「ウェゲティウス」の版間の差分

その生い立ちはよく分かっていない。伯爵、または[[コンスタンチノープル]]伯と記した史料もあるが、確証はなく、[[ローマ]]の上流階級であったとのみ推察されている。彼がローマ人の著作や資料を編纂した『古代ローマ人の軍事制度 (DE RE MILITARI, The Military Institution of the Romans) 』は19世紀末までヨーロッパで[[政治家]]や[[軍人]]たちの軍事思想に多大な影響を及ぼしたと考えられている。最古の写本は10世紀のものであるが、この頃に多くの写本が流通しており、[[ヘンリー2世 (イングランド王)|ヘンリー2世]]や[[モーリス・ド・サックス]]などの軍事指導者たちも必読書として扱っている。その内容はローマ軍の軍事制度について記したものではなく、一篇において兵士の選抜、訓練、軍規について述べ、二篇において[[レギオン]]の編制、運用について述べ、三篇においていわゆる[[戦略]]・[[戦術]]について述べ、四篇及び五篇において簡単に陣地の攻防、海戦について述べている。この文献においてヴェゲティウスは「平和を欲するなら、戦争を学べ」、「危急の際に要することは平穏な時代から継続的に為すべきである」、「生れながらの勇者はいない。勇者は訓練と軍紀によって育てられる」などの普遍的な格言を残しており、この点も高く評価されている。