「導電性高分子」の版間の差分

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導電性は自由電子を持つ金属固有の性質で、自由電子を持たない有機材料である高分子は電気を流さない絶縁体であり、その性質ゆえ電気・電子分野においては絶縁材や誘電体などに使われてきた。しかし、1970年代に[[白川英樹]]らによるポリアセチレンフィルムの合成により電気が流れる高分子、つまり導電性高分子に関する研究が飛躍的に発展し、現在では[[電解コンデンサ]]や電子機器のバックアップ用電池、携帯電話やノート型パソコンに使用されている[[リチウムイオン電池]]の電極等に応用されている。また、導電性高分子は導電性だけでなく発光性を有し、かつ製膜性を有するのでフレキシブルディスプレイの実現が可能な[[有機エレクトロルミネッセンス]](有機EL)への応用や、シリコン等の無機半導体でなく有機物を利用した有機トランジスタ、導電性高分子をインクとしてインクジェット技術などを利用し直接基板にパターンを作るプリンタブル回路などの次世代への研究・実用化も盛んに行われている。
 
導電性高分子は一般に2重結合と単結合が交互に並んだ構造、つまりパイ共役が発達した主鎖を持ち、導電性はこの性質に起因する。それゆえ導電性高分子はπ共役系高分子とも呼ばれる。共役系高分子はパイ共役を持つので一般の高分子と異なり導電経路は有するものの、自由に動ける電荷移動体、つまり[[半導体#キャリア|キャリア]]が存在しないためそれ自身では導電性を発現しない。しかし、シリコン等の無機半導体のようにキャリアを[[ドーピング (半導体)|ドーピング]]し自由に動けるキャリアを注入することで導電性を発現することができる。
 
このドーピングは、[[ヨウ素]]や五フッ化ヒ素などの電子受容体(アクセプタ)やアルカリ金属などの電子供与体(ドナー)等の適当な化学種を高分子に添加することで行われ、化学ドーピングと呼ばれる。このように、化学ドーピングにより導電性高分子は自由に動くことのできるキャリアを生じるため、有機物でありながら金属に匹敵する導電性を有するのである。