「化学的酸素要求量」の版間の差分

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'''化学的酸素要求量'''('''かがくてきさんそようきゅうりょう'''、'''COD''', Chemical Oxygen Demand)は、水中の被酸化性物質を[[酸化]]するために要した[[酸素]]の量で示した[[水質]]の指標。単位は ppmまたはmg/L。水質が悪い([[有機物]]が多い)ほどCODは高くなるが、[[還元]]性の[[無機物]]によってもCODは高くなるため注意が必要。
日本の環境基準等においては、長期間BODの代替指標との意味合いから、比較的酸化力の弱い(生物分解性物質に近いと解釈される)過マンガン酸カリウムによるCODMnが採用されている。
これに対して、有機物等酸化可能物質全量を測定するものとして、二クロム酸カリウムによるCODCrがある(ちなみにニクロムの冒頭の二は数字の2の漢字表記。かつては、重クロム酸カリウムと呼ばれた。)。
 
日本においてCODMnを採用したことには、生物分解不可能な有機物質は「酸素消費」という環境問題の原因物質でないことから、環境基準をはじめとして環境規制の対象としなかったとの経緯がある。また、典型的な環境問題、公害問題として六価クロム汚染があるなか、この六価クロム(二クロム酸カリウムはその一つ)を使用する測定方法を採用しにくかったこともCODMn採用の消極的理由とされる。このように、様々な解釈や評価のあるCODMnであるが、特にCODMnと長期間BOD(例えばBOD20)などとの間には、その水中の物質、物質構成によってはその測定値に相当の開きがあることもあり、その代替指標性について疑問が呈せられる場合がある。
CODは[[生物化学的酸素要求量]](BOD)と併せて排水規準に用いられ、海域と湖沼の環境基準に用いられている。CODは測定が30分~2時間程度で終了し、試料の溶存酸素量や微生物の種類に左右されない点でBODより優れている。[[日本]]におけるCODの法定試験方法は[[過マンガン酸カリウム]](KMnO<sub>4</sub>)による方法(COD<sub>Mn</sub>)だが、米国や欧州ではより酸化力の強い[[二クロム酸カリウム]](KCr<sub>2</sub>O<sub>7</sub>)による方法(COD<sub>Cr</sub>)を用いるのが一般的であり、国際的比較に問題が生じることがある。
 
COD*CODは[[生物化学的酸素要求量]](BOD)と併せて排水規準に用いられ、海域と湖沼の環境基準に用いられている。CODは測定が30分~2時間程度で終了し、試料の溶存酸素量や微生物の種類に左右されない点でBODより優れている。[[日本]]におけるCODの法定試験方法は[[過マンガン酸カリウム]](KMnO<sub>4</sub>)による方法(COD<sub>Mn</sub>)だが、米国や欧州ではより酸化力の強い[[二クロム酸カリウム]](KCr<sub>2</sub>O<sub>7</sub>)による方法(COD<sub>Cr</sub>)を用いるのが一般的であり、国際的比較に問題が生じることがある。
*[[日本]]におけるCODの法定試験方法は[[過マンガン酸カリウム]](KMnO<sub>4</sub>)による方法(COD<sub>Mn</sub>)だが、測定意図、行政的な立場・解釈がことなることもあり、米国や欧州ではより酸化力の強い[[二クロム酸カリウム]](KCr<sub>2</sub>O<sub>7</sub>)による方法(COD<sub>Cr</sub>)を用いるのが一般的であり、結果として単純比較ができないという点について(そもそも測定意図が異なるものの)批判されることがある。
 
また、有機炭素を簡易に測定できるTOC(Total Organic Carbon)が普及したことにより、CODCrに替わり特に学術的には全有機物を表す指標として採用される状況にある。
 
==各種COD試験方法==
 
;COD<sub>Cr</sub>(二クロム酸カリウムによる酸素要求量)
:欧米で広く用いられる方法で、最も酸化力が強いため多くほぼ全量の有機物が分解される。
 
;COD<sub>Mn</sub>(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素要求量)