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== 死亡までの経緯 ==
=== 日本入国 ===
ウィシュマ・サンダマリは、2017年6月29日に留学の[[在留資格]]で日本に入国し、在留期間は1年3か月(2018年9月29日まで)だった。<ref name=":4" />。千葉県内の[[日本語学校]]に入学するも、2017年12月頃にアルバイトで知り合ったスリランカ人男性と交際することとなり、アルバイトの掛け持ちをし、特に2018年2月からは、アルバイトの掛け持ちの疲れで学校を休みがちになった。
ウィシュマ・サンダマリは、2017年6月29日に留学の[[在留資格]]で日本に入国し、在留期間は1年3か月(2018年9月29日まで)だった。<ref name=":4" />。千葉県内の[[日本語学校]]に入学するも、2017年12月頃にアルバイトで知り合ったスリランカ人男性と交際することとなり、アルバイトの掛け持ちをし、特に2018年2月からは、アルバイトの掛け持ちの疲れで学校を休みがちになった。同年4月以降、上記スリランカ人男性(以下「同居人」)と静岡県内で同居し、自動車部品工場で働いていた。同年4月下旬以降は学校からの電話連絡にも応じず、同年5月以降は授業に一切出席しなかった。<ref name=":5" /><ref name=":4" />。また、母国からの仕送りが途絶えたことで学費の支払いも滞り<ref name=":9" /><ref name=":5" />、同年6月25日に除籍処分を受けて[[不法滞在]]の状態になった<ref name=":4" />。報告書には、学費は2017年7月に1年分は納入されていたと学校に確認できたと記載があるため、学費不足が学業放棄の主な理由とは考えにくい。不法残留になった後、ウィシュマと同居人は「偽造在留カード」を入手して二人共これを使っていた。引き続き日本国内で働きたいと考え、在留期限の8日前である同年9月21日に、「同居人と来日前から交際しており本国で同居人が地下組織の関係者とトラブルになり、集団で脅迫・暴行を受けたため、来日した」等の虚偽を含む情報に基づく難民認定申請を行った。同年9月以降は、静岡県内の弁当工場で働いていた。難民認定申請内容は迫害事由に該当せず、2019年1月22日に在留期間更新が不許可となり、不法残留となった。しかるにウィシュマ・サンダマリは、入管当局への出頭をせず、入国警備官も連絡が取れず、所在不明となった。2020年8月19日、「恋人に家を追い出され、仕事もないのでスリランカに帰国したい」と交番に駆け込むも、不法残留のため[[名古屋出入国在留管理局]]に収容された。この点、同居人は「ウィシュマの出頭の二日前頃、「もう一度やり直してほしい。一緒にスリランカに帰ってほしい。」と言われた。既に日本人女性と交際していたため、断ると、ウィシュマは怒り出しケンカになったが、ウィシュマに答えを2日ほど待ってほしいと伝えると、ケンカが終わった。私がウィシュマを追い出したことはなく、ウィシュマは、家を出ていった当日朝も、仕事に出かける私を見送っており、特におかしな様子はなかった。殴る蹴るの暴力を一方的に振るったことはなかった」旨供述している。<ref name=":4">{{Cite news|title=スリランカ人女性の死が投げかける入管施設の“長期収容”問題|newspaper=[[NHK]]|date=2021-05-25|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013042051000.html|access-date=2022-05-16|archive-url=https://web.archive.org/web/20220516064657/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013042051000.html|archive-date=2022-05-16}}</ref>。入管は彼女が[[ドメスティックバイオレンス|DV]]被害者との主張をしていたことを認識していたが、それに取り合わず収容したことは「DV被害者本人の意志に配慮しながら、[[人道]]上適切に対応しなければならない」「DV被害者が配偶者からの暴力に起因して旅券を所持していない時は、在留資格を交付する」などの内規に反していた疑いがある<ref>{{Cite news|title=ウィシュマさんのDV被害 入管取り合わず 保護定めた通知違反か|newspaper=[[東京新聞]]|date=2021-07-10|url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/115908|access-date=2022-05-17|archive-date=2022-05-17|archive-url=https://web.archive.org/web/20220517065526/https://www.tokyo-np.co.jp/article/115908}}</ref>。ただし、当該DV被害の訴えに疑問を呈する有識者も複数おり、DV被害の真偽の確認検討を行わなかったことは反省すべき点であるが、退去強制処分の見直しや特別扱いをすべき案件ではないと報告されている。
 
=== 学業放棄 ===
'''<big>送還に向けた取組状況等</big>'''
同年4月以降、上記スリランカ人男性(以下「同居人」)と静岡県内で同居し、自動車部品工場で働いていた。同年4月下旬以降は学校からの電話連絡にも応じず、同年5月以降は授業に一切出席しなかった。<ref name=":5" /><ref name=":4" />。また、母国からの仕送りが途絶えたことで学費の支払いも滞り<ref name=":9" /><ref name=":5" />、同年6月25日に除籍処分を受けて[[不法滞在]]の状態になった<ref name=":4" />。報告書には、学費は2017年7月に1年分は納入されていたと学校に確認できたと記載があるため、学費不足が学業放棄の主な理由とは考えにくい。
 
=== 偽造在留カード ===
収容開始当初にはウィシュマはスリランカへの帰国を希望する旨述べていた。名古屋局はウィシュマの承諾を得て、臨時の帰国便に搭乗させて送還することとし、登場希望者リストに搭載するなどした。ウィシュマが飛行機と帰国後の隔離施設の代金20万円を工面することが困難だったため、同居者がウィシュマの母親に3回電話をかけて助けを求め、ウィシュマの妹達にも連絡先を伝えるよう頼んだが、母親は断り、妹達からも連絡はなかった。国費での送還は隔離施設の支払い手続きに時間がかかる状況だった。そこで名古屋局は、在京スリランカ大使館にローンの利用や無料施設利用の要請を行ったが、ローンは存在せず無料施設は空いていないと返答を得た。名古屋局は、ウィシュマの家族に隔離施設の利用代金の工面を求めるため、2020年12月15日、家族の所在調査と連絡先の確認を依頼した。ところが、ウィシュマは、同月中旬頃、帰国意思を撤回して在留希望に転じた。同月21日「もう帰国したくなくなった。私は今までとても辛い生活を送ってきた。日本で交際していたスリランカ人の恋人には殴られ続け、母や妹からは連絡を絶たれた。スリランカ人なんか嫌いだ。」旨を述べた。
不法残留になった後、ウィシュマと同居人は「偽造在留カード」を入手して二人共これを使っていた。
 
=== 虚偽難民認定申請と不出頭 ===
'''<big>支援者</big>'''
引き続き日本国内で働きたいと考え、在留期限の8日前である同年9月21日に、「同居人と来日前から交際しており本国で同居人が地下組織の関係者とトラブルになり、集団で脅迫・暴行を受けたため、来日した」等の虚偽を含む情報に基づく難民認定申請を行った。同年9月以降は、静岡県内の弁当工場で働いていた。難民認定申請内容は迫害事由に該当せず、2019年1月22日に在留期間更新が不許可となり、不法残留となった。しかるにウィシュマ・サンダマリは、入管当局への出頭をせず、入国警備官も連絡が取れず、所在不明となった。
 
=== 現行犯逮捕と収容 ===
ウィシュマ・サンダマリは、2017年6月29日に留学の[[在留資格]]で日本に入国し、在留期間は1年3か月(2018年9月29日まで)だった。<ref name=":4" />。千葉県内の[[日本語学校]]に入学するも、2017年12月頃にアルバイトで知り合ったスリランカ人男性と交際することとなり、アルバイトの掛け持ちをし、特に2018年2月からは、アルバイトの掛け持ちの疲れで学校を休みがちになった。同年4月以降、上記スリランカ人男性(以下「同居人」)と静岡県内で同居し、自動車部品工場で働いていた。同年4月下旬以降は学校からの電話連絡にも応じず、同年5月以降は授業に一切出席しなかった。<ref name=":5" /><ref name=":4" />。また、母国からの仕送りが途絶えたことで学費の支払いも滞り<ref name=":9" /><ref name=":5" />、同年6月25日に除籍処分を受けて[[不法滞在]]の状態になった<ref name=":4" />。報告書には、学費は2017年7月に1年分は納入されていたと学校に確認できたと記載があるため、学費不足が学業放棄の主な理由とは考えにくい。不法残留になった後、ウィシュマと同居人は「偽造在留カード」を入手して二人共これを使っていた。引き続き日本国内で働きたいと考え、在留期限の8日前である同年9月21日に、「同居人と来日前から交際しており本国で同居人が地下組織の関係者とトラブルになり、集団で脅迫・暴行を受けたため、来日した」等の虚偽を含む情報に基づく難民認定申請を行った。同年9月以降は、静岡県内の弁当工場で働いていた。難民認定申請内容は迫害事由に該当せず、2019年1月22日に在留期間更新が不許可となり、不法残留となった。しかるにウィシュマ・サンダマリは、入管当局への出頭をせず、入国警備官も連絡が取れず、所在不明となった。2020年8月19日、「恋人に家を追い出され、仕事もないのでスリランカに帰国したい」と静岡県内の交番に駆け込むも、不法残留のため現行犯逮捕され、[[名古屋出入国在留管理局]]に収容された。この点、同居人は「ウィシュマの出頭の二日前頃、「もう一度やり直してほしい。一緒にスリランカに帰ってほしい。」と言われた。既に日本人女性と交際していたため、断ると、ウィシュマは怒り出しケンカになったが、ウィシュマに答えを2日ほど待ってほしいと伝えると、ケンカが終わった。私がウィシュマを追い出したことはなく、ウィシュマは、家を出ていった当日朝も、仕事に出かける私を見送っており、特におかしな様子はなかった。殴る蹴るの暴力を一方的に振るったことはなかった」旨供述している。<ref name=":4">{{Cite news|title=スリランカ人女性の死が投げかける入管施設の“長期収容”問題|newspaper=[[NHK]]|date=2021-05-25|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013042051000.html|access-date=2022-05-16|archive-url=https://web.archive.org/web/20220516064657/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013042051000.html|archive-date=2022-05-16}}</ref>。入管は彼女が[[ドメスティックバイオレンス|DV]]被害者との主張をしていたことを認識していたが、それに取り合わず収容したことは「DV被害者本人の意志に配慮しながら、[[人道]]上適切に対応しなければならない」「DV被害者が配偶者からの暴力に起因して旅券を所持していない時は、在留資格を交付する」などの内規に反していた疑いがある<ref>{{Cite news|title=ウィシュマさんのDV被害 入管取り合わず 保護定めた通知違反か|newspaper=[[東京新聞]]|date=2021-07-10|url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/115908|access-date=2022-05-17|archive-date=2022-05-17|archive-url=https://web.archive.org/web/20220517065526/https://www.tokyo-np.co.jp/article/115908}}</ref>。ただし、当該DV被害の訴えに疑問を呈する有識者も複数おり、DV被害の真偽の確認検討を行わなかったことは反省すべき点であるが、退去強制処分の見直しや特別扱いをすべき案件ではないと報告されている。
 
=== '''<big>送還に向けた取組状況等</big>''' ===
収容開始当初にはウィシュマはスリランカへの帰国を希望する旨述べていた。名古屋局はウィシュマの承諾を得て、臨時の帰国便に搭乗させて送還することとし、登場希望者リストに搭載するなどした。ウィシュマが飛行機と帰国後の隔離施設の代金20万円を工面することが困難だったため、同居者がウィシュマの母親に3回電話をかけて助けを求め、ウィシュマの妹達にも連絡先を伝えるよう頼んだが、母親は断り、妹達からも連絡はなかった。国費での送還は隔離施設の支払い手続きに時間がかかる状況だった。そこで名古屋局は、在京スリランカ大使館にローンの利用や無料施設利用の要請を行ったが、ローンは存在せず無料施設は空いていないと返答を得た。名古屋局は、ウィシュマの家族に隔離施設の利用代金の工面を求めるため、2020年12月15日、家族の所在調査と連絡先の確認を依頼した。ところが、ウィシュマは、同月中旬頃、帰国意思を撤回して在留希望に転じた。同月21日「もう帰国したくなくなった。私は今までとても辛い生活を送ってきた。日本で交際していたスリランカ人の恋人には殴られ続け、母や妹からは連絡を絶たれた。スリランカ人なんか嫌いだ。」旨を述べた。
 
=== '''<big>支援者</big>''' ===
帰国意思撤回に関連するやりとりが以下の通りある。