「反出生主義」の版間の差分
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{{複数の問題|一次資料=2022年2月|精度=2022年3月|出典の明記=2022年3月|脚注の不足=2023年2月|内容過剰=2023年2月}}
'''反出生主義'''(はんしゅっしょうしゅぎ、はんしゅっせいしゅぎ<!-- (注記)読み仮名については過去にノートで議論がありました。[[ノート:反出生主義#「しゅっしょう」「しゅっせい」]] -->)または'''アンチナタリズム'''{{Sfn|森岡|2021|p=49}}({{lang-en-short|antinatalism}}、アンティネイタリズム<ref>{{Cite web|title=antinatalismの意味・使い方・読み方|url=https://eow.alc.co.jp/search?q=antinatalism|website=eow.alc.co.jp|accessdate=2021-06-02|language=ja|publisher=[[英辞郎]] on the WEB}}</ref>)<!-- 「無生殖主義」は「反出生主義」と同義ではないのでここには並べないほうがいい -->とは、[[人々]]が[[子供]]を持つ<!--"to have children"-->ことは[[悪|不道徳]]だという[[信念]]
哲学者の[[森岡正博]]によれば、この種の考え方は古今東西の[[哲学]]・[[宗教]]・[[文学]]において綿々と説かれてきた{{Sfn|森岡|2020|p=13-14}}。とりわけ、[[アルトゥル・ショーペンハウアー]]{{Sfn|森岡|2021|p=54}}、[[エミール・シオラン]]{{Sfn|森岡|2021|p=54}}、[[デイヴィッド・ベネター]]{{Sfn|森岡|2021|p=54}}<ref name=":2" /><!-- 2022-03-24 要ページ番号が貼られていたので一旦コメントアウト。載せるとしてもefnでなく本文でお願いします。{{Efn2|ベネターによると、人が存在することはつねに害悪である{{要ページ番号|date=2022年2月}}。人が生きていると快楽と苦痛が生じるが、もし生まれてこなければどちらも存在しない{{要ページ番号|date=2022年2月}}。そして〝快楽の不在〟は別に悪いことではないが、〝苦痛の不在〟は誰にとっても大きなメリットとなる{{要ページ番号|date=2022年2月}}。つまり、トータルで考えると、人が生まれてこないのは生まれるよりも〝つねに良いこと〟と言わざるを得ないという論{{要ページ番号|date=2022年2月}}。}} -->が反出生主義の擁護者として知られる。
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苦痛について、主体Xが存在する場合の「悪い」と存在しない場合の「善い」を比較すると、主体Xが存在しないシナリオに優位性がある。快楽について、主体Xが存在する場合の快楽の存在は「善い」であるが、主体Xが存在しない場合の快楽の不在は「悪くない」であり、これは主体Xが存在しない場合の快楽の不在が主体Xが存在する場合のその存在よりも悪くない(not worse)ということであるから、どちらのシナリオにも優位性がない。したがって、主体Xに何らかの苦痛が存在する限り、「存在しないほうが良い」という結論が導かれる<ref name="bbc" /><ref>{{Cite journal |和書|author=吉本 陵|title=人類の絶滅は道徳に適うか? : デイヴィッド・ベネターの「誕生害悪論」とハンス・ヨーナスの倫理思想 |journal=現代生命哲学研究 |volume=3 |publisher= |date=2014-03 |pages=50-68 |doi=10.24729/00007063}}</ref>。ベネターの誕生否定はこの「苦痛の主体」に沿って語られる。
<!-- この節は[[デイヴィッド・ベネター#反出生主義]]と同内容 -->ベネターは、生まれてくることはその本人にとって常に災難であり、それゆえに子供を生むことは反道徳的な行為であり、子供は生むべきではない、と主張する。子供を生むことは、多くの動物がそうしているように単に何も考えずに性的欲求を満たすための行動である[[性行為]]の結果として引き起こされている現象であるか、または生む側の欲求を満たすために引き起こされている現象であるか(例えば子育てしてみたいといった欲求を満たすため、自分の老後の世話をしてもらおうという計算のため)、または判断するさいに生の質([[QOL]])を不当に高く
=== ヴェターとナーベソン ===
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== 批判 ==
人間を生み出すことに対して肯定的な意見を持つ立場は[[出生主義]]と呼ばれる。[[医療科学]]、特に[[産婦人科学]]・[[生殖補助医学]]では、より[[健康]]な[[妊娠]]・[[出産]]・[[救命]]・[[福祉]]などが増進されていて、反出生主義に対立的である<ref name="takahashi"
=== 哲学・倫理学 ===
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私たちは、現に社会を生きている当事者であるという[[バイアス]]を有したなかでしか議論することはできない、このことを深く自覚しながら、研究を進めていかねばならないと感じる。{{Sfn|野崎|2020|p=39}}
}}
=== 生殖補助医学・産婦人科学 ===
高橋昌一郎は反出生主義を取り上げた上で、[[産科医]]の[[夫律子]]の発言を引用している<ref name="takahashi"/>。夫律子は[[慶應義塾大学]][[法学部]]の卒業後、[[徳島大学]][[医学部]]を卒業して[[臨床研究]]を進めており、こう述べた<ref name="takahashi"/>。
{{Quotation|ゆくゆくは、精密な「[[出生前診断]]」に加えて、「出生前[[治療]]」ができるようになるかもしれません。私たちが追求すべきなのは、「生まれてこないほうがよかった」という子どもを1人でも減らし、「生まれてきてよかった」という子どもを1人でも増やすことだと思います<ref name="takahashi"/>。}}
=== 精神医学・心理学 ===
==== 心理統計学 ====
==== 社会精神医学・社会心理学的考察 ====
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と述べた<ref name=king/>。
{{Quotation|さすがに「私は反出生主義です」と公言している方にお会いしたことはないけれど、「こんなに苦しいのなら生まれたくなかった」とずっと言っていた女性の患者さんはいましたね。 … 彼女の場合、母親との関係で作られた「生きている価値がない自分」という自己イメージや、母親の考え方で生きてしまっていることで、うつなどの症状が生じていました。 …
具体的な親の自分に対する態度や言葉を[[批判]]するよりも、産む産まないという議論の方が問題の[[本質]]に届かない表面的なものになるから、親も自分もそこまで傷つかずに済むということなのかもしれません。<ref name=harui_p2/>}}
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記者が「本当に人間には成長もないし、生きる意味もないんでしょうか?」と尋ねると、春井は「私はそうは思っていません」と答え、以下のように述べた<ref name=harui_p4>{{Cite web |url=https://nazology.net/archives/31733/4 |author=ナゾロジー編集部、春井星乃 |title=なぜ生んだ?反出生主義者の「深層心理」を心理学的に分析してみた 4 |accessdate=2022-02-26}}</ref>。
{{Quotation|やっぱり、人生を少しでも楽に幸せに生きるためには、まず父親母親はどういう人なのか、自分は親や家庭環境からどういう影響を受けて育ってきたのかをよく見極めて、それと自分とはまったく別物なんだとすることが大切なんです。<br>それができずに親の影響をそのまま生きてしまうと、様々な精神病理や生きにくさが生じてきます。 …
たとえば精神科医で自傷行為などの研究をされている[[松本俊彦]]さんは、信頼できる大人は10人中3人くらいしかいないから、少なくとも8人には助けを求めてほしいとおっしゃっているそうです。私も本当にそう思います。<ref name=harui_p4/>}}
== 脚注 ==
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|last = Schönegger
|first = Philipp
|title = What’s up with anti-natalists? An observational study on the relationship between dark triad personality traits and anti-natalist views
|journal = [[:en:Philosophical_Psychology_(journal)|Philosophical Psychology
|volume = 35
|issue = 1
|publisher = [[
|year =
|pages = 66-94
|doi = 10.1080/09515089.2021.1946026
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== 関連項目 ==
* [[出生主義]]
* [[人類の絶滅]]
▲** [[去勢派]]/スコプツィ
▲** [[チャイルド・フリー]]
* [[産児制限]]
▲*** [[身体的インテグリティ#政府と法律|産まれる権利(誕生権)]]
▲*** [[産児制限#産児制限と人権|産まない権利]]
▲* [[プロライフ]] - [[産めよ増やせよ]]
== 外部リンク ==
321 ⟶ 284行目:
*{{Cite web|title=生まれることは悪いことか? では産むことは? 【特別対談】川上未映子×永井均 反出生主義は可能か〜シオラン、べネター、善百合子|Web河出|url=https://web.kawade.co.jp/bungei/3600/|accessdate=2021-04-02|publisher=[[河出書房]]|author=[[川上未映子]];[[永井均]]|date=2020-05-22}}
*{{Cite web|url=https://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2021/06/post-976/|title=【報告】東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)シンポジウム「反出生主義の含意と射程――「生まれてこなかった方がよかったのか」をなぜ問うのか」|accessdate=2021-07-12|publisher=東京大学 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)|author=山野弘樹|date=2021-06-17}}
* {{Cite web|title=
▲* {{Cite web|title=『現代生命哲学研究』|url=http://www.philosophyoflife.org/jp/|accessdate=2021-05-02|publisher=[[森岡正博]]・早稲田大学人間総合研究センター|author=}}
{{デフォルトソート:はんしゆつしようしゆき}}
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