「枕ばね」の版間の差分

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HATARA KEI (会話 | 投稿記録)
ばねの種類にあまりに無頓着だったので加筆。
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'''枕バネ'''とは、主に[[鉄道車両]]の[[鉄道車両の台車|台車]]にある装置である。走行中の[[車輪]]の高周波振動や台車の上下振動を緩和させる([[サスペンション]]とも言う)。鉄道車両の枕バネは、金属コイルバネを使用し振動を緩和してるが、車両の重量(乗客の乗り降り)に対して、振動緩和率が変わる為、空車時には振動緩和率が非常に低い(乗り心地が悪い)ので、最近の車両は、振動緩和率を調整できる[[空気バネ]]に変更している
 
鉄道車両の枕バネとしては、かつては一般に重ね板ばねやコイルばねが使用されるケースが多く、その他防振ゴムブロックやトーションバーを使用する例も見られたが、現在は[[空気ばね]]の使用が一般的となっている。
 
それぞれの得失は以下の通り。
 
*重ね板ばね:主体となる板ばねに順次数枚の子ばねを重ね合わせてボルトで締め付け拘束したもので、それぞれの接触部の摩擦により必要な減衰が得られ、また子ばねの枚数変更や板厚変更により、必要に応じ任意の荷重上限を設定できるというメリットがある。その反面、前述の摩擦が固体摩擦であって粘性減衰特性が得られないため、振動が不安定でびびり振動を発生しやすい。ばね鋼の品質に自信のあったヨーロッパ、特にドイツで好んで使用され、枕ばねとしてスパンが2m前後で厚い板ばねを使用することで適切なたわみ量を確保しつつびびり振動の発生を抑制したゲルリッツ台車など、このばねの特性を最大限活用した機構も開発された。
*コイルばね:ばね鋼と呼ばれる鋼材をコイル状に形成したもので、板ばねに比して固体摩擦が無くばねを柔らかく設計できるメリットがある。また、吸収エネルギー量に対するばねの重量を小さく出来る点でも優れる。但し、固体摩擦を持たずびびり振動が発生しない反面、単体では適切な減衰が得られないため、枕ばねに使用する場合には粘性減衰特性の高いオイルダンパを併用する必要がある。
*防振ゴムブロック:防振ゴムを任意の形状に形成して枕ばねとしたもの。金属ばねと異なり形状変更が自由で、各方向のばね定数を任意の値に設定できるというメリットがある。圧縮されるとばね定数が上がる非線形特性を持つため、空積による特性差が大きく枕ばねには適さないが、かつて[[国鉄DT18形台車]]でスペースの制約から枕ばねに通常のばねを使用できなかった際に使用された。
*トーションバー:ねじり棒ばねとも称され、コイルばねよりさらに吸収エネルギー量に対するばねの重量を小さく出来る点で優れる。このため、軽量化を重視するスイス国鉄向け軽量客車でSIG社によって枕ばねへの応用が図られたが、これも圧縮されるとばね定数が上がる非線形特性を持つため、以後鉄道車両の枕ばねにこのばねを使用する例はほぼ皆無である。
*空気ばね:空気の圧縮性を利用したばね機構で、容積を大きくすることでコイルばねを上回る柔らかい特性のばね設計が容易に行える。また、自動高さ調整弁(レベリングバルブ)を使用することで空積にかかわらず床面高さを一定に保て、容積拡大のための補助空気室(通常、台車枠を流用する)とばね本体の間に絞り弁を挿入することで粘性減衰特性を得ることが可能であり、オイルダンパを必要としない。
 
 
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[[Category:鉄道車両工学|まくらはね]]