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'''ソノルミネッセンス'''(Sonoluminescence SL)は、液体中の気泡が[[超音波]]によって圧壊したときに起こる[[発光]]である。発光機構については見解が統一されておらず、未解明な部分が多い現象である。
 
液体に超音波を照射すると、[[キャビテーション]]現象によって無数の気泡が発生する。気泡は超音波が負圧になったときは膨張し、正圧になったときは収縮する。特に、超音波の共振径付近のサイズの気泡は音速に近い速度で急激に収縮するため、[[断熱圧縮]]の効果によって瞬間的に数千度以上の高温状態となる。
 
このとき気泡の内部では、液体中高温溶け込んだガスのよって熱励起された原子・分子による発光や、蒸発した液体分子の化学反応[[ラジカル]]によって[[化学発光]]が生じる。また、強く圧縮された気泡からは[[電離]]した気体からの[[プラズマ]]発光も生じるといわれている。
 
気泡内の高温場で生成した分子は液体中に溶け出し、様々なソノケミカル反応を起こす(水中では特にOHの反応がさかんに起こる)。このときに起こる化学発光もソノルミネッセンスの一部である。
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===ソノルミネッセンスの特徴===
*長さが数十~数百ピコ秒のパルス発光である。
*微弱な発光なので暗室の中でしか確認できない。ただし、液体に[[ルミノール]]などの[[蛍光]]物質を添加すると比較的強い発光が起こる。
*シングルバブルソノルミネッセンス(SBSL)では、超音波に同期して時計のような正確な周期で発光が起こる。
*分光スペクトルからは、紫外から可視域に渡る広い連続スペクトルと、原子・分子からの鋭い線スペクトルが観測される。
*希ガスが溶けている液体中では強い発光が起こる。キセノン>アルゴン>ヘリウムというように、重たい希ガスほど発光が強い。
 
== マルチバブルソノルミネッセンス(Multi Bubble Sonoluminescence MBSL)==
 
ガスをたくさん含んだ液体中に超音波を照射すると、多数の気泡から発光が起こる。これをマルチバブルソノルミネッセンス(MBSL)という。多数の気泡が同時に振動すると、気泡どうしの相互作用によって気泡形状が歪んだり、気泡振動が乱れたりする。これらの効果は多くの場合気泡の圧壊を妨げる働きをするため、MBSLは下記のSBSLに比べると低温な発光である。MBSLを分光すると、[[黒体輻射]]に似た広い連続スペクトルと、原子・分子を由来とするバンドスペクトルや線スペクトルが観測される。
 
== シングルバブルソノルミネッセンス(Single Bubble Sonoluminescence SBSL)==
 
よく脱気した液体中に超音波を照射して[[定在波]]をつくり、ここに注射器などを使って気泡を一つだけトラップする。このとき起こる発光をシングルバブルソノルミネッセンス(SBSL)という。SBSLの気泡は球形を保ったまま強く圧壊するので、非常に高温状態になる。SBSLを分光すると、黒体輻射に似た広い連続スペクトルのみが観測され、原子・分子を由来とする構造を持ったスペクトルは観測されない。
 
== 関連項目 ==