「電気炉メーカー」の版間の差分

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'''電気炉メーカー'''とは、鉄[[スクラップ]]を原料として[[電気炉]]で[[鉄鋼]]を生産する鉄鋼メーカーのことである。なお、電気炉で[[特殊鋼]]を生産する鉄鋼メーカーは、[[特殊鋼メーカー]]として区別している。「電気炉」は「電炉」とも略されるので、電気炉メーカーを'''電炉メーカー'''ともい事もある
 
==概要==
電気炉メーカーは約60社ある。規模は[[高炉メーカー]]と比べると小さい。鉄スクラップを原料にするため、鉄[[リサイクル]]の観点からは重要な役割を担っている。
高炉が[[鉄鉱石]]や原料炭を主原料とするのに対し、電気炉は鉄スクラップを主原料とする。日本での[[2001年]]から[[2006年]]に掛けての粗鋼生産比率は、高炉が73%、電気炉では27%である。尚、現在日本の電気炉メーカーは約60社ほどある。
 
鉄鋼を製造する具体的な工程(鋳造し、圧延する)は高炉と電気炉でほとんど変わりはない。ただし、鉄スクラップには不純物が含まれている為、電気炉製の鉄鋼の加工性は高炉製のそれに及ばないというデメリットを持つ。一方、電気炉工場は、高炉工場ほど広大な土地を必要とせず(高炉大手の大製鉄所では、[[東京ドーム]]200個分以上)、高炉工場と比べて生産規模の融通が効く上に、建設費用も300~1,000億円と高炉の10~20%で済み(高炉なら5,000億~1兆円)、市況状況に応じて操業を停止させる事も容易であるというメリットを有する(高炉は一度火入れを行うと、設備上の問題で15~20年は操業を停止できない)。
 
電気炉は、鉄スクラップを原料とするが故に、鉄スクラップが豊富である[[先進国]]で発展しやすい。[[アメリカ合衆国|米国]]や[[日本]]では1980年代以降に発展した。日本は90年代まで鉄スクラップの一部を輸入に頼っていたが、その後自給化が進み、今ではアジア諸国へ輸出する立場になっている。
 
電気炉によって製造された鉄鋼製品は、鉄筋や鉄鋼に用いられる。また、合金と添付し自動車や建設機械の部品に用いる事もある。
 
鉄スクラップを原料にするため、[[リサイクル]]の観点からは重要な役割を担っている。鉄鋼メーカーから出る自社発生屑、自動車工場や機械工場から発生する工場発生屑、その他にも廃車や空き缶などからスクラップは採取できる。2004年における自社発生屑を除いたその構成比は、工場発生屑が32%、建築廃材が25.5&、機械廃材が23.8%、土木廃材が15.9%、自動車廃材が15.5%である。
 
[[2005年]]2月、それまで高炉メーカーの独壇場であった[[自動車]]用鋼材市場に、[[東京製鐵]]が初めて電気炉メーカーとして参入し始めた。
 
==代表的な日本の電気炉メーカー==
*[[東京製鐵]]
*[[合同製鐵]]
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*[[岸和田製鋼]]
*[[拓南製鐵]]
 
==参考文献==
*[[山口敦]] 『鉄鋼 業界研究シリーズ』 [[日本経済新聞社]] ISBN 4-532-11705-4 2006年10月
 
[[Category:鉄鋼業|てんきろめえかあ]]