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'''厘'''(りん)は、基準単位の{{sfrac|1|100}}(100分の1)の[[数]]を表す[[単位]]である。[[尺貫法]]では分量単位として用いられる。元の用字は「[[wikt:釐|釐]]」で、厘はその[[俗字]]である。
 
1厘は 10[[毛 (数)|毛]]、100[[糸 (数)|糸]]、1000[[忽]]に相当し、[[SI接頭語]]ではc([[センチ]])に相当する。これは中国、台湾の国際単位系(SI)でも同じであり、{{分数|1|100}}のセンチ(centi、記号は c)には「厘」を使用している([[:zh:国际单位制词头]])。ただし、{{分数|1|1000}}のミリ(milli、記号は m)には「毫」を使用している。
 
== 使い方 ==
中国および日本などにおいて使われている、あるいは過去に使われていた「厘」の用法は、主に以下のものがある。
{| class="wikitable" text-align:center;"
|+ 十進法による単位系
! [[数]] !! [[温度]] !! colspan="2" | [[長さ]] !! [[十二時辰]] !! [[銀目]] !! [[割合]] !! [[免]] !! 長さ !! [[質量]] !! [[満州国圓]] !! [[円 (通貨)|日本円]]
|-
| [[1000]] || || || || || [[貫]]☨ || || || [[引]] || 貫*☨ || ||
|-
| [[100]] || || || || || || || || [[丈]] || || ||
|-
| [[10]] || || || ({{分数|5|2}}'''[[束 (単位)#長さの単位|束]]''')☨ || || || (全体) || ([[石高]]) || '''[[尺]]'''* || '''[[両]]''' || '''[[圓]]''' || '''[[円 (通貨)|円]]'''<ref group="注">現代の視点では1円が10にあたるというのは聊か不思議に見える。判っているのは、[[新貨条例]]に先立ち、[[大隈重信]]が、各国通用の制に則り、100銭を1元(圓)、1銭の{{分数|1|10}}を1厘とするように建議したということのみ。銭は[[セント]]に通ずるとされる([[#Mikami (1996)|三上(1996), p.297-298]])。一方、何を根拠に{{分数|1|100}}を意味する厘が元(圓)の{{分数|1|1000}}の単位に置かれたかは不明([[#Hisamitsu1976|久光(1976)p163.]])。その時に定められた貨幣単位が今日に受け継がれている。</ref>
|-
| [[1]] || '''[[セルシウス度|度]]''' || '''[[文 (通貨単位)#長さの単位|文]]''' || 伏☨ || '''時'''([[刻]]) || '''[[匁]]'''☨ || '''[[割]]''' || '''一つ''' || [[寸]] || 銭(匁☨) || 角 ||
|-
| [[0.1]] || [[分 (数)|分]] || 分 || 分 || 分 || 分 || 分 || 分 || 分 || 分 || 分 || [[銭]]☨
|-
| style="background-color:#ddf;"| [[1/100|0.01]] || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 厘 || style="background-color:#ddf;"| 釐 || style="background-color:#ddf;"| [[一厘硬貨|厘]]
|-
| 0.001 || [[毛 (数)|毛]] || 毛 || 毛 || 毛 || 毛 || 毛 || 毛 || 毛 || 毫(毛) || ||
|-
| colspan="12" | 太字は基本単位。* [[度量衡法]]で基本とされた単位。☨日本独自の単位。<br />1 に相当する単位が「分」に対する上位の単位であり、「厘」はこれに対し{{分数|1|100}}となる。
|}
=== 長さの単位 ===
1厘は{{sfrac|1|100}}[[寸]]であり、{{sfrac|1|3 300}}[[メートル]](約0.303[[ミリメートル]])に相当する。また、[[鯨尺]]1厘は{{sfrac|25|66 000}}メートル(約0.379ミリメートル)に相当する<ref group="注釈">[[度量衡法]](明治24年3月24日法律第3号)では鯨尺1分までしか定めていない。</ref>。
 
=== 質量の単位 ===
1厘は{{sfrac|1|100}}銭([[匁]]であり<ref>[[#小泉1979|小泉(1979), p. 259]]</ref>正確に37.5ミリグラムに相当する。
 
質量の単位としての「厘(釐)」に由来する言葉としては、釐等具(れいてんぐ)があり、これは江戸時代に用いられた[[竿秤]]の一種で、厘などのわずかな量まで精密に量ることのできるもののことをいい、厘秤(りんばかり)、厘揉 (りんだめ)とも呼ばれた。
 
=== 無次元量の単位 ===
厘は、[[分 (数)|分]]の{{sfrac|1|10}}であり、長さ、質量と同じく、厘は基準分に対する上位の単位の{{sfrac|1|100}}(100分の1)を表す[[単位]]である。しかし[[割]]とともに用いられる場合においては、1/1000 を表すと誤解されることがある。「3割2分8厘」のように用いられる場合、これは、3.28割の意味である。したがって、分は割の1/10、厘は割の1/100である。
 
このとき、厘は全体(10割)から見れば{{sfrac|1|1 000}} = 0.001(0.1[[パーセント]]、1[[パーミル]]に相当)とはなるのであるが、この場合の厘の意味はあくまで割の{{sfrac|1|100}}である。「厘」は、何割何分何厘何毛というときの厘は、1「割」(0.1) の {{分数|1|100}}のことと理解しておく必要がある<ref>二村隆夫監修:「丸善 単位の辞典」、p.377、2002年3月25日発行、ISBN 4-621-04989-5</ref>。
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[[1944年]][[7月28日]]、タバコのバラ売りが行われるようになった際には、[[ゴールデンバット|金鵄]]1本あたりの価格は2銭2厘5毛となったため、厘単位の端数発生を避けるために4本もしくは8本売りされた<ref>「金鵄」のバラ売り始める(昭和19年7月28日 毎日新聞(東京)『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p577 毎日コミュニケーションズ刊 1994年</ref>。この時点で厘の使用が避けられ始めていたことが窺える。
 
厘が基準単位の1/100を表す単位であり、[[人民元]]や[[ニュー台湾ドル]]、[[満州国圓]]などの通貨単位で元/圓→角→分→厘(単位ごとに1/10となる)となっており、これらの通貨で分が角の1/10、厘が角の1/100を意味するところから比較して考えると、日本の円/圓→(十銭)→銭→厘は、厘の基準単位となるべき十銭の位(角に相当)に単位名が付けられず、分の代わりに銭という単位名が付いていると見ることができる。
 
日本円の厘は[[銀目]]で、匁の{{分数|1|100}}として用いられたことが発想の基とする説もあるが、[[新貨条例]]制定時にどのような経緯で厘が定められたかは不明である<ref name="Hisamitsu1976">[[#Hisamitsu1976|久光(1976)p163.]]</ref>。
 
== 歴史 ==
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=== 注釈 ===
{{Notelist}}
{{Reflist|group=注}}
=== 出典 ===
<references />
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=小泉袈裟勝|authorlink=小泉袈裟勝 |date=1979-12-01 |title=歴史の中の単位 |publisher=総合科学出版 |page= |id= |isbn=978-4-88181050-7 |ref=小泉1979 |quote= }}
* {{Cite book|和書|author=三上隆三|authorlink=三上隆三 |title=江戸の貨幣物語 |publisher=東洋経済新報社 |year=1996 |isbn=978-4-492-37082-7 |ref=Mikami (1996)}}
* {{Cite book|和書|author=久光重平 |title=日本貨幣物語 |edition=初版 |series= |volume= |publisher=[[毎日新聞社]] |date=1976 |isbn= |ref=Hisamitsu1976}}
 
==外部リンク==