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'''寺本廃寺'''（てらもとはいじ）は、山梨県[[笛吹市]]（旧[[東八代郡]][[春日居町]]寺本地内）にある[[遺跡]]。[[７7世紀]]後半（奈良飛鳥時代末期、文化史上の白鳳時代）の創建と推定される[[古代寺院]]。甲斐寺本廃寺。

県中部、[[甲府盆地]]の北縁部、鳳山川と西川の形成する微高地上に位置する県内最古の古代寺院遺跡。[[6世紀]]中頃に日本へ伝来した仏教が甲斐国へも伝えられていたことを示す遺跡で、同時期の古代寺院は他に見られないが、[[8世紀]]初頭には甲府市横根町の[[東畑遺跡]]から小金銅仏（観音菩薩立像）が出土している。旧春日居町域には[[6世紀]]までの[[春日居古墳群]]をはじめ[[国府]]関係遺跡が集中しており、かつては寺本廃寺の性格をめぐり初期[[国分寺]]や[[国分尼寺]]、[[郡寺]]や[[氏寺]]、国府附属寺院であるなどの諸説があった。現在では単鳳環頭太刀柄頭を副葬された春日居古墳群の有力首長の氏寺か国府附属寺院であると考えられている。隣接する[[甲府市]]川田町には古代寺院へ[[瓦]]を供給していたと考えられている川田瓦窯跡があり、寺本廃寺と共通する瓦が出土している。

130m四方の寺域で、中央北には現在の山王神社が位置する。[[法起寺]]形式の[[伽藍]]配置で、中央の[[金堂]]と塔が極めて隣接して配置されていることが特色。中央東の塔跡からは直径2.8m、厚さ1.3mの[[安山岩]]自然石を利用した[[塔心礎]]が確認され、上面を平坦に中央に2段の円形孔が空けられている。北東からは根石が出土し、初重平面は5.4m四方であったと考えられている。山王神社の南にあたる中央の[[講堂]]跡は南北18m、東西22mで桁行7間、梁間5間と推定され、[[根石]]と[[雨落溝]]が確認されている。中央西の金堂跡は砂層の地山上が整地され、南北12m、東西20mと推定されている。整地層の上からは軒瓦と基壇を区画する[[玉石]]が検出されている。山王神社の西にあたる中央北には[[僧房]]跡は南北20m、東西8mと推定され、軒瓦と根石のほか生活用具の出土遺物が確認されている。また、西南北には[[門]]跡が確認されている。