削除された内容 追加された内容
PixelBot (会話 | 投稿記録)
m ロボットによる 追加: de:Taguchi-Methode
編集の要約なし
23行目:
パラメータ設計に入る前に重要なことは、時代の潮流を考えて、技術テーマを選択するのは技術責任者の役割であり責任である。技術開発テーマが決まったら、技術者が顧客の立場に立って「システム選択」することになるが、顧客が欲しい機能を考えて、理想機能を満足するシステムをたくさん考案することが大切である。考案したシステムの良し悪しを判断するのが「機能性評価」である。機能性評価はシステムとは関係なく、顧客が使う立場で信号とノイズを考えて[[SN比]]で評価することが大切である。
 
その後で、パラメータ設計(厳密にはロバスト設計という方が適切である)を行うのであるが、品質工学では「品質が欲しければ、品質を測るな。機能性を評価せよ」と言うことが合言葉になっていて、品質問題を解決する場合には、品質特性などのスカラー量は使わずに、理想機能(y(<math>y =βM) \beta M</math>)を特性値と考えてパラメータ設計を行う。
パラメータ設計の手順は以下の通りである。
 
#テーマの分析
#目的機能の明確化
#理想機能の定義(y(<math>y =βM) \beta M</math>)
#計測特性は何か(信号因子とノイズの選択)
#SN比や感度を求める
45行目:
許容差設計は「品質改善の成果をコスト改善に還元できる手法」なのである。
 
ここで初めて「[[損失関数]]」が必要になるのである。損失関数は「目標値からのばらつき」に比例するもので、目標値に調整した後のSN比の真数の逆数に比例する。すなわち、<math>L</math>(円) =( <math>\frac{A}{\Delta^2)}</math> (1/SN比)で表され、Δ<math>\Delta</math>は機能限界、<math>A</math>は機能限界を超えたときの損失で市場にでたときの品質損失を表す。
 
#部品や組立て品の許容差設計
54行目:
===許容差決定===
許容差設計では、部品コストと品質コストがバランスし、両者の和が最小になるように許容差を決めることである。したがって、「コストが決まらないと許容差は決められない」ことになる。逆に言えば部品が決まれば品質の良否を判定する許容差が決定する。
許容差Δ<math>\Delta</math>は下記のように損失関数から決める。
 
 <math>\Delta = \sqrt{\frac{A}{A_0}} \Delta_0 </math>
 Δ=√(A/A0)×Δ0
 
 <math>A </math>:部品コストやΔ<math>\Delta</math>を超えたときの廃棄費用
 
 A0<math>A_0</math>:機能限界Δ0<math>\Delta_0</math>を超えたときの社会的損失(円)
 
 Δ 0<math>\Delta_0</math>:機能限界で消費者の許容限界
 
生産者と組立て者の場合は、生産者の許容差Δ<math>\Delta</math>は組立て者の機能限界Δ0<math>\Delta_0</math>と組立て者が機能限界Δ0<math>\Delta_0</math>を超えたときの損失A0<math>A_0</math>から上式で決める。
 
安全率φ <math>\varphi</math> は上式から、
 
<math>\sqrt{\frac{A_0}{A}} = \frac{\Delta_0}{\Delta} = \varphi </math>
√(A0/A)=Δ0/Δ=φ
 
で表される。
74行目:
望目特性と望小特性の安全率であるが望大特性の安全率は
 
<math>\varphi = \frac{\Delta}{\Delta_0}</math>
φ=Δ/Δ0
 
で表される。
 
組立て品の許容差を決めるときには、機能限界Δ0<math>\Delta_0</math>から出力特性<math>y</math>の許容差Δy<math>\Delta y</math>を求め、直交多項式
 
<math> y =my m y + a (xAx A -mA m A ) + b (xBx B -mB m B) +・・・ \cdots </math>
 
安全率 φ=√(A0/<math> \varphi = \sqrt{\frac{A_0}{A)}} </math>
 
出力特性の許容差 Δy<math>\Delta y =Δ0 \frac{\Delta_0}{\varphi} </φmath>
 
A部品の許容差 ΔA<math>\Delta A =Δy/ \frac{\Delta y}{a} = Δ0\frac{\Delta_0}{a \varphi} </math>
 
B部品の許容差 ΔB<math>\Delta B =Δy/ \frac{\Delta y}{b} = Δ0\frac{\Delta_0}{b \varphi} </math>
 
==オンライン(製造)における品質工学==
139行目:
 
===MT法===
MT法はマハラノビスの距離を用いて[[逆行列]]を利用した方法で単位空間で求めた観測の対象の平均値が1になることが特徴である。逆行列の計算精度が維持できる程度の項目間の多重共線性がなく(逆行列の計算精度に依存する)、σ<math> \sigma = 0</math>でない場合に使用できる。
 
===MTA法===
158行目:
真値がある場合、真値と単位空間の各項目のSN比と感度を計算して、各項目の重み付けして真値Mを推定する。
 
 T法(3)RT法:信号の真値がない場合。文字認識の場合、「違う」ということは分かるが、どの程度「違う」のか分からない。火災の場合でも、ぼやや火事や大火事など真値が分からないので、項目ごとにメンバー(データ)を求めて、データごとのSN比と感度を求めて、両者からMTA法を使って単位空間の距離<math>D</math>を求める。単位空間の<math>D</math>と単位空間に属さないメンバーの<math>D</math>を比較する。
 
T法(1)(2)では項目に対してデータ数はいくらでもよく、n=1<math> n = 1 </math>個でもよい。
【項目診断の流れ】
176行目:
 このような曲線の場合は、変数変換で比例関係にはできない。SN比は、ノイズに対する安定性の評価であることから、比例関係でない場合も色々なノイズ条件下でも標準条件と同じように機能することを評価したいのである。この評価方法を標準SN比(別称 N0(エヌゼロ)法)と言うが、TS法及びT法と並び、新しい概念である。なお、古くから正常と異常の判定基準(0, 1)評価の標準寄与率から求められる標準SN比があるが、それとは区別されたい。
 従来のSN比は、顧客の欲しい機能を表す信号の効果と顧客が望まないノイズの効果との比で表したものであるが、信号の効果の中には、比例項の変動<math>S_\beta </math>と信号の2次項のばらつきSMresが含まれるため、そのばらつきは誤差変動Se<math>S_e</math>とは別なばらつきでノイズの影響ではないのである。そこで、ノイズの影響だけが顧客が望まないものであるから、信号の効果とノイズの効果を完全に分離することを考えたのが標準SN比である。
したがって、2段階設計では、まずノイズの効果だけを考えて最適条件を求めてから、信号の効果をβ1<math>\beta_1 = 1</math>、2次効果β2<math>\beta_2 = 0 </math>になるように要因効果図の制御因子でチューニングするのである。従来SN比に比べて再現性が高くなるのが特徴である。
 
 従来のSN比はη <math>\eta =10log(β 10 \log{\frac{\beta^2}{\sigma^2)}}</math> で表し、標準SN比はη <math>\eta =10log( 10 \log{\frac{1}{\sigma^2)}}</math> で表される。
 
 標準SN比は、目的機能でも基本機能でも用いられるが、ベンチマークと品質の比較をする場合には再現性は必要ないので、従来SN比を用いることになる。