「経口血糖降下薬」の版間の差分

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*'''SU薬''':[[膵臓]]の[[ランゲルハンス島]]β細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、[[インスリン]]分泌を促進させる。グリベンクラミド(商品名:オイグルコン®やダオニール®)、グリクラジド(商品名:グリミクロン®)、グリメピリド(商品名:アマリール®)などがある。半日から1日以上持続して作用する。抗生物質の開発中、副作用の低血糖が起きて、薬効が発見された。1950年代から使用されている。
*'''フェニールアラニン誘導体'''(グリニド系):[[膵臓]]のランゲルハンス島β細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。ナテグリニド(商品名:ファスティック®やスターシス®)、ミチグリニドカルシウム水和物(商品名:グルファスト®)などがある。食後は吸収が悪くなるので食直前に内服する。5-15分で薬効を来たし数時間で作用消失する。'''食後血糖降下薬'''ともいわれる。
*'''BG薬'''(ビグアナイド):肝臓に作用して糖新生を抑え,筋肉での糖の取り込みを促進する。副作用として[[乳酸]][[ピルビン酸]]が蓄積しやすく、脱水や肝障害・腎障害のある場合には禁忌である。肥満の患者ではインスリン分泌を伴わないので体重増加が回避される利点がある。1960年代から上市されたが米国では乳酸[[アシドーシス]]のため長らく使用されず、英国でのUKPDSでの再評価のあと、インスリン抵抗性のある患者に広く使われるようになりTZDとの合剤も海外では販売されている。[[メトフォルミン]](商品名:メルビン®)やブフォルミン(商品名:ジベトスB)がある。
*'''αGI薬'''(アルファ・グルコシダーゼ阻害薬):糖質が吸収されるためには澱粉のような多糖類から消化酵素の作用を得て[[二糖]]類([[マルトース|麦芽糖]]や[[スクロース|蔗糖]])、[[単糖]]類([[グルコース|ブドウ糖]]や[[フルクトース|果糖]])に分解される必要がある。その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、血糖の上昇をおさえるので、'''食後過血糖改善薬'''ともいわれる。頻度の多い副作用として消化されずに腸管にのこった糖類が[[醗酵]]し放屁・鼓腸や下痢を来しやすい。[[腸閉塞]]様症状に至る場合もあり糖尿病性神経障害で消化管蠕動障害があるばあいは留意する。体質的に、肝障害を来す例があるので肝トランスアミナーゼの定期的な観察を行う。[[ボグリボース]](商品名:ベイスン®)やアカルボース(商品名:グルコバイ®)、[[ミグリトール]](商品名:セイブル®)がある。
*'''TZD薬''':PPAR-γ作働薬やインスリン抵抗性改善薬とも呼ばれ、核内受容体PPAR-γに結合しインスリンの抵抗性を悪化させる様々な因子の転写調節をする。主として末梢組織のインスリン抵抗性改善にあたる。有効性及び安全性に性差を認め、女性で[[浮腫]]を来し易い一方で、小用量で血糖降下作用を見る事が多い。脂肪細胞に作用しブドウ糖の取り込みを増やす事で血糖が低下する。その代わり肥満を助長しやすくなる。塩酸[[ピオグリタゾン]](商品名:アクトス®)だけが現在、国内で上市されている。最初に商品化されたトログリタゾン(商品名:ノスカール®)は肝障害の死亡例が相次ぎ、その原因の一つとして肝臓での薬の代謝に関わる[[グルタチオン]]抱合酵素GSTT1とGSTM1の変異が重なると特に副作用の発症率が高い事が示された。類薬ではトログリタゾン程の肝障害は報告されていないが留意して使用するのが望まれる。副作用として浮腫や貧血を合併することがあるが、腎でのインスリン感受性亢進のため、Naの再吸収を促進するためだといわれている。脂肪細胞を分化誘導する一方で骨芽細胞の減少により骨折のリスクが増加するのではないかと云われている。
===開発中の薬===