「フッド (巡洋戦艦)」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
高角砲の門数が間違っていたため英語版の記述に合わせた。 |
Baudanbau20 (会話 | 投稿記録) m 本文中の自己リンク |
||
| (2人の利用者による、間の3版が非表示) | |||
41行目:
艦名は[[サミュエル・フッド (初代フッド子爵)|サミュエル・フッド]]提督に因む{{efn|ケネディ著『戦艦ビスマルクの最期(1982)』97頁では「イギリス海軍に同一家系から多数の著名な提督を輩出した[[フッド子爵|フッド家]]に因む。」と記述する{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。最初が[[ジョージ・ロドニー]]提督の片腕として戦った[[サミュエル・フッド (初代フッド子爵)|サミュエル・フッド]]子爵{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。次が[[アレグザンダー・フッド (初代ブリッドポート子爵、1726-1814)|アレグザンダー・フッド]]子爵{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。三人目が[[ホレーショ・ネルソン_(初代ネルソン子爵)|ネルソン]]提督と共に戦った[[サミュエル・フッド・リンゼー]]提督{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。四人目が[[ユトランド沖海戦]]で戦死した{{仮リンク|ホーレンス・フッド|en|Horace_Hood}}提督である{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。}}{{efn|先代は[[ロイヤル・サブリン級戦艦]] (''{{lang|en|Royal Sovereign class battleship}}'') {{仮リンク|フッド (前弩級戦艦)|label=フッド|en|HMS Hood (1891)}}である（[[:en:List of ships called HMS Hood|フッド艦名一覧]]）。}}。
フッドは<ref name="駐在員報告">{{アジア歴史資料センター|C10100835500|大正6年 外国駐在員報告 巻7(防衛省防衛研究所)8年11月12日 英国高速戦艦フード」に就いて}}</ref>、[[:en:Fast_battleship|高速戦艦]]の先駆けである{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=94-95|ps=無条約時代と高速戦艦}}{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=343-344|ps=天城型と紀伊型}}。
[[海軍休日]]時代、フッドは世界最大で<ref>{{アジア歴史資料センター|J21021268000|Shin Sekai 1924.07.08、tnw_19240708(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.3〔 ○世界最大の巨艦…フート {{smaller|四萬七千余噸 乗組み千五百名だ}}〕</ref>、最速の[[主力艦]]であり{{Sfn|ジョーダン、戦艦|1988|p=61}}<!-- レキシントン級航空母艦の満載排水量が、フッドとほぼ同じ -->、その艦容もふくめて[[イギリス帝国|大英帝国]]の誇りであり{{Efn|name="nws19370523p2"|'''十七ヶ國の軍艦参加し 威風堂々の大觀艦式 {{smaller|足柄第四位に ― 英帝御親閲}}''' {{smaller|伊艦だけは不参加 ― [[:en:Italy–United_Kingdom_relations|英伊關係]]の反影か？}}(ロンドン廿一日)<ref>{{アジア歴史資料センター|J21022184200|Shin Sekai Asahi Shinbun 1937.05.23、新世界朝日新聞／nws_19370523(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.3</ref> 英帝戴冠式の盛儀を飾る大觀艦式は世界十七ヶ國から派遣の軍艦と英國海軍の誇り大戰艦'''フード號'''を始め三百七十七隻を以てポーツマスとホワイト島間で威風堂々四邊を壓して擧行された。この日海上約廿四平方哩を艦隊は三列並行線に整列、その中を皇帝、皇后兩陛下は二皇女、内外使臣と共に[[:en:Royal_yacht|王室ヨツト]]の[[:en:HMY_Victoria_and_Albert_(1899)|ビクトリア號とアルバート號]]に御便乗、御親閲各國派遣の軍艦は先づ英艦隊[[ネルソン (戦艦)|ネルソン]]、[[ロドニー (戦艦)|ローデニー]]等に添つて米國戰艦[[ニューヨーク (戦艦)|ニューヨーク]]號を先頭に佛の[[ダンケルク (戦艦)|ダンカーク]]號、ソ聯の[[マラート (戦艦)|マラト]]號それにつゞいて我が巡洋艦[[足柄 (重巡洋艦)|足柄]]、獨の[[アドミラル・グラーフ・シュペー (装甲艦)|アドミラル・グラフ・スピー]]號の順序で十七ヶ國の軍艦は四邊を壓する威容で整列碇泊してゐたが、伊太利の軍艦だけは見當らず、最近の英伊關係の反映と注目された。(記事おわり)}}、象徴であった{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=98}}{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=133-134|ps=原本242-244頁(第二九、フッド號撃沈の情景)}}。
[[海軍休日]]時代、フッドは世界最大で最速の[[主力艦]]であり{{Sfn|ジョーダン、戦艦|1988|p=61}}<!-- レキシントン級航空母艦の満載排水量が、フッドとほぼ同じ -->、その艦容もふくめて[[イギリス帝国|大英帝国]]の誇りであり{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=76b}}、象徴であった{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=98}}{{efn|第四章 今次大戰に於ける海戰の様相 第二九、フッド號撃沈の情景{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=133-134|ps=原本242-244頁(第二九、フッド號撃沈の情景)}} 五月廿四日のグリーンランド沖海戰でイギリスが世界一を誇つた四二,一〇〇トンのフッド號は開戰後五分間にしてドイツ主力艦ビスマーク號の放つた巨彈を受けて沈没した。同時に最近就役したばかりの主力艦キング・ヂヨージ五世號(三五,〇〇〇トン)〔 註：プリンス・オブ・ウェールズ 〕も損傷を受けた。イギリス海軍は激怒し、殆ど大西洋にある全海軍力を集中して追撃の結果廿六日ビスマーク號を發見、猛攻を加へ廿七日朝に至つて最後の止めを刺した。<br/> 海戰の模様を述べる前に参加艦の性能を一瞥しよう。<br/> 英のフッド號は四二,一〇〇トン、速力卅一節(但し之は試運轉當時出し得た速力で最近は廿七-八節位しか出し得なかつたらしい)主砲、三八糎(十五吋)八門、副砲一四糎十門、魚雷發射管六門、搭載飛行機一機、一九一六年前大戰の最中に起工、四年の日子を費やしてワシントン會議の前年即ち一九二〇年竣工した、一九三一年には大改装が施されてゐる。[[キング・ジョージ5世 (戦艦)|キング・ヂォーヂ五世]]號は[[プリンス・オブ・ウェールズ (戦艦)|プリンス・オブ・ウェールス]]、[[デューク・オブ・ヨーク (戦艦)|デューク・オブ・ヨーク]]、[[アンソン (戦艦)|ジェリコ]]、[[ハウ (戦艦)|ビーテー]]の四艦と共に一九三七年ワシントン條約廢棄後直ちに起工された三五,〇〇〇トン主力艦の第一艦である。速力三十節、主砲三六糎(十四吋)十門、副砲一三.五糎、高角砲十六門、獨のビスマーク號は一九三六年に起工し、昨年竣工就役した。姉妹艦に[[ティルピッツ_(戦艦)|ティルピッツ]]號がある。三五,〇〇〇トン、速力卅節、主砲三八糎八門、副砲一五糎十二門、飛行機を四機搭載してゐた。<br/> ビスマーク號は一萬トン巡洋艦プリンツ・オイゲン號を從へてイギリス海軍の哨戒の目をくぐり抜け、アイスランドとグリーンランド間のデンマーク海峡を通過し、遠く英本土の西方を迂回し、通商破壊を行ひながら南下の姿勢にあつたらしい。出動したのは一ヶ月前だつたといふ。イギリスは偵察機によつてビスマーク號が廿一日にはベルゲン港にあり、廿二日には抜錨した事を知って急遽フッドとキング・ヂョーヂ五世號〔 註、プリンス・オブ・ウェールズの誤認 〕を出動せしめた。卅節の高速を出す新鋭のビスマークに對抗するには古い主力艦を出したのでは役に立たぬ。そこで元來高速の巡洋戰艦として建造され砲力に於ても匹敵するフッド及び新鋭のキング・ヂョーヂ五世號を振向けたのは當然の處置であつた。イギリス艦隊がビスマーク號をデンマーク海峡に見出したのは廿三日夜であつた。巡洋艦が發見したのであるが相撲にならぬから主力艦に委したのである。廿四日の拂暁イギリスの兩艦は攻撃を開始したが開戰後僅か五分間でフッド號は甲板を射抜かれ、その砲彈が火藥庫に命中、一瞬にして四萬二千トンの巨體は空中に四散した。恐らく司令長官ル・ホランド中将以下千三百四十一名中生存者は一人もなかつたであらう。キング・ヂョーヂ五世號も損傷の結果射程外に逃避せねばならなくなつた。}}。▼
[[第二次世界大戦]]中の[[1941年]]（昭和16年）[[5月24日]]、[[ライン演習作戦]]によって出撃してきた[[ドイツ海軍 (国防軍)|ドイツ海軍]]艦隊と[[デンマーク海峡]]で交戦中<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/bra19410612-01.1.3 Hoji Shinbun Digital Collection、Brajiru Asahi, 1941.06.12、p.3J、2023年5月28日閲覧] ビスマルク號戰闘圖 英が誇る世界最大戰艦フッド號撃沈より最後をとげるまで </ref>（[[デンマーク海峡海戦]]）{{Sfn|ジョーダン、戦艦|1988|p=44}}、[[戦艦]][[ビスマルク (戦艦)|ビスマルク]]の砲撃により[[撃沈|轟沈]]した{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=133-134|ps=原本242-244頁(第二九、フッド號撃沈の情景)}}。
== 概要 ==
58行目:
しかし、[[1916年]]（大正5年）5月31日に起きた[[ユトランド沖海戦]]（ドイツ側呼称：スカゲラック海戦）において{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=184-186|ps=自信あふれる英海軍}}、イギリス海軍巡洋戦艦3隻{{Sfn|巨大戦艦ビスマルク|2002|p=186}}が[[撃沈|爆沈]]し{{Sfn|英国軍艦勇者列伝|2012|pp=233-234}}{{Efn|巡洋戦艦「[[インヴィンシブル (巡洋戦艦)|インヴィンシブル]]」{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=62|ps=▲巡洋戦艦「インヴィンシブル」Invincible}}、「[[インディファティガブル (巡洋戦艦)|インディファデガブル]]」{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=64|ps=▲巡洋戦艦「インディファティガブル」Indefatigable}}、「[[クイーン・メリー (巡洋戦艦)|クイーン・メリー]]」{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=68|ps=▲巡洋戦艦「クイーン・メリー」Queen Mary}}。}}、最新鋭の「[[ライオン (巡洋戦艦)|ライオン]]」{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=66|ps=▲巡洋戦艦「ライオン」Lion}}も主砲塔を撃ち抜かれて大破した{{Sfn|藤本喜久雄|1922|pp=4-6|ps=(2.巡洋戰艦)}}{{Sfn|藤本喜久雄|1922|pp=17-18|ps=(3.防禦)}}。
「[[ザイドリッツ (巡洋戦艦)|ザイドリッツ]]」など、[[ドイツ帝国海軍]]巡洋戦艦のしぶとさと対照的な結果であった{{Sfn|藤本喜久雄|1922|pp=4-6|ps=(2.巡洋戰艦)}}。
フィッシャー卿の提案していた[[アウトレンジ戦法]]が、実戦では役に立たないことが判明したのである{{Sfn|藤本喜久雄|1922|p=18|ps=(4.速力)}}。
この時点で列強各国は[[装甲巡洋艦]]が完全に時代遅れになったこと{{Sfn|藤本喜久雄|1922|p=15}}、さらにイギリス巡洋戦艦のコンセプトが誤りであることを自覚した{{Sfn|藤本喜久雄|1922|p=18|ps=(4.速力)}}{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=94-95|ps=無条約時代と高速戦艦}}。同時に、従来の戦艦も速力不足であることが判明した{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=188-190|ps=海戦の戦訓と戦艦の発達}}{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=334-337|ps=戦艦は国力の象徴であった}}。新世代の[[主力艦]]とは、従来の巡洋艦に匹敵する速力と、戦艦並の火力と防御力を要求される'''高速戦艦'''であることが明白になった{{Sfn|藤本喜久雄|1922|p=15}}{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=338-340|ps=巡洋戦艦について}}。
73行目:
[[1921年]]（大正10年）5月20日、[[皇太子]]時代の[[昭和天皇]](当時20歳）が[[皇太子裕仁親王の欧州訪問|欧州訪問]]にともない[[ロサイス|ロサイス軍港]]に到着する<ref>[[#昭和天皇実録三巻]]192頁〔 ロサイス軍港御見学に御出発/フォース橋/ロサイス工廠駅御着 〕</ref>。大正天皇皇太子は駆逐艦「[[:en:HMS Sorceress (1916)|ソーサリス]] ({{lang|en|HMS Sorceress}})」に乗艦して在泊軍艦近辺を航行し、その際に「フッド」の周囲を一周した{{efn|name="ロシイス軍港見学"|十九、ロシイス軍港御見學 世界一の大鐵橋{{Sfn|皇太子渡欧記念(大日本国民教育会)|1921|p=58|ps=原本34-35頁}}(中略)お召列車のロシイスのプラットホームに着くやヘース大将、鎭守府司令官グリーン中将其他の将校と握手遊ばされ新戰艦フード號の兵員を閲兵し次で[[ダンファームリン|ダンフアームリン]]町長より歡迎の辭を受けられて直に自働車により鎭守府長官官舎に入らせられ後午餐を召されたり、之より既に準備せられし驅逐艦ソーセレス號に御搭乗し前檣に皇太子旗を異國の軍港の汐風に翻しつゝ船渠及艦船の間を縫ひ次いで新戰艦フード號を一周してエドガー港に於て御上陸遊ばさる、此處に既に特別列車は廻されてあれば直に御乗車相成り再びウエーバーレー驛に向ひ出發せられたり、皇太子殿下は戰時中此軍港が頗る重要なる役割を演ぜしことを鎭守府長官より御説明を聴取し非常に御感興を深うせられしと拝聞す。}}。日本側は、皇太子の「フッド」や[[リヴェンジ級戦艦|ラミレス級軍艦]]および製鋼廠・造船所見学の希望を伝えていたが、イギリス側の対応は「フッド」一周のみという儀礼的なものだった<ref name="天皇実録三194">[[#昭和天皇実録三巻]] 194-195頁〔 駆逐艦ソーサリスに御乗艦/軍艦フッド 〕</ref>。
「フッド」の竣工後に[[ワシントン会議_(1922年)|ワシントン会議]]が開催され、[[ワシントン海軍軍縮条約]]の締結および発効により、「フッド」の後継クラス（[[G3型巡洋戦艦]]）建造計画は消滅した{{Sfn|ミリタリー選書(6)世界の戦艦|2005|p=139}}{{Sfn|世界の艦船、826号|2015|p=110|ps=中川務「ワシントン軍縮会議の小さな疑問」}}。また「フッド」も条約制限排水量35,000トンを超えるサイズであったが、特例で廃艦を免れている{{Sfn|国防大事典|1933|p=374|ps=原本82頁/華府會議除外例 世界最大戰艦フツド(英)}}。なお華府海軍軍縮条約で列強各国は建造中の巡洋戦艦または戦艦を[[航空母艦]]に改造することで合意し、イギリス海軍もフッド級巡洋戦艦2隻を空母に改造する権利を得た{{efn|アメリカ海軍は[[レキシントン級巡洋戦艦]]を[[レキシントン級航空母艦]]に、[[フランス海軍]]は[[ノルマンディー級戦艦]]5番艦を空母[[ベアルン (空母)|ベアルン]] (''{{lang|fr|Bearn}}'') に、日本海軍は[[天城型巡洋戦艦]]2隻
このあとイギリス海軍がワシントン条約の制限下で建造した[[条約型戦艦]]の[[ネルソン級戦艦]]2隻は、[[長門型戦艦]]や[[コロラド級戦艦]]に対抗するため16インチ三連装砲塔三基（40.6センチ砲 計9門）を搭載していたが、最高速力は23ノット程度で{{Sfn|ポケット海軍年鑑|1935|p=76|ps=原本134-135ページ(戦艦ロドニー)}}{{Sfn|世界の艦船、826号|2015|p=76|ps=「ビッグ7」の問題点と誕生の意義}}、主砲の爆風や操艦のむずかしさなど色々と不具合があった{{Sfn|世界の艦船、826号|2015|pp=83-85|ps=●ネルソン級}}{{Sfn|福井、世界戦艦物語|2009|pp=114-116|ps=画期的だった砲塔集中艦}}。さらに排水量の点でもネルソン級戦艦は「フッド」に及ばず{{Sfn|国防大事典|1933|pp=373-374|ps=原本81-82頁(英國戰艦ロドネー、ネルソン)}}、[[海軍休日]]時代 ({{lang|en|Naval Holiday}}) 、「フッド」は世界最大の戦艦であった{{Sfn|国防大事典|1933|p=374|ps=原本82頁/華府會議除外例 世界最大戰艦フツド(英)}}{{Efn|'''列強の主力艦'''として、世界の[[制海権|海上權]]を持つとほこる英國は、ネルソン、ロドネー、[[ロイヤル・サブリン (戦艦)|ロイヤルソブリン]]、[[ロイヤル・オーク (戦艦)|ロイヤルオーク]]、[[リヴェンジ (戦艦)|レヴエンヂ]]、[[レゾリューション (戦艦・2代)|レゾリユーシヨン]]、[[ラミリーズ (戦艦)|ラミリズ]]、[[マレーヤ (戦艦)|マレーヤ]]、[[ヴァリアント (戦艦)|ベーリヤント]]、[[バーラム (戦艦)|バラム]]、[[クイーン・エリザベス (戦艦)|クインエリザベス]]、[[ウォースパイト (戦艦)|ウオルスパイト]]、[[マールバラ (戦艦)|マルボロ―]]、[[アイアン・デューク (戦艦)|アイアンデユーク]]、フツド、レナウン、リパルズ、[[タイガー (巡洋戦艦)|タイガー]]等の主力艦を持つてゐる。{{Sfn|SOSの日本|1932|p=95-97|ps=原本147-151頁}}(中略)英國には、以上に書いた主力艦の外に、世界第一の巡洋戰艦を持つてゐる。併し是は、艦齢十年といふので、現在では廢艦となつて艦籍はないが、いざ海戰となれば乗り出して來る事は、火を見るよりも明かである。是は艦名フードと呼び、排水噸數は四万二千噸で、速力三十一ノツト 主砲十五インチを八門、副砲は五インチ半を十二門、四インチ高射砲を四門、小口徑砲十二門、それに水雷發射管二十一インチのものが六門といふ、訊くからに物凄いものである。到底これは[[陸奥 (戦艦)|陸奥]]、[[長門 (戦艦)|長門]]の長を以てしても遠く及ばないものである。}}。
167行目:
フッドでは同時代の戦艦と同じく二層防御方式が採用されており、第一装甲で砲弾の信管を発動させ炸裂させるか飛帽を破砕することで貫徹力を減衰させ、第二装甲によって貫入した弾片や砲弾の侵入を防ぐようになっていた。このためフッドの垂直防御は、[[バイタルパート]]部の第一装甲が水線部12インチ（約305mm）、中甲板側面7インチ（約178mm）、上甲板側面5インチ（約127mm）で構成されており、第二装甲には2インチ（約50.8mm）の鋼板が用いられた。また、非バイタルパート部の艦前部の一部に5インチ～6インチ（約152mm）、艦後部にも6インチの鋼板が装備された。この装甲配置を一見すると水線部甲鈑の厚さが[[オライオン級戦艦]]と同じく305mmとなっているため、フッドの垂直防御は他のイギリス戦艦と大差が無い様に思えるが、舷側甲鈑を12°傾斜させて装備したことでフッドの垂直防御はオライオン級や同時期に起工されたリヴェンジ級戦艦{{Efn|水線部甲鈑13in(約330mm)、中甲板側面6inの垂直装甲。}}を上回る物となっており、自艦の砲に対しては20,000m～15,000mが安全戦闘距離となっていた。なお、1番主砲塔から機関区を挟んで4番主砲塔までの172mという全長の約66%もの広範囲を覆った代償として主装甲板の上下幅が4.79mと低く{{Efn|伊勢型:約3mの内水上部1m、クイーンエリザベス級:水面下のみ。}}、主甲板から水線部を挟んで下甲板までの限られた範囲しか覆うことができなかった<ref>ロバーツ 1997, p. 113</ref>。半ば水没した主装甲から上の主甲板（Main deck）から上甲板（Upper deck）の範囲を防御するために178mm装甲が貼られたが、これも高さ2.79mまでの狭い範囲を覆うものでしかなく、その上の船首楼甲板（Forecastle deck）から甲板上までの広範囲は128mm装甲が貼られたに過ぎなかった。
軽防御であったと評価されるフッドの装甲配置は、全体防御方式を取る艦としては一般的なものだった。その防御は[[:en:All_or_nothing_(armor)|集中防御方式]]を採用し、かつ16インチ砲弾への対応防御を備えたネルソン級や[[サウスダコタ級戦艦_(1939)|サウスダコタ級戦艦]]と比較した場合、見劣りする物であった。ただし、全体防御方式を取る艦の中では傾斜装甲が採用されていたこともあり、15インチ砲弾への対応防御としては心許無いが、十分な14インチ砲弾への対応防御を備えた艦であった{{efn|[[伊勢型戦艦]]:水線部甲鈑VC299mm、中甲板側面VC199mm [[クイーン・エリザベス級戦艦]]:水線部甲鈑13in(水面下のみ)、中甲板側面6in。}}。また、ケースメイト式で装備された14cm速射砲の側面には装甲板は装備されていなかったが、5.5インチ砲の弾火薬庫自体は水線下の第二砲塔弾火薬庫の後部と第三砲塔弾火薬庫の前部に配置されていた。
305mm装甲から下の水線下装甲は一気に76mmまで薄くなり、その下から艦底部までは38mmにまで薄くなった。水雷防御として水線部装甲から下にはバルジが設けられ、その構造は液層と空気層に38mm装甲を挟んだ奥が燃料タンクの三層構造となっており、その内側の水密隔壁には18mm装甲が貼られていた。二重底の内部には水か燃料が充填されていた<ref name="#2"/>。
189行目:
1920年5月15日に就役してまもなく、「フッド」は[[大西洋艦隊 (イギリス)|大西洋艦隊]]の巡洋戦艦戦隊を率いる海軍少将ロジャー・キース卿の旗艦となる。同年にスカンジナビア海域を巡った後は、ジェフリー・マクワース大佐が艦長に就任。1921年と1922年に地中海を巡行し大英帝国の兵力の誇示に努めた{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=99}}。その後、巡洋戦艦戦隊とともにブラジルと東インド諸島へと巡行した。
1923年、フッドは巡洋戦艦「[[レパルス (巡洋戦艦)|レパルス]]」と[[ダナイー級軽巡洋艦]]「[[:en:HMS_Danae_(D44)|ダナイー]]」、「[[ドーントレス (軽巡洋艦)|ドーントレス]]」、「[[:en:HMS_Dragon_(D46)|ドラゴン]]」、「[[:en:HMS Delhi (D47)|デリー]]」、「[[:en:HMS Dunedin|ダニーディン]]」からなる特務戦隊{{efn|[[オーストラリア海軍]]の軽巡洋艦「[[アデレード (軽巡洋艦)|アデレード]]」も後に合流}}の旗艦として、1年にわたる世界巡行を開始した{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=99}}。特務戦隊は南アフリカ、ザンジバル、セイロン、シンガポール、オーストラリア{{efn|1924年4月25日、豪州滞在中に[[ワシントン海軍軍縮条約]]にともない処分される巡洋戦艦「[[オーストラリア (巡洋戦艦)|オーストラリア]]」の自沈に立ち会った。}}、ニュージーランド、太平洋諸島{{Efn|6月6日から6月12日まで<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/tnj19240606-01.1.1 Hoji Shinbun Digital Collection、Nippu Jiji, 1924.06.06、p.1、2023年5月28日閲覧]</ref>、[[ホノルル港]]に滞在<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/tnj19240612-01.1.3 Hoji Shinbun Digital Collection、Nippu Jiji, 1924.06.12、p.3、2023年5月28日閲覧]</ref>。}}、[[アメリカ合衆国]]西海岸[[サンフランシスコ]]に寄港し{{Efn|7月7日、特務戦隊は[[アメリカ海軍]]の[[:en:Standard-type_battleship|標準型戦艦]]に出迎えられて入港した<ref>{{アジア歴史資料センター|J20010864500|Nichibei Shinbun_19240708、jan_19240708(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.3〔 威武堂々英國艦隊 金門灣頭に入る 全市を擧げて歡迎に熱狂 四萬七千五百噸のフツド 〕</ref>。}}、パナマ運河を通ってジャマイカへ立ち寄り、最後にニューファンドランドを訪問した（[[:en:Cruise_of_the_Special_Service_Squadron|イギリス特務戦隊の世界一周]]）{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=99}}。
「フッド」の美しさと巨大さに、サンフランシスコ市長は「私はこの街をあげて貴艦に降伏します。どうぞお好きなように」と述べたという{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=100}}。いずれにせよ特務戦隊の世界巡行パフォーマンスは成功し、「フッド」は世界中に知れ渡り、各地で好印象を与えた{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=100}}。もちろん「フッド」はイギリス国民にとっても誇りであり{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=101}}、その存在は第一次大戦後の陰鬱とした雰囲気が立ち込める大英帝国社会に自信を取り戻させる役割を果たした<ref name=C></ref>。
1935年1月23日、スペイン沖合で巡洋戦艦「レナウン」と衝突事故をおこす{{Efn|最大を誇る'''英艦衝突'''スペイン沖で演習中<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/sin19350126-01.1.3 Hoji Shinbun Digital Collection、Singapōru Nippõ, 1935.01.26、p.3、2023年5月日閲覧]</ref>（廿三日ロンドン發）海軍當局發表に依れば世界最大を誇る戰闘艦フッド號四万二千噸とレナウン號三万二千噸はスペイン沖で演習中一月二十三日正午衝突せる旨發表された 双方とも輕微な損傷を受けたが負傷者もなく豫定通りジブラルタルに向け自力航行中と（記事おわり）}}{{efn|事故当時のレナウン艦長が軍法会議にかけられた{{Sfn|ブラッセー海軍年鑑|1936|p=32|ps=災禍と事件}}。}}。
同年9月に[[イタリア王国]]と[[エチオピア帝国]]の間で[[:en:Abyssinia_Crisis|アビシニア危機]]が勃発すると、[[イタリア海軍|イタリア王立海軍]]を牽制するため[[地中海]]に移動した<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/mac19350918-02.1.1 Hoji Shinbun Digital Collection、Manshū Nichinichi Shinbun, 1935.09.18 Edition 02、p.1、2023年5月28日閲覧] 英艦隊の精鋭集結 命令一下を待つ 百五十隻の艨艟地中海へ 近く最後の廟議を決す【カットはフツド號】</ref>。10月上旬より[[第二次エチオピア戦争]]が始まると、イギリス海軍は「フッド」、ネルソン級戦艦、レナウン級巡戦<ref>{{アジア歴史資料センター|J21022066400|Shin Sekai Asahi Shinbun 1935.10.02、nws_19351002(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.1〔 英國戰艦ジブラルタルへ（ジブラルタル一日）〕</ref>、[[クイーン・エリザベス級戦艦]]、[[リヴェンジ級戦艦|R級戦艦]]などを地中海や紅海に展開し、イタリアに圧力を加えた<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/jnh19351001-01.1.21 Hoji Shinbun Digital Collection、Jitsugyō no Hawai, 1935.10.01、p.4、2023年5月28日閲覧]</ref><ref>{{アジア歴史資料センター|J21022067400|Shin Sekai Asahi Shinbun 1935.10.07、nws_19351007(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.2〔 英國主力艦隊 地中海、紅海に待機（ロンドン五日）〕</ref>。
1936年（昭和11年）、[[スペイン内戦]]勃発を受けて[[地中海艦隊 (イギリス)|地中海艦隊]]に転属となり、イギリス商船の護衛を主な任務とした。この頃の「フッド」は明灰色で塗装されていた{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=76b}}。
1937年4月10日、「フッド」はイギリス商船護衛のため[[ビスケー湾]]に出動した<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/css19370413-01.1.6 Hoji Shinbun Digital Collection、Chōsen Shinbun, 1937.04.13、p.6、2023年5月28日閲覧] 英艦フツト號 西班牙北岸に急行【ジブラルタル十一日發同盟】</ref><ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/css19370414-01.1.5 Hoji Shinbun Digital Collection、Chōsen Shinbun, 1937.04.14、p.5、2023年5月28日閲覧] 英戰闘艦旗艦 ゲ灣派遣【ロンドン十二日發同盟】</ref>。4月23日、フランスからスペインのビルバオ港へと食料と物資を輸送しようとしていたイギリス汽船3隻がスペイン海軍に妨害を受けた。その現場に「フッド」が来着し、スペイン海軍の軽巡洋艦「[[アルミランテ・セルベラ (軽巡洋艦)|アルミランテ・セルベラ]]」に照準を定めると、スペイン海軍は英国商船への妨害を諦めた。
5月20日、[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]の[[ジョージ6世戴冠記念観艦式|戴冠式記念観艦式]]に参加する{{Efn|name="nws19370523p2"}}。7月初旬には[[日本列島]]に向け帰国の途についていた[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の重巡「[[足柄 (重巡洋艦)|足柄]]」（遣英艦隊旗艦、[[小林宗之助|小林]]中将）と短期間行動を共にし、ジブラルタルでは「フッド」と「足柄」将兵の交流がおこなわれた{{Efn|足柄艦 地中海航行<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/kam19370610-01.1.1 Hoji Shinbun Digital Collection、Kashū Mainichi Shinbun, 1937.06.10、p.1、2023年5月28日閲覧]</ref>（足柄艦上にて九日同盟特派員發）重き使命を終へて歸國の途にある帝國軍艦足柄は六日午後三時英國海軍の主力艦フッド號並に船体應急修理を終へて足柄と入れ替りに入港して来たドイツ軍艦[[ドイッチュラント_(装甲艦)|ドイチエランド]]號と別れを告げジブラルタルを出港、時節柄所要の警戒を行ひつゝ快速を以て戰雲漲るスペイン近海を航破し目下地中海を航行中である。ポートサイドには十一日午前八時到着の豫定である。ジブラルタル碇泊中足柄の将士は英國地中海艦隊の精鋭並にポルトガル沖から相連立つて入港したフード號と交歡を遂げ、足柄士官室はフード號士官室から見事な記念品の贈呈を受けた（記事おわり）}}。
同年末、イギリスは[[シンガポール]]を根拠地とする太平洋艦隊の新編を検討し、各艦隊から「フッド」を含む主力艦や巡洋艦多数を引き抜いて[[極東]]に派遣することを立案したが、実現しなかった{{Efn|'''根據地を新嘉坡に [[:en:British_Pacific_Fleet|英太平洋艦隊]]新設 極東の情勢に對抗'''<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/mac19371222-01.1.2 Manshū Nichinichi Shinbun, 1937.12.22、2023年5月6日閲覧] p.1</ref>【東京特電二十一日】イギリス政府では全地中海艦隊の極東集結を畫策するほか第二案として歐洲におけるイギリス海軍力を弱めることなく極東の情勢に對応すべく太平洋艦隊の新設が考究されてゐること判明した 同艦隊設置内容は本國艦隊より戰闘艦[[ロドニー (戦艦)|ロードネイ]]、[[ロイヤル・サブリン_(戦艦・2代)|ローヤル・ソヴエリン]]の二隻、地中海艦隊より巡洋艦'''フード'''、[[レパルス (巡洋戦艦)|レパルズ]]の二隻、アフリカ艦隊より巡洋艦[[ネプチューン_(軽巡洋艦)|ネプチューン]]、カナダ艦隊より巡洋艦[[ヨーク (重巡洋艦)|ヨーク]] [[エクセター (重巡洋艦)|エクセター]]の二隻、英領西印度艦隊より巡洋艦[[:en:HMS_Emerald_(D66)|エメラルド]]、[[エンタープライズ_(軽巡洋艦)|エンタプライズ]]の二隻、濠洲艦隊より巡洋艦[[キャンベラ_(ケント級重巡洋艦)|カンベラ]]、[[オーストラリア_(重巡洋艦)|オーストラリア]]の二隻、ニュージーランド艦隊より巡洋艦[[アキリーズ_(軽巡洋艦)|アキリーズ]]、[[リアンダー_(軽巡洋艦)|リーンダー]]二隻を以て編成し、根據地はシンガポールに設置するものと報ぜらる(各艦性能解説略)／英艦隊極東派遣反對 海相表面【ロンドン二十日發國通】}}。
基本性能に優れた「フッド」は就役から戦没するまでの間、大規模な近代化改装を受けなかった{{Sfn|撃沈戦記|1988|p=334}}。[[1931年]]までに「フッド」に施された改装は、[[カタパルト]]と[[ポンポン砲]]の追加のみだった。1938年8月に地中海で座礁したことを機とし、翌年1月までドック入りをして小改装を行った。
200 ⟶ 206行目:
1939年5月に[[:en:Irvine Glennie|アーヴィン・グレンニー]]大佐が艦長に就任した。9月、巡洋戦艦「レパルス」、「レナウン」と共に本国艦隊の[[:en:Battlecruiser Squadron|巡洋戦艦戦隊]] ({{lang|en|Battlecruiser Squadron}}) に所属し、[[第二次世界大戦]]に突入する{{Sfn|ジョーダン、戦艦|1988|pp=56-59|ps=イギリス レナウン級}}。
9月25日、損傷した潜水艦「[[スピアフィッシュ (イギリス潜水艦)|スピアフィッシュ]]」の帰還を援護するため本国艦隊は北海中央部へ進出した。本国艦隊は[[ドイツ国防軍|ドイツ軍]]に発見され[[ドイツ空軍 (国防軍)|ドイツ空軍
▲9月25日、損傷した潜水艦「[[スピアフィッシュ (イギリス潜水艦)|スピアフィッシュ]]」の帰還を援護するため本国艦隊は北海中央部へ進出した。本国艦隊はドイツ軍に発見され[[ドイツ空軍 (国防軍)|空軍機]]による空襲を受けた。「フッド」は[[Ju 88 (航空機)|Ju 88]]から250kg爆弾1発を被弾し、左舷側のバルジや復水器が損傷した。
行動の詳細
234 ⟶ 236行目:
*11月9日 プリマスへ。
*11月11日 プリマス到着。修理を実施。
*11月25日 出撃。[[仮装巡洋艦]]（[[武装商船|補助巡洋艦]]）[[ラワルピンディ (仮装巡洋艦)|ラワルピンディ]]が{{Sfn|オスプレイ、ドイツ戦艦|2005|pp=9,17}}、[[フェロー諸島沖海戦]]で[[シャルンホルスト級戦艦]]
*12月2日 グリーノックに帰投。
*12月2日 出撃。フェロー諸島北方の哨戒。
*12月11日 グリーノックに帰投。
*12月13日 戦艦[[ウォースパイト (戦艦)|ウォースパイト]]、[[バーラム (戦艦)|バーラム]]などとともに出撃。北海のドイツ艦隊迎撃へ。次いで兵員輸送船団TC1の護衛。
*12月17日 グリーノックに帰投。
*12月27日 出撃。DHN6船団の護衛やシェトランド諸島北方の哨戒など。
248 ⟶ 250行目:
*2月19日 ウォースパイトなどとともに出撃。DN14船団護衛、HN14船団の遠距離護衛。
*2月24日 クライドに帰投。
*3月2日 戦艦[[ヴァリアント (戦艦)|ヴァリアント]]などとともに出撃。ON17およびON17a船団護衛、フェロー諸島東方での哨戒。
*3月7日 スカパ・フローに帰投。
*3月14日 グリーノックへ。
255 ⟶ 257行目:
*3月31日 プリマスに到着。
▲
4月4日から6月12日まで修理がなされた<ref>Taylor, pp. 192, 240–41</ref>。
1940年6月10日に[[イタリア王国]]が連合国に宣戦布告して[[:en:Military_history_of_Italy_during_World_War_II|枢軸側として参戦]]し、[[地中海戦域_(第二次世界大戦)|地中海戦線]]が形成された{{Sfn|三野、地中海の戦い|1993|pp=18-25|ps=(1)参戦前の状況}}。イギリス海軍は[[アレクサンドリア]]に根拠地をおく[[地中海艦隊 (イギリス)|地中海艦隊]]を補うため、[[ジブラルタル]]を根拠地とする[[H部隊]]を編成した{{Sfn|撃沈戦記|1988|p=335}}<!--H部隊の編成はフランスの脱落に伴うものでは-->。H部隊は「フッド」と空母「[[アーク・ロイヤル_(空母・初代)|アーク・ロイヤル]]」を主力とした{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=273}}。新任司令官の[[ジェームズ・サマヴィル]]中将は「フッド」に将旗を掲げた{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=273}}。H部隊は同年6月23日、[[ジブラルタル]]に到着した。<!--H部隊は[[:en:Battle of the Mediterranean|地中海攻防戦]]にともなう[[マルタ島]][[:en:Malta_convoys|支援作戦]]や、[[北アフリカ戦線]]への輸送船団の護衛に従事した{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=274}}。（「フッド」の話ではない）--><!--[[1940年]]にフッドは入渠し、副砲の撤去と対空兵装の強化を実施した。（上の段落の文との関係上コメントアウト）-->
261 ⟶ 264行目:
{{seealso|メルセルケビール海戦|レバー作戦}}
同時期、ドイツ軍の[[ナチス・ドイツのフランス侵攻|快進撃]]によりフランス本国が占領され{{Sfn|南方進攻航空戦|2002|p=34}}、6月22日付で[[独仏休戦協定]]が結ばれた{{Sfn|撃沈戦記|1988|pp=301-302|ps=フランスの降伏}}。[[フランス海軍]]は枢軸国からの拿捕を防ぐために、艦隊を海外植民地に避難させる{{Sfn|三野、地中海の戦い|1993|pp=60-64|ps=(1)フランスとの戦争}}{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=117-118|ps=原本211-213頁(第一二、佛海軍歸属を繞る爭奪戰)}}。イギリス海軍はフランス艦隊を[[:en:Copenhagenization|無力化]]するために[[:fr:Opération_Catapult|カタパルト作戦]] ([[:en:Attack_on_Mers-el-Kébir#Operation_Catapult|Operation Catapult]]) を発動、行動を開始した{{Sfn|撃沈戦記|1988|pp=302-304|ps=「カタパルト」作戦}}。
同年[[7月2日]]、フッド（H部隊旗艦）は空母アークローヤル{{Sfn|マッキンタイヤー、空母|1985|pp=57-58}} 、戦艦[[レゾリューション (戦艦・2代)|レゾリューション]] (''{{lang|en|HMS Resolution}}'') と[[ヴァリアント (戦艦)|ヴァリアント]] (''{{lang|en|HMS Valiant}}'') {{Sfn|英国軍艦勇者列伝|2012|p=164|ps=もし撃ち合ってたら…}}、軽巡{{仮リンク|エンタープライズ (D52)|en|HMS Enterprise (D52)|label=エンタープライズ}} (''{{lang|en|HMS Enterprise, D52}}'') と{{仮リンク|アリシューザ (2代、軽巡)|en|HMS Arethusa (26)|label=アリシューザ}} (''{{lang|en|HMS Arethusa，26}}'') 、随伴駆逐艦や潜水艦2隻と共にジブラルタルを出撃する{{Sfn|撃沈戦記|1988|p=304}}。
翌[[7月3日|3日]]、H部隊は[[フランス領アルジェリア]]の[[メルス・エル・ケビール]] ([[:en:Mers El Kébir|Mers El Kébir]]) 軍港に接近した{{Sfn|三野、地中海の戦い|1993|pp=248-252|ps=(2)メルス・エル・ケビル港の悲劇}}。
269 ⟶ 272行目:
巡洋戦艦で戦艦と戦う不利を知るイギリス艦隊司令[[ジェームズ・サマヴィル]]中将は、冷静に撤退を決断し実行した。この一撃離脱戦は巡洋戦艦の理想的な戦い方であった。なおフッドに将旗を掲げるイギリス側指揮官のサマヴィル中将は、かつての同盟国との戦闘を快く思っておらず、攻撃には手心が加えられていた。そのため、H部隊は快速のフッドや空母アーク・ロイヤルを擁しながら、港を脱出した仏戦艦ストラスブールを見逃している{{Sfn|三野、地中海の戦い|1993|p=251}}。-->
[[地中海戦域_(第二次世界大戦)|地中海戦域]]におけるイギリスとイタリアの戦闘はつづいた{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=119-120|ps=原本215-216頁(第一四、英伊の地中海制海權爭ひ)}}。7月9日、「フッド」と「アーク・ロイヤル」は[[イタリア空軍|イタリア王立空軍]] ([[:it:Regia_Aeronautica|Regia Aeronautica]]) の[[サヴォイア・マルケッティ_SM.79|爆撃機]]に襲われ、イタリア側は「命中弾でフッドが炎上した」と主張した<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/gnd19400712-01.1.4 Hoji Shinbun Digital Collection、Taihoku Nippō, 1940.07.12、p.4、2023年5月28日閲覧]</ref>。イギリス側は否定した<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/tnj19400713-01.null Hoji Shinbun Digital Collection、Nippu Jiji, 1940.07.13、p.6、2023年5月28日閲覧] フッド號損傷 火災を起さしむ【ローマ十一日同盟】／フッド號損傷説を否定【ロンドン十一日同盟】</ref>。
イギリス本土でも[[バトル・オブ・ブリテン]]が繰り広げられていた{{Sfn|三野、地中海の戦い|1993|pp=90-91|ps=第一期/1940年3月～12月の年表}}。8月、フッドは本国艦隊に呼び戻される{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=77b}}。ネルソン級戦艦2隻と共にドイツ軍のイギリス上陸に備えた{{Sfn|世界の艦船、826号|2015|p=103}} （[[アシカ作戦]]）。[[極東]]でも[[大日本帝国]]が[[仏印進駐#北部仏印進駐|北部仏印進駐]]をおこない、また[[日独伊三国同盟]]が締結される{{Sfn|南方進攻航空戦|2002|pp=39-40}}。[[ウィンストン・チャーチル]]海軍大臣は、アジアの[[イギリス帝国|イギリス領]]を防衛するために、戦艦「フッド」、[[ラミリーズ_(戦艦・2代)|ラミリーズ級戦艦]]（[[リヴェンジ級戦艦|R級戦艦]]）2隻、[[重巡洋艦|8インチ砲搭載巡洋艦]]3隻、駆逐艦12隻を配備することが必要だと主張した{{Sfn|南方進攻航空戦|2002|pp=39-40}}。
[[1941年]]（昭和16年）1月から3月にかけて、フッドは[[ロサイス]]で入渠修理を行った。この入渠中に機関のオーバーホールと新型の対空・射撃レーダーの増設を行っている{{Sfn|撃沈戦記|1988|p=236b}}。また2月中旬にフッド艦長として[[:en:Ralph_Kerr|ラルフ・カー]][[:en:Captain_(Royal_Navy)|大佐]]が着任した。
====戦艦ビスマルクとの戦闘と沈没====
277 ⟶ 283行目:
なおプリンス・オブ・ウェールズ（艦長[[:en:John Leach (Royal Navy officer)|ジョン・リーチ]]大佐）は就役直後であり{{Sfn|ミリタリー選書(6)世界の戦艦|2005|p=134}}、乗員の慣熟訓練が未了、また主砲の故障等の問題を抱えていた{{Sfn|撃沈戦記|1988|pp=339-340|ps=水平線上の艦影}}{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|pp=110-111|ps=防禦力で劣る巡洋戦艦}}。
哨戒中の英巡洋艦2隻からビスマルク部隊発見の通報をうけた英戦艦2隻
[[5月23日]]午後10時56分、[[本国艦隊#戦間期～第二次大戦|本国艦隊]]司令長官[[ジョン・トーヴィー]]大将は「巡洋戦艦フッドがリュッチェンス部隊をさえぎり、これに反転または南進をよぎなくさせることを期待する」と発信した{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|p=114}}。
[[5月24日]]朝、[[アイスランド]]近海の[[大西洋]]上において{{Sfn|巨大戦艦ビスマルク|2002|pp=12-13|ps=(ライン演習作戦海戦図)}}、[[ギュンター・リュッチェンス|リュッチェンス]]提督が率いる戦艦ビスマルク（艦長[[エルンスト・リンデマン]]大佐）と僚艦の[[アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦|重巡]][[プリンツ・オイゲン (重巡洋艦)|プリンツ・オイゲン]]
フッドに最初に命中弾を与えたのは、重巡プリンツ・オイゲンであった{{Sfn|ヨーロッパ列強戦史|2004|p=147}}。オイゲンの最初の斉射は近弾となり、第二斉射で20センチ砲弾2発がフッドの中央部に命中した{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=144}}。4インチ高角砲の砲側に集積されていた弾薬が誘爆し、火災が発生する{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=145}}。また飛行機格納庫への命中弾で、そこに避難していた副砲や対空火器要員多数が死傷した{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=145}}。この時点において、ホランド戦隊とリュッチェンス部隊の針路と位置関係から、フッドもウェールズも前部砲塔しか砲撃していなかった{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=143}}。ホランド提督は各艦の後部主砲塔も発砲できるように、左へ針路を変える{{Sfn|
その時、ビスマルクの第五斉射がフッドの第二煙突と後部マストの中間に命中した{{Sfn|撃沈戦記|1988|pp=342-344|ps=第五斉射の一弾}}。巨大な火柱が吹き上がって大爆発が発生し、フッドは被弾から3分以内に沈没した{{efn|イギリス側、ドイツ側とも、フッドの大爆発について各種の証言を残している{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=147}}。3人のフッド生存者のうち、艦橋にいたダンダス候補生とブリッグズ信号兵は「爆発音を全く聞かなかった」と証言している{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=148}}。またブリッグズ信号兵によれば、ホランド提督は[[船長の最後退船|脱出する意志がない]]ようだったという{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=161}}。}}。[[撃沈|轟沈]]であった{{efn|複数の二次資料は「大爆発によりフッドの艦体は両断された。」{{Sfn|英国軍艦写真集|2009|p=77a|ps=▲巡洋戦艦「フッド」Hood}}「真っ二つに割れた。」とする{{Sfn|ヨーロッパ列強戦史|2004|p=148}}。「船体が二つに折れて沈んだ」との表現もある{{Sfn|オスプレイ、ドイツ戦艦|2005|pp=34-35}}。}}。フッドは艦首を突き出して沈んでいったが、沈みながら前部主砲を発射したのをビスマルクが確認している{{Sfn|巨大戦艦ビスマルク|2002|p=184}}{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=150}}。
フッドの生存者は乗員1,419名中、3名であった{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|p=118}}。3名を救助したのは、随伴していた[[E級駆逐艦_(2代)|E級駆逐艦]]の{{仮リンク|エレクトラ (H27)|label=エレクトラ|en|HMS_Electra_(H27)}} (''{{lang|en|HMS Electra，H27}}'') である{{Sfn|英国軍艦勇者列伝|2012|pp=25-27|ps=フッドの最期を見とどける}}。
フッドは[[海軍休日]]時代（第一世界大戦～第二次世界大戦間）において[[イギリス帝国|大英帝国]]の象徴であり、世界中の諸国や人々から讃嘆と畏怖を寄せられた{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=97}}。1936年以降は[[建艦競争]]が激化し<ref>{{アジア歴史資料センター|J21022127800|件名Shin Sekai Asahi Shinbun 1936.08.10、nws_19360810(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.1〔 英米早くもスタートし建艦競爭の序曲騒がし 〕</ref>、第二次世界大戦時には老齢にさしかかっていたが<ref>[https://hojishinbun.hoover.org/en/newspapers/tnj19410526-01.1.1 Hoji Shinbun Digital Collection、Nippu Jiji, 1941.05.26、p.1、2023年5月28日閲覧] 新鋭ビスマルク號が勝つたは當然だ フツド號は艦齢ニ十歳ですべての點に於て劣る【東京二十六日同盟】（[[大本営]][[軍令部|海軍部]][[平出英夫]]大佐談話）</ref>、それでもイギリス海軍にとって重要な軍艦だった。理由は以下による。
*自国のより新型の戦艦である[[キング・ジョージ5世級戦艦|キングジョージ5世級]]の口径を上回る38.1cm砲を8門搭載したこと
*各国の新型戦艦（[[大和型戦艦|大和]]（1941年就役）、[[ビスマルク級戦艦|ビスマルク]]（1940年就役）、[[ノースカロライナ級戦艦|ノースカロライナ]]（1941年就役）等）と互角以上の速力を持ったこと
305 ⟶ 311行目:
== フッド喪失の影響 ==
ウェイク・ウォーカー少将は「フッド轟爆ス」の速報を送信した{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=156}}。本国艦隊旗艦キング・ジョージ5世では、暗号文から平文への翻訳ミスと思ったという{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|pp=420-421}}。フッドの喪失は、イギリス軍だけでなく、イギリス国民や諸外国を含めて大きな衝撃を与えた{{efn|たとえばウォーカー少将が将旗を掲げる重巡ノーフォークの艦長は、フッドの砲術長を務めたことがあった{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=157}}。Ｈ部隊を率いているサマヴィル中将も、先日まで旗艦だったフッドの喪失に衝撃を受けていた{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=158}}。}}。イギリス国民の大部分は、[[ダンケルクの戦い|ダンケルク撤退]]直後のように意気喪失したという{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=159}}。
だがイギリス軍はフッド復讐の決意を固め<ref>{{アジア歴史資料センター|J21022471600|Shin Sekai Asahi Shinbun 1941.05.28、nws_19410528(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.3〔 フッド號の仇討ち {{smaller|英艦隊の包圍下に苦戰三日間 乗組員}}千三百名も散華す 〕</ref>、[[:en:Last_battle_of_the_battleship_Bismarck|ビスマルク追撃戦]]に於ける作戦行動は断固としたものになった{{Sfn|オスプレイ、ドイツ戦艦|2005|pp=35-36}}{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=133-134|ps=原本242-244頁(第二九、フッド號撃沈の情景)}}。イギリス海軍はビスマルクを確実に葬るため、可動全戦力を動員して攻撃に充てた{{Sfn|列強の臨戦態勢|1941|pp=134-135|ps=原本244-247頁(第三〇、英艦隊ビスマーク號追撃)}}{{efn|ビスマルク追撃にイギリス海軍が投入した一連の艦艇は、主力艦（戦艦、巡洋戦艦）8隻、空母2隻、巡洋艦11隻、潜水艦6隻、支援航空部隊のべ300機であった{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=411}}。}}。ビスマルク撃沈の一因となったのは、空母[[アーク・ロイヤル_(空母・初代)|アーク・ロイヤル]]の[[フェアリー_ソードフィッシュ|ソードフィッシュ]]が投下した魚雷がビスマルクの艦尾に命中し、舵を破壊したからである{{Sfn|巨大戦艦ビスマルク|2002|pp=287-303|ps=(27)致命的な一撃}}{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|pp=313-319}}。これは[[因縁]]めいていた{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|p=125}}。フッドとアーク・ロイヤルは「Ｈ部隊」の"仲よし艦"として、長期間にわたり行動を共にしていたからである{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|p=125}}。舵の機能をうしなったビスマルクは真っ直ぐ走れなくなり<ref>{{アジア歴史資料センター|J20012051200|Nichibei Shinbun_19410529、jan_19410529(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.3〔 空雷の一齋猛射 滿身創痍のビスマルク 〕</ref>、イギリス艦隊に包囲され<ref>{{アジア歴史資料センター|J20012051000|Nichibei Shinbun_19410528、jan_19410528(スタンフォード大学フーヴァー研究所)}} p.1〔 孤軍奮闘遂に力尽きてビスマルク號撃沈さる 英艦重圍中に悲壮の最後 〕</ref>、集中攻撃をうけて撃沈された{{Sfn|ジョーダン、戦艦|1988|p=45|ps=(ビスマルク沈没時の航跡図)}}{{Sfn|壮烈!ドイツ艦隊|1985|pp=127-130|ps=「ビスマルク」壮烈な最期}}{{efn|5月27日の戦闘でビスマルクを直接攻撃したのは、戦艦[[キング・ジョージ5世 (戦艦)|キング・ジョージ5世]]（旗艦）、戦艦[[ロドニー (戦艦)|ロドネイ]]{{Sfn|世界の艦船、826号|2015|p=103}}、重巡[[ドーセットシャー_(重巡洋艦)|ドーセットシャー]]、重巡[[ノーフォーク_(重巡洋艦)|ノーフォーク]]であった{{Sfn|巨大戦艦ビスマルク|2002|p=370|ps=(ビスマルク最後の戦闘)}}。}}。
さらにイギリス海軍の行動はビスマルクを沈めた後も続き、その後のドイツ海軍（特に大西洋に配備された補給船）に対する攻撃はより徹底された{{Sfn|ビスマルクの最期|1982|p=413}}。1941年6月以降、イギリス海軍が大西洋水域の[[護衛船団|船団護衛]]に戦艦を投入する必要が皆無となったことからも、ドイツ海軍全般における水上艦の壊滅的状況がわかる<ref name=B>世界の艦船増刊第67集</ref>。
348 ⟶ 353行目:
乗員たちはフッドにおいて厳しい規律を強いられた。
睡眠環境には格差があり、艦長や艦隊指揮官にはゆったりとした[http://www.hmshood.com/photos/miscellaneous/miscship.htm 専用室]が、士官には何人かで共有する船室に専用の寝台が用意された一方、一般水兵はメスデッキにハンモックをかけて睡眠をとった。食堂のパン釜は一度に100kg以上のパンを焼くことができた。トイレと風呂は艦内のあらゆる所に設置され、寄港中のゴミは焼却炉で処分した（航行中は海へ投棄）。
士官と水兵は定期的に海軍内や陸海空軍合同のスポーツトーナメントに参加し、サッカー、クリケット、ボクシング、フェンシング、ボート競技などを行った<ref name=C></ref>。世界一周航海の時には、上陸時に使用する[[自動車]]を複数搭載していた<ref name="tne19240710p3" />。
艦内では多くのペットが飼われており、犬や猫、カンガルーが飼われていた。カンガルーのジョーイは1924年世界巡行の際にオーストラリア住民から贈られたものだった<ref name=C></ref>。
==生還者たち==
フッドの生存者は
*ウィリアム・ダンダス少尉候補生
387 ⟶ 394行目:
== 参考図書 ==
<!-- ウィキペディア推奨スタイル、著者五十音順 -->
* <!-- ウィリアムソン2005 -->{{Cite book|和書|author1=ゴードン・ウィリアムソン〔著〕|author2=イアン・パルマ―〔カラー・イラスト〕|others=手島尚〔訳〕|date=2005-11|title=世界の軍艦イラストレイテッド1 {{smaller|German Battleships 1939-45}} ドイツ海軍の戦艦 1939 ― 1945|chapter=|publisher=株式会社大日本絵画|series=オスプレイ・ミリタリー・シリーズ {{smaller|Osprey New Vanguard}}|isbn=4-499-22898-0|ref={{SfnRef|オスプレイ、ドイツ戦艦|2005}}}}
* <!-- オカベ2012 --> {{Cite book|和書|last=岡部|first=いさく|title=英国軍艦勇者列伝 {{smaller|Legend of British Fighting Ships}}|date=2012-06|publisher=大日本絵画|edition=初版|editor=小川 光二|isbn=9784499230865|location=東京都,千代田区|ref={{SfnRef|英国軍艦勇者列伝|2012}}}}
** BFS019「虎は美しかった {{smaller|巡洋戦艦タイガー}}」
392 ⟶ 400行目:
* <!-- ケネディ1982 -->{{Cite book|和書|author1=ルードヴィック・ケネディ 著|author2=内藤一郎 訳|coauthors=|date=1982-09|chapter=|title=戦艦ビスマルクの最期|publisher=早川書房|series=ハヤカワ文庫|isbn=4-15-050082-7|ref={{SfnRef|ビスマルクの最期|1982}}}}
* <!-- クナイ2015-03 -->{{Citation|和書|editor=[[宮内庁]]|coauthors=|authorlink=|year=2015|month=3|title=昭和天皇実録 第三 {{small|自大正十年至大正十二年}}|chapter=|publisher=東京書籍株式会社|ISBN=9784487744039|ref=昭和天皇実録三巻}}
* <!-- ショアーズ2002 -->{{Cite book|和書|author1=クリストファー・ショアーズ|author2=ブライアン・カル|coauthors=|others=伊沢保穂 訳 |date=2002-01|chapter=第一章 神秘の東洋と戦争への流れ|title=南方進攻航空戦 1941 ― 1942 {{lang|en|BLOODY SHAMBLES}}|publisher=株式会社大日本絵画|series=|isbn=4-499-22770-4|ref={{SfnRef|南方進攻航空戦|2002}}}}
* <!-- ジョーダン1988 -->{{Cite book|和書|author1=ジョン・ジョーダン|others=石橋孝夫(訳)|date=1988-11|chapter=|title=戦艦 {{smaller|AN ILLUSTRATED GUIDE TO BATTLESHIPS AND BATTLECRUISERS}}|publisher=株式会社ホビージャパン|series=イラストレイテッド・ガイド6|isbn=4-938461-35-8|ref={{SfnRef|ジョーダン、戦艦|1988}} }}
* <!-- セカイ22 -->「世界の艦船 増刊第22集 近代戦艦史」（海人社）
| |||