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'''線結合'''('''せんけいけつごう''linear combination'')は[[線型代数学]]およびその関連分野で用いられる中心的な概念の一つで、平たく言えば[[ベクトル]]の足し定数倍と加え合わせのことある。'''一次結合'''あるいは'''線型和'''とも呼ぶ。線型を'''線形'''と書くこともある。
 
いくつかの[[ベクトル]]を組み合わせると他のベクトルを作ることができる。
例えば、2次元[[数ベクトル]]を例にとれば、ベクトル '''v''' = (2, 3) と '''w''' = (1, 2) を用いて 2'''v''' + 3'''w''' のようにすれば、(7, 12) というベクトルを作ることができる。
 
このように、いくつかのベクトルを何倍かしたものを足し合わせたものを、それらのベクトルの'''線結合'''というのである。
 
== 定義 ==
与えられた幾つかのベクトルが、互いに他のベクトルの線形結合では表せないとき、これらは'''線形独立'''('''せんけいどくりつ''')であるという。線形独立でないことを'''線形従属'''('''せんけいじゅうぞく''')という。
を、有限個のベクトル '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''r''</sub> の(と[[スカラー]] ''k''<sub>1</sub>, ''k''<sub>2</sub>, ..., ''k''<sub>''r''</sub> を係数とする)'''線形結合'''もに対くは '''1 次結合'''という。
:<math>k_1 v_1 + k_2 v_2 + \cdots + k_r v_r</math>
を、ベクトル ''v''<sub>1</sub>, ''v''<sub>2</sub>, ..., ''v''<sub>''r''</sub> の(''k''<sub>1</sub>, ''k''<sub>2</sub>, ..., ''k''<sub>''r''</sub> を係数とする)'''線型結合'''という。ベクトル ''v''<sub>1</sub>, ''v''<sub>2</sub>, ..., ''v''<sub>''r''</sub> を変数と見たときの斉一次式であるので'''一次結合'''とも呼ぶ。
 
係数は 0 でも良いし負でも良いので、'''v'''<sub>1</sub> - '''v'''<sub>2</sub> なども線結合といえる
線形結合、線形独立、線形従属は各々'''1次結合'''、'''1次独立'''、'''1次従属'''ともいう。
 
==正確な定義 諸概念 ==
===線形結合 独立・従属 ===
[[ベクトル空間]]において、''n'' 個のベクトル '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''rn''</sub> に対して、その線型結合でベクトルを表すとき、各ベクトルがただ一通りの表示を持つならば'''線型独立'''、少なく[[スカラー]] 2 通りの表示が可能であるならば''k'線型従属'<sub>1</sub>,''という。言い換えると、ベクトル ''kv''<sub>21</sub>, ..., ''kv''<sub>''rn''</sub> に対が自明でないどんな一次関係式も満足ないときすなわち
:<math>k_1 \mathbfsum_{vi=1}_1 + k_2\mathbf^{vn}_2 +k_i \cdotsv_i += k_r\mathbf{v}_r0</math>
が満たされるのが、全ての係数 ''k''<sub>''i''</sub> (''i'' = 1, 2, ..., ''n'') が 0 の場合のみに限られるとき線型独立といい、そうでないとき線型従属であるということができる。あるいは同じことだが、与えられた幾つかのベクトルが、互いに他のベクトルの線型結合では表せないとき、これらは'''線型独立'''であるといい、線型独立でないことを'''線型従属'''という。
を、ベクトル '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''r''</sub> の(''k''<sub>1</sub>, ''k''<sub>2</sub>, ..., ''k''<sub>''r''</sub> を係数とする)'''線形結合'''もしくは '''1 次結合'''という。
 
=== 生成 ===
係数は 0 でも良いし、負でも良いので、'''v'''<sub>1</sub> - '''v'''<sub>2</sub> なども線形結合といえる。
[[体論|体]] ''K'' 上のベクトル空間 ''V'' と、その有限部分集合 ''S'' = {''v''<sub>1</sub>, ''v''<sub>2</sub>, ..., ''v''<sub>''r''</sub>} に対し、''V'' の部分集合で ''S'' を含む最小の部分線型空間となるものを span(''S'') あるいは &lt;''S''&gt; と表すことにすると、それは ''S'' の元からなる一次結合の全体と一致する:
:<math>\operatorname{span}(S) = \langle S \rangle :=
\{k_1 v_1 + k_2 v_2 + \cdots + k_r v_r
\mid k_i \in K,\, v_j \in S
\}.
</math>
これをベクトル ''v''<sub>1</sub>, ''v''<sub>2</sub>, ..., ''v''<sub>''r''</sub> によって'''張られる部分空間'''あるいは ''S'' が ''K'' 上で'''生成する部分空間'''といい、''S'' をこの部分空間の'''生成系'''という。係数を明示して Span<sub>''K''</sub>(''S'') とか &lt;''S''&gt;<sub>''K''</sub> のように記すこともある。また、''S'' が無限個のベクトルからなる ''V'' の部分集合であるとき、''S'' の生成する部分空間とは
:<math>\operatorname{span}(S) :=
\{k_1 v_1 + k_2 v_2 + \cdots + k_r v_r
\mid k_i \in K,\, v_j \in S,\, \exists r \in \mathbb{N}
\},
</math>
すなわち、''S'' の有限個のベクトルの線型結合として表されるベクトル全体の成す ''V'' の部分集合となる。
 
''V'' = span(''S'') となる部分集合 ''S'' のうち極小なものを ''V'' の[[基底]]という。基底の[[基数|濃度]]は常に一定であり、基底の濃度としてベクトル空間の次元が定義される。たとえば、''S'' = {''v''<sub>1</sub>, ''v''<sub>2</sub>, ..., ''v''<sub>''r''</sub>} が線型独立なベクトルからなるならば、''S'' はそれによって張られるベクトル空間 span(''S'') の基底をなし、span(''S'') の[[次元]]は ''r'' となる。
===線形独立・線形従属===
<i>n</i> 個のベクトル '''v'''<sub>1</sub> , ..., '''v'''<sub>''n''</sub> に対して、
その線形結合が零になるのが自明な場合に限られるとき、すなわち、
:<math> \sum_{i=1}^{n} k_i \mathbf{v}_i = 0 \quad\Rightarrow\quad k_i=0 \ (\textrm{for\ all}\ i=1,2,\ldots,n)</math>
が成立するとき、
ベクトル '''v'''<sub>1</sub>, ..., '''v'''<sub>''n''</sub> は'''線形独立'''(一次独立)であるという。
 
== 一般化 ==
逆に、少なくとも1つは0でない要素を持つスカラー列 (''k''<sub>1</sub>, ''k''<sub>2</sub>, ..., ''k''<sub>''n''</sub>) によって
[[環論|環]]上の[[加群]]についても、スカラー倍と和からなる式を考えて一次結合という。二つの環 ''A'', ''B'' に対して[[アーベル群]] ''M'' が (''A'', ''B'')-両側加群であるなら、''M'' の元 ''x''<sub>1</sub>, ''x''<sub>2</sub>, ..., ''x''<sub>''n''</sub> の一次結合は
:<math> \sum_{i=1}^{n} k_i \mathbf{v}_i = 0 </math>
:<math>a_1 x_1 b_1 + a_2 x_2 b_2 +\cdots+ a_n x_n b_n</math>
が満たされるとき、'''v'''<sub>1</sub> , ..., '''v'''<sub>''n''</sub> は'''線形従属'''(一次従属)であるという。
(''a''<sub>''i''</sub> &isin; ''A'', ''b''<sub>''j''</sub> &isin; ''B'') という形に書く事ができる。
 
''V'' が[[位相線型空間]]で ''V'' の無限個の元からなる部分集合 ''S'' を考えるとき、その無限項の "線型結合"
==あれこれ==
:<math>c_1 v_1 + c_2 v_2 +\cdots</math>
* ベクトル空間 ''V'' のベクトル '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''r''</sub> の線形結合で作ることができるベクトル全てから成る[[集合]]は、''V'' の[[線型部分空間]]となる。この線型部分空間は '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''r''</sub> によって張られるという。
(''c''<sub>''i''</sub> &isin; ''K'', ''v''<sub>''i''</sub> &isin; ''S'', ''i'' = 1, 2, ...) のうち ''V'' の位相に関して収束するものの全体を考えると、それは ''S'' および span(''S'') を含む最小の閉部分空間となる。
 
* ベクトルの組 '''v'''<sub>1</sub>, '''v'''<sub>2</sub>, ..., '''v'''<sub>''r''</sub> が線形独立ならば、それによって張られるベクトル空間は[[次元| ''r'' 次元]]であり、そのベクトルの組は、そのベクトル空間の[[基底]]を成すといわれる。
 
== 関連項目 ==
* [[ベクトル空間]]
* [[生成 (数学)]]
{{sci-stub}}
[[Category:代数学|せんけいけつこう]]
[[de:Linearkombination]]
[[en:Linear combination]]