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'''有機電子論'''(ゆうきでんしろん、electronic theory of organic chemistry)とは化学結合の性質および反応機構を、電荷の静電相互作用と原子を構成する価電子とにより説明する理論である。
'''有機電子論(ゆうきでんしろん)'''は電子対のやりとりによって[[有機化学]]反応の経路を体系的にを説明しようとする分野である。有機化学の発展に伴い、記憶するべき有機科学反応の数が膨大になった。また有機化学反応は[[無機化学]]反応に比べて反応のメカニズムが複雑な場合が多い。そのため、丸[[暗記]]ではない有機化学反応の理由づけや分類が求められるようになり、1940年代にイギリス学派の[[ロバート・ロビンソン]]や[[クリストファー・ケルク・インゴルド]]たちの研究により有機電子論という分野が発展した。
 
== 概要 ==
1910年代に[[ギルバート・ルイス]]の研究により先鞭がつけられ、1920年代~1930年代にイギリス学派の[[ロバート・ロビンソン]]や[[クリストファー・ケルク・インゴルド]]たちの研究により有機電子論が確立した。
 
有機電子論は経験的パラメーターを使用した定性的な理論である。したがって、[[量子力学]]により電子の挙動を記述する今日の[[量子化学]]的反応論のような精密性は持ち合わせない。一方、対象となる反応物分子の[[官能基]]と他の基の配置が決まれば、化学反応が生じる位置や方向を推定するのには十分であることから、[[化学者]]が[[化学反応]]や合成計画を直感的に扱うには便利な理論である。
 
しかしながら定量性が無い為に、例えば[[ペリ環状反応]]や芳香族性などのように、本来の有機電子論では扱うことが出来ない反応や化学的性質が存在することも事実である。しかしそのような事例に対しては、例えば「[[超共役]]」の概念など、量子化学の知見をパラメーター化して、有機電子論を拡張することで対応することも可能であり、そのように量子化学概念で拡張された有機電子論は今日的な意義を失ってはいない。
 
==関連項目==