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[[Image画像:UV-ontsmetting laminaire-vloeikast.JPG|thumb|right|250px|研究室に設置されたクリーンベンチ。青い光は[[殺菌灯]]の[[紫外線]]を含む光。]]
 
'''クリーンベンチ'''(clean bench, flow bench)とは、[[生物学]]、[[生化学]]的な研究に用いられる、埃や環境[[微生物]]の混入([[コンタミネーション]])を避けながら作業を行う([[無菌操作]])ための装置である。周囲からの微生物の混入を避けるため、作業を行う机の上のようなスペースの周囲に壁と天井を設けた、箱のような構造をしており、[[ろ過|濾過]]([[精密ろ過膜|精密濾過]])した空気を作業スペースに吹き付けることで無埃、無菌の状態に保つものである。
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== 清浄度の確保 ==
クリーンベンチは、主として無菌の空気を送り付けることで無菌的環境を提供するとともに、外部からの汚染を防ぐ役割を持つ。この空気を供給するのが[[HEPA]]フィルター(High(High efficiency particulate airfilter)airfilter)で、0.3μm3マイクロメートルの粒子を99.99%パーセント以上という集塵率で濾過する能力がある。前段階のフィルターを通った空気がこれを通ることで高度に無菌な風が得られる。
 
空気の清浄度については[[アメリカ合衆国]]の規格に基づき、クラス100(1立方フィート当たり0.5μm5マイクロメートル以上の粒子数が100未満)を標準にしている。フィルターには定期的な取り替えが必要で、普通の部屋では3-年から4年は使用可能とのこと。無菌室内の場合、半永久的に使える。
 
== 構造 ==
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それ以上の構造にはさまざまなレベルがある。
 
# 最も簡便なものは、単に清浄な空気を吹き付けるだけのものである。無害な微生物やごく一般的な無菌操作にはこれで十分対応できる。
# 清浄な空気を吹き付け、内部で発生したガスを排気する機能のついたもの。
# さらに、正面上側からも空気を吹き付け、これを下で吸い込むことで内部を遮断する。
# 吸い込んだ空気を吹き出す部分にもHEPAフィルターを持ち、内部から出た微生物を外に出さない([[安全キャビネット]])。
 
これらの上級の装置は、実験台の上を無菌にするだけでなく、そこで扱われるものが外部に出ることで生じる危険を防ぐためのものである。例えば危険な[[病原体]]を扱う場合には、培養のための無菌操作の必要性と共に、操作者にそれが触れないようにすること、及びそれが外に出ないようにする必要がある。このような場合、作業者に向けて風が当たるタイプの単純なクリーンベンチを使うことは、却って汚染([[バイオハザード]])や感染の危険があるため、安全キャビネットを使用する必要がある。このように、どのようなものを扱うかによって、必要な装置を検討しなければならない。
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== 操作上の注意 ==
クリーンベンチを使えば、無菌操作は非常に楽になるが、これはクリーンベンチを使うことで無菌操作が保証されるということではないことに注意すべきである。実際、外から持ち込んだ器具は滅菌されていても外気に触れたとたんにその状態はなくなるものと考えなければならない。乾熱滅菌した器具は無菌であっても、それを包んでいる包装の表面は外気に触れたとたんにそうではなくなっっているから、クリーンベンチ内でもそれらを置いた回りは無菌ではない可能性があるし、人体や衣服を完全に無菌化するのは難しい。様々な器具を扱う際には無菌操作の手順や心得があるが、それらはクリーンベンチ内でも忘れてはならない。また、空気の流れによって無菌が作られているので、操作の際には風の流れを乱さないようにすることにも配慮が必要である。
実際、外から持ち込んだ器具は滅菌されていても外気に触れたとたんにその状態はなくなるものと考えなければならない。乾熱滅菌した器具は無菌であっても、それを包んでいる包装の表面は外気に触れたとたんにそうではなくなっっているから、クリーンベンチ内でもそれらを置いた回りは無菌ではない可能性があるし、人体や衣服を完全に無菌化するのは難しい。様々な器具を扱う際には無菌操作の手順や心得があるが、それらはクリーンベンチ内でも忘れてはならない。また、空気の流れによって無菌が作られているので、操作の際には風の流れを乱さないようにすることにも配慮が必要である。
 
しかし、少なくとも手元より奥のスペースにおいては、上からの[[コンタミネーション]]はないのが保証されているので、たとえば[[寒天培地]]の平板を作った場合、そのままでは表面に遊離水が出るので、このスペースで蓋を開いて置き、表面を乾燥させるのには便利である。
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== 参考文献 ==
* 青島清雄,・[[椿啓介,]]・三浦宏一朗他 『菌類研究法』,(1983), [[共立出版]]、1983年
 
[[Category{{DEFAULTSORT:生物学の研究技術|くりんへんち]]}}
[[Category:生物学の研究技術]]