「水生不完全菌」の版間の差分

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水生不完全菌の特徴は、独特の分生子の形にある。陸上の[[不完全菌]]では、分生子は球形や楕円形のものが多いが、水生不完全菌では、長く枝をのばしたものが多い。海産の[[プランクトン]]には、様々な形の突起や枝が出た形のものがあり、より多くの[[浮力]]を保つための[[適応]]と考えられているが、水生不完全菌の分生子にもそれに似たものが見られる。ただし、水生不完全菌の場合、浮力よりもむしろ、水中の落葉に付着しやすくする[[適応]]との見方もある。
 
水生不完全菌の[[分生子]]の形で、一つの典型は四放射型のものである。[[正四面体]]の中心から頂点方向に枝が伸びる形のもので、いくつもの属に見られる。不完全菌の分生子の形成には色々な型があり、それらを[[分生子形成型]]というが、その違いは属の区別には重要である。いくつかの分生子形成型で、それぞれに四放射型の分生子を作るものがある。また、同じ形成型でも、属によって、同じ四放射型でも、様々な違ったやり方で形成される。
 
たとえば、'''レモニエラ'''(''Lemonniera'')属は、フィアロ型で、[[フィアライド]]と言う紡錘形の分生子形成細胞の先端から、[[出芽]]によって分生子ができる。分生子は初め小さな球形で、そこから四方向に枝をのばし、最終的には4本の枝が一ヵ所でくっついた形の分生子となり、フィアライドとはその中心のところで接しているようになる。同じフィアロ型の'''アラトスポラ'''(''Alatospora'')属の場合は、分生子は弓状に反った線形に伸び、その中ほどの反ったところから2本の枝を出し、最終的には4本の枝が同じ場所から出た形になるが、フィアライドとは主軸である1本の枝の先端で繋がる形になる。'''テトラキーツム'''(''Tetrachaetum'')属のものは、菌糸先端の細胞が分生子に変化する、アレウリオ型の分生子形成をするが、分生子になる細胞は細長く伸び、そこですこし横向きに伸びながら側方に2本の枝を出すことで、四放射型の分生子を作る。同じくアレウリオ型の'''トリスケロフォルス'''(''Triscelophorus'')属の場合、分生子は先が細い針状になり、基部の細胞から三本の枝が側方やや下向きに伸びて四放射型となる。