「マーベリー対マディソン事件」の版間の差分

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マーシャルは、まず2つの争点について肯定する立場に立つことを判示した上で、3番目の問題に応えるにあたり、マーシャルは初めて[[1789年]]の裁判所法を検討して、最高裁判所に職務執行令状に関する第1審管轄権を与える趣旨であると判断した。マーシャルは合衆国憲法第3章を参照し、最高裁判所の第1審管轄権と上訴審管轄権について判断した。この規定によれば、「大使その他の外交使節及び領事に関するすべての事件」と「州が当事者たるすべての事件」にしか第1審管轄権を与えていない。マーベリーは憲法は議会が管轄権を加えることができるように第1審管轄権を定めていると主張した。マーシャルは、この論旨を採用せず、議会は合衆国最高裁判所の第1審管轄権を修正する権限をもたないという判断を示した。その結果、マーシャルは憲法と裁判所法が矛盾することを指摘した。
 
この矛盾は制定法が憲法と抵触したときに生じる重要な問題を提起していた。マーシャルは憲法に抵触している制定法は無効で裁判所は法的審査の原則に従って、憲法に従う義務があると判断した。この立場を支持するため、マーシャルはもし裁判所がそれを無視した場合に存在する憲法の状態は成文憲法をもっている意味がないことを意味することを指摘した。マーシャルは「いかなる目的で権限は制限され、いかなる目的で(合衆国最高裁判所の権限が)列挙されている事項に制限され、これらの制限がいかなる時も抑制されて判断されるべきだろうか」と述べ、司法権の本質が裁判所にこのような決定をすることを要求していると主張した。なぜなら、裁判所の任務は事件に判決を下すことであり、それぞれの事件で法をどのように適用するかの権能を有しているからである。最後に、マーシャルは憲法擁護の宣誓義務や、憲法の最高法規条項において、「合衆国の法律」の前に、「憲法」を列挙していることを指摘した。
 
結局、1789年の裁判所法は違憲無効であって、マーベリーが救済を求めるためには、下級審にもう一度訴訟を提起すべきだとした。しかし、当時の法律にはマーベリーが求める救済を下級裁判所に提起することを認める規定がなかったため、マーベリーは訴訟を断念せざるを得なかった。