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'''トルクレンチ'''(''torque wrench'')とは、所定の[[トルク]]で[[ボルト]]や[[ナット]]を締め付けるための工具と、締め付けられた[[ボルト]]や[[ナット]]の[[トルク]]を[[測定]]するための[[工具]]で、[[レンチ]]状の形をしたものの総称。
 
<s>'''トルクレンチ'''(''torque wrench'')とは、所定の[[トルク]]で[[ボルト]]や[[ナット]]を締めるための[[工具]]の一種。</s>
== 概要 ==
トルクレンチは、ディーラーや整備場でのメンテナンスから、メーカーでの生産に幅広く用いられている[[トルク機器]]である。ねじ部品には設計段階から[[軸力]]が設定されているが、[[軸力]]を測定するには高価な測定器や設備が必要となることから、代わりに[[トルク]]による締め付け管理が行われている。締め付け不足による緩みや、締め過ぎによる破損、あるいは締め付けの個人差による製品品質のばらつきを防ぐため、トルクレンチが用いられる。
ボルトやナットを締める際には、大きさや対象物により適正トルクが定められている。適正トルクよりも大きなトルクでボルトを締めるとボルトや部品が破損するおそれがあり、トルクが足りない場合には振動等でボルトが緩み、部品が外れてしまうなどの危険がある。そのため、トルクレンチを用いてトルク管理を徹底しなければならない。
名称に[[レンチ]]が含まれているため他の工具と同様に[[工具箱]]への収納など乱雑に扱われがちであるが、[[測定器]]の一種でもあり、その精度を維持するために使用や保管時には注意が必要である。本来の使用方法として、所定のトルク近くまでを通常のレンチで締付け、締付けの最終段階にトルクレンチにて計測を伴った締付けを行なうことが推奨されるが、工具の持ち替えなど作業効率の観点から、締付け初期から一貫してトルクレンチを用いることも多い。
 
== トルクレンチの種類 ==
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[[Image:Click-torque-wrench.jpg|thumb|right|プリセット形シグナル式トルクレンチ]]
 
シグナル式トルクレンチは、あらかじめ締め付けたい[[トルク]]を設定しておき、設定されたトルクに達するとカチンという感触と音で締め付けトルクに達したことが分かるトルクレンチである。右(時計回り)専用のものもあれば、左右どちらでも使用できるものもある。業界によってはシグナル式トルクレンチ全般を指してQLレンチと呼ぶところがある。
 
*プリセット形
:本体の目盛によって設定トルクを変更できる。
 
*単能形
:本体に目盛は無く、トルクを設定するには[[トルクレンチテスター]]等が必要となる。安価なため、工場の生産ラインで盛んに用いられる。メーカーで[[トルク]]を設定して出荷することもある。
 
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*プリセット式トルクレンチ
:プリセット(pre-set)の名のとおり、あらかじめ測定したいトルクを設定しておくことで、音や軽いショックで設定トルクに達したことを知らせるトルクレンチ。工場のラインなどで特定のトルク測定を繰り返し行うために、出荷時に測定可能なトルクが固定された'''単能型トルクレンチ'''もある。
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===直読式トルクレンチ===
[[Image:Torque wrench reading view 0688.jpg|thumb|right|プレート形直読式トルクレンチ]]
直読式トルクレンチは、負荷されている[[トルク]]を目盛にて読み取るトルクレンチである。最大値を保持するような機構(ピークホールド機構)を有するものもある。左右どちらでも計測できるものがほとんである。
 
*プレート形
:梁(ビーム)のたわみによって[[トルク]]検出し、本体の目盛を読み取る。業界によってはプレート形直読式トルクレンチを指してFLレンチと呼ぶところがある。構造が単純なため、安価で壊れにくい特徴がある。
 
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*ビーム式(プレート式)トルクレンチ
:レンチに取り付けられたビームのたわみをプレートに書かれた目盛りで読み取り、トルクを測定するトルクレンチ。構造がシンプルなため安価だが、使用には慣れが必要。
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*ダイヤル形
:円柱のねじれ角によって[[トルク]]を検出し、本体のダイヤル形目盛を読み取る。
 
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*ダイアル式トルクレンチ
:トルクがダイアルに表示されるトルクレンチ。
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*デジタル形
:センサによって[[トルク]]を検出し、表示されるトルクを読み取る。表示器が本体と別になっているものもある。デジタル形ではピークホールドするものがほとんどである。トルクレンチ本体に測定値を記録し、パソコンや専用端末に転送できるものもある。角度センサを搭載し、[[角度締め]]にも対応したものもある。
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*デジタルトルクレンチ
:トルクを[[デジタル]]信号に置き換え、[[液晶]]表示板に表示したり、データを専用端末に受け渡したりすることが可能なトルクレンチ。他のトルクレンチのように目盛りを読み取るのではなくトルクがそのまま数値で表されるため扱いが簡単だが、高価なものが多い。
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== トルクレンチの用途 ==
トルクレンチの用途は、ねじを定められたトルクで締め付ける作業と、締め付けられたねじの締め付けトルクを検査目的で測定する作業に大別することができる。
 
===作業用途===
[[ねじ]]を所定の[[トルク]]で締め付けるためのトルクレンチを作業用トルクレンチという。一般的にはシグナル式トルクレンチを用いるが、シグナルトルクレンチの場合、設定トルクに達したか否かのみ判断することしかできない。規定の締め付けトルクに達していることさえ分かれば良い場合はシグナル式トルクレンチが用いられる。工場では直読式トルクレンチを用いて締め付けを行うところもあり、中にはデジタル形のものを用いて、締め付けトルクを記録しているところもある。
 
===測定用途===
すでに締め付けられたねじのトルクを測定したりするトルクレンチを測定用トルクレンチという。直読式トルクレンチを用いて、[[増し締め]]検査を行う場合がほとんである。トルクレンチをてこのように使用して、トルク以外の[[力量]]を測定する場合もある。
 
==トルクレンチの取扱い==
トルクレンチは使用される場所の性質上、乱雑に扱われる場合がある。使用している者が気づかないうちに、トルクレンチの精度が狂ってしまうと、いくらトルクレンチを使用して締め付けを行っても無意味である。使用後の保管にも注意を要する。また、定期的にトルクレンチの[[点検]]・[[校正]]を行うことも、精度を維持する上では欠かせない。
 
トルクレンチには使用トルクが定められており、使用トルクを超えて使用すると破損につながる。また、右専用のものを左方向へ緩めるために使用すると、精度に悪影響があると言われている。
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[トルクドライバー]]
:トルクレンチと同じ機能を有したドライバー形状のもの。
 
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*[[ソケッルクドライバーレンチ]]
*[[ソケットレンチ]] - :多くのトルクレンチは、ソケットレンチ(ソケットハンドル)の形態を採っている。
:ドライバー型のトルクレンチ。
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*[[ソケットレンチ]] - 多くのトルクレンチは、ソケットレンチ(ソケットハンドル)の形態を採っている。
 
==脚注==
#日本国内では計量法により[[SI単位]]以外のトルクレンチを販売することは禁じられている。
 
==主なメーカー==
*[[スナップオン]](Snap-on)
*[[東日製作所]](TOHNICHI)
*[[中村製作所]](KANON)
 
[[Category:工具|とるくれんち]]
[[Category:計測機器|とるくれんち]]
 
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