「ボクサーズ・アンド・セインツ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m 解消済み仮リンクジャック・タルディリーニュ・クレールを内部リンクに置き換えます (今回のBot作業のうち83.2%が完了しました)
Zaqwsx120 (会話 | 投稿記録)
タグ: 差し戻し済み モバイル編集 モバイルウェブ編集
(同じ利用者による、間の1版が非表示)
145行目:
}}
 
== 社会的分析•批 ==
ニューヨーク・タイムズ紙のウェスリー・ヤンは、「ヤンは表向きは公平に対立する視点を提示しているが、義和団の乱を、彼らが守ると誓った文化そのものを傷つけることになった外国人嫌いが行った一連の虐殺と見ているのは明らかだ」と書いている<ref>Yang, Wesley (2013-10-13). "Views of the Rebellion Gene Luen Yang's 'Boxers' and 'Saints'". The New York Times. Retrieved 2018-03-14.</ref>
=== 批評 ===
ヤンはアメリカ社会に溶け込もうとする中国系少年を描いた『[[アメリカン・ボーン・チャイニーズ]](ABC)』(2006年)によって[[グラフィックノベル]](漫画)作品として初めて[[全米図書賞]]児童文学部門へのノミネートを受けた<ref>{{cite web|url=http://cbldf.org/2013/07/using-graphic-novels-in-education-american-born-chinese/|accessdate=2021-12-25|title=Using Graphic Novels in Education: American Born Chinese|publisher=Comic Book Legal Defense Fund|date=2013-07-31}}</ref>。{{仮リンク|集団アイデンティティ|en|Collective identity}}や神話・象徴性のテーマを引き継いだ{{sfn|Earle|2018|p=76}}本作もまた高く評価され、2013年に再び同賞にノミネートされた<ref name=cbldf>{{cite web|url=http://cbldf.org/2013/10/using-graphic-novels-in-education-boxers-saints/|accessdate=2021-11-28|title=Using Graphic Novels in Education: Boxers & Saints|publisher=Comic Book Legal Defense Fund|author=Meryl Jaffe |date=2013-10-31}}</ref>。[[ワシントン・ポスト]]紙は本作が前作より一段と野心的なテーマを扱っていると評価した<ref name=wp/>。ジェイムズ・バッキー・カーターは「ヤンの最高傑作として、そしてもっとも論じられる作品として、『ABC』に並ぶか取って代わることは確実だ」と述べた<ref name=lajmreview/>。児童文学作家[[ゲイリー・シュミット]]は次のように書いている<ref name=macmillan>{{cite web|url=https://us.macmillan.com/books/9781596439245/boxerssaintsboxedset|accessdate=2021-11-23|title=Boxers & Saints Boxed Set|publisher=Macmillan}}</ref>。
{{Quote|ジーン・ルエン・ヤンはまたもや{{interp|『ABC』に続いて}}、もっとも深い文化的・宗教的な自己そのままに生きようと苦闘するキャラクターたちによって、自己のアイデンティティと集団間の相互理解という何より難しい問題へと私たちを巧みに引き込んだ。… この作品の卓越性は、… テンポのいいアクションやユーモアと、とてもリアルなキャラクターや心臓が縮み上がるような描写とを融合させた上で、世界が絶望に覆われていることと私たちが慈愛を切望していることを痛いほど感じさせるところにある。}}
 
『オースティン・クロニクル』紙のダン・ソロモンは、この本は「非常に個人的で、人物に焦点を当てたものであり、義和団の乱について500ページを前にして、必ずしも予想されるようなものではない」と書いている<ref>Solomon, Dan. "One-Two Punch." Austin Chronicle. Friday September 20, 2013. Retrieved on October 4, 2013.</ref>
中国近代史とキリスト信仰というニッチな題材を<ref name=wired/>ポップなコミックとして作品化したことは複数の評者によって賞賛されている。作家・出版者{{仮リンク|デイヴ・エガーズ|en|Dave Eggers}}は「たまたまグラフィックノベルの形式を取った歴史物語の傑作であり、中国史上の複雑な時期を分かりやすく伝える概説」と呼んだ<ref name=macmillan/>。ダン・ソロモンは{{仮リンク|ジ・オースチン・クロニクル|en|The Austin Chronicle|label=オースチン・クロニクル}}紙への寄稿で、本書が義和団の乱を扱った大著としては意外なほど「パーソナルでキャラクタードリブンな作品」だと書いた<ref name=austin/>。{{仮リンク|A.V. Club|en|The A.V. Club}}は2013年のグラフィックノベル/アート系コミック作品の第3位に本書を挙げ、現代の読者にも共感できる「思春期の普遍的な感情」をよく捉えていると評した<ref>{{cite web|url=https://www.avclub.com/the-best-graphic-novels-and-art-comics-of-2013-1798242445|accessdate=2021-11-29|title=The best graphic novels and art comics of 2013|publisher=The A.V. Club|date=2013-12-11}}</ref>。アジア系アメリカ人コミュニティの雑誌『{{仮リンク|ハイフン (雑誌)|en|Hyphen (magazine)|label=ハイフン}}』は本作が近代中国と西洋の交流史の初期を描く名作の系譜に並んだと書いている<ref name=hyphen/>。
 
『Sinophone-Anglophone Cultural Duet』の著者であるSheng-mei Maは、『Saints』は全体的に『Boxers』よりも喜劇的な作品であり、ビビアナがキリスト教の歴史に退屈しているシーンは、ローマ・カトリックの著者による「自虐的なユーモア」を示していると述べている。<ref>Ma, Sheng-mei. Chapter 7 in Part II: Anglo. Sinophone-Anglophone Cultural Duet. Springer Science+Business Media, July 26, 2017. ISBN 3319580337, 9783319580333. Chapter start p. 103. CITED: p. 113.</ref>
=== 受賞 ===
 
== 受賞•ノミネーション ==
* 2013年[[全米図書賞]]児童文学部門ノミネート<ref>{{Cite web|url=http://www.nationalbook.org/nba2013_ypl_luenyang.html#.VOCn3fnF98E|title=2013 National Book Award Finalist, Young People's Literature|accessdate=2021-11-27|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150215162238/http://www.nationalbook.org/nba2013_ypl_luenyang.html#.VOCn3fnF98E|archivedate=2015-02-15}}</ref>
* 2013年『{{仮リンク|ブックリスト|en|Booklist}}』児童向け宗教・スピリチュアリティ関連書トップ10<ref>{{Cite book|url=http://www.booklistonline.com/Top-10-Religion-and-Spirituality-Books-for-Youth-2013-Ilene-Cooper/pid=6460821|title=Top 10 Religion and Spirituality Books for Youth: 2013|last=Cooper, Ilene|date=2013-11-15|accessdate=2021-11-27}}</ref>
* 2013年『{{仮リンク|スクール・ライブラリー・ジャーナル|en|School Library Journal}}』ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー<ref>{{Cite web|url=http://www.slj.com/2013/11/reviews/best-of/slj-best-books-2013-fiction/|title=SLJ Best Books 2013 Fiction|date=2013-11-21|accessdate=2021-11-27}}</ref>
* 2013年{{仮リンク|ロサンゼルス・タイムズ・ブック・プライズ|en|Los Angeles Times Book Prize}}(ヤングアダルト文学)<ref>{{Cite web|url=http://www.latimes.com/books/jacketcopy/la-et-jc-winners-los-angeles-times-book-prizes-20140411,0,4418200.story|title=Jacket Copy: The winners of the Los Angeles Times Book Prizes are ...|website=[[Los Angeles Times]]|author=Kellogg, Carolyn|date=2014-04-11|accessdate=2021-11-27}}</ref>
 
=== 教育への利用 ===
高校教員でもある作者ヤンは本作を学校教材として用いることを勧めている。ヤンによるとアメリカの[[中等教育]]で義和団の乱が大きく扱われることはないが<ref name="MTVInt"/>、「[[百年国恥]]」と呼ばれるこの時期の歴史は現代でもなお中国の文化や外交に影を落としており、教育上重要だという<ref name=woc/><ref name=npr/>。ヤンは自身のサイトで米国の学習基準である{{仮リンク|各州共通基礎スタンダード|en|Common Core State Stanrards}}に基づいたティーチャーズガイド(ブライアン・ケリー著)を公開している。対象は高校、[[アドバンスト・プレイスメント]]、大学の英文学教育である<ref name=guide/>。コミック文化の振興を掲げる[[コミック弁護基金]]も本作が「紛争を複数の観点から解釈・分析することの重要性を示しており、理解と寛容を教え学ぶために有用だと期待される」としてティーチャーズガイドを作成している<ref name=cbldf/>。{{仮リンク|国際リテラシー学会|en|International Literacy Association}}のエイミー・ロジャーズもまた、7&ndash;12年生向けの英語/言語科目([[マジックリアリズム]])、歴史/社会、地理、芸術、音楽の科目で本作を利用することを推奨している<ref name=ila>{{cite web|url=https://www.literacyworldwide.org/blog/literacy-now/2013/10/01/putting-books-to-work-gene-luen-yang-s-boxers-and-saints|accessdate=2021-11-28|title=Putting Books to Work: Gene Luen Yang’s BOXERS and SAINTS|date=2013-10-08|publisher= International Literacy Association |author=Aimee Rogers}}</ref>。
 
== 脚注 ==