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'''スダジイ'''([[学名]]''Castanopsis sieboldii'')とは、[[ブナ科]][[シイ|シイ属]]の[[常緑広葉樹林|常緑広葉樹]]である(シノニム''C. cuspidata'' f. ''lanceolata''、''C. cuspidata'' subsp. ''sieboldii''、''C. cuspidata'' var. ''sieboldii'')。別名'''イタジイ'''、'''ナガジイ'''。普通'''シイ'''という場合には本種を指す。
== 特徴 ==
[[暖地]]性[[照葉樹林]]を代表する樹種のひとつ。中
;形態
樹高15-20m、直径1-1.5mに達する[[高木]]。[[幹]]は黒褐色で、直立し、成長すると[[樹皮]]に縦の切れ目が入ることが特徴である。[[葉]]は厚く[[クチクラ層]]が発達する。長さは5cm~10cm程度の広楕円形で互生し、先端は細く尖る。葉縁の上半分に
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画像:Castanopsis sieboldii5.jpg|成木の樹皮(細かい切れ目が入る)
Image:Castanopsis_sieboldii4.jpg|若い葉と穂状花序▼
▲Image:Castanopsis sieboldii5.jpg|成木の樹皮(細かい切れ目が入る)
画像:Castanopsis sieboldii nuts01.jpg|堅果▼
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== 分布 ==
比較的温暖な地域に生育し、[[日本]]では[[福島県]]および[[新潟県]]以西・以南から[[琉球諸島]]まで、日本国外では[[韓国]]の[[済州島]]に分布する。寒冷な気候には適さず、約2万年前の[[氷河期|ウルム氷期]]における本種(暖地性照葉樹林)の分布は[[九州]]地方南部が北限となった<ref>[http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp:8080/dspace/handle/10069/7361 総説:日韓海峡域の植物と植生の地理学]長崎大学教養部紀要 自然科学篇 38(1), pp.25-51; 1997</ref>。以後、間氷期となり気候の温暖化に伴って分布を広げ、
=== 日本での分布 ===
本種の分布の中心は[[温帯]]から[[亜熱帯]]であり、北限は最寒月の平均気温が2℃となる等高線とほぼ一致する<ref>沼田ら(1996)「[http://had0.big.ous.ac.jp/veget/treedistribution/climax.htm 岡山県の極相林]」より再引用</ref>。緯度における北限は[[佐渡島]]、南限は[[琉球諸島]]である。南限は[[琉球諸島]]([[与那国島]])であるが、[[奄美諸島]]以南に生育する集団を[[亜種]]オキナワジイ(ssp. ''lutchuensis'')と分類することがあり(後述・[[スダジイ#近縁種と亜種|近縁種と亜種]])、この場合基亜種スダジイ(ssp. ''sieboldii'')の南限は[[トカラ列島]]である<ref name="simabukuro">島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』 九州大学出版会、1997年、p.120、ISBN 4-87378-522-7</ref><ref name="oono">大野照好監修・片野田逸郎著 『琉球弧・野山の花 from AMAMI』 株式会社南方新社、1999年、p.157、ISBN 4-931376-21-5</ref><ref>ただし、「鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、p.491、ISBN 4-9901588-1-4」では、オキナワジイの北限が奄美群島(奄美諸島)であるとしながらも、[[種子島]]から[[トカラ列島]]の集団はスダジイとオキナワジイの中間の形質をもっているとして、その集団を便宜的にオキナワジイに含めている。</ref>。
;北限付近の各群落
本種は温暖多湿な環境を好むため、冬季に冷涼な地域では個体数が少なく、群落を形成することが少ないことから、[[新潟県]]、[[福島県]]、[[栃木県]]など北限周辺の群落は、各県の[[レッドリスト]]および[[天然記念物]]に指定されることが多い(後述・[[スダジイ#保護上の位置づけ|保護上の位置づけ]])。
*新潟県の各群落
:[[佐渡島]]は、他の生育地と比較して高緯度であるが、[[対馬海流]]の影響で比較的温暖なため本種の巨木が多い。その中でも'''御島石部神社のシイ樹叢'''は、本種の純林として珍しく、かつ日本海沿岸の本種樹叢の北限であり、県の天然記念物に指定されている
*福島県の各群落
:[[福島県]]沿岸部
*栃木県の各群落
:[[栃木県]]では、'''唐沢山のスダジイ群落'''、'''河井八幡宮のスダジイ群落'''、'''高館山のスダジイ群落'''、'''綱神社のスダジイ群落'''、'''太平山のスダジイ群落'''は、栃木県版レッドリストに指定されている<ref>[http://www.pref.tochigi.jp/shizen/sonota/rdb/gaisetsu/4/2.html レッドデータ選定結果一覧表(栃木県版レッドリスト)
;南限付近の各群落
;国指定植物天然記念物群落▼
本種の南限である[[沖縄県]]の[[沖縄島]]北部や[[西表島]]などの[[森林]]の優占種として林冠部を形成する。[[国頭村]]与那にある[[琉球大学]]の演習林における[[天然林]]での[[毎木調査]]結果では、イタジイの本数は約2300個体/ha(個体数の割合は32%)で最も多い<ref>平田永二 『与那演習林の天然生林の林分構造』 琉球大学農学部附属演習林創設40周年記念誌、1994年、pp.54-65.</ref>。なお、沖縄県では本種のことをイタジイと呼ぶことが一般的である<ref>初島住彦・天野鉄夫 『増補訂正 琉球植物目録』や島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』 などの目録の他、沖縄県での論文等ではイタジイが一般的に使われている。</ref>。
:[[東京都]][[大島町]]・シイノキ山のシイノキ群叢▼
:[[石川県]][[金沢市]]・堂形のシイノキ▼
:[[愛知県]][[西尾市]]・神明社の大シイ▼
:[[鳥取県]][[東伯郡]][[琴浦町]]・伯耆の大シイ▼
== 近縁種と亜種 ==
同属の[[ツブラジイ]](コジイ、''C. cuspidata'')に比べてスダジイの方が細長い[[果実#果実の分類|堅果]]([[ドングリ]])をつけること、[[樹皮]]に縦割れを生じることなどいくつかの点で区別されるが、判断の難しい場合もある。スダジイの方が北まで分布し、コジイは[[関東地方|関東]]以南に分布するので、関東以北では単に'''「シイ」'''と呼ぶ場合は本種を指す場合が多い。より南部では海岸部にスダジイが、内陸部にコジイが分布する。
[[奄美大島]]以南の[[琉球諸島]]に分布する
== 利用 ==
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画像:Saifukuji16s3872.jpg|<small>[[西福寺 (敦賀市)|西福寺]]のスダジイ<br /> - 「新日本の名木100選」の一木</small>
▲画像:Castanopsis sieboldii nuts01.jpg|堅果
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== 保護上の位置づけ ==
;地方公共団体[[レッドデータブック]]([[レッドリスト]])
*[[新潟県]] - 地域個体群
*[[山梨県]] - 絶滅危惧II類
*[[栃木県]] - 5つのスダジイ群落が植物群落(単一群落)に選定されており、やや不良~壊滅(極悪)に評価されている。
*[[鹿児島県]] - 分布重要(スダジイ及びオキナワジイ)
== 脚注 ==
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*川原勝征著 『南九州・里の植物』 株式会社南方新社、2001年。
*多和田真淳監修・池原直樹著 『沖縄植物野外活用図鑑 第6巻 山地の植物』 新星図書出版、1979年。
*林弥栄編 『山溪カラー名鑑 日本の樹木』 株式会社山と溪谷社、1985年、ISBN 4-635-09017-5。
{{commons|Castanopsis sieboldii}}
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