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当記事は現代のレーダーの記事。できるだけ現在の新しい技術の情報を優先的に書く。一方、歴史的な技術は【レーダーの歴史】に書くべき。そこで古いほうから順番に書くとよい。そして歴史的な情報をそちらでまとめて読めるほうがよい。
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「デイライト・タイプ」などの文章はデジタル表示についての解説であり、同セクションに書くべきです。また以前主流であった方式を解説したのちに現在主流である方式を解説するほうが時系列に沿っていて、合理的です。
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=== 表示装置 ===
[[File:Radar2.gif|thumb|PPIスコープの動作イメージ(イラスト動画)]]
{{main|{{仮リンク|レーダー・ディスプレイ|en|Radar display}}}}
レーダーの指示方式は、[[アナログ信号処理]]方式、[[デジタル信号処理]]表示方式、両者の合成表示方式の3つに大別される{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。これを表示する指示器は表示部とも称され、アナログ表示の時代には、[[#PPIスコープ|PPIスコープ]]方式の[[ブラウン管]](CRT)が主流であった{{Sfn|吉田|1996|p=9}}{{Sfn|吉田|1996|p=192-201}}。現代は多くで[[液晶ディスプレイ]](LCD)が用いられる<ref name="YAMAHA">{{Cite web|title=ヤマハ、レーダーの基礎知識|url=https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/technique/navigation/radar.html|access-date=2023/03/09}}</ref>。その画面サイズなどの呼び方(「○○インチ」等)も他の機器と変わらない<ref name="YAMAHA" />。
 
==== アナログ表示 ====
アナログビデオの表示は、その画面表示の更新がアンテナの動きおよび電波の発射と同期して行われるため、画像繰り返し速度([[リフレッシュレート]])が低くなり、CRTの残光性への依存が大きく、明るい場所で画像を見ることが困難になるという問題があった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
; <span id="PPIスコープ">PPIスコープ</span>
: PPIスコープ(Plan Position Indicator scope、Pスコープとも)は、レーダーの位置を基点として、アンテナビームの回転に同期させて放射状に掃引を行なって、受信した信号を表示するものである{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。すなわち、レーダーの位置を中心として、レーダーで捉えられた目標が鳥瞰的に表示されることから、(下で説明するAスコープ、Bスコープ、Eスコープなどと比べて)直感的に理解しやすいという大きなメリットがあった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: PRIスコープでは、レーダー波の波長が長いと近接した複数の対象物が同一の光点として表示されてしまうため、多数の目標を捕捉する際の分解能を高めるためには、レーダー波長の短波化が必須。{{Efn2|波長の短波化と送信出力の強化の両立には高度な電子技術が要求されたため、[[枢軸国]]では専ら送信出力を強化しやすい長波レーダーの開発に終始し、PPIスコープの採用までには漕ぎ着けなかった。
: [[連合国 (第二次世界大戦)|連合軍]]で運用されたPPIスコープを用いる初期のレーダーシステムでは、アンテナの回転角度に[[日本軍]]と同様の理由で一定の制約が存在したが、やがてマイクロ波レーダーと高利得のパラボラアンテナなどが主体のシステムに発展すると、アンテナは360度自動的に回転し続けるようになった。PPIスコープ上で目標物として表示される光点は、Aスコープでいうところの波形のピークに当たる部分である。日本軍の場合、各電測兵がAスコープの波形情報を、経験と技術によって二次元図として変換し認識していたのが、PPIスコープでは完全に自動化されるようになったので、連合国のレーダー担当員の負担は大幅に軽減され、測的の精度も飛躍的に高まることとなった。}}
; <span id="Aスコープ">Aスコープ</span>
: 縦軸に受信信号強度、横軸に距離を取って波形を表示するものである([[心電図]]のようなイメージ)。開発初期から用いられてきたが、現在でも受信信号強度の測定や信号の弁別のための[[オシロスコープ]]表示として用いられている{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: ある一定距離の目標物にアンテナを向ける場合、アンテナの角度が目標物に近づくにつれ、波形の山が大きくなっていき、方向が完全に一致すると波形が極大値(ピーク)を表示する。Aスコープでは、レーダー送信機のアンテナの方向は別に表示されるため、他方向に多数の対象物が存在する場合、測定結果を一覧できない。{{Efn2|Aスコープ方式を採用していた旧日本軍の長波レーダーの運用を例に取ると、送信・受信の各アンテナは兵士が手動または電動で動かし、受信機を操作する電測兵は伝令兵や有線電話からもたらされるアンテナの角度情報と、受信機のAスコープの波形から、どの方向のどの距離にどのような対象物が存在するかを頭の中で二次元図として描き出すことで把握する必要があり、多数の敵の同時測的には大変な熟練が要求された。機器の耐久性の問題から(送信用アンテナを受信用アンテナに直接向けると受信機が入力過大で破壊されてしまうなど)、アンテナの操作一つ取っても各兵士の連携と熟練が不可欠であった。}}
; <span id="Bスコープ">Bスコープ</span>
: 横軸に方位、縦軸に距離を示す方式{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: この方式はAスコープでは比較的読み取りが明瞭な波形の強度(ピーク)情報が、PPIスコープに類似した光点の強弱のみで表されるので、正確な読み取りにはやや経験を要する。{{Efn2|戦闘機などの空対空レーダーや連合軍艦船の射撃管制レーダーに利用されていた。
: それまでの光学機器による弾着観測と比較して観測員の経験や練度による精度のブレが発生しにくい為、比較的練度の低い砲兵でも安定した射撃成績を挙げる事が可能となった。とりわけ夜戦や荒天下の砲撃戦では光学機器や肉眼目視の練度のみに頼っていた旧日本海軍に大きく差を付ける事に貢献した。Bスコープを元に横軸を方位、縦軸を高度としたものはCスコープと呼ばれ、[[高射砲]]の管制に用いられた。}}
; <span id="Eスコープ">Eスコープ</span>
: PPIスコープやBスコープが水平面の情報を表示するのに対して、垂直面の表示として用いられるのがEスコープである。横軸に距離、縦軸に仰角を表示するものと高さを表示するものがあり、後者はRHI({{Lang|en|Range Height Indicator}})と称される{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
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Chain_Home_screen_shot_-NEDAD.2013.047.058A.jpg|Aスコープの一例。40マイル以内に複数の目標が存在する波形であるが、アンテナを動かし、その角度情報を元に推測をしなければ正確な方角と、二次元的な情報が得られない。
015706t.jpg|Bスコープの一例
SIXgunsalvo.jpg|A、B、Eスコープの一例。
PPI-scope.jpg|PPIスコープ(1980年)
</gallery>
 
==== デジタル表示 ====
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Salado, Texas 2022 tornado radar image.gif|[[気象レーダー]]の画面(2022年。[[テキサス州]]の[[竜巻]]。)
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==== アナログ表示 ===
::[[#歴史]]の節を参照のこと。
 
== レーダー方程式 ==
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== 歴史 ==
{{Main|レーダーの歴史}}
 
=== 表示装置の歴史 ===
==== アナログ表示 ====
アナログビデオの表示は、その画面表示の更新がアンテナの動きおよび電波の発射と同期して行われるため、画像繰り返し速度([[リフレッシュレート]])が低くなり、CRTの残光性への依存が大きく、明るい場所で画像を見ることが困難になるという問題があった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
; <span id="PPIスコープ">PPIスコープ</span>
: PPIスコープ(Plan Position Indicator scope、Pスコープとも)は、レーダーの位置を基点として、アンテナビームの回転に同期させて放射状に掃引を行なって、受信した信号を表示するものである{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。すなわち、レーダーの位置を中心として、レーダーで捉えられた目標が鳥瞰的に表示されることから、(下で説明するAスコープ、Bスコープ、Eスコープなどと比べて)直感的に理解しやすいという大きなメリットがあった{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: PRIスコープでは、レーダー波の波長が長いと近接した複数の対象物が同一の光点として表示されてしまうため、多数の目標を捕捉する際の分解能を高めるためには、レーダー波長の短波化が必須。{{Efn2|波長の短波化と送信出力の強化の両立には高度な電子技術が要求されたため、[[枢軸国]]では専ら送信出力を強化しやすい長波レーダーの開発に終始し、PPIスコープの採用までには漕ぎ着けなかった。
: [[連合国 (第二次世界大戦)|連合軍]]で運用されたPPIスコープを用いる初期のレーダーシステムでは、アンテナの回転角度に[[日本軍]]と同様の理由で一定の制約が存在したが、やがてマイクロ波レーダーと高利得のパラボラアンテナなどが主体のシステムに発展すると、アンテナは360度自動的に回転し続けるようになった。PPIスコープ上で目標物として表示される光点は、Aスコープでいうところの波形のピークに当たる部分である。日本軍の場合、各電測兵がAスコープの波形情報を、経験と技術によって二次元図として変換し認識していたのが、PPIスコープでは完全に自動化されるようになったので、連合国のレーダー担当員の負担は大幅に軽減され、測的の精度も飛躍的に高まることとなった。}}
; <span id="Aスコープ">Aスコープ</span>
: 縦軸に受信信号強度、横軸に距離を取って波形を表示するものである([[心電図]]のようなイメージ)。開発初期から用いられてきたが、現在でも受信信号強度の測定や信号の弁別のための[[オシロスコープ]]表示として用いられている{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: ある一定距離の目標物にアンテナを向ける場合、アンテナの角度が目標物に近づくにつれ、波形の山が大きくなっていき、方向が完全に一致すると波形が極大値(ピーク)を表示する。Aスコープでは、レーダー送信機のアンテナの方向は別に表示されるため、他方向に多数の対象物が存在する場合、測定結果を一覧できない。{{Efn2|Aスコープ方式を採用していた旧日本軍の長波レーダーの運用を例に取ると、送信・受信の各アンテナは兵士が手動または電動で動かし、受信機を操作する電測兵は伝令兵や有線電話からもたらされるアンテナの角度情報と、受信機のAスコープの波形から、どの方向のどの距離にどのような対象物が存在するかを頭の中で二次元図として描き出すことで把握する必要があり、多数の敵の同時測的には大変な熟練が要求された。機器の耐久性の問題から(送信用アンテナを受信用アンテナに直接向けると受信機が入力過大で破壊されてしまうなど)、アンテナの操作一つ取っても各兵士の連携と熟練が不可欠であった。}}
; <span id="Bスコープ">Bスコープ</span>
: 横軸に方位、縦軸に距離を示す方式{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
: この方式はAスコープでは比較的読み取りが明瞭な波形の強度(ピーク)情報が、PPIスコープに類似した光点の強弱のみで表されるので、正確な読み取りにはやや経験を要する。{{Efn2|戦闘機などの空対空レーダーや連合軍艦船の射撃管制レーダーに利用されていた。
: それまでの光学機器による弾着観測と比較して観測員の経験や練度による精度のブレが発生しにくい為、比較的練度の低い砲兵でも安定した射撃成績を挙げる事が可能となった。とりわけ夜戦や荒天下の砲撃戦では光学機器や肉眼目視の練度のみに頼っていた旧日本海軍に大きく差を付ける事に貢献した。Bスコープを元に横軸を方位、縦軸を高度としたものはCスコープと呼ばれ、[[高射砲]]の管制に用いられた。}}
; <span id="Eスコープ">Eスコープ</span>
: PPIスコープやBスコープが水平面の情報を表示するのに対して、垂直面の表示として用いられるのがEスコープである。横軸に距離、縦軸に仰角を表示するものと高さを表示するものがあり、後者はRHI({{Lang|en|Range Height Indicator}})と称される{{Sfn|吉田|1996|pp=192-201}}。
<gallery>
Chain_Home_screen_shot_-NEDAD.2013.047.058A.jpg|Aスコープの一例。40マイル以内に複数の目標が存在する波形であるが、アンテナを動かし、その角度情報を元に推測をしなければ正確な方角と、二次元的な情報が得られない。
015706t.jpg|Bスコープの一例
SIXgunsalvo.jpg|A、B、Eスコープの一例。
PPI-scope.jpg|PPIスコープ(1980年)
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== レーダーと法規 ==