「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の版間の差分
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'''商法特例法'''(しょうほうとくれいほう)とは、[[商法]]の[[株式会社]]についての[[特別法]]として[[1974年]](昭和49年)に制定された法律。正式には'''株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律''
==概要==
株式会社は
他方
以上のような社会の実情に配慮して制定された商法特例法は
==大会社と小会社==
商法特例法は[[資
▲*:資本の額が5億円以上または最終の貸借対照表上で負債の部に計上した金額が200億円以上である株式会社(商特法1条の2第1項)。
▲*:大会社の要件は満たさないが、資本の額が1億円を超えており、かつ大会社としての規制を受ける旨定款に定めた株式会社(商特法2条2項)。その名の通り大会社とみなされるので、商法特例法上の大会社と同じ規制を受けることになる。ただし全て同じというわけではなく、連結計算書類に関する規定や書面投票制度についての規制は適用を受けない。
▲*:資本の額が1億円以下の株式会社で負債が200億円未満である株式会社
大会社は監査に関して商法の規制とは異なる規制を受けることとなる(多くの場合、規制が強化されている)。また、重要財産委員会を設けたり委員会等設置会社となるには大会社でなくてはならない。一方、小会社は主に監査の面において規制が簡素化されている。なお、日本の株式会社は本来予定されている規模よりも遥かに小さい中小企業が多く、ほとんどの会社が「小会社」となる。
==大会社に関する特例==
前述のように、大会社においては経営適正化のために監査制度を中心として規制が強化されている。また、経営合理化のための制度も利用することができる。
===取締役会に関する特例===
大会社またはみなし大会社のうちで取締役が10名以上おり、その内1名以上の社外取締役がいる場合には重要財産委員会を設けることができる(1の3第1項1号、2号)。日本の大企業では[[取締役会]]が肥大化する傾向にあり、意思決定の速度が遅くなりがちであった。そのため経営委員会や常務会といった比較的少数の取締役を集めた会議体を設けて経営の迅速化を図る例が多くなった。その一方で取締役会はそこで決まったことについて承認を与えるのが通常となり、実質的にその権限が委任された形になった。しかしこれら少数の取締役らによる会議体は商法上に根拠がないため、法的な責任の所在や権限が曖昧である。そこでこれらについて法的な枠組みを与えたのが重要財産委員会なのである。
重要財産委員会は、商法260条2項1号、2号に規定された重要な財産の処分、譲受け、多額の借財のうち、取締役会の決議によって委任された事項を決定することができる。これにより迅速な経営判断
なお、21条の36第4項で重要財産委員会に関する規定が適用されない旨が規定されているため、重要財産委員会制度と委員会等設置会社制度(後述)は両立し得ない。
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大会社およびみなし大会社においては、監査において特別の規制を受ける。
まず、通常の[[監査役]]の他に公認会計士または会計監査法人を会計監査人として選任しなければならない(2条)。一方、通常の監査役を3名以上おかなければならず、これらによって監査役会を構成させることとした(18条1項)。さらに、そのうちの一人から常勤監査役を互選で選出させて監査の実質化を図り、監査役会を構成する監査役の半数以上は社外監査役でなければならないとして公正の維持を目指した。ここでいう社外監査役というのは、過去一度もその会社やその会社の子会社で取締役や従業員などになったことがない者でなくてはならない。
===議決権行使に関する特例===
大会社であって、[[株主総会]]での議決権を持つ[[株主]]が
なお、この規定はみなし大会社には適用されない。
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なお、21条の36第4項で重要財産委員会に関する規定が適用されない旨が規定されているため、委員会等設置会社は重要財産委員会を設けることはできない。
==小会社に関する特例==
小会社においては前述のような考慮から、規制が大幅に緩和されている。まず
その他にも25条によって多くの規定が適用除外の対象とされ、規制が簡素化されている。
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