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アメリカ合衆国著作権局やイギリス著作権局などの文書を出典として、定義部や概説を改稿。
1行目:
{{特殊文字|説明=丸の中にCなど、[[丸付き文字]]}}
[[File:All rights reserved.jpg|thumb|DVDのディスク上に明記された、会社名 + 「ALL RIGHTS RESERVED TM ®(アールマーク)& COPYRIGHT ©(Cマーク) 2007...」の表示。]]
'''著作権表示'''(ちょさくけんひょうじ、{{Lang-en-short|copyright notice}})は、[[著作物]]の[[複製著作権者]]物につけるがその[[著作権]]は自身にあることを人々に知らせるために、著作物の発行年等[[複製]]物関すつける表示である<ref name="US_CO_p1">[https://www.copyright.gov/circs/circ03.pdf United States Copyright Office, "Copyright Notice"](アメリカ合衆国著作権局「著作権表示」)p.1</ref>
 
== 概要 ==
著作権表示は次の3つの要素を、通常は連続するひとつの短い文として表示する<ref name="US_CO_p1" />。
著作権表示をすることにより、その作品に著作権があることを人々に知らせることができ、著作権者の名を知らせることができ、最初の発行年を知らせることができる。それに加えて、その作品に対する侵害行為が行われた場合、作品に正しく著作権表示をしてあれば、裁判所は、著作権侵害を行った者が「善意の著作権侵害だった(その作品が著作権で守られているとは知らなかったから著作権侵害してしまった)」などといった内容の主張をしても、そのような主張を一切認めない。「善意の著作権侵害」が認められてしまうようだと、著作権者は損害を被ることになり、本来受け取れるはずだった著作権料が減額され(たり、受け取れなかったりす)る。
*©マーク<ref name="US_CO_p1" />。(米国ではその他 copyrightという言葉、あるいは「copr.」という短縮語。なお、米国では[[:en:phonorecord]](音響作品)に関しては ℗マークをつける<ref name="US_CO_p1" />)
*著作物の発行年<ref name="US_CO_p1" />
*[[著作権者]]の名前<ref name="US_CO_p1" />
 
たとえば次のように表示する<ref name="US_CO_p1" />。
:© 2017 John Smith <ref name="US_CO_p1" />
あるいは次のように表示する。
:© John Smith 2017 {{Efn|発行年と著作権者名の表示の順番は入れ替えても良い、ということ。}}
:© 中村太郎 2022
 
イギリス著作権局は「著作権表示は任意ではあるが、それでも、あなたの作品に最低でもひとつ著作権表示をすることで、著作権侵害される可能性を防ぐことを<u>強くお勧めする</u>{{Efn|原文の英語で、strongly recommendedと表現されている。}}。」としている<ref name="UK_I_P_O">
[https://www.gov.uk/government/publications/copyright-notice-digital-images-photographs-and-the-internet/copyright-notice-digital-images-photographs-and-the-internet UK Intellectual Property Office, "Using Copyright Notices"] イギリス著作権局「著作権表示の使用」
</ref>。
 
アメリカ合衆国著作権局は、「発行が1989年3月1日以降の作品に関しては著作権表示をするかどうかは[[任意]]ではあるが、著作権表示をすると次のような利点がある」と指摘し、<ref name="US_CO_Advantages">[https://www.copyright.gov/circs/circ03.pdf United States Copyright Office, "Copyright Notice" pp.3-4 "Advantages to Using a Copyright Notice"](アメリカ合衆国著作権局「著作権表示」。「著作権表示を使用することの利点」の節)</ref>、次の5つの利点を挙げている。
 
* その作品を使う可能性のある人々に、その作品には著作権があると主張されている、と気づかせることができる<ref name="US_CO_Advantages" />。
* 公表する作品に著作権表示をしておくと、著作権侵害をする者が " 善意の著作権侵害 "を根拠にして責任逃れをしようとしたり 差し止め請求を回避してしまうような事態を防ぐことができる<ref name="US_CO_Advantages" />。
* 作品に著作権表示をしておくと、その作品を使用するために使用の許可を求める人々に対して、作品が発行された時点の著作権者が誰なのか明示することができる<ref name="US_CO_Advantages" />。
* 著作権表示は発行年を明確にし、これにより匿名や仮名の作品などでも著作権保護の期間がいつまでなのかはっきりさせることができる<ref name="US_CO_Advantages" />。
* 作品に著作権表示をしておくと、権利者名と権利期間が明確になるので、その作品が[[オーファンワークス]](権利者不明作品)になってしまう事態を防ぐことができる<ref name="US_CO_Advantages" />。
 
著作権表示をすることにより、その作品に著作権があることを人々に知らせることができ、著作権者の名を知らせることができ、最初の発行年(最初に公表した年)を知らせることができる。それに加えて、その作品に対する侵害行為が行われた場合、作品に正しく著作権表示をしてあれば、裁判所は、著作権侵害を行った者が「善意の著作権侵害だった(その作品が著作権で守られているとは知らなかったから著作権侵害してしまった)」などといった内容の主張をしても、そのような主張を一切認めない。「善意の著作権侵害」が認められてしまうようだと、著作権者は損害を被ることになり、本来受け取れるはずだった著作権料が減額され(たり、受け取れなかったりす)る。
<ref>Use of the notice informs the public that a work is protected by copyright, identifies the copyright owner, and shows the year of first publication. Furthermore, in the event that a work is infringed, if the work carries a proper notice, the court will not give any weight to a defendant's use of an innocent infringement defense—that is, to a claim that the defendant did not realize that the work was protected. An innocent infringement defense can result in a reduction in damages that the copyright owner would otherwise receive. </ref>
 
あらかじめ著作権表示をはっきりとしておかないと、「(表示が無かったから)私は(この作品について)著作権があるとは知らず、[[パブリックドメイン]]のものだと思った。だから複製を作り大量配布した」という理屈を法廷で述べられてしまえば、それがまかり通ってしまう、という法理があり([[#その他の法的効果]])、その複製物を見た者がやはり「著作権があるとは知らず、パブリックドメインのものと思い、さっそく大量複製した」という理屈で複製の連鎖的作成と配布が容易に起き、自分の作品について著作権表示の無い複製が何種類か世の中に散布された段階で、結局、もう誰にも無許可(無契約)の複製の連鎖を止めようが無いという事態に陥るのである。イギリスの著作権局が著作権表示を強く勧奨しているように、自分の著作権を護りたければ著作権表示をすることは重要なのである。{{Efn|もちろん、最初から自分の作品の著作権をる気がまったく無いようければ人は、著作権表示をしなくてよい。著作権表示の使用は、「義務」ではなく、「任意」なのである。ちょうど、玄関のドアに[[錠前]]を設置し施錠することは「義務」ではなく「任意」であるが、一般に、施錠することが(警察などによって)強く勧められ、ほとんどの人々が通常は施錠するが、一方で、空き巣や こそ泥 や強盗などに入ってもらってかまわないと考えている人の場合は施錠しない自由もある、というのと同様の論理構造になっている。}}
 
また、まっとうに[[著作権#著作物利用許諾契約|利用許諾]]を得るための交渉をしたい人がいる場合や、相応の著作権料を払うための交渉をしたい人がいる場合もあるので{{Efn|実際、作品を公表した著作者には、そのような問い合わせがそれなりの頻度で来るものである。}}、そういう人々の立場からすると、著作権表示がされていないと、いったい誰に連絡をとり誰と交渉すればよいのかさっぱり分からないということになってしまうので、その意味でも著作権表示をしておくほうが良いのである。{{Efn|また著作権表示をしておかないと、使用許可を求める人や著作権料を払って作品を使いたい人があてずっぽうに著作権者を探した結果、誤って、本当の著作権者<u>ではない人</u>に連絡をとってしまい、その者が真の著作権者のようなフリをしてお金を詐取してしまうということも起きる(現実世界では実際、その種の詐欺事件が、ときどき起きる)。}}
 
(本当の著作権者であれば、自分の作品に)著作権表示は自由に(勝手に)つけることができる<ref>[https://www.kjpaa.jp/qa/46515.html 日本弁理士会 関西会「著作権表示」]</ref>。著作権表示をするのに、当局の特別な許可は必要ない。たとえばアメリカ合衆国著作権局に著作権表示をする許可を求める必要も無いし、日本の文化庁などに自分の作品に著作権表示をする許可を求める必要もない。{{Efn|むしろ、著作権表示に関しては、いちいち許可を求めてはいけない。そんなことをしたら当局の人々は対応事務に追われ、迷惑する。}}
 
ただし、本当の著作権者でもない者が、あたかも自分が著作権者であるかのように、虚偽の著作権表示をすることは違法である。
現在では、(かつての主要な意義であった)[[#著作権の発生要件としての要否|#著作権の発生要件]]としての意義は薄れたが、現在でも(以前は "[[#副次的目的|副次的目的]]"とされた目的のために)重要であり、著作権表示をすることによってはじめて、そもそも当作品に著作権があるということや、誰に著作権があるか、ということを世の人々に周知できる。また、まっとうに[[著作権#著作物利用許諾契約|利用許諾]]を得るための交渉をしたい人がいる場合や相応の著作権料を払うための交渉をしたい人がいる場合も想定して、その場合の連絡先を知らせるためにも著作権表示はしておく必要がある。
 
なお、著作権表示には著作物の最初の発行年も表示するので、それによりその作品の著作権がいつ消滅するかも判断できるというしくみなっている。
 
== 万国著作権条約の内容と著作権表示 ==