「V1飛行爆弾」の版間の差分

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==V-1の戦略的意義==
V-1は、先に述べたとおりに現在の巡航ミサイルの始祖ともいえるものである。しかしながら、当時の制御技術ではV-1自身における[[戦略]]的な意義はほとんどなく、コストが安かったため大量に製造・発射されたものの、発射数と戦果の状況を見ればわかるとおり割に合わない兵器であった。V-1はプロペラ機でも十二分に迎撃可能な高度を、プロペラ機で十分追い越すこともできる600km/h程度で飛翔してくるため、翼同士を当てたり翼端後流に巻き込むなどでバランスを崩させて墜落させるという方法さえ可能であり、イギリスにとっては脅威とはなりえない兵器であった。(翼による撃墜戦法だが、機銃掃射によって撃墜を試みた英軍パイロットが破片を伴った爆風を被る事によって最悪撃墜される危険性があった為、安全に V-1 を撃墜できないかと編み出した戦法である。こういった問題から、高射砲等の対空火器で撃墜する方がむしろ楽であったと言われている)
 
そのため、V-1については有効な兵器ではなかったという評価があてはまると思われる。今日でも巡航ミサイルは[[戦術兵器]]にあたるものであって、[[戦略兵器]]ではない(ただし、通常弾頭を装備している限りは、である。核化学生物(ABC,NBC,CBR)弾頭の場合は存在そのものが戦略的意味を持つ)。それをドイツの劣勢挽回のための超兵器に仕立て上げようとしたことに、そもそもの無理があったのかもしれない。その点において、ゲッベルスが付けた、報復兵器、という名前がふさわしいともいえる。