「ヴィルフレド・パレート」の版間の差分

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パレートは、それまでの経済学における研究業績を応用し、[[実証主義]]的方法論に基づいて社会の分析を行っていった。もともと自然科学を出発点として経済学・社会学の分野へと進んだパレートは、実験と観察によって全体社会のしくみ、および変化の法則を解明しようとした。
 
特に、経済学における[[一般均衡]]の概念を社会学に応用し、全体社会は性質の異なる[[エリート]]集団が交互に支配者として入れ替わる循環構造を持っているとする「[[エリートの周流]]」という概念を提起したことで知られている。そしてパレートは、2種類のエリートが統治者・支配者として交代し続けるという[[循環史観]](歴史は同じような事象を繰り返すという考え方)に基づいて、[[19世紀]]から[[20世紀]]初頭のヨーロッパで影響力を持っていた[[社会進化論]]や[[マルクス主義]]の[[史的唯物論]]([[唯物史観]])を批判した。
 
さらに、人間の行為を'''論理的行為'''(理性的行為)と'''非論理的行為'''(非理性的行為)に分類し、経済学における分析対象を人間の論理的行為に置いたのに対し、社会学の主要な分析対象は非論理的行為にあると考えた。つまり現実の人間は、感情・欲求などの心理的誘因にしたがって行動する非論理的傾向が強く、しかも人間の非論理性が社会の構造を規定しているとみなしたのである。このような[[行為論]]は、その後アメリカの社会学者[[タルコット・パーソンズ]]の[[社会システム論]]に影響を与えることになった。