「法の支配」の版間の差分
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国家権力者による恣意的な支配(人の支配)を排斥し、全ての権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を保障することを目的とする。
法の支配(ほうのしはい)は[[16世紀]]から[[17世紀]]にかけて[[イギリス]]の[[エドワード・コーク]]によって確立された法思想である。
[[A・V・ダイシー]]は[[1885年]]、『イギリス憲法研究序説』の中で法の支配を理論化し、以下の三つの原則を示した。
▲== 概要 ==
#専断的権力の支配を排した、慣習法([[コモン・ロー]])の支配。(人の支配の否定)
#制定された法律は国民にも政府にも平等に適用されること。(特別裁判所の禁止)
#裁判所による判例の集積が、正しい法となる。
== 内容 ==
現在、法の支配の内容は以下の4つと考えられている。
#'''権利の保障''' : 財産権や自由権をはじめとする諸権利について、法律より優越的な地位にあることを確認する。
#'''憲法の最高法規性''' : 法律・政令・省令・条例・規則など各種法規範の中で、憲法は最高の位置を占めるものであり、それに反する全ての法規範は効力を持たない。▼
#'''適正手続の保障''' : 法内容の適正のみならず、手続きの公正さもまた要求される。この適正手続きの保証(due process of law)は英米法の基本概念の一つであり、
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日本国憲法においては、権利の保障は第3章で、憲法の最高法規性は第10章で、司法権重視は76条・81条で、適正手続の保障は31条で、それぞれ見てとることができる。
ただ、日本国憲法施行の当初から、[[GHQ]]による[[検閲]]や[[農地改革]]等により権利の保障は大きく歪められ、また、最高裁の下す違憲判決の少なさから、日本においては法の支配は十分に機能していないとする見解もある。
== 法治主義との関係 ==
大陸法系の法治主義は、法によって権力を制限しようとする点では法の支配と同じである。<br>
ただし形式的法治主義では'''国民の権利・自由が法律の根拠という名の下に制限される'''危険性が強いため、現在では法律の内容の正当性が要求される'''実質的法治主義'''の考え方が主流となっている。この場合の実質的法治主義は、法の支配とほぼ同義と言ってよい。
▲#'''憲法の最高法規性''' : 法律・政令・省令・条例・規則など各種法規範の中で、憲法は最高の位置を占めるものであり、それに反する全ての法規範は効力を持たない。
▲#'''司法権重視''' : [[法の支配]]においては、立法権・行政権などの国家権力に対する抑制手段として、裁判所は極めて重要な役割を果たす。
▲#'''適正手続の保障''' : 法内容の適正のみならず、手続きの公正さもまた要求される。この適正手続きの保証(due process of law)は英米法の基本概念の一つであり、[[法の支配]]の中核的概念でもある。
== 関連事項 ==
*[[エドワード・コーク]]
*[[コモン・ロー]]
*[[法治主義]]
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*[http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/39472/ 「法の支配」と「法律の支配」]
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[[vi:Nhà nước pháp quyền]]
[[zh:法治]]
{{Law-stub|ほうのしはい}}
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