「仮釈放」の版間の差分

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[[刑法]]第28条に「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」と定められている。ここにいう行政官庁とは、[[法務省]]所管の[[地方更生保護委員会]]であり、当該受刑者の改悛の情、再犯のおそれなどを考慮したうえで(「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」第32条参照)、仮釈放を決定する権限が与えられている。実際に仮釈放が許される時期については、最近ではほとんどの場合、有期刑は執行刑期の3分の2以上、無期刑は刑確定後20年以上が経過してからである
[http://www.geocities.jp/y_20_06/yuukikei02.html]
[http://www.geocities.jp/y_20_06/yuukikei.html][http://www.geocities.jp/y_20_06/japanese_life-sentence00parole2.html]。
 
仮釈放の手続きの流れは、以下のようなものである。自由刑の確定判決を受けた者が、検察官によって刑の執行指揮を受け、刑事施設に収容され、刑事施設内で所定の調査が行われると、その結果が、地方更生保護委員会と、法務省所管の[[保護観察所]]に知らされる。保護観察所は、受刑者が希望する帰住地および引受人について調査を実施する。実施にあたるのは、主に[[保護司]]であるが、[[保護観察官]]が直接行うこともある。調査は、帰住先の住居は安定して居住できるか、引受人は保護観察所と協力して、受刑者が仮釈放を許された後に社会復帰のために援助できるか、人的・物的環境は更生のためにふさわしいか等多岐にわたり、それらの諸要素を考慮した上で、保護観察所長が総合判断の結果、帰住先が更生に適当かどうかの意見を付して、刑事施設と地方更生保護委員会に連絡を行う。法務省所管の刑事施設の長は、帰住先が更生に適当であると保護観察所長から連絡を受けた者で、かつ、刑事施設内での処遇の状況が良好である者について、地方更生保護委員会に仮釈放許可を申請する。地方更生保護委員会は、あらかじめ、刑事施設内での処遇の状況や、保護観察所が行っている帰住先の環境調整の結果のほか、地方更生保護委員会事務局の保護観察官による面接や、被害者感情調査の結果などについて調査をしている。これらの調査の結果や、委員自身が直接受刑者に面接することによって、仮釈放が許されるべきかどうかを審理している。審理の結果、仮釈放することが適当であると判断されれば、一定の約束事(遵守事項)を遵守することを条件として、仮釈放許可決定がなされる。仮釈放が許されると、残刑期間中は、[[保護観察]]を受け、遵守事項を守るよう指導、監督を受けて生活することになる。
 
仮釈放はあくまで「仮」であり、刑法第二十九29条第1項の各号に該当する場合には、仮釈放は取り消される。犯罪を犯して[[罰金]]刑以上の刑罰が課せられた場合や、保護観察中に遵守すべき遵守事項に違反した場合には、地方更生保護委員会の仮釈放取消決定により、仮釈放が許された全ての期間を、刑事施設で過ごさなくてはならない。
 
また、刑の執行が停止されたわけではなく、社会の中で保護観察を受けて遵守事項を守りながら生活することを条件に、残りの刑期を過ごすことが許されたという状態であるため、例えば[[無期懲役]]に処せられた者が仮釈放を許された場合には、死亡するか、あるいは[[恩赦]](保護観察所長が上申権者となる「刑の執行の免除」)がなければ、一生保護観察下に置かれ、住居、旅行等、日常生活にも制限を受けることになる。ただし、少年のとき無期懲役の判決を受けた者については、残刑期間主義ではなく考試期間主義が採られているため、仮釈放が取り消されることなく10年が経過すれば、刑は終了する(少年法59条1項)。