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'''芸道'''(げいどう)は、[[芸能]][[技芸]]を[[日本]]独自のかたちで体系化したもののことを指す。
 
 通常は、各種の武芸である[[日本武術]]、江戸期の公家家職に由来する[[有職故実]]・[[礼式]]、そのほか[[能楽]]、[[歌舞伎]]、[[人形浄瑠璃]]などの芸能、[[邦楽]]、[[茶道]]、[[華道]]、[[香道]]、[[書道]]などをはじめとして、[[伝統工芸]]的な手工業、古典[[園芸]]など、ひろく技術を伝承する分野においてこうした観念が見られる。
 
 通常は、各種の武芸である[[日本武術]]、江戸期の公家家職に由来する[[有職故実]]・[[礼式]]、そのほか[[能楽]]、[[歌舞伎]]、[[人形浄瑠璃]]などの芸能、[[邦楽]]、[[茶道]]、[[華道]]、[[香道]]、[[書道]]などをはじめとして、[[伝統工芸]]的な手工業、古典[[園芸]]など、ひろく技術を伝承する分野においてこうした観念が見られる。
 
== 由来 ==
 元来「道」という言葉は[[日本語]]において「体系」という意味をも持ち、王朝時代から管弦のことを「糸竹の道」と表現するなどの用例があることをみてもわかるように、[[芸]]について「みち」もしくは「道」で表現される内容は最初は単純に「[[]]の体系」というほどの意味であったと思われる。
 
 これが[[中世]]期から[[近世]]期にかけて、さまざまな芸が体系化され伝授の形式をととのえてゆくにつれて、単に[[芸能]][[技芸]]の体系というにとどまらず、それをめぐる思想や哲学的背景、さらに修行や日常生活の場においてこうした形而上的な問題をいかに生かし、みずからの[[''']]'''を高めてゆくかという問題が含められてゆくようになって成立したのが、[['''芸道]]'''という観念である。その成立に関しては[[中世]]期に盛んになった秘伝説と伝授思想の確立と、師系を重んじる[[禅]]の発想が大きな影響を与えたと見るのが通説である。
 
== 特徴 ==
[[芸能]][[技芸]]を技術的な問題としてのみ捉えることをせず、しばしば実生活と[[]]の世界を混同させて、常住坐臥が[[]]を高めるための契機であり、修行であると考え、しかのみならず当人の倫理性、道徳性がそのまま[[]]にあらわれるがゆえに、[[]]の向上は同時に人格の向上でなければならない、とするところに芸道の特徴がある。また[[]]の系統的な伝承を重んじ、先人をうやまうことが厚く、特に直接の[[師弟関係]]を大切にするなど、水平方向的なひろがりよりも垂直方向的なつらなりを優先する。こうした考えかたは、日本独自の[[]]という観念の確立、心境や境地を特に重視する芸術観の尊重、芸系のたしかな伝承、[[]][[]]にとどまらず思索性を持つことによる内容の深化など、さまざまな効果をもたらしたが、一方で[[]]の世界における事大主義、神秘主義、普遍性の否定、[[通]]に代表される特殊な閉鎖性を生むことにもなった。
 
 外国人にはこうした日本固有の[[芸道]]観念が興味深くうつるらしく、ドイツ人の哲学者[[オイゲン・ヘリゲル]]が、[[東北大学]]に在任中、洋弓([[アーチェリー]])とは違った日本の[[弓道]]の修業の仕方に感銘を受けて『[[弓と禅]]』をあらわしたのを嚆矢として、欧米世界にさまざまに紹介されている。
 
 外国人にはこうした日本固有の[[芸道]]観念が興味深くうつるらしく、ドイツ人の哲学者[[オイゲン・ヘリゲル]]が、[[東北大学]]に在任中、洋弓([[アーチェリー]])とは違った日本の[[弓道]]の修業の仕方に感銘を受けて『[[弓と禅]]』をあらわしたのを嚆矢として、欧米世界にさまざまに紹介されている。
 
== 芸道という言語 ==
 [['''芸道]]'''という言葉自体は、[[明治]]に「[[柔道]]」なる新語が登場したのを受けて、[[剣道]]、[[華道]]、[[茶道]]といった造語が相次ぎ、これを総称するために生れたものである。
 
 
 
== 関連項目 ==
* [[芸道論]]
* [[暗黙知]]
 
[[Category:日本の文化|けいとう]]