「歩兵の戦術」の版間の差分

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== 概説 ==
陸上戦闘において歩兵部隊は現代においても重要な役割を担っており、特に市街地・ジャングル・山岳・建築物室内などの地形における戦闘は歩兵部隊がなくては成立しない。[[陣地防御]]などの[[防御]]行動を行う状況を除き、歩兵戦術の中核となっているのは「ファイア・アンド・ムーブメント(fire and movement)」という概念である。この思想は古代では[[孫子]]が論じ、歴史的にも所々で実践されていたが、現代戦術理論として確立されたのは20世紀に[[米海兵隊]]第29代司令官グレイが著書『戦闘(Warfighting)』において原理や戦術思想が理論化したことに始まる。ファイア・アンド・ムーブメントの基本思想とは、歩兵部隊の基本的な交戦単位となる分隊を「射撃チーム」と「機動チーム」に分割し、射撃チームが敵の行動を妨げるための制圧射撃を行い、機動チームはその隙に迂回・包囲し敵の側面・後衛に突撃・火力攻撃を加え殲滅する、というものである。現代の[[陸軍]]のほとんどはこの思想を受け入れており、部隊の編成・装備・訓練もこれに則っている。
 
== 機動 ==
近代以降の歩兵はそのほとんどが[[装甲兵員輸送車]]や[[貨物自動車|トラック]]、[[ヘリコプター]]などで移動することが一般的になっており、地域間の機動力は非常に高まっている。しかし戦闘において歩兵が戦闘慮を発揮するためには下車し、徒歩で柔軟に地形に対応しながら機動しなければいけない。
歩兵の機動は一定の論理に基づいており、その隊形や移動ルート、姿勢、チームワークのパターンはすべての歩兵が熟知し、遅滞なく機動が行われないといけない。基本的に、まず壁や壕、くぼ地などのあらゆる遮蔽物を活用し、銃火にさらされる時間を可能な限り縮めなければいけない。そしてどうしても敵に姿を見せなければ移動できない場合は次に移動する場所を予め決め、すばやく低姿勢で2~5秒ていどで隠れなければ、敵の狙い撃ちを受ける危険性が高まる。背が低い遮蔽物の後ろを移動する際には[[匍匐]]で移動する。
 
== CCD ==
偽装(camouflage)と隠蔽(concealment)とおとり(decoy)はCCDと呼ばれ、敵に発見されないために非常に重要視される技術である。装備や陣地、[[兵士]]を偽装し、隠蔽することで敵が得られる情報を不完全なものにすることは、それ自体が戦術的に優位であり、交戦においても個々の歩兵の生存を守ってくれる。偽装を行う際は地形や天候だけでなく、季節や色や輪郭線にも気をつけ、視認性を低めるようにすることが重要であると考えられている。[[迷彩服]]は最も基本的な歩兵の偽装であり、各国が独自に迷彩のパターンを研究している。森林などにおいては緑のフェイスペイントをつけ、枝葉で体の輪郭を隠せば視認性が低下する。
 
== 築城 ==
[[築城]]([[戦闘]]において地形上優位を確保するための[[陣地]]や塹壕や土塁などの建設の総称)は歩兵。これらの仕事によって地形における優位を確保することは[[戦闘]]という混乱した状況において歩兵の生存率を確実に引き上げる。[[地雷]]原を設置し、警戒用のワイヤを張り、壕を掘り、バリケードを築き、重要地点に銃座を接地し、さらに掩蔽した交通路を確保すれば多少敵の戦力が量的に大きくても抗戦が可能である。一般論的には敵の三分の一の兵力でも[[築城]]が的確に行われていれば、対抗できると考えられている。歩兵はこの陣地の設営の仕方を訓練で叩き込まれる。陣地の前方は見晴らしがよく、また陣地の深さは最低でも50cm程度の深さが必要である事、また偽装をしっかりと施し、他の戦闘陣地と射撃区域を分担する事で効率的に攻撃をするなどのあらゆるノウハウが歩兵に要求される。
 
== パトロール ==
[[パトロール]]は基本的に[[偵察]]、[[攻撃]]、[[追跡]]の三つの意味がある。特に[[偵察]]活動は歩兵にとっては危険ではあるものの、現在の状況を確実に把握し情報を収集するために必要であり、地域の支配権を左右する重要な活動である。敵陣地の位置や部隊配置、敵戦力の規模などの情報が確実であれば、本格的な攻撃を加える際にも支援の空爆や[[火砲]]で効率的な攻撃が可能であり、その地域における戦闘の主導権を確保することができる。パトロールは敵の勢力圏やその境界において行われるために、敵の[[伏撃]]や[[ブービートラップ]]、不意の[[遭遇戦]]などが発生する。歩兵の[[戦闘]]のほとんどはパトロール中に行われるものである。
 
== 関連項目 ==