナーからの暴力は、夫よりも高いレベルの教育を受けた女性の間でより頻繁に報告され、一般に女性のエンパワーメントを促進すると考えられている配偶者の年齢差が比較的小さい事は逆に親密なパートナーからの暴力を経験するリスクの増加と関連している事を発見した。<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34802316/ Kilgallen JA, Schaffnit SB, Kumogola Y, Galura A, Urassa M, Lawson DW. Positive Correlation Between Women's Status and Intimate Partner Violence Suggests Violence Backlash in Mwanza, Tanzania. J Interpers Violence. 2022 Nov;37(21-22):NP20331-NP20360. doi: 10.1177/08862605211050095. Epub 2021 Nov 22. PMID: 34802316.]</ref>2021年に、Bernard Moscosoは、エクアドルにおいて女性のエンパワーメントとフェミニサイドに関する法令の施行が自治体間で均一ではなかった事を利用し、これらの政策が女性に対する致死的な暴力に与える影響を調査した。その結果、新しくフェミニサイドを厳罰化する法令を施行した自治体や女性のエンパワーメントが進んでいる自治体においてジェンダー暴力の発生率が増加している事を発見した。<ref>[https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3959394 Moscoso, Bernard, Femicides: Laws, Women Empowerment, and Retaliation Effects (November 9, 2021). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3959394 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3959394]</ref>2021年に、Bilge Ertenらは、トルコの各州におけるシリア難民流入の差異を外生的な労働市場へのショックとして利用し、女性の雇用機会の減少が親密なパートナーからの暴力に与える影響を調査した。その結果として、女性の雇用機会の減少は、女性に対する親密なパートナーからの暴力を減少させることを発見した。<ref>[https://ideas.repec.org/a/eee/deveco/v150y2021ics0304387820301826.html Erten, Bilge & Keskin, Pinar, 2021. "Female employment and intimate partner violence: Evidence from Syrian Refugee inflows to Turkey," Journal of Development Economics, Elsevier, vol. 150(C).]</ref>2022年に、Sanna Bergvallは、スウェーデンの高品質な行政記録を利用し、女性側の潜在的な相対的な所得の増加は、彼女が暴行に関連した負傷の為に病院を訪れる可能性を増加させることや、夫がストレス、不安、薬物乱用、暴行に関連する理由で病院に訪れる確率を増加させることを発見した。<ref>[Bergvall, Sanna, Backlash: Female Economic Empowerment and Domestic Violence. Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4059800 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4059800]</ref>2022年に、Sowmya Dhanarajらは、インドの都市部における、既婚女性の有給労働参加と親密なパートナーからの暴力の関係を調査し、有給労働に従事している女性は、専業主婦の女性に比べて有意に高いレベルの家庭内暴力に直面している事を発見した。さらに、女性が有給の仕事を行う事で得られる自律性が家庭内暴力を減少させるという証拠は見当たらなかったと報告している。<ref>[https://ideas.repec.org/a/taf/femeco/v28y2022i1p170-198.html Sowmya Dhanaraj & Vidya Mahambare, 2022. "Male Backlash and Female Guilt: Women’s Employment and Intimate Partner Violence in Urban India," Feminist Economics, Taylor & Francis Journals, vol. 28(1), pages 170-198, January.]</ref>
 
上記の研究を見る限り、大部分の少女は、成人男性との性的な関係に自発的に同意したと認識しており、その行為自体から否定的な感情を経験しておらず、その後の社会適応度においても、悪影響を受けているという事を示唆する証拠はない。そのような被害や悪影響が主張されている事例においては、性行為や性的関係そのものから直接生じているというよりもむしろ、被害者とされる少女が、その行為の前か後にフェミニズム的なイデオロギーに触れて自分自身が被害を受けているか、受けていたという認識を持つに至った後にのみ深刻な心理的な苦痛や社会生活への悪影響が生じている様に見える。
 
同様の所見は、Alfred C. Kinseyにより観察されている。<ref>[https://psycnet.apa.org/record/1954-05526-000 Kinsey, A. C., Pomeroy, W. B., Martin, C. E., & Gebhard, P. H. (1953). Sexual behavior in the human female. Saunders.]</ref>:「性的な経験によって起こる、いわゆる外傷結果は、その当人に能力がないこととか、或いは、その男性もしくは女性が実際にその経験をする時に知った満足を、認めるのを拒むこと、或いは、その経験は満足である筈がないとか、それは何らかの形で、望ましからぬ結果となる筈であるだとかいうことを、彼、又は、彼女が、信じて譲らないことなどによって決まることが多い。しかし、そういうことがまた、その当人たちが育った地域社会の態度を反映しているのである。我々の持つ何千という事例によって、この議論が本当だということは、十分に証拠立てられている。それらは、およそ考えつく限りのあらゆるタイプの性的な行動を含み、しかも、後に心理的な乱れを残さない。これに対して、また別の事例の中では、同じ種類の行動が、恥、自責、絶望、自暴自棄、それから自殺未遂などをもたらしている。些細きわまることを、大々的な事件にでっち上げることもできる。多くの人々は、自分達の態度と社会の掟が、このような攪乱を引き起こしたことを理解できないで、それこそ性的な行為そのものの本来の不正と異常との、直接の証拠に他ならないと決めてしまうのである。」
 
また有害な悪影響の存在を報告する研究結果も数多く発表されているが、Bruce Rindらによれば、それらの研究の多くはサンプルの偏り、対照群との比較の欠落、家庭環境や遺伝的な要因などの交絡因子の調整不足等の欠点を抱えており、中には否定的な結果を導き出す為に誘導的な尋問を行っているものや、肯定的な回答を意図的に排除しているものなどもある事が指摘されている。<ref>[https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-1-4613-9682-6_4,Sociopolitical Biases in the Contemporary Scientific Literature on Adult Human Sexual Behavior with Children and Adolescents,Paul Okami]</ref>
 
また成人男性と未成年の少女の性的関係を被害と見なすべき理由の一つとして、両者の力関係の格差が理由として挙げられる事があるが、力関係に格差があるというだけでは、必ずしもその力関係の影響を受けたという事は出来ず、実際の研究においても、大部分の事例においては、子供は、そのような力関係の影響を受ける事なく、自発的に同意したと認識している事が示されている事から、力関係の格差がある事だけを理由に大人と子供の性的関係における同意の有効性を否定する事は妥当ではないと考えられる。<ref>[https://muse.jhu.edu/article/54580 Angelides, Steven. "Feminism, Child Sexual Abuse, and the Erasure of Child Sexuality." GLQ: A Journal of Lesbian and Gay Studies, vol. 10 no. 2, 2004, p. 141-177. Project MUSE muse.jhu.edu/article/54580.]</ref><ref>[https://www.jstor.org/stable/23171750 SEX AND THE AGE OF CONSENT: The Ethical Issues, Terry Leahy, Social Analysis: The International Journal of Anthropology, No. 39 (April 1996), pp. 27-55 (29 pages), Published By: Berghahn Books]</ref>また、合意は対等な当事者の間で行われるものであるから力関係に格差のある関係では合意は存在しない等と言う主張が行われる事があるが、性的関係以外の様々な合意が行われる場面を見ると、両者の力関係が全く対等である事はむしろ珍しく(例えば雇用契約や消費者契約)、力関係の格差がある事だけを理由に合意を否定する事は妥当ではないと思われる。
 
大人と子供の性的関係を被害と見なすべき理由として、当事者の保有する情報の非対称が挙げられる事がある。しかしながら、Bruce Rindらの研究を見る限り、子供の頃に成人男性と性的な関係を持った女性は同年代同士で性的な関係を持った女性に比べてより多く否定的な感情を抱いている訳ではない事が示されており、このことは、未成年の少女と性的な関係を持つ成人男性が両者の保有する情報の非対称性を利用して性的な関係に及んでいるという主張を支持していないように見える。
 
大人と子供の性的関係を被害と見なすべきであるという見解は、また学校教育を受ける事の必要性に関する信念に支えられているが、10代での出産がその後のライフコースに深刻な悪影響を与えていない事を示す研究により、この信念の妥当性は間接的に否定されている。学校教育の必要性を唱える人々は、大部分において、彼ら自身が学校教育を受けた事で素晴らしい経験を得て、その後の人生に大いに役に立ったと感じており、このような彼ら自身の成功体験が、子供にも同じ経験をさせるべきであり、それを妨げる事は許されないという不合理な信念に繋がっているのではないかと考えられる。しかしながら、既に示されている通り、10代の頃に大人の男性と性的関係を持つ少女は、このような人々とは性格的に異なっている可能性が高く、学校教育を詰まらないと感じ、同年代の子供よりも年上の男性と交際する事を好み、例え妊娠や出産を経験しなくとも、学校教育を途中で脱落してしまうか、例え脱落しなくとも高学歴を必要とする知識労働を伴う職業に就くことを望まない人々である可能性が高い。そしてこのような女性には学校教育は殆どその後の人生に恩恵を与える事が出来ておらず、かえって不必要な苦しみを与えるだけに過ぎない可能性がある事が示されている。
 
== 脚注 ==