「デュヴェルジェの法則」の版間の差分

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==概説==
各[[選挙区]]ごとにM人を選出する場合、候補者数が次第に各選挙区ごとにM+1M+1人に収束していく、という法則。1950-60年代に[[モーリス・デュヴェルジェ]]が唱えた。発表当初は、全国単位で政党数が次第にM+1に収束する法則と考えられたが、[http://www.fps.chuo-u.ac.jp/~sreed/ Steven R. Reed]が日本の[[中選挙区制]]などを調査した結果、前述のように理解されつつある。
 
==動作原理==
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すると、自分の支持する候補が当選に必要な得票数より多く票を取ると予想した投票者は、次善の候補に投票しても本命の候補は落選しないと考える。また、自分の支持する候補の得票数が当選に必要な数より少ないと予想した投票者は、本命より少ない票数の上積みで当選できる次善候補に投票する方が票の無駄にならないと考える([[死票]]の回避)。
 
すると票が、予想順位がM番とM+1番の、当落を争う候補に集中し、その他の候補の得票数・順位が下がる。予想順位がM番より上の候補は、M番・M+1M+1番まで落ちた時点で得票数・順位の下落が止まる。しかし、順位がM+1番より下の候補は得票数の下落が止まることはない。
 
結果、最初の予想順位がM+1番より下の候補は得票数がゼロになると予想される。これらの候補では、立候補者本人すら、他の候補に投票するのが戦略投票として合理的になり、[[被選挙権]]を行使する意欲を失う。
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本法則は選挙方法が[[単記非移譲式投票|単記非移譲式]]の場合([[小選挙区制]]、中選挙区制、[[大選挙区制]])を想定している。また、完全連記制と大半の比例代表制にも、少し工夫すれば応用が可能である。
 
しかし、政治の変動の直後や選挙区の定数が大きい場合など、順位がM番とM+1M+1番辺りの得票数の予測が有権者にとって難しい場合は、本法則はうまく働くことが出来ない。それでも、M+1番以上の順位にならないことが明らかな候補は、得票数がゼロに収束する。
 
== 日本での動向 ==
[[田中角栄]]は経験的にこのことを熟知していたので、[[中川一郎]]の[[派閥]]([[自由革新同友会|中川派]])は失敗すると予言した。
 
選挙制度改革において、小選挙区制度を導入すれば全国単位で二大政党制が誕生するとさかんに喧伝された。しかし現在では、デュベルジェが二大政党制が確立するのに2020年から5050年間の期間を想定していたことや、近年の追試結果([[デュヴェルジェの法則#概説]]を参照)を考慮していないと指摘する政治学者もいる。
 
[[日本共産党]]や[[社会民主党]]はこの法則が働き、[[民主党 (日本 1998-)|民主党]]などの候補者に票が流れることを懸念し、党大会などでも言及している。